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Vox-ウォックス-  作者: 暁紅桜
30/40

30話《彼だから》

「俺の恋人、男なんだ」


口から出た言葉。

今更ながら思うのは、どんな子と聞かれているのに、なぜか恋人が男であることを言ってしまった。


「あ、ごめん。どんな子なのかって質問なのに」

「ううん、いいよ別に……そっか、颯音はやとの恋人は同性なんだ」

「別にその、恋愛対象が男ってわけじゃないんだ」

「わかってるよ。颯音は私とは違う。好きになったのが、男だったってことでしょ?」


にっこりと笑みを浮かべるおばさん。本当に、おばさんには叶わない。そして、本当に尊敬する。

さっきまでの緊張とか焦りとかはなくなり、少しだけ体が楽になった気がする。


「で、どんな子なの?」

「えっと、すげー頭がいいんだよ。それに顔がめちゃくちゃ良くて、かっこいいんだけど、笑ったりすると可愛くて……でも一番は、声がいい」


最後の部分は、一番の惚れた理由でもあるため、ちょっと力が入ってしまった。それを感じ取ったのか、おばさんは大笑いして、香澄かすみは少しだけ蔑むような目を向けていた。


「あ、ごめん」

「いいって。まぁ颯音が好きになったんだからそうだろうなぁとは思ったけど」

「うん。でも、一緒に過ごすうちに、声だけじゃなくて、そいつそのものが好きになった」


そして、やっと昨日想いを伝えることができた。

まだ付き合ってとは言ってないけど、この後ちゃんというつもりだ。

食事を終えた後は、おばさんと一緒に洗い物。香澄はリビングのソファーでのんびりテレビを見てる。


「この後、恋人君のところに行くの?」

「うん。ご飯作りに行く」

「そっか。颯音はいいお婿さんになるね」


会話はいたって普通だ。おばさん自身も気を使ってるのか、あまり踏み入ったこととかは聞かなかった。あくまで、必要最小限。白線の一歩後ろの内容。


「いろいろ大変かもだけど、私は応援してるから」

「……うん」

「後、怖いかもしれないけど、有紗ありさたちにも話すのよ」


その言葉に、少しだけどきっとした。

両親はれんのことを気に入ってくれて入るけど、まさか息子が同性と付き合ってるとは思っていないだろう。


「大丈夫かな……」

「有紗たちなら大丈夫でしょ。私の例もあるし」

「……だと、いいな」


少しだけ、不安を抱きながら、気がついたら洗い物が終わっていた。


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