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第2話 誕生 Bパート


「キャーーーーー!」


「誰か憲兵を呼んでこい!」


僕たちが砂浜に着くと怒声と悲鳴が飛び勝手いた。そして騒ぎの中心を見るとそこには


「ウッシッシッシ!さあ泣き叫ぶがいい人間ども!そして瘴気を生み出すがいい!」


プロレスラーのように筋骨隆々で巨大な体躯に古代ローマの兵士の鎧をきた牛頭の怪人が暴れていた。


「あいつがゾア帝国の怪人!」


「あんな異形な化物がこの世にいるなんて!」


アリアさんが恐怖で体を震わせている。


「うーん、なかなか良い瘴気をだす人間がいるじゃねーか。もっともっと瘴気を生み出せ!」


そう言って怪人がこちらに向かってくる。


「まずい!アリアさん、逃げてください!」


「あ、足が竦んでしまって、動けないんです!」


このままじゃ、アリアさんが襲われる。そう思った時には僕は怪人に向かって走っていた。


「ウオオオオオォ!」


人生で一度も出したことのない咆哮と共に怪人にプレアーブレードで切りかかる。


ガキィーン!


金属と金属が当たった甲高い音がする。ブレードは怪人の体に跳ね返された。


「ウッシッシッシ!効かないなー、次はおでの番だ!」


ドゴ!


鈍い音と共に腹部に激痛が走る。


「グフ!ゲホ、ゲホ。」


「そーらよっと。」


怪人が僕の襟元を持ってアリアさん達の方に僕を投げる。


「ゆ、勇気さん!大丈夫ですか!」


咳き込みながらなんとか返事をする。


「だ、大丈夫です。でもプレアーブレードが効かないなんて。」


「そりゃそうでしょ、使い方も聞かずに突っ込むからそういうことになる。変身しないと君はただの人間なんですよ。」


そんなこと言われてもとっさに体が動いたのだからしょうがない。


「じゃあ使い方を教えてください!」


「当たり前ですよ、そのために引きこもりの僕がわざわざお外に出てきたんだから。まずはブレードの柄の根本に付いているトリガーが下の方を向くように持つ。」


言われた通りにブレードを持ち直す。


「次に柄の左に付いている宝玉、それスイッチなんでポチっとする!」


ポチっとすると柄のすぐ上にあるスロットが開いた。


「あとはそこにチェンジロザリオをセットして......」


「何をごちゃごちゃしてやがる!」


怪人の怒声がセラムさんの声を掻き消す。


「お前を倒すための準備だよ、めちゃめちゃ固くて不味そうな牛野郎!人の話の腰を折るな!」


人の後ろに隠れて罵声を飛ばすのはやめてほしいんだけどな。


「ブモーーーー!誰が不味そうな牛だ!おでを倒すだと!たかが人間ごときに何ができる!」


「勇気くん、後はトリガーを引いて君が憧れ続けてた言葉を叫んで!ただの人間じゃないって見せつけてやれーーー!」


ロザリオをセットしてブレードを頭上に掲げてトリガーを引きながら、生前憧れ続けて、でもなることのできなかったヒーローになるための言葉を叫ぶ!


「変身!」


「チェンジロザリオロード、アーマー、アクティブ」


ブレードからガイダンス音声が鳴り、体が黒いウェットスーツに似た物に覆われる。体の正面に動きやすく、簡素化された鎧が展開され、足元から順に装着されていく。


「その姿こそがプレアーブレードの変身機構により、ただの人間の勇気くんがゾア帝国の怪人と戦うためのパワードスーツ!そしてそれを纏った君は邪悪を封印する戦士、シールセイバーとなったのだ。」


セラムさんがものすごいナレーター口調で説明してくれた。でも確かに全身から力が沸き上がるのを感じる。


「ウッシッシッシ、人間が鎧を着たくらいでおでに勝てる訳ないだろ、かかってこい!」


「ウオオオオオオオ!」


もう一度怪人に切りかかる。


「ブモッファーーー!」


今度は効いた、さっきとは違い、威力が何倍にもなっている。怪人が後ずさる。


「ハアアアアア!」


今がチャンス!連撃をしかける。


「痛えじゃねーか!ブモ!ブモ!ブモ!」


今度は向こうが腕を大振りで何度も攻撃してくる。なんとかブレードで受け止めるが、一発肩に食らってしまう。


「グッ!」


思ったよりも痛くない。この鎧、軽くて動きやすいのに、防御力もしっかりしている。


お互いに決定打に欠けるまま攻撃を続ける。


「クソ、人間ごときがおでとまともにやり合うなんてどうなってるんだ!」


怪人が頭上で手を組み合わせてハンマーのように振り下ろしてくる。


「今だ!」


スキだらけの怪人の腹にタックルする。体勢が崩れたところに渾身の一撃を叩き込む。


「ブモッハアアーーー。」


怪人が吹っ飛び転がっていく。立ち上がるが、ふらついている。


「勇気くん、今です!トリガーを引いて!」


トリガーを引く。


「チャージ、ファイナルブレイク。」


ブレードから光が迸る。その光を解き放つように怪人に向けてブレードを振り抜く!


「セイヤーーーーーーーーーー!」


ブレードから斬撃が飛び、怪人にヒットする。


「このバッファロス様が人間なんかにやられるなんて、だがおでは瘴気があれば蘇れる。次はお前をぶっ殺してやるーーーー!」


断末魔にそう叫びながらバッファロスは爆発した。


「蘇ったって何度でも僕が倒す。」


「いやいや、カッコつけてるとこ悪いんだけど、僕が何の為にプレアーブレード作ったと思ってんの!蘇らないように封印するする為でしょうが!あれ見て!」


そう言われて爆発した後を見ると、黒いもやの塊が浮かんでいた。


「あれを放置すればまた怪人が復活するんだからこれ使って。」


セラムさんが銀色のロザリオを投げてくる。変身に使った物と違ってシンプルな形の物だった。

「それをチェンジロザリオをセットしたのと反対のスロットにセットしてトリガーを引いく。」


言われてた通りにセットしてトリガーを引く。


「ブランクロザリオ、ロード、アブソープション。」


ブレードの刃の一部が変形し、タービンが現れた。タービンがすごい勢いで動きだし、黒いもやの塊が吸い込まれる。


「それがプレアーブレードに付けたゾア帝国を倒す為に僕が作った封印機構、すごいでしょ。」


めっちゃセラムさんがどや顔してる。

そうこうしている内にもやを全て吸い込み、黒く変色したロザリオがスロットから排出された。


「封印完了、そのロザリオは僕が預かって浄化しとくからパスしてー。」


できるだけキャッチしやすいように投げたつもりだったが、わたわたしながらキャッチしようとして、結局失敗した。


「もっとふんわりキャッチしやすいよう投げろー!」


僕のせいにされてるけど、今のはセラムさんの運動神経に問題があるような。


「まあいいや、こいつを浄化したらいろいろ実験してやる、ってラボが無いんだったーー!僕の聖域が!うわーん。」


ロザリオを見て喜んだかと思ったら今度は泣き出した。忙しい天使様だなあ。


「お、落ち着いてください、セラム様。何か大切な物を失われたのですね、お辛かったでしょう。」


アリアさんがセラムさんを抱き締めて慰めている。


「ひぐ、ぐす。ん?この感触は...貴様でかいなああ!」


急にセラムさんがアリアさんの胸部をぽこぽこ叩き始めた。


「ちょ、ちょっとやめてください。」


「クソーーー!聖域を失い、デカ胸に慰められる屈辱!ニ方塞がりだーーー!」


六方向は大丈夫ってことは割りと平気なんじゃ。セラムさんに力がないからあんまり痛くはなさそうだけど、そろそろ止めた方がいいな。


「セラムさん、落ち着いてください。」


首根っこを捕まえてアリアさんから引き離す。


「怒ってないで、変身の解き方教えてくださいよ。」


「それならチェンジロザリオをスロットから抜けばいいだけですよ。」


ロザリオをスロットから抜くと、変身が解けた。


「なんとか勝てたけど、結構危なかったな。もっとブレードの使い方とか戦い方を学ばない...と...」


あれ、目の前が、ぼやけて、意識が......


「ゆ、勇気さん!勇気さん!」


「あー、初めての変身の疲れと、戦闘のダメージで気絶しちゃったかー。」


こうして僕の初めての変身と戦いはなんともしまらない形で終わったのだった。


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