嫁が出来そう
戦いの前にダンジョンのみんなを呼ばなくてはいけないな
……と言っても11人しかいないが
「これからみんなには武器とスキルを支給したい」
低級スケルトン達はカタカタと顎を鳴らして喜んでいる
「そんな! よろしいのですかマスター?」
普通ダンジョンマスターは配下に余り武器やスキルは渡さないものらしい、武器は預けたモンスターが死ねばドロップアイテムとして回収されてしまうし、スキルはスキルレベルをあげるために使えるからだ
「あぁ、俺は余り配下が死ぬのを見たくないんだ」
あんなに強くて憧れた叔父さんも死んだんだ。前線に出るこいつらは特に強化してやりたい
「マ、マズター私は一生ついていきます」
「カタカタ」
みんな目から涙を流している、眼球無いけどどうなっているんだろうな?
「お主ら、辛気臭いのお」
「辛気臭いとは何だ!」
「喧嘩すんなよ、先ずは武器からだ」
武器はなるべく高ランクの配下に渡してやるつもりだ
「腐敗の毒爪と処刑人の衣は赤スケさんに」
「ありがたき幸せ」
体術が基本だし、血を操れる赤スケさんにはローブの効果はぴったりだと思う
「俺は火燐と影蛇鱗鎧を使わせてもらう」
紅に透き通る刀に、漆黒に煌めく鱗を散りばめた鎧、あと大事なものが一つ揃えば理想が完成する
「バル、お前って獣化の固有スキルを持ってたよな」
バルは獣人でも十人に一人と言われる獣化の固有スキル持ちなのだ
「はい、持ってますよ兄貴! ここで変身しますか?」
「あぁ頼む」
「いきます! 獣化狼」
ボフンと煙が湧き出るとバルの姿が人間がひとり乗れないかぐらいの大きさの茶色の毛の狼に変身する
「まだまだ成長過程なので小さいなぁ」
この大きさでまだ成体じゃないのか! これはいつか乗ることも夢じゃないかもしれない
「武器じゃないが身体強化を受け取ってほしい」
「兄貴、俺この恩は絶対2倍、いや10倍、100倍にして返すからね」
「じゃあ、後のスケルトン達にも武器をくばっていくぞ」
ソードマンとウォーリアには鋼のロングソードをメイジにはタクトを渡す
「すまない、ジャイアントと普通のスケルトンには合う武器がなかったんだ」
「カタカタ! カタカタ」
ひどく悲しそうな顔をしないで欲しい、罪悪感がすごい
「スケルトン達には戦いじゃなくて家事をやって欲しいからスキルを渡すよ、ジャイアントはまた今度な」
「カタ、カタカタ」
分かってくれたようで良かった。配下の死ぬところは見たくない俺は甘いのかもしれないな
「のう……主、我にはなにもないのかえ?」
ーーメチャクチャ泣いてる子いた!
「マスターにおねだりとはな」
「赤スケは黙っておれ」
「ぐほぉ」
見えないほど拳が赤スケの意識を一瞬で刈り取った
「あのね、ドラゴンさんには武器とかスキルはまだ必要無いかなと思ってね」
「我のこと嫌いなのじゃな、どうでも良いのじゃな」
とうとうしゃがみこんで自分の殻に入ってしまった
「ーーそんな訳ないじゃないか!」
そうだ、別にドラゴンさんのことを考えていなかった訳じゃないんだ
「そのアクセサリーを贈りたいんだけど加工する術を持ってなくてね」
「ーー結婚指輪かの!」
弾けるようにパァーと笑顔に変わる
「いやそうでは…… 」
「やっぱり主は我が嫌いなのじゃな」
さっきまで笑顔だったのにまた自分の殻に閉じこもってしまった。 地面をグリグリしない、チラチラみない!
「その……あの結婚指輪です」
「名前も欲しいのじゃ」
「考えておきます」
「大好きなのじゃ!」
胸の感触が腕に当たってる、いい匂いだし、やばい
「……でもの、本当に主が嫌ならいいんじゃよ?」
「逆だよ、俺みたいのにドラゴンさんは勿体無いくらい綺麗だからさ」
「ーーなっ、何を言ってるのじゃ我が綺麗などと」
いつもは積極的なのに褒めらると照れてしまうところとか本当に可愛いとおもう
「我がいれば勝利間違いなしじゃからの! 約束忘れたら許さないのじゃ」
「あぁ、敵には悪いがこの勝負勝たせてもらうぞ」
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早くも婚約してしまった……