10.
やっぱり感想書かれるとうれしい。
10.
何もつないでいないC55-12はガチャガチャと分岐を渡り、トウレ本線を走り始めた。
「さて、やっと一息つけるわね。」
そう言って黒服は帽子とサングラスを取った。
「あ、アリサ・・・」
「お久しぶりです。エイリーン様。手荒なお出迎えになってしまい申し訳ありません。
しかし、どうしても・・・」
「私はもうリーメルド家の人間ではありません!公営鉄道のエイラです!」
「わかっておりますが、現実はそうも言っていられないのです!」
「・・・あの~、状況を説明してほしいのですが・・・」
俺は恐る恐る後ろを振り向いた。
その途端、絶句した。
「・・・耳長族」
「だから何だ。黙って運転しろ。」
再び突き付けられるショットガンに、俺は黙り込むしかなかった。
「お嬢、俺たちがいなかったら危なかったんだぜ。駅になだれ込んだ連中。あれ、俺らの手勢じゃないから。」
「マークス!?」
職員にショットガンを突き付けていた黒服がマスクを取りながら言った。
職員が名前を知っているあたり、こいつもこの職員の知り合いのようだ。
っていうか今気づいたが、この職員、今日運転した通勤列車の車掌じゃん!
パ~ポ~パ~ポ~パ~ポ~パ~ポ~
線路と並走する道路を赤と青の回転等をつけた自動車が疾走する。
鉄道公安隊のパトカーだ。
「おい、速度をあげなさい。そこのトンネルまで逃げ込んでしまえば“勝ち”だから」
言われるがままに自動給炭装置を操作し、蒸気を上げる。
だが、途中で気づいた。
トンネルの形状がおかしい。
“坑口”がトラ柄に塗装されているのだ。
俺は全力で脳内路線地図を思い出す。
「おい、あれは・・・・。」
「そう、次元トンネルよ。世界境界トンネルとか様々な名称があるけど。
とりあえずこれから、この世界とは異なる世界、私たちの国「リーメルド皇国」に行くわよ。」
zipzipzipzizpzizpzip
俺は反射的にブレーキをかけた。
直後に甲高い金属音と、ブォオーンというエンジン音。
「クライス共和国空軍!?」
「違う!識別表示を消してやがる!」
アリサと呼ばれた女の言葉を俺は否定した。
身を乗り出してあたりを確認すると、鉄道公安隊のパトカーが炎上していた。もろに銃撃を食らったらしい。
「隣国のジッリ連邦で生産されているZi-98型戦闘機だ。双発戦闘機だから航続距離は長いし輸出もされている。国旗の部分は塗りつぶしているみたいだから、どこの国かわからんぞ!」
マークスが叫ぶ。
その間にも自動給炭装置を全開にして注水弁も全力で開ける。
「もう一撃来るぞ!」
zipzipzizipzipzipzip
機関銃弾が地面に刺さる音が近づく。
パシュウゥゥゥゥ!
その瞬間、安全弁をあけて大量の蒸気を吐き出す。
カキキキン!
航空機が去った途端すぐに安全弁を閉め、全力で走行する。
「マークス!!」
職員の大声が響く。
振り返るとマークスは腹を抑えて倒れていた。
弾に当たったのだろう。
「もう一度来るぞ!」
アリサが叫んだ。
「全力で走りぬく!」
もうトンネルは目の前だ。
トラ柄の坑口が近づく。
zipzipzipzip!
機銃弾の弾着音が近づく。
直後、暗くなった。
トンネルに入ったのだ。
よかった・・・・。
だが、意識がもうろうとする。
仕方ない。全力で罐焚きしている状態のままトンネルに突っ込んだのだ。普通は、トンネル内での罐焚きは最小限になるようにするのだが、そうもいかなかった。
さて、自動給炭装置を緩め・・・
あれ・・・
腕が重い・・・。
自動給炭装置を・・・。
明るい・・・・。
トンネルを・・・抜けた・・・?
止まらないと・・・。
もうすぐ・・・駅・・・。
不定期更新は続きます。




