表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/159

第一五話

 第一波は、小型のモンスターたちだった。ゴブリン、コボルトと言った小回りが利くモンスター、その中にはジャイアントバットやジャイアントスパイダーといった対策が異なるモンスターも入っている。とはいっても、私は、みんなを信用しているから、きっと大丈夫。


「うおぉぉぉ!!」


 ロンディスは、あっという間に、付近にいたゴブリンやコボルトを切り伏せて、ジャイアントスパイダーの吐きかけた糸は、盾をうまく使い、誘導し、ただの輪切りに変えていく。


「リスティル、3日間見てきたから、大丈夫だと思うが、無理はするなよ」


 ロンディスからの激励に、リスティルは、ジャイアントバットの群れに乱射を叩き込み、それをたやすく、ぼろ雑巾のようにしながら珍しく凛々しい面持ちで答えた。


「うん。大丈夫。私の弾丸は、バンディーラ様特製だから、今なら何にも負ける気はしない!!」


「二人とも、頼もしいわね。こっちも、詠唱完了。立ち上がれ『炎の壁』」


 二人の奮戦が功を奏して、オリビアが、詠唱を完成させた。分厚い炎の壁が、私たちと、ダンジョンのモンスターの前に立ち上がる。何体かのモンスターが巻き添えを食らい、炎の中に消える。ロンディスと、リスティルは、壁の中に入り込んだモンスターを迎撃していく。私は、オリビアの様子を伺う。やはり広範囲に及ぶ魔法を使用するのは、大変そうだ。


「オリビア、頑張って!!」


 オリビアの顔色が一気によくなる。オリビアは、驚いたように、私を見つめて、微笑んだ。


「バンディーラ、いつもありがとう。もう少し頑張ってみる」


 オリビアは、印を組みなおし、再度力を込める。炎の壁はさらに厚さと高さを増し、ダンジョンへ、モンスターを押し返し始めた。それでも、戦況は5分5分といったところだろうか。もし何かがあったら、様相は変わるそう思った時だった。


 そんな時、ダンジョンから、厄介なモンスターが姿を現した。


「ゴブリンシャーマン…それに、フレイムデッドか」


 ロンディスの焦った声に、視線を向けると、炎の壁の先に、大柄で奇抜な衣装を身に纏ったゴブリンが10体ほど現れる。そして、その奥から、炎に包まれたゾンビが現れる。それを見た、オリビアは明らかに渋い顔をする。フレイムデッドは、炎で死んだ死体が動き出してきたもので、炎を完全に無効化してしまう。現に、炎の壁に接触し始めているものがいた。

 ゴブリンシャーマンは、炎の壁に気が付くとすぐに炎の精霊を召喚し始めた。あっという間に、炎の精霊が並ぶ。それが、炎の壁に接触すると、その部分の炎が明らかに弱くなるのがわかる。炎の壁が炎の精霊に食われている。今のところオリビアが、何とか持たせているが、効果が失われるのも、時間の問題かもしれない。リスティルの弾丸が、炎の精霊を打つが、効果はいまいちのようだ。


 それを見た、リスティルは、狙いをフレイムデッドの方に狙いなおし、その弾丸を乱れ打っていく。確かに炎の精霊よりは効果があるようだが、それでも、倒すのに6発以上叩き込まないといけないのが、かなり負担のようだ。


「リスティル、押しているから!!いけるよ!!」


 リスティルが、頷き、さらに弾丸を畳み込んでいく。その時だった。


「まずい、一角が破れた」


 ロンディスが、叫ぶ。フレイムデッドの対処に手間取ったのが痛かった。炎の精霊に炎の壁が食われ、そこから、ゴブリンやコボルトが、こちらに向かい走ってきていた。明らかにオリビアを狙っているのがわかる。オリビアは、炎の壁を解除するべきか、どうするか決め切れていないようだった。むう、ここは、私が一肌脱ぐしかないみたいと、思った瞬間だった。


 素早く、オリビアにとびかかった、コボルトが、大鉈に阻まれ、二つに別れる。


「さっきはすまなかった。せめて、助力させてもらう」


 獣人が、すっきりしたように、立っていた。私は、ホッとして、問いかける。


「じゃあ、パーティに入ってくれる?一緒に行きましょう」


「ああ、分かった」


 獣人の大鉈が、ゴブリンを二つにする。少し獣人が不思議そうな表情を浮かべた。


「驚いた、これが、貴女の力か。ならば、躊躇せずに全力を振るわせてもらうぞ!!」


 獣人が、明らかな狂戦士状態になり、前線に突っ込んでいく。その強力には生半可な防御は意味もなく、大鉈の質量からくる攻撃は、十分に精霊にも有効そうだった。


「『大火球』『光雷球』『魔力槍』」


 戦況が、有利に傾いたと判断した、オリビアは、炎の壁の維持から、攻撃に切り替えたらしく、魔法で、遠距離からの攻撃に切り替えたようだった。私は、応援を続けながら、少しだけ気になっていた。それは、まだ地面の中からの振動が止まっていないこと、そして、その振動が、だんだんと大きくなってきていることに。


 やがてそれが、姿を現した。


「嘘だろ…」


「なんで、こんなのが、表層にいるのよ」


 そこには、大型のモンスター、シャドウジャイアントの群れが現れていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ