星になったマンボウ 疾風怒涛編！
まだ星になったマンボウを読んでない方は控える事をお勧めします。そしてイメージが粉砕するのでそれでもいい！ という方のみお楽しみ下さい。
むかしむかし、多分むかし。とある海で生まれたマンボウは夢を持ちました。
それは「星になる」というもの。
彼は、まわりがなんと言おうと諦めませんでした。
そして彼は遂に星になったのです。
これはそんなお話……の疾風怒涛編です。
海のなか、一匹のマンボウの赤ちゃんがぷかぷか浮いていました。まわりには多くの兄弟たちもいます。一匹の赤ちゃんはこう思いました。
「天上天下唯我独尊！」
生まれたばかりの赤ちゃんマンボウはちょっと変わっていました。
「個性を！ われに個性を！ みんなと同じ生き方など退屈なり！」
あるとき赤ちゃんマンボウは空を見ます。お日さまがギンギンです。
「……あれは燃えすぎかなぁ。ちょっと自己主張が激しいよね」
あるとき赤ちゃんマンボウは夜空を見ます。お月さまがピカピカです。
「……いいなぁ。でも大きすぎだなぁ。あそこまで大きいと色々と」
ピカピカのお月さまが優しく海を照らします。
「あっ、星！ 星ならいいかも！」
お月さまとキラキラ光る星たちに赤ちゃんマンボウは心をうばわれました。
「あんなふうにキラキラしたい。そしてモテモテになりてぇ」
夜空にはたくさんの星たちが。
「そうだ！ ぼくは星になる。星になってみせる！」
そのときから赤ちゃんマンボウは星になるために朝から夜までがんばります。
「マンボウのくせに星になるなんてバカだよねー？」
おさかな小学校ではあじ、さば、まぐろたちがマンボウを馬鹿にします。
でも少年マンボウはくじけません。
「あきらめない。星になる。そう決めたから」
ヒレで馬鹿にしてきた魚たちをボコボコです。地元じゃだれも馬鹿にしなくなりました。
少年マンボウは海をめぐります。海のそこに手がかりを探しに行ったり、疲れて海面でぷかぷかしたり。
少年マンボウはいろいろなおさかなさんに話を聞きました。
「星？ 無理だよ」
「そんなことより大切なことがあるだろう」
「バカ言ってんじゃないよ」
みんな少年マンボウを否定します。
それでもあきらめない少年マンボウをおさかなたちはひどい言葉できずつけます。
それでも少年マンボウはくじけません。
「星に……星になるんだー！」
世界は広く、そして深い。サメやトドとの死闘を乗り越えてあっと言うまに時間が過ぎていきました。
少年マンボウは大人マンボウになりました。
いつも空を目指してとびはねる毎日。そしていくつもの夜を星を見上げてねむるマンボウ。
深海で名状しがたい生き物に出会い己の小ささを知ったマンボウは今度は空を統べるものに会いに行くために鍛えに鍛えていました。
しばらくしてマンボウは空を飛んでいました。でも星にはなれません。
空を飛ぶ鳥さんたちにマンボウは聞きました。
「星になる？ え、マンボウが？」
「空を飛ぶな、マンボウのくせに」
「海の中で生きるのが正しい。海にもどれ」
鳥さんたちもマンボウをきずつけます。それでもマンボウはあきらめません。
「……なんでみんな否定するんだろう。星のなりかたをだれも分からないのに」
おさかなたちは海で暮らしています。だれも空にいません。
鳥さんたちは空で暮らしています。だれも海の中にいません。
未だに星になった存在に会えないマンボウですが、とりあえず鳥さんたちは海に落としておきました。ヒレでぺちんと。
「でもぼくは星になる」
マンボウは毎日空をのぼります。たとえ力尽きて海におちても。
マンボウは毎日夜空を見上げます。あそこが目指す場所であると。
あるとき空を飛ぶマンボウは山の上で不思議な存在に出会いました。それはウミヘビのような形の大きな生き物でした。マンボウはとりあえず襲いかかりましたが返り討ちでした。
しっぽでぺちんです。
そこでマンボウはウミヘビに弟子入りして修行の日々を過ごしました。
マンボウは極楽往生波や死滅覇龍撃といった技を教わりましたがまだ星になれません。
ウミヘビ師匠はマンボウに最後の試練を与えました。
マンボウがマンボウを越えた「超マンボウ」になるための試練です。
火を吹く大きなトカゲや大きなイカと戦いを繰り広げるマンボウ。
いつしかマンボウはウミヘビ師匠に匹敵する「超マンボウ」になっていました。
そしてついにマンボウは空をこえ、雲を抜けて、宇宙に飛び出ました。
「星が、あと少し、あと少し……」
マンボウはそこでやっと気づきました。自分のいた世界を。世界の大きさを。
ずっと空を見上げていたマンボウの足元にも星はあったのです。
「きれい。こんな星にぼくは生まれたんだ」
マンボウは感動しながら宇宙にぷかぷかと浮かんでいました。
青く光る美しい星を。どうしたら支配できるかほくそ笑みながら。
「ぼくは……星になれたかな。だれかがぼくを見てくれてるかなぁ」
その夜、空に一面、星がキラキラと輝くなかで不思議な形の星がありました。それはまるでマンボウのような。
そんな星がキラキラといつまでも光っていました。
「マンボウゥゥゥメテオォォォォ！」
そして空から降り注ぐマンボウ。青く美しい星を赤く染め上げたマンボウは伝説になりました。
「この星はマンボウの物だぁぁぁぁ！」
世界を支配せんとするマンボウとそれを阻止せんとする星に生きる全ての生き物たちとの戦いが始まりました。
でも今日はここまで。続きはまた今度。
うん、やりきった。反省はしていない！
