プロローグ
※注意事項
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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ですが、感想は読ませていただいております。
今、世界が注目するスマホゲームの世界大会が日本の東京で行われていた。
東京ドームに設置された巨大なスクリーンを前にヘッドフォンの様な物を頭に取り付けた二人の少年がスマホを片手に睨み合う。
そして、そんな二人を観客席に座る人々は手に汗を握りしめ、固唾を飲んでスクリーンを見守っていた。
『おっとっ!!ここでアメリカリーグのチャンピオンであるエリック君が動きました!!
体力ゲージはお互いにレッドゾーンっ!!これで決着となるか!?』
司会の言葉通り、スクリーンに映っていた八つの首を持つ大蛇の様なドラゴンが目の前の白い西洋龍に襲い掛かる。
動きを見せない白き龍に金髪の少年、エリック・スタンバーグは勝利を確信してニヤリと笑う。
「This is the end《これで終わりだっ》!!」
八つの頭を持つドラゴンの顎が白いドラゴンの喉に到達しようとした瞬間。
「ああ……お前がなっ!!」
エリックと対峙する黒髪の少年、天ヶ崎龍児が歓喜の表情を浮かべ、スマホをタップする。
すると、白いドラゴンの体から八つの頭を持つドラゴンに向かって大量の電気が周囲に放出される。
「What!?D, defense《防御を》―――」
「間に合うわけないだろっ!!」
エリックは攻撃の指示を中断するも、防御姿勢に入る前に龍児の操る白いドラゴンの攻撃によってHPはゼロとなってしまう。
HPがゼロとなり、エリックのドラゴンが光の粒子となって消えた事で、ゲーム終了のブザーがなる。
『ゲーム終了ーーー!!勝者は日本リーグのチャンピオン!!天ヶ崎龍児君っ!!
大人気スマホゲーム《ドラゴンワールド》の世界大会、初代チャンピオンは君に決定だぁぁぁぁああああ!!!』
司会のアナウンスが興奮気味に叫び、観客たちがどっと沸きあがった。
『世界大会で勝ち残った上位三名には特別な激レアアイテムが運営からゲームアカウントに送られます!!
アイテムの詳細は使ってからのお楽しみ!!会場の皆さん今一度、プレイヤー達に盛大な拍手をお願いします!!』
観客達の拍手を受けながら一位の表彰台で笑顔を見せる龍児。
この瞬間が、まさに彼の人生の絶頂であり最も幸福に包まれた時間である。
幸せや平和は……いつだって、簡単に世界は崩れ去る。
そんな当たり前の事を彼が知るのは、この僅か数日後の事であった。