25話《愛おしさ》
「なぁ蓮。おーい」
少しだけ気持ちが落ち着いたところで、今だにソファーの上で、クッションに顔を埋める蓮の側で声をかける。
全然顔を上げてくれないんだよなー……恥ずかしいのはわかるんだけど、流石にそろそろ顔を上げてほしい。
「そろそろ顔を上げてくれませんかねー?」
「嫌だ」
「子供か」
「だって……恥ずかしい……だもん……」
少しだけ顔をのぞかせた蓮の顔は言葉通り恥ずかしそうで、顔を真っ赤だった。
クッソ……両想いだとわかると、なんか前以上に蓮が可愛く見えてしまう。
「そんなの俺だって恥ずかしい……ほら、メガネぐらい外せ。危ないだろ」
「んっ……」
さて、どうしたもんか……なんていうか、別の意味で気まずい……
だって、両想いなんだぞ……俺ら……
「颯音は、さ……」
「え……」
「僕のこと、す、好きなの?」
「え、お、おう……」
改めて聞かれるとやばいなこれ……超恥ずかしい……あぁ俺も蓮と顔合わせられない……
「じゃあ、本当に……ぼ、僕の声が好き、なんだ……」
後半、声を小さくしながらそう言っている蓮は、また恥ずかしそうにした。
うん、可愛いです。本当に可愛いです。
「きっかけは、本当に声だった。声が目的だったけど、時間が立つに連れて、蓮自身に会いたくてあそこに行ってた」
「……たから」
「ん?」
クッションに顔を埋めてるせいか、声がうまく聞こえない。
「なんて言った?」と尋ねれば、また少しだけ顔をのぞかせて、恥ずかしそうに俺の顔を見てくる。
「僕も、お弁当もだけど……颯音に会いたくて、あそこに行ってたから……ちょっと嬉しかった」
あ、俺死んだわ。
何それ可愛いな!マジか!お前、弁当欲しさにきてたんじゃないのか!!
あぁまじどうしよう!恥ずかしいけど、それ以上に嬉しいが優ってる!死にそう!!
とまぁ、内心こんなに荒ぶっていますが、表情には一切出さなかった。
意外と俺の表情筋は仕事をしてくれるみたいです。
「ふーん。ちょっとだけか。俺はめちゃくちゃ嬉しかったけどなぁ」
「う……颯音はずるい……」
少しだけ拗ねながら、蓮はゆっくりと体を起こし、俺と目を合わせてくれた。
あぁなんていうか、しっかり好きであることを自覚し、伝えて、両想いになるとこんなにも世界が変わるんだな。
「へ?は、颯音!?」
衝動的に、俺はそのまま蓮を抱きしめた。
そういえば、こんな風に蓮に触れるのは初めてだった……体つきとか感触はやっぱり男だけど……うん、なんかすごい落ち着く。
「あ、あの……」
「もう少しだけこのまま……頼む」
ずっと、ずっとお前を抱きしめたかったんだ。抱きしめるだけじゃない。手を握ったり、頬にだって触れたいと思ってた。
だから頼むよ蓮……今だけは、抱きしめることを許してくれ……じゃないと俺、自分の理性を保てないような気がする……




