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07 閑話3 神様は喜ぶ



 微かな声。

 もぞりと動く気配。


 おお、愛し子が目覚めようとしている!

 愛し子が目覚めて一番に見るのは我であってほしい。

 愛し子のために、あれから色々と増やしてみた。

 色鮮やかな美しい鳥。

 愛し子の眠る揺り籠の周りは、流麗な彫刻の施された東屋で囲んだ。


 もう白いだけではない。


 テーブルには瑞々しい果物。美味しい水。

 クリスタルでできた食器類。

 もしも愛し子が着替えを希望した時ように服も準備した。

 愛し子の好みがわからないからあれこれ用意したが、一つくらいは当たるだろう。

 ふふふ。我に抜かりはない。

 万全よ。

 うむうむ、この光景、恥を忍んで愛の神に聞きに行った甲斐があるな。


「んん……」

 おお! 目を覚ますぞ!

「ん……あれ……私……」

 ぼんやりと起き上がる。

 まだ状況がよくわかっていないのか、それとも寝ぼけているのか。

 きょろきょろと見渡す姿はとても愛らしい。


 さぁ、さぁ、愛し子よ。

 我を見よ。

 我はここだぞ!

「あれ……守護神、様?」

 おおお!

 そうだ、そうだ!

 我だぞ!

 そなたをずっと見守っていた、この国の神だぞ!

 青い目に我が映っておる。

 素晴らしい!

「うむ。気分はどうだ、愛し子よ。ああ、まだ揺り籠から出るな」

 おお、危ない危ない。

 人は目が覚めたらすぐに寝所から出るのだな。

 まだ愛し子に我が力は定着していない。今揺り籠を出ると、この場所に耐えきれずに消滅してしまう。

「何か欲しいか? 水か? 果物か? 揺り籠から出なければ着替えもできるぞ」

「え、ええっと……じゃ、じゃぁお水、もらえますか?」

 水か!

 水だな!

 よしよし、準備できているぞ!

「さぁ、飲むがよい」

 金の飾りがついたクリスタルのグラスを手渡す。

 白魚のような綺麗な手がグラスを受け取り、口をつける。

 こくりと喉が動いた。

 うむ!

 飲んだぞ!

 我の用意した水は、我の力に満ちている。体内に入れれば、我の力の定着も早まるだろう。

 ふふふ、いずれ地上に戻すとしても、より強い加護を与えるために、我の力をしっかり馴染ませねばな。


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