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国際公営鉄道(仮題)  作者: 急行 千鳥
列車強盗編
12/23

11.

お待たせしました。

急行千鳥です。

GW中は食料品買い出し以外はほとんど引きこもっており、すべてのことに対して気力が起きず、ついには気づけば一日飯を食わずじまい、なんて日もありました。

仕事が再開して、なかなか仕事に身が入りません・・・。

11.

世の中、失敗は誰にでもある。


特に、子供のころっていうのは、親の決められた線路に乗るしかない。

理由は簡単、子供は世の中を知らないからだ。

そして、後々になって、失敗だったなぁ・・・と子供のころを思ったりするのだ。


「将来、あんたを専属の技師にしてやるんだから!」

どっかのアホ面がそう言っていたな・・・。



ハッと我に返る。

あたりを見回す。

室内。豪華な内装の寝室。


「お目覚めですか?」

ベッドわきに立っているメイドがコップに水を注いでくれる。


「あ・・・」

ありがとう、と言おうとしてのどがカラカラで声が出なかった。

その代わりにむせこんで、メイドに背中をさすられる。


水をもらって、ようやく落ち着いた。


「ここは、まさかとは思うけど・・・」

「はい。覚えていらっしゃいますか。

リーメルド皇国オウミ領領主様のお館です。」

おもわず、大きなため息をついた。


そして、改めてメイドを見る。

耳長族エルフ

「あー、てことは、リリネさん?」

「覚えておいてくださって光栄です。エト坊ちゃま。」

「この年で坊ちゃまはやめてくれ・・・」



「「大変申し訳ありませんでしたぁ!!」」

俺がリリネさんに案内されて領主様にあいさつしようと案内された部屋で、土下座する二人。

列車強盗犯ちょうほういんのアリサとマークスだ。

ちなみにフルボッコになっている。一応アリサは女性なんだから手加減してやれよ・・・。


「フン!人の孫を何だと思っているんだ!!こんなことに巻き込みやがって。」

整った白髪頭と白髪カイゼル髭、シルクハットに燕尾服を着た元気すぎる人族のご老人。

「久しぶりっす。じいちゃん。」

「おお、エト!すまんなぁ、こんなことに巻き込んで。」

ルッペンナード・アイデル。元陸軍准将。

俺のじいちゃんだ。

元々貴族の出身で陸軍入隊。のちに大佐で負傷。一階級特進の上で除隊。家に戻って領地経営。そんな感じの経歴だ。


んで、このアイデルじいちゃんの長女が“俺の実家である隣国、フルカ皇国の貴族”に嫁いで生まれたのが俺だ。

ま、俺は実家が嫌いで出て行って現在に至るんだけどね。


「にしても、こういう形で孫と再開になるとはな!そういう面では諜報員れっしゃごうとうはんに感謝じゃが、一歩間違えば国際問題じゃぞ。一応エトの貴族籍ははく奪になっておらんからな。」

「親父も何を考えているんだかな。さっさと貴族籍はく奪して、すてりゃあいいものを。」

「そう言うでない。あいつもいろいろと考えておるんじゃよ。」

「ヘッ。自分が愛した妻の死に目にも間に合わず、しかも他家のパーティーで飲んだくれていたクソおやじだ。くたばればいいのに。」

「・・・」






「ああああああああ!!!!」

俺は悲鳴を上げた。

じいちゃんに案内されていった先、C55-12は素人目には何も変わらず、じいちゃんの屋敷の敷地内の線路にたたずんでいた。

「ヘソが溶けてる・・・ボイラーに穴が・・・ブレーキが焼き付いてる・・・」

「すまんのぉ。知らんかったとはいえ、巻き込んでしもうて。」

「しゅ、修理代が・・・というか、もう、これ、精密検査からしないと・・・お金・・・」

「し、心配すな!もちろん、責任もってこの二人アリサとマークスが弁償してくれる」

じいちゃんはフルボッコのまま後ろをよぼよぼついてきた二人を指しながら言った。

顔が変形しているのでよくわからないが、たぶん「え!?」という表情をしているのだろう。

まぁ、もと陸軍准将の言葉にたかが下っ端は逆らえないだろう。


「・・・じいちゃん、今回の損害、すべて保証してくれるんだよね・・・」

「お、おお!もちろんじゃ!この二人が払えないとあれば、わしが皇帝陛下に取り合おう。」

「言質、取ったよ・・・」

「お、おう!男に二言はないぞ!」


俺は運転台に乗り込み、残骸から使えそうなものと、連絡先帳を探し出す。

俺も含めた“流れの機関車”は定住地を持たない。唯一の連絡方法が“鉄道郵便”だ。

相手の鉄道事業者の登録番号をあて先に書き込んで出す郵便だ。こうすれば公営鉄道がその機関車の現在地や運行先を調べて届けてくれるのだが、移動の激しい機関車だとなかなか届かなかったり、後から出した郵便が先に届く、なんていうこともある。


「この辺を縄張りにしている知り合いは・・・」

あ!

いるじゃん。この近くにいる人。



「ったく馬鹿弟子め!今度は何に巻き込まれた!」

コーンパイプをバラストに投げつけ、足で跡形もなく揉みしだいた後、オーヌシ師匠は俺の頭に手を置いた。

「心配したぞ。馬鹿弟子め。」

「ご心配おかけしました。師匠。」


DRG03-261はゆっくりC55-12と連結した。







少しだけ書き溜めたので、今日はもう一話投稿します。

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