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ドラゴンさんは怖い人?

 男の子が泣き止んだので、知りたいことを聞いていくか


「名前はなんて言うんだ?」


「はい、僕はバルって言います。歳は13歳です」


 年齢より体も小さく幼く見えるのはきっと獣人が成長できるだけのカロリーを父親は与えることができなかったのだろう


「辛いことを思い出させるが父親のいるところまで案内してくれるか?」


「いえ、もう大丈夫です。襲われたのはこっちです」


 父親の遺体が無造作に捨てられていたのはダンジョンからそう離れていない藪の中だった。身体中を何度も刺された後があり、手は何かをつかむような形で伸ばされている


「赤スケ穴掘るの手伝ってくれるか?」


「マスターの仰せのままに」


 スコップなど無いので手頃な石で柔らかそうな地面を掘っていく


「こんぐらいでいいか?」


 しばらく黙々と掘り続けてなんとか人ひとり入れそうな穴が出来た。バルも途中から手伝ってくれたので結構早く掘れた


「最後の別れだ……お前の父親は立派な人間だったよ」


 俺の父親は母親から死んだと聞かされていたので名前も顔も知らない……だから子供のために命を張ったこの男のこと尊敬せざるを得ない


「さようならお父さんーー今までありがとうございました」


 丁寧に土を被せていく……そして墓石の代わりに遺体の傍に落ちていたロングソードを突き刺す


「じゃあこれからの話をしようか……俺はレイル、ダンジョンマスターだ。他にもいるけど後ろの二人は配下のモンスターだ」


「よろしく頼む」


「よろしくの」


「あっはい! よろしくお願いします」


「これからバルには俺たちと一緒にダンジョンで戦ってほしい。まぁ相手は人間じゃ無いけどな」


「ダンジョンなのに人間と戦わないんですか?」


 バルだけでなく二人の頭にも疑問符が付いている


「俺はこのダンジョンを人間達と共存出来る場所にしたい」


「そんなダンジョン聞いたことありませんよ!」


「俺は人間が徒党を組めば今すぐに大抵のダンジョン

 は潰せると思っている」


「じゃあなんで今も沢山のダンジョンが存在しているのですか?」


「それはな……金だよ」


「お金ですか?」


 ダンジョンで取れる貴重な資源や魔道具は高く売れるし、それを求める人間が集まればそこは経済の発展した大都市になる。つまりダンジョンは金のなる木


「だから人間とはなるべく友好的にやっていきたい、だけどそれをよく思わないダンジョンマスターも出てくるだろう」


(……ガバノさんに言ったとき、この案に賛成してくれるだろうか? 最悪戦いになったら負ける予想しか無いが)


「つまり僕には敵対ダンジョンと戦えってことですか?」


「そうゆうことになる」


「僕、頑張って強くなりますから!」


「まぁ、まずは俺の親? であるガバノさんに話をしないといけないんだけどな」


 その時キュルキュルクゥーと可愛らしい音がする


「主よ、話はおわったかの? お腹が空いて倒れそうだぞ」


「キサマ、空気を読め!」


「まぁまぁ、モンスターも腹が減るんだな。じゃあ飯にしようか」


 メニューを開けば10DPを使って何かの肉の塊を交換する


「薪になりそうな木を集めてきてくれ」


 集めてきてもらうと魔法の使えない冒険者の必須アイテムとも言える火打石を使って火を起こす


「早速、軽く焼いて行くか」


 パチパチと火が弾けて辺りに肉の焼けるいい匂いが漂い始める


「もういいかの? 楽しみだのぉ」


 焼けた肉をみんなに渡して、自分も頬張る


「これはーーうまいな」


 噛んだ瞬間にジュワーっと肉汁が溢れてきて、噛めば噛むほど旨味を感じることができるーー肉なんて新人冒険者時代はもちろんしがない農民の時も食べられない高級品だったので、涙が出そうだ



「はむはむ、美味しいです」


 形からいって狼だろうか? 三角耳がピクピク動いていて実に触りたい


「あっあの、兄貴顔になんかついてますかね?」


 おや見つめていたのがばれてしまったようだ


「いやなんでも無いぞ、ところで兄貴って俺のことか?」


「はい! 盗賊から助けてくれて、慰めてくれて兄貴がいたらこんなのだったのかなって思ってしまって……ダメですか?」


 デヘェー、いかんいかん頬が思わず緩んでしまった。ここは兄貴らしくクールにいかなくては!



「いや構わないぞ、好きに呼んでくれ」


「はい! 兄貴」


 笑顔の破壊力がやばい、弟がいたらこんなにキュンキュンするものなのか


 ついつい頭を撫でてしまう


「ふふへへ、気持ちいです」


「ーーいかんぞ、このままでは主の寵愛を奪われてしまう」


「もともとないだろ」


「ーーふん」


「ーーぐほぉ」


 ーードーンと肉を食べていたはずの赤スケさんが空から降ってくる



「一体誰がこんなひどい事を」


 今にも死にそうなほどボロボロだ、Aランクモンスターである赤スケさんをこんな風にできるなんて、Sランク以上のモンスターか冒険者に狙われているかもしれない


「マスター……私をこんな風にしたのはーー」


「ーー手が滑ったのじゃー」


 バキボキっと骨が折れる恐ろしい音がする


「赤スケさーん!」


「主よ……きにするでないぞ?」


 ハイライトが消えた目を見た時から、なるべくドラゴンには逆らわないようにしようと心に決めた










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