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新たな剣


 武器屋から出たあと、俺達は今日一番の目的地である、冒険者ギルドへと歩き始めた。


 要するに新しい武器での腕試しって訳だ。

 まぁ俺は武器を変えてはいないが。


 歩き始めてから少し経った頃、セリヤが俺を覗き込むようにして、

「テツヤは武器買わなかったのね?」

 そう話しかけてきた。

「あぁ、良い武器はあったが結構値段が張ってたからな。」

 俺はそう言葉を返す。流石に100ゴールドの武器を簡単には買えないからな。

 

「へーそうなんだ。」

「そう言うセリヤは買ったんだな。」

 俺はそう相槌を打つセリヤの背中に背負われている新しい剣を指さしてそう言った。


 するとセリヤは急に元気を出し、

「えぇ!凄く投げやすい良い剣があったのよ!」

 そう子供の様にはしゃぎながら、背中に指していた剣を抜いて見せてくる。

「どう?可愛いでしょ?」


 投げやすいって何だよ......

 まぁ確かに前のシンプルな剣とは違って、グリップの部分がピンク色に装飾されているな。

 確かに可愛いのは可愛いけどよ――

「嬉しいからって剣をブンブン振りながら歩くのはやめろ!」

 俺はそうさっきからブンブン剣を振り回しながら歩いているセリヤにそう叫ぶ。

 しかしセリヤは俺の声に気付いていないのか、更にクルクルと剣を回しながらはしゃぎ始める。って――うぉ!?危ねぇ!今俺の腕斬りかけたって!


 これはマジで危ない。下手したら通行人を怪我させちまうぞ。だから俺はもう一度、

「まじ危ないから!!」

 必死の形相でそうさけんだ。


 するとやっと俺の声に気付いたのか、セリヤは剣を振り回すのを止め、俺に対して一言、

「あぁごめんごめん」

 笑いながらそう謝った。


 コイツ……ちゃんとしている所はもちろん沢山あるが、抜けてる所もあるな……

 まぁでも、ここで変に怒っても空気が悪くなるだけだ。

 ここは別の話題に変えるとするか。


 俺は、未だにごめんごめんと、笑いながら手を合わせて謝って来ているセリヤに、

「……もうその事は良いからさ、その剣の値段とか教えてくれよ。」

 そう言って話題変更を試みた。


 するとセリヤは案外その質問に食い付いた様で、

「お、知りたい〜?この剣の値段?」

 焦らす様にクスクスと笑いながらそう言って来た。


 くそ……腹立つ言い方しやがって、俺の性癖にメスガキは入ってねぇぞ。ついそうツッコんでしまいそうになったが、ここは何とか堪え、

「知りたいなぁ〜教えてくれよぉ〜」

 あえてセリヤと同じ様な言い方でそう言った。

 この状況を傍から見たらめちゃくちゃ気持ち悪いだろうよ。


 するとセリヤは、

「じゃあ、当ててみて?」

 そう言ってきた。

 しかし、今まで杖の値段は見てきたが、剣の値段を見ることが無かった俺は、さっぱり分からない。

 まぁでもそんなめちゃくちゃ高い訳じゃ無いだろうしな……


 とりあえず俺は適当な数字を言う事にした。

「ん〜そうだな、15ゴールドくらい?」

 これ、結構良いくらいじゃないか?

 しかし、残念ながら外れていたらしい、セリヤは、俺の答えを聞くと、クスクスと笑い、

「ぶっぶー!ハズレ!」

 そう言ってきた。


「じゃあ何ゴールドだったんだ?」

 いい加減このやり取りが面倒くさくなって来た俺は、別に相手にツッコミを入れる事もなく、そう聞いた。


 するとセリヤもこのやり取りに飽きて来ていたのか、さっきの様なウザイ言い方では無く、いつも通りの声で、

「50ゴールドだったわ。」

 そう言ったぁぁ!?!?って、


「高すぎだろ!!」

 俺は値段を聞いた瞬間そう叫んだ。

 いや、だっていくら何でも高過ぎやしないか?ホーミング機能付き杖の半分だぞ?たかが剣一本に?

 ダメだ……訳わかんねぇ……


「セリヤはその剣のどこに惹かれたんだ?」

 俺は実はとんでもない機能がこの剣には付いているのよ!

 みたいなセリフを期待して、セリヤにそう聞く。

 

 しかしセリヤは、ニコニコしながら

「この色に惹かれたのよ!!」

 自信満々にそう言い放った。


 選んだ理由色だけかよ!!

 絶対それゴールドの無駄使いだって!

 俺はそう思ったが、それを口に出す事は無かった。


 なんでかって?それはセリヤが凄く嬉しそうにしてたからだよ。


 俺はため息を一つ吐くと、

「まぁ、良かったじゃねぇか」

 セリヤにそう言った。

 対してセリヤは「えぇ!」と、嬉しそうにそう声を上げて、スキップ混じりで歩く。


 どれだけレベルが上がってもセリヤの笑顔には弱い俺であった。

面白いと思ってくれた方は正直な評価で構いませんので下の☆☆☆☆☆で評価してくれると嬉しいです!!

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