28話《その人だから》
「と言うかお前さ」
「んー?」
聞くことは聞いたはずなのに、香澄はまだ部屋にい座ってる。
俺の非常食の、滅多に食わない菓子を探し当てて、漫画まで読み出す始末。さっさと寝ろ!
「俺と蓮が付き合ってどうも思わないの?」
「んー?同性だからってこと?」
「いや、そうじゃなくて……今までも、俺が男女問わず仲良くしてるとさ」
「あぁそう言う。んー、蓮さんは別になんとも。寧ろ、蓮さんだからいい、かな?」
香澄の中でのこの人は許せる許せないの基準は正直わからない。だけどきっと、こいつの中では蓮という存在は、恋愛ではない、別の意味での特別な存在になっているのだろう。
「さいですか……」
まぁなんだかんだ、祝福してくれてるみたいでよかった。
「あ、そうだ。明日もまた蓮の家に晩飯作りに行くけど、飯どうする?」
「んー、お昼だけでいいよ。なんでも明日は突然だが、姫沙羅おばさんがくるらしいから」
「え、おばさんくるの?」
「うん。彼女さんが出張で今いないから、久々に遊びにくるんだってさ」
いつの話か聞くと、丁度俺が蓮の家にいるときに連絡が来たらしい。
んー、叔母さんがくるのか……めちゃくちゃ会いたい……だけど、蓮ともう約束してるし……
「なに迷ってるの?どう考えても、叔母さんよりも蓮さん優先でしょ」
「そうだけどさ……」
「寧ろいいの?好きな人よりおばさん優先なんかにしたら、おばさんなんていうかなぁ?」
ニヤニヤ顔で俺のことを見てくる香澄。確かに、そんな事をしたら叔母さんに怒られる。
「そうだな」
「まぁ晩御飯なら少しぐらいは話せるでしょ。そんなに考え込まなくてもいいって」
「そうだな」
俺はもう一度ベットの上に横になって天井を見上げて目を伏せる。
瞼の裏に映し出されるのは、あくまで俺の妄想ではあるが、美味しそうにオムハヤシを食べる蓮の姿。
「楽しみだな……ところで香澄さん」
「んー?」
「もう寝るからそろそろ部屋から出て言ってもらえませんかね」
「お気になさらず。私は今日のお兄ちゃん寝顔、を撮ったら出て行くから」
「おまっ!毎日そんなことしてんのかよ!というか鍵しめてんだろ!」
「数年かけて習得したピッキング技術があれば余裕」
「家族でも、プライベートはあるんだぞ……俺はお前の将来が心配だよ……」




