第七十八話 AI、たったひとつの方法。
最後にこの星域にやってきた少女たちが光に包まれて消えてしまいました。
元の星に戻されたのです。
〈門〉は意識を持っていて、みんなを元の星に返したほうが自分にとって都合がいいと思ったようです。
時間は残酷で刻みをつけながら、次々とみなさんを元の星に返していきます。
ついに最初にボクを目覚めさせた人とフレイさんだけが残りました。
フレイさんは飛行形態に変化して(来栖さんはサイバーパンク・エンジェルって呼んでました)、〈門〉を攻撃します。
奇妙なことに〈門〉の見え方は人によって違うようです。
ボクにはとても美しい光の雨が宙で停止しているように見えます。
ひとつひとつがフレイアの光のようです。
フレイさんがエネルギーを使い果たして、気絶寸前で何とか帰ってくると、イスラントさんも倒れました。氷の魔法を使い過ぎて、体温が下がってしまったようです。
カルリエドさんはまだ魔法を撃ち続けています。
ギル・ローさんが刻印の属性を付加し続けていましたが、ついに倒れてしまいました。
「さっぱり効かないんよ~……」
カルリエドさんが切なげにため息をつきました。
このままいけば、〈原初の星〉とこの星域がつながって、あの水晶の力が全てを破壊するでしょう。
……。
成功するかは五分五分ですが、ひとつ手はあります。
〈門〉のところまでボクが飛んでいって、その中心でコアを暴走させれば――。
まず、みなさんのそばに常駐させていたホログラフを停止しました。
泣くところを見られてしまうかもしれませんからね。
でも、ボクが何をする気か。
来栖さんには分かってしまったようです。
だめだ、シップ!と叫んでくれました。
それで十分です。すでにみんなのまわりを転移の光が包み始めました。
既に消えてしまったボクの幻影の手をカルリエドさんが握ってくれました。
どうやったのか分からないけど、その手はとても暖かかったです。
みなが元の世界に戻ったことを確認したら、ボクは急旋回して、〈門〉へと飛んでいきます。
怖くないと言ったら、嘘になります。
でも、ボクはこのために目覚めたんだって意識もあるんです。
きらきら光る〈門〉の粒たちは引き返すよう、ボクに語りかけます。
一緒に星界を支配しようとか、みんなと一緒に帰ればいいとか、誘惑みたいなことも言ってきました。
でも、ボクは退く気はありません。
悪いですけど、一緒に宇宙の塵になってもらいます。
もうじき〈門〉の中心部です。ボクのコアはヒビが入り始めています。
出待ち幽霊さん。
あなたが〈掟の星〉ではなく、みんなと一緒の星へ飛んでいけることを祈ってます。
ギル・ローさん。
みんなはああ言うけど、あなたの刻印、すごくかっこいいですよ。
カルリエドさん。
最後にあなたがくれた温もり、まじサタンなんよ~。
ジャックさん。
自己犠牲もほどほどにしてくださいね、って、いまのボクが言える立場じゃないですね。
イスラントさん。
ジャックさんと仲良くしてくださいね。喧嘩はダメですからね。約束ですよ。
フレイさん。
あなたのことをみんないつも心配していました。ファミリーの絆って強いんですね。羨ましいです。
そして、来栖さん。
あなたのファミリーに短いあいだでも入ることができて、嬉しかったです。
さよならです。




