26話《わがまま》
「それじゃあ俺帰るな」
「う、うん……」
あまり遅くなるのも良くないし、俺は少しだけ名残惜しさを感じながら家に帰ることに。
流石にこのまま二人っきりになって、蓮に何もしないっていうのは絶対に無理だ。絶対手出しそうだ。
「ねぇ颯音」
「ん?」
「あ、えっと……迷惑じゃなければなんだけど」
少しだけもじもじしながら、何か言いたそうにしていた。
あぁほんと可愛いな……やばい、辛い。
「いや、やっぱり」
「だーめ。そういうのは今後なし」
「へ?」
「いうのを我慢するの。言いたことがあるならちゃんという。答えを聞いてないのに悪い方向に考えんな」
この性格はどうにも改善されそうにないな。少しずつ注意しながら無くしていかないとだな。
「ちゃんと聞くから。ほら、言ってみ」
「……あ、明日さ」
「うん」
「あ、明日も来て、くれない、かな?」
何かをお願いしようとしていたのは、発言的に予想はしていたけど、まさか明日もきて欲しいというお誘いだったとは……
「だ、だめ……かな……?」
だめじゃないです!寧ろこさせてください!!明日もお前に会いたいです。
と、こんな激しい考えは口には出さずに、そっと胸の中に止める。
「もちろん。せっかくだし、また飯作ってやるよ。何が食いたい?」
「えっと……颯音が作ったものなら、なんでもいいよ」
「だめだ。なんでもは認めない」
「えー……」
「お前は、何が食べたい?」
こうやって、少しずつわがままを言わせていこう。そうすればきっと、蓮は我慢しなくなったりすると思う。
「それじゃあ……オ、オムライス食べたい」
「よし、任せろ。普通のオムライスがいいか?」
「あ、えっと……」
「ん?」
「……出来れば、オムハヤシがいい、かな」
「任せろ。うんとうまいの作ったやるからな」
少しわしゃわしゃと蓮の頭を撫でてやる。
そういえば、こうやって頭撫でるの初めてだな……すっごいふわふわしてるな……
「は、颯音……」
「ん?」
「そっ、そろそろやめてもらえると……」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にする蓮。反射的に勢い良く手を離しそうとしたが、その表情に愛おしさを感じて、そのまま蓮を抱きしめてしまった。
「え!? は、颯音!?」
「はぁ……ホントお前可愛い」
「あ、いや……その……」
あたふたする蓮。だけど俺は、もう本当に愛おしくて愛おしくてたまらない……
「また明日な」
「……うん、また明日な」




