表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラケッティア! ~異世界ゴッドファーザー繁盛記~  作者: 実茂 譲
カラヴァルヴァ ローン・シャーク狂騒曲編
623/1369

第十二話 ラケッティア、小さな会話。

「カールのとっつぁん。ルコニ派って知ってる?」


「ああ、知っている。やつらの前で生まれたての子豚を必死に育てて、大人の豚にし、それをつぶして肉にして、焼いて、ポーク・ソテーにしてやつらの食卓に出すと、このポーク・ソテーは神さまがつくってくれたのだ、と臆面もなく言う。恩知らずどもの集まりだ。ルコニ派がどうかしたか?」


「そいつらのひとりでペレスヴェトってやつと知り合いになる機会に恵まれてね」


「それはご愁傷様。しかし、そのペレスヴェトというやつはきいたことがないな」


「若いやつだった」


「じゃあ、無理もない。やつらにまつわる事件は現役時代にいくつか取り扱ったことがある。よくあるリンチ殺人だ。神託が絡んだものでな。たいていは外国人の高利貸しが殺された。ルコニ派を起訴するのはひと苦労どころの騒ぎじゃない。宮廷にもコネのある連中だから。もちろん、わしはきれいな判事ではなかった。昔は賄賂も多少は取った。だが、わしは誰かを起訴してぶち込むことをある種の挑戦と思っていた。挑戦するなら難しいやつほど、ぶち込んだときのやりがいがある。その意味でルコニ派はいい獲物だった」


「ルコニ派から不起訴にしてくれたら、いくら払うとかって話はなかった?」


「ない。あいつらには人に感謝するという考え方が欠落している。やつらが判事の家族を人質にとって、有利な判決を引き出そうとしたという噂をきいたことがあったのでな、わしは一縷の望みに賭けて、やつらが遣わした司祭の前で、わしがいかに妻を()()()()()か、延々と語ってやったが、やつらは妻をさらわなかった。まあ、しょうがない。わしもそこまで期待はしていなかったさ」


「そいつら、ルフェレル王国の内戦に介入したいらしいんだけど」


「どうやら、ケルベロスの頭は三つになる定めから逃れられないらしいな。革命を起こした商人たちも追放された王太子派もろくでもない連中に違いないが、そこにルコニ派が入れば、さぞ楽しかろう」


「ガルムディアもきっときてるんだろうなあ」


「メダルの騎士に要注意だ。最近、メダルの騎士たちのトップがすげ変わったそうだ」


「っていうと?」


「それまではベタンコルトという貴族が仕切っていたのだが、ほら、最近、メダルの騎士たちはお前さん相手に連敗中だろう? その責任を取らされてやめさせられたらしい」


「で、今のトップは?」


「それまで名前だけだったメダルの騎士団をほんの数年でいまのような諜報暗殺機関に育て上げた、まあ、実務を担っていたやつがトップになった。名前は知らない。用心深いやつで、自分の正体は外に漏れないよう最大限努力しているとのことだ」


「恥ずかしがり屋さんだな。そういうやつほど毟りたくなるのが人の本能っちゅうかなんちゅうか――」


 ——かかってこい!


 床が震えるほどの大声。


「またグラムが哀れな借金取りをぶちのめすらしいな」


 カールのとっつぁんは、そうすれば一階の様子が分かるとでも言わんばかりに床に目を落とした。


「毎日休まずコツコツと」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ