モンスターメモリー
「やった……やったぞ……!」
俺はサラマンダーを倒した事を確認すると、拳を点に突き上げそう言った。
でも、安心するのは後だ。
俺は体力切れで上手く動かない足を無理やり動かし、
「大丈夫かセリヤ!」
セリヤに駆け寄った。
するとセリヤは荒く息をしながらも、
「はぁはぁ、何とか大丈夫よ。」
背中を痛がりながらそう言い、拳を俺の方に突き出した。
……全く、大したやつだ。
「最後の攻撃、良かったぜ。」
そう言うと、俺の拳をセリヤの拳に当てて。グータッチをした。
拳を離した後、セリヤは投げた剣を取りに行く為に立とうとした。
それぐらい言ってくれれば取ってやるのにな。
すると、突然セリヤの前にある文章が表示された。
[貴方はユニークスキル[獣の記憶]を獲得しました。]
「これって……」
セリヤは突然目の前に現れた文章を見ながらそう言う。
「お!これユニークスキルじゃねぇか。」
遂にセリヤもユニークスキルゲットか、良かったじゃん。
しかし、セリヤはそこまで喜ばずに、
「まぁユニークスキルの事は後から考えるとして......ごめんテツヤ、私背中の火傷が痛くて立てないから肩を貸してくれる?」
背中を痛がる素振りを見せながら俺にそう言った。
まぁでもそうだよな。
物事には順序ってもんがある。セリヤは無事に帰還してから、ユニークスキルの事を考えたいんだろう。
「あぁ、分かった。」
俺はそう言い、その後セリヤに肩を貸しながら洞窟を出た。(ちゃんと剣は回収したぞ?)
あ、あと多分だが今回レベルアップしなかったのはトドメを刺したのがセリヤだったからだと思う。
まぁ結果的に見ればレベルは上がらなかったし、杖も失ったしで、散々なものだったが。ミリゴの人達を救えたんなら、それで十分だ。(あれ?いつの間にか俺、人助けが好きになって来てないか?)
それで今は一人で冒険者ギルドに向かっている。サラマンダーを倒した事、報告しなきゃだしな。
なんでセリヤが居ないのかって言うと、背中の火傷が思ったよりも酷いらしく、村長の家で包帯とかを巻いてもらってるんだと。
「ふう……やっと着いたぜ」
俺は冒険者ギルドに着くとそう呟いた。
西の洞窟からセリヤに肩を貸して村長の家に行ってから、そのまま冒険者ギルドまで歩いてきたんだぞ?そりゃ疲れる。
ただでさえサラマンダーと戦った後だって言うのにな。
……まぁ良い。とりあえず冒険者ギルドに入ろう。
ガチャ、俺は冒険者ギルドの扉を開けて中に入る。
すると、次の瞬間――
「うぉぉぉぉ!!兄ちゃんが帰ってきたぞ!!」「無事に倒せたんだな!」
冒険者のみんなが俺を迎え入れてくれた。
それから俺の事を胴上げしたりと色々あり、一段落した所で受け付けのお姉さんに話しかけた。
「もう分かってると思うけどよ、勝ってきたぜ。」
すると、お姉さんは目尻に涙を浮かべて、
「本当にありがとうございました!!」
頭を下げてそう感謝を述べてきた。
そんなに感謝するのはやめてくれよぉ、照れるじゃねぇか
「いいっていいって」
俺はニッコニコで後頭部を擦りながらそう言った。
するとお姉さんは、急に何かを思い出した様な表情になり、
「ちなみにセリヤさんは......?」
恐る恐る聞いて来た。
多分セリヤがこの場に居ないから死んだとでも思ってるんだろう。
けっ、あんなやつ簡単に死ぬかよ、俺よりしぶてぇわ。
「アイツなら背中に火傷を負ったからって今治療してもらってる」
俺は、心配そうに見てくるお姉さんにそう言った。
するとそれを聞いたお姉さんは、ぱあっと表情を明るくして、
「あ、そうなんですか!命が無事で何よりです!」
そう言った。
命が無事で何より、かぁ。
確かにそれはそうだな、
「まぁ俺の杖は犠牲になったがな」
俺は苦笑いしながら言う。
するとそれを聞いたお姉さんは、
「じゃあお礼に杖を一つ買ってあげましょうか?」
俺にそう言ってきた。ってマジ!?これ冗談だったら結構胸に来るぞ?
「え!マジでいいの?」
「はい!サラマンダーを倒してくれた方なんですから!」
あ、マジだわこれ。やったぁ!
その後、俺は武器屋で目をつけていたホーミング機能付きの杖を買って貰った。
マジで嬉しい!さっきまでは「結果的に見れば杖が壊れてぇ〜」とか思ってたが、もうそんなのどうでも良い!
これにて一件落着!これからも俺は異世界ハーレムロードを突き進んで行くぜ!!
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