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第一〇話

「あの、リスティル・フィリア・フォーディンと申します」


「ええ?あの、候国の敵、リスティル・フィリア・フォーディン?とんだ大物を拾ったのねバンディーラ」


「任せてください。募集は得意です」


 胸を張り、褒められると思っていたが、そうではなかったみたいだ。ロンディスとオリビアは、渋い顔をする。


 あれ?私何かしちゃいました?


 私に、少し、不安そうな表情を浮かべるロンディスとオリビアは、私をすこし、あきらめたような表情でみつめ、深いため息をついた。




 それから少し後、私たちは、コミュニティの食堂にいた。幸いにして、昼ごはんが売り切れていなくてほっとする。今日は、根菜のミルク煮と硬いパンが、食卓を彩った。よくよく考えたら、これだけの食糧がどこからやってきているのか不思議なんだよね。道中に畑や牧場もなかったし、コミュニティはどんな仕事をしているのかもわからないし。


「ええと、だいたい理解しましたが、それは、リスティルさん、かわいそうというものです」


 私は目の前のぬるい水を飲みながらそう告げた。リスティルを助けることは、決めていたから。じゃないと、ファラにあんなふうに直談判なんてしない。


「あの…バンディーラ…様…」


「様は、いいよ。リスティル」


「ええ。この二人は」


 二人は、視線を合わせた。ああ、そうだった、二人のことを説明するの忘れていた。


「説明するね…」


「おれは、元フラジェイル旅団第一パーティのディフェンダー。ロンディスだ」


「同じく、元フラジェイル旅団特級アタックパーティのアタッカー。オリビアよ」


 二人に、先をこされて、私の出番が回ってくる。


「ええと、元フラジェイル旅団サポートの元聖女、バンディーラです」


「ええ?フラジェイル旅団は、特級と第一パーティから追放者を出して、さらに聖女まで追放したんですか?何考えているんです!?」


 リスティルの声が、コミュニティの食堂に木魂した。そんなにおかしいことかなと、私は首をかしげたが、ロンディスとオリビアは渋い顔をした。


「すいません、出しゃばった真似をしました。私は、ラーング旅団所属、現在は、バンディーラ様の…」


「様はいいって」


「の、お伴を旅団から仰せ使いましたリスティルと言います。元はラーング旅団第4パーティで魔導銃の使い手として、アタッカーをしていました」


 魔導銃と聞いて、2人の表情が険しくなる。


「魔導銃は、燃費が悪いと聞いていたが…」


「はい、今日、そのせいでバンディーラ様」


「だから、様はいいって」


「を、危険な目に合わせてしまうところでした…私がここにいるのは、ただの偶然です…バンディーラ様の元で一緒に働かせてください。お願いします」



「いくつか確認しておきたいことがある」


 頭を下げたリスティルに、オリビアは声色も冷たく言い放った。ちょっと、言い方、言い方もう少しないですか?


「お前は、候国の敵と呼ばれている。その事実に相違はないか?」


「はい、ありません。私は、その侯国の敵と呼ばれますリスティル・フィリア・フォーディンです」


「そうか。では、次、お前に言われている悪評は真実か?」


 ダメですよ。オリビア、ほら、リスティルがあんなに委縮しているではないですか。もう、威圧なんかしたらダメです!!威圧は忌むべきものです。


「?」


 リスティルが驚いたような表情を浮かべた。私とオリビアとを見回す。


「あの…わたくしは、誓って…誓って、そんなことは行っておりません。無意味に重税課したり、自ら放蕩をしたり…村の虐殺を行ったものに与したことも…ましてや、仲間であったこともありません!!でっち上げです」


 リスティルが、冷静になって、必死に自身の身の潔白を主張する。それを、ロンディスとオリビアは、疑いの目で見ているようだった。ああ、空気が重いです。そんな空気も忌むべきものです。


「そんなにさ、ピリピリしていたら、持たないよ。ね、3人ともリラックスしよう」


 私は、皆の間に流れる空気を和らげるように、いろいろと努力したが、それは、実らなかったらしい。しかし、ロンディスとオリビアが驚いたように、私を見ていたけど、よくその意味を知ることはできなかった。


「みんな、もう少し、仲良くしようよ…」


 その言葉に反応したのは、リスティルだった。


「バンディーラ様…」


「様はいらないから」


「今も、助けていただいて、本当にありがとうございます。あなた様の信に添えるように、わたし、もっと、頑張りますから。でも、オリビアさんが言われることももっともなんです」


 私は、いきなり、。


「まあいいわ。バンディーラが面倒を見てくれるって言っているんだったら、それに任せましょう。それでいいわね?ロンディス?」


「ああ、そういうことならそれでいい。もし、リスティルが、害を為したら…まあ、その時はその時だ」


「そんなことをしません。バンディーラ様…」


「だから、様はいらないって」


「に救われた命ですから、ラーング旅団が何を考えているのかは知りませんが、私が守って見せます」


 意気揚々と、任せてくださいと言い切るリスティルに、不敵に笑いながら、あなたと言う人間を試させてあげるわと言い切るオリビア。ああ、みなさん、仲良くしてください!!

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