登場人物・獣紹介等
◇重要用語紹介
「魔法少女(略)エイプルと明日への架け橋」
本作。三人称視点で進行する。各話、アバン→Aパート→Bパートの三パート構成となっている。
剣と魔法のファンタジー世界において、防衛用魔道具と融合してしまった少女たちが"魔法少女(略)"として状態変化し、敵と戦う。そんなお話。
"魔法少女(略)"
正式名称は"魔法仕掛けの集落防衛機構"だが、少女たちと融合してしまってからは"機構"部分を"少女"へ変更した。長いため魔法少女(略)と表記する。
元々は博士が町を守るために開発した魔道具。炎、水、雷、風の四種類ある。自動で哨戒させるつもりだったが、諸事情により少女たちしか使えなくなった。
普段は宝玉をはめ込んだ首飾りの形をしており、起動すると専用の装備を展開する。意匠は外注したもの。
"黒き獣たち"
物語のメイン敵である、魔法を使う動物たち。単純に"獣"、あるいは"魔女の使い魔"と呼ばれている。
通常の動物ではありえない配色、形状をしており、寿命も本来より長め。一匹につき一種類だけだが、非常に強力な魔法を扱うことができる。
本当に脅威なのは、死骸になったあと大地を汚染し、生命の住めない場所に変えてしまうこと。汚染を防ぐ方法はまだ見つかっておらず、獣は増え続ける一方である。
◇主要登場人物
エイプル
この物語の主人公。赤茶色の髪の少女、十三歳。いつでも屈託無く笑い、周囲に元気を振りまく。父親のオリバーは町の大工であり、自警団の長も務めている。母親は行方不明。
ただの町娘のはずだが、卓越した身体能力を持ち、戦いを恐れぬ勇気を持つ。新しい移住者や裏稼業従事者、厄災と恐れられる脅威的な存在すら、笑って受け入れる度量もある。他者に対して優しく、敵である獣にも致命的な攻撃は与えず、危機の際には身を張って庇うこともある。
誰とでも仲良く接する反面、親しい者が自分のもとからいなくなることに過剰な恐怖心を抱いている。
《装備》
状態変化時は真紅の長髪、赤を基調とした衣装となる。燃え広がる炎を模したスカート、防火手袋、ブーツなど、ところどころに黒色のレースとリボンが結ばれ、金刺繍が施されている。
炎の魔法を搭載した魔道具と融合。その気になれば大抵のものを黒炭にできるが、優しい彼女は花火程度の炎撃しか使用しない。
《使用魔法》
・赤玉一号~九十九号
いわゆる火球、赤玉と言っているが色は任意。一発ずつ番号を振ることで個別に操作できる。
・大音声赤星
騒音を出すのに特化した炎魔法。
・蛍火
照明用に使う小規模の炎。
・流星三連玉
火球を派生させて連続爆破する魔法。空中戦のとき、エイプルはこれに乗って飛ぶ。
メイ
青色の髪に紫の瞳を持つ、透明感ある美少女。おそらく十三歳くらい。物静かでおとなしい性格。
孤児であったところを暗殺組織に拾われ、戦闘の才能を見出された。首都にて活動中、とある夫婦を賊から救ったことをきっかけに、養女として引き取られる。裏社会での生活が長く、一般的な感性にやや乏しいが、エイプルら友人たちと義弟ラリィのおかげで順応しつつある。
"聖泉の民"という戦闘民族の血を引いており、本能的に強者との戦いを求めてしまう。仲間たちや大切な義弟すらその対象として見ている。メイ本人はそんな自身を嫌悪している。
《装備》
踊り子のような装い。伸びた後ろ髪と青透明のスカーフが合わさり、動くたび流水のように漂う。頭部と両手足首につけられた滴形の玉飾りが印象的。胸当て、腰布は最低限の覆いしかなく、四人の中で最も露出が多い。
水の魔法を搭載した魔道具と融合。仲間のサポートをすることが多いが、総合的な戦闘能力は一番高い。
《使用魔法》
・突撃水珠
ものすごく精度の高い水鉄砲。指さした方向に水弾を飛ばす。
・水晶の箱
水、または氷でできた壁を発現する。防御や獣の捕獲に使う。
・煮こごりの青
ゼリー状の水を発現する魔法、おもに落下した仲間を受け止めるとき使用される。
・氷槍
地面から氷の槍を突き出し、中距離の敵を攻撃する。
・青の短剣
氷でできた短剣を発現。接近戦を挑む際は、両手に装備して戦う。
オーガスタ
良家出身の気品あふれる佇まいの少女。黄味がかった長髪を持つ、十三歳。自然と人目を惹きつけてしまう優美さがあり、一挙一動すべてが麗しい。父親のロレンゾは国政の最高責任者であったが、引退してすぐ夜逃げ同然の態で越してきた。
気位は高いが面倒見はよく、奴隷だったジュディを預かり、感情を取り戻させるまで導いた。生粋の令嬢でありながら闘技場観戦が趣味で、女剣闘士ラムザロッテの大ファンである。将来の夢は英雄。
人の上に立つことに自身の価値を定めており、自分が他者より劣る事実に耐えられない。上流階級出身ゆえの矜持と心の弱さを持つ。
《装備》
髪色は黄金に転じ、稲妻の形に巻き上げられる。頭には白金の冠を戴き、貴族が着るような光沢あるドレスを纏う。動きやすいよう丈は短く、右脚を黒、左脚を白のタイツブーツが覆う。
雷の魔法を搭載した魔道具と融合。誰よりも高い攻撃力とスピードが出せる。ただし、魔法出力には制限があり、魔力管理に注意して戦わねばならない。
《使用魔法》
・白金閃光脚
雷撃を纏った蹴り。一方面にのみ稲妻を放射する。
・魁る千々の雷電
全方向に高威力の雷撃を放つ攻撃魔法。周囲の敵を一掃できる。
・轟々たる白金の閃き
攻撃威力のない、ただ眩しいだけの発光魔法。目くらましや光の目印として使える。
ジュディ
第二期から登場。オーガスタに仕えた元メイドの少女。ぼさぼさの緑髪をひとつ結びにしている。十三歳よりもちょっと上かもしれない。野生の勘のみで元主人を追い、町に来た。博士の研究所に居候している。勉強は苦手だが、手先は器用。
慈善事業で引き取られた解放奴隷……ではなく、議長一家殺害を命じられた殺し屋。だが、実行前にロレンゾは職を辞し、ジュディもオーガスタのおかげで人としての感情を取り戻した。
無垢かつ純真な気質ゆえに洗脳されやすく、何かの拍子で殺し屋時代に戻る可能性がある。一家殺害の命令も保留しているに過ぎない。
《装備》
緑髪は背につくまで伸び、頭の高い位置でひとつに括られる。頭上から足先にかけて、翡翠色の羽衣を宙に漂わせている。ゆったりとした着物のような衣装。肩は大きく開いている。
風の魔法を搭載した魔道具と融合。遠距離と空中戦に特化している。状況に応じて、援護と攻撃魔法を器用に編み出す。
《使用魔法》
・風編み系
風を集める魔法。強風を吹き付けて敵を妨害、あるいは捕獲する。周囲のものを引き寄せることもできる。
・風斬り系
風による見えざる斬撃を放つ。最大風力であれば、ひと吹きで森を粉砕できる。
博士
白髪で灰目、左目のみ片眼鏡をかけた若い男性。どこにでもいそうな凡庸な顔立ちをしている。いかなる時も白衣姿。
獣の被害を防ぐために研究を続けている。獣除けの陣や魔道具の作成などを手掛けた。
その正体は、この世界に七人いる不死者のひとり。作成した機体に魂を移し替えることで不死を叶えた。
壊れたら予備と入れ替わるのはもちろん、同時に複数の機体を"博士"として活動させることもできる。ぬいぐるみの博士、通称ぬいはかせもその一体。
自分を増やせば増やすほど一体あたりの性能は落ちる。現在の博士にはろくな戦闘機能もない。
《装備・使用魔法》
・万象改変機構
博士唯一の武装。純粋な魔力の塊であり、花と歯車を混ぜたような形をしている。場に適した魔法を発現したり、少女たちを強化したりする時に用いる。
使用すれば強力な魔法を生み出せるが、一日に二つまでしか生成できない。
ぬいはかせ
第二期から登場、本作のマスコット枠。不死者"博士"がジュディの作ったぬいぐるみを残機としたもの。少女たちの勉強などの面倒を見ている。
基本的な性格は博士と同じだが、小柄なのを考慮して、声を張る、身振り手振りを交えて話す。
◇町の仲間たち
リーネ
エイプルたちの同級生、深い茶髪と丸眼鏡の少女。もとはカーレル町に住んでいたが、集落統合を機に引っ越してきた。父親のリーンベルゼはある意味有名な小説家であり、その影響か読書好き。自身も童話などを書いている。将来の夢は絵本作家。
劇中の童話は彼女が書いた作品で、町の子どもたちへ読み聞かせているもの。父親と同じで、頭の中に降りてきた風景を物語にし、書き記すという執筆スタイル。
ウェザー
シズネ町が注視する問題児、悪童三人組のリーダー。普段は明るい茶だが、強い光を受けると赤銅に転じる髪色。
生まれながらの革命児であり、集落の子どもたちを取りまとめている。時には演説によって支持を集め、集落自治に意見する少年。完璧に見えるが、ネーミングセンスだけはない。下級生クラスに通っている。ちなみに九歳。
エイプルとはずっと昔から付き合いがあり、本当の姉弟のように育った。
ラリィ
悪童三人組のひとり。短気で喧嘩っ早い性格の少年、九歳。両親がメイを養女として引き取ったため、この春から元暗殺者で美少女の血の繋がらない姉といっしょに暮らすことになった。
手のつけられない乱暴者として距離を置かれていたが、ウェザーに敗北してから彼とつるむようになる。剣の才能に恵まれ、町のちびっこ剣術大会でも連覇を重ねている。
エリュンスト
悪童三人組のひとり、参謀役の眼鏡っ子。町一番の秀才児である少年、九歳。腕っぷしは弱いが行動力があり、フィールドワークなども積極的に行う。
学校では、年上でありながら下級生クラスに通うジュディの勉強を見てやっている。
クィン
もとはカーレル町に暮らしていた孤児の少年。教会図書館に住み込んでいる。同じ境遇の仲間たちを率いるガキ大将。大人並みの体格に恵まれた十歳児。悪童三人組とは遊び場をめぐって抗争中。
冷淡で大人ぶった話し方をするが、仲間のことを誰よりも思っている。彼ら勢力は、新しい環境を拒んで教会図書館に立て籠もりがちになっており、学校にも通っていない。
リーネの書く絵本が大好き。読み聞かせの会には必ず参加する。
◇父兄のみなさま
オリバー
エイプルの父でカリスマ大工職人。町統合に関わる増改築工事を主導した。大らかで威勢のいい性格、町の人からの信頼も厚い。妻は二年間行方不明だが、無事だと固く信じ、帰りを待っている。
獣の襲撃から町を守る自警団組織の長でもあり、緊急時には団員を指揮して戦う。武器は角材。
"ハナ"
エイプルの母。赤茶色の長髪と娘によく似た明るい笑みが特徴的な女性。二年前、黒き獣たち全盛の折、商隊の護衛に同行して町を出たきり音信不通となっている。
見かけ以上の膂力を持ち、達人級の剣の腕前を持つ。
シーザーとミモザ
ラリィの両親、メイを養女として引き取った。
メイが裏社会で活動していたことを知っているが、息子とともに愛情を注ぎ、成長を温かく見守っている。
ロレンゾ
オーガスタの父。名家出身の有力者であり、暗殺の標的になったこともある。この国、最高議長の地位まで昇りつめたが、"黒き獣たち"への対策不足を追及され、心身を故障した末に政界から引退した。
かつては情熱を持ち、娘からも尊敬された政治家だったが、現在は無気力に毎日を過ごしている。
リーンベルゼ
リーネの父、世界的な小説家として名高い。少年のように好奇心旺盛で、よく娘を連れて取材旅行に出かける。
読む人を選ぶと言われるほど、悲劇的で凄惨な作品ばかり執筆する。また、未来に起こる大事件や災害を書き当ているという噂もある。
頭に降りてきた風景を物語として書き記す執筆スタイル。文才や口調なども娘に遺伝した。
◇学校関係者
イズミ
下級生担当の女性教師。おっとりとした性格であり、子ども好き。結婚、出産のため現在休業中。彼女の後任としてサマンサとオータムが雇われた。
問題ばかり起こす悪童三人組の担任であったが、彼らとは仲が良かった。例えるなら、行きつけの酒場の店主と常連客のような関係。
サマンサ
まだ経験の浅い新米女性教師。あがり癖のある、そばかす顔の若い女性。まだ教師生活に慣れず、悪童らに手を焼いている。
同僚のオータムのことが気になる。
オータム
若いながらも教師として経験豊富な男性。かつてフロストの生徒だった時期があり、その縁で町にやってきた。温厚ながらも芯の強い気質には、悪童たちも一目置いている。
優秀な教師である反面、私生活は結構ずぼら。
過去、獣に襲われて重傷を追ったことがあるが、特に後遺症もなく働いている。最近は、朝変な場所で目覚めるという、"夢遊病"のような症状に悩まされている。
フロスト
学校の校長を務める穏やかな老人。この町の町長でもある。他にも治癒術士として高い実力があり、魔法の術式に詳しい。博士の考案した獣除けの陣にも理解を示し、町を上げて全面的に協力している。
◇そのほか
ラムザロッテ
隣国ルトワヘルムにある闘技場の花形剣闘士。遠方の北国出身で、白金の髪を持つ少女である。まだ年若いながらも比類なき剣の腕を誇り、習得困難のはずの雷撃魔法を扱う。
出身国や容姿、得意魔法の類似から、数百年前に存在した伝説的英雄の再来とも言われている。
もしかして→"雷将"あるいは"白雷"ラムダディーン。関連作=マルハナの長編作品
フォークス
かつて世界に名を馳せた名狩人。つばの長い帽子と狩装束がトレードマーク。動物研究家としても知られている老人。現在は病床の身で、首都の病院に入院している。黒き獣たちに変異した動物を憂い、独自の考えで獣を救おうと動いていた。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"エフ氏"
スノウ・ポッド
白い髪に銀の瞳、体のあちこちを白い花で飾り、冬に咲く花を体現したような衣装を身につけている。三つか四つくらいの女の子の姿をしているが、正体は人間でなく、博士が世界から喚び出してしまった"おはなの妖精"である。
もといた場所に還ったはずだが、今でも博士のことを慕っている。
関連童話→「スノウ・ポッドと花の思い出」
◇黒き獣たち
影狼
狼の幻影を出す魔法を使う。群れ単位での召喚や、巨大な狼の幻影を発現するなど、操作できる幻影の種類は幅広い。
頭数多く見せるが、実体があるのはたった一匹だけ。本体は片手で抱きかかえられるほどの子犬である。
関連童話→「おおかみのかげ」
激走透過狸
白い毛皮を持ち、動くたび銀の光を波立たせる狸。通常の個体よりふくよかで丸い。周囲の空間を歪めることで、どんな隙間からでもすり抜ける魔法を使う。
自信家で冒険好きな気質をしており、非常に仲間思い。最初期に変異した古参の獣であり、動物界では有名な存在。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"銀たぬき"
鋭羽十字鴉
漆黒の羽根を持つが、胸部分のみ白色で十字を刻んだ鴉。二十羽からなる群れで行動している。全羽が疾風を出し、豪速で飛ぶ魔法を使う。群れの長はさらに速い。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"隊長からす"
茶毛綿玉兎と白毛綿玉兎
見た目はふんわりとしたもふもふのかたまり、少女が抱え込むのにちょうどいい大きさをしている。もともとは五羽の兄妹兎であり、一番下の妹兎のみアルビノで年中白毛。人懐っこく、撫でられるのが大好き。
ふかふかの毛を撫でた者を魅了し、支配する魔法を使う。そうして魅了した者たちを操って、自分たちが満足するまで撫でさせるという恐ろしい獣。
関連童話→「うさぎのきょうだい」
必眠鼯毛布
灰色の体毛に、きらきらと星のような斑点を散りばめた鼫。睡眠魔法を操り、眠らせた者に夢を見せる。
関連童話→「ねがい星」より"むささびのモーフさん"
狙撃栗鼠
黒の毛皮に赤い縞模様が走ったリス。きのみを射出する魔法を使う。
異次元に弾薬庫を持ち、頬袋に詰め込んだものを貯めておける。戦況に応じて、弾となる実を使い分けている。魔法発現時には右眼の前の時空が歪み、そこからきのみが撃ち出される。
射出したきのみはなるべく集める。食料が減るため無駄撃ちできない。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"赤縞"
隠密憑依狐
黄金の美しい毛並みをした狐。全身が金粉纏ったように輝く。他者に取り憑き、幸運を与える代わりにこっそりと食べ物を奪う。
最初から力ある者に憑りつくより、有望な子どもを成り上がらせる方を好む変わり者。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"金襴きつね"
重綿山白羊
動く丘陵を思わせる巨大な羊。毛刈りを嫌がって逃走した羊の最終形態であり、非常に好戦的な性格をしている。
形状のほとんどは空気を含んだ羊毛なので、見た目より軽い。自身からなる毛糸を操ることができる。ねじ切った大木を振り回す、枝と蔓で作った弓矢で攻撃するなど、繊細な操作が可能。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"白雲ひつじ"
極小~極大綿鼠、あるいは"ビーノ"
綿の花に似た姿をしたねずみ。分裂の魔法を使い、自身を細分化することで外敵や嫌なことから逃げてきた。完全体となった姿は、人の子どもほどの大きさがある。
悪童三人組と仲良くなり、"ビーノ"という名前をもらった。
関連童話→「ねがい星」より"わたねずみさん"
流体猫
獣として変異した直後、体が液状化してしまった猫。目に見えないほど小さな核を本体とし、それを中心に水を引き寄せて纏い、行動する。力のある個体は池ほどの水量を呼び寄せることができる。
核だけを密閉することで無力化できるが、大海から一粒の砂を捕まえるのと同じくらい難しい。
関連童話→「すばらしき銀たぬきの冒険」シリーズより"泉のねこ”
夢幻黒蝶
墨色の艶めく翅を持ち、優雅に舞い飛ぶ蝶。人間を恨み、復讐を誓っている。不安や怖れを具象化する魔法を使い、人を滅ぼすため旅を続けてきた。
未開の孤島にて繁栄した種であり、蜜を吸う器官である吻の長さが特定の花にしか合わない。
嵐纏馬
暴風を纏って疾走する馬。身体のほとんどは黒色に染まっているが、眼光と鬣、蹄の部分が青白く光を帯びている。
かつてエドラ首都を獣の襲撃から救った英雄の愛馬であり、元の名は風迅という。主人の死後、獣として変異し、各地で風害を発生させていた。
堕天者
本作のラスボス、人が変異した獣である。外見は黒の長髪を漂わせた若い男性。黒一色の武装を纏い、常に闇で自身を覆わせているため、全貌が明らかになっていない。
飲み込んだものを消滅する魔法"侵掠の黒靄"を常時発現している。また、飲み込んだ相手の力を取り込むこともできる。
意外と苦労人。専業主夫のようななにかの側面も持つ。
霧消白蛇
体を霧に変えて、餌とみなしたものを際限なく飲み込む蛇。霧を浴びた部分から消化、つまり抹消されていく。
◇地理関係
カーレル・シズネ町
本作の舞台となる、エイプルたちが住んでいる町。森林の合間に流れる川のふもとで発展した。人々は林業と農牧に携わり、慎ましく暮らしている。
元々はシズネ町という名前だったが、人の住めない土地となったカーレル町の住人を受け入れ、統合工事を経て現在の名前となった。町長は術士でもあるフロスト。
博士の考案した"獣除けの陣"という魔法術式が地盤に埋め込まれており、獣を寄せ付けないはずだが、なぜか獣たちの侵入が相次いでいる。
エドラサルム=ジ・エラ
この国。日常においては"エドラ"と略されて呼ばれる。二百年前には王室が存在していたが、議会制に切り替わった際、国名に新世が追加された。
ルトワヘルム
隣国。日常においては"ルトワ"と略される。王政の伝統が今も続く。各国から戦士を招いて技を競う、闘技場行事が世界的に有名。
遥か過去、この国に大変仲の悪い将軍と術士長がいた。いつも私闘ばかりしていたため、見かねた宰相が好きに戦える場所を提供し、ついでに見物料を徴収し出したのが、闘技場の始まりと言われている。
◇設定覚え書き
魔力
魔法を発現するために必要な力のこと。人、獣問わず万物に宿っている。その量は生きた年数に比例し、生きれば生きるほど加算されていく。
大規模魔法の発現は相当の年齢でないと不可能だが、エイプルら少女たちは博士の分を分け与えられている。
魔法
過去経験した現象を発現する術法。元になるのは空想や想像力などではなく、身をもって体感したかどうか。極端に言えば、雷に打たれなければ雷魔法は使えない。それも一度や二度だけでは習得できない。充分な経験を満たしていたとしても、魔力が足りなければ発現できない。
術式を書き、詠唱することで代わりにできるが、知識を学ぶ場所は限られている。習練を修めた魔法使いを、エドラ周辺国では"術士"と呼ぶ。
少女たちの使う魔法は博士の経験を発現するもの。獣たちの使う魔法は魔女の呪いによるもの。
不死者
この世界に七人のみ存在する、永遠の命を持つ者たち。博士もそのうちのひとり。器となる肉体は滅ぶが、全員何らかの方法で復活する。
寿命の上限がないため、永劫魔力が加算され続ける。定命の者にはできない魔法も発現できる。
このうちの不死者"魔女"が、動物たちに魔力を与え、"黒き獣たち"として変異させている。




