3rd TARGET
【さよなら、ひとりぼっち】
「お前がここの関係者か?」
どう見ても若い、若すぎる。
「そだよ?ここの管理者のイルミナちゃんだよっ」
嘘を言っている様子はないが信じがたい。
イルミナ……この女がここの関係者。
そして、別世界を、空間を研究しているという事だ。
「お前は空間の移動も研究しているのか?」
「はい!もちろん!というか、今それをしているところです。後、一つだけ素材が足りないんですがね。」
素材が足りない、ということはそれがあればもうすぐにでも飛べるということか?
本当に空間の研究までしてたのか……。
「その素材とは?」
×××
「あれっす、あれがヴィスパーです。」
やはりあれなのか。
大きな目をした、浮かぶタコのような生き物です!って説明された時、ピンと浮かんだのがあれだったが。
案の定、あの浮いてるのか。
「問題はあいつを傷付けずに捕獲する、という事にあります。」
捕獲、か。
俺の能力上、それは容易い。
「お前、俺の実力をわかった上で話していたな。」
「そりゃあね。あなたは強さを隠せてませんよ、けど恐怖心がないでしょう。それは弱さだね。強いからこそ、力量が測れるからこそ恐怖心とはあるものです。」
説教をされた気分だが、決して嫌な気分ではなかった。
俺は能力を使い、森の外の砂でヴィスパーを覆う。
触手が数本見えるようにしといて死ぬまでそのままだ。
暴れていた触手が止まった。
どうやら死んだようだな。
「あの、あれめっちゃ見てない?」
少し離れた所に数体いたヴィスパーがこちらをジーッと見ている。
「キエェェェェエエェェェ!!!」
「な、なになに!?」
「仲間を呼んだのだろう。それを持って先に戻っておけ。お荷物にいられても困る。」
四方八方から現れるヴィスパー。
流石に数が多すぎる。
能力を最大限に使い、ヴィスパーを迎撃するが後ろを取られてしまう。
その時、大きな電気の玉がヴィスパーを弾く。
「やっぱ置いて行くことなんて出来ない。ボク、雷を操れるし。戦うよ。えーと……名前聞いてなかった。」
「名前なんてない。」
「じゃあ、ナナシさんだ。背中は任せます。ナナシさん。」
1人でやるよりは効率的なのかもな。
それにこの数、雷を操れるというのなら非常に現実的な戦いになる。
と、言いたいが。
それはあくまで俺の物差しで能力を測った場合の話だ。
前にも言ったが俺は通常の人間より魔力も多い。
この数を殺るには普通の人間の魔力では足りない。
イルミナは人間だ。キバがなく。
夜なのに身体能力が通常だ。
だからここは、俺は土で2人を覆いそのまま街への道を作る。
「逃げるぞ。」
こいつは俺が別世界へ行くためには必要不可欠。
だから助けるんだ。
「奴らは追ってこないようだ。」
「よかった……。」
緊張感が抜け、その場に座り込むイルミナ。
だが、ヴィスパーが追ってこないだけだ。
別のやつが来ている。
「見つけたぞぉ……。この野郎。」
「さっきの吸血鬼か。傷はどうした。」
「吸血鬼は頭を潰すなりしないと再生しますよ、特に今は夜だから。」
「そうか、こいつは俺だけでいい。さっきも余裕だった。先に戻れ。」
「はーい。」
今度は結構すんなり戻ってくれた。
その方が助かる、こいつはさっきとは違う。
殺しに来た目だ。
吸血鬼は右手に剣を、俺は左腕を剣に変える。
「一つ聞く、お前の能力はなんだ?」
俺の能力……か。
そういえば、説明していなかったな、ちょうどいい。
「触れていれば、俺の触れた鉱物が触れるという間接的なものでもいい。」
「それがなんだ?」
最後まで聞け、せっかちなやつなのか。
「触れた鉱物を自由自在に操る。それが俺の能力だ。」
これで3話目ですね。
自分のオリ作は途中で行き詰まるのにブラコンはそんな事がない。
愛なんですかね。
今後ともよろしくお願いします




