2nd TARGET
【別の世界へ行くために】
「う、動けねぇ。これどうにかしろ!」
「俺の質問に答えたらどうにかしてやる。まず答えろ、ここはどんな世界なんだ?」
吸血鬼は少しの間、もがいて自力で抜ける方法を探したが、諦め口を開く
「どんな?って聞かれてもな。吸血鬼?って答えりゃいいのか?」
やはりこいつは吸血鬼なのか。
そして、吸血鬼の世界ということはここにいる人間の姿をしたあれは、全て吸血鬼ということか。
「次に、あの月はああいうものなのか?それとお前らの関係は?」
「あれは吸血鬼の世界じゃ毎日だ。んで、あれがある間は、俺らの身体能力は格段に上がるってわけ。」
それでこの世界で騒ぎ立てる者はいない、そしてこいつの身体能力はそういう事だったのか。
「最後に、人間の北見翔也を知っているか?」
「人間の事なんか知らねぇよ。あ、けど、別世界の研究してる変態女なら知ってるぜ。」
別世界の研究?そいつのとこへ行けば北見翔也の事が……最低でもこの世界を抜ける事くらいは出来そうだ。
「そいつはあの集落にいるのか?」
「いいや、街だ。俺もそこから来た。その森を抜けたとこだよ。」
「ほう。助かる。では……。」
「おっ、やっとはなし……ゴファッ」
吸血鬼は目や鼻、口から血を吐きそのままグッタリとする。
俺は砂の柱を解除すると、首から下がぐしゃぐしゃに潰れているのだ。
「言っただろ、どうにかする、と。」
俺は街へと向かう。
×××
森は夜だからか、とても静かで生き物の姿もあまり見ない。
吸血鬼は夜。紅い月が見えてる時に強くなる。
もしかしたら、その時に狩られないようにするための習慣なのかもしれないな。
あまり見ないだけで少しはいる。
いや、あれは生き物なのだろうか。
大きな目玉が一つあり、球体型の体からいくつもの触手が生えている。
そして、何より浮かんでいる。
俺の情報に相違する生き物の情報すらない。
かなり珍しい姿をしている。
だが敵意はなく、ただ浮かんでこちらをじっと見ているだけのようだ。
森を抜けるとそこには街があった。
どうやら嘘は言われてなかったようだ。
街の住民を少し観察していると、みなキバが鋭いことから吸血鬼の世界だというのも事実のようだ。
とりあえず、危険のなさそうな者に話を聞こう。
俺は路地裏へと入り、人を探す。
「すまない。この辺りで別世界の研究をしている者の居場所を知らないか?」
「ああ!それなら知ってるぜぇ。あのでかい道真っ直ぐ進めばボロい工場が見えるはずだ、そこだよ。」
ボロい工場、か。
そんな所で別世界へ飛ぶ装置なんて作れるのだろうか。
「おいおい、あんたァ。話聞いて礼もなしかぁ?俺が礼儀ってのを───。」
ズバッ……ジャッ……ドスッ。
とりあえずはそこへ向かうとしよう。
俺は歩き始める。
少し進むと後ろの方で騒ぎになっている。
「お、おい!これ……血だ!」
「バラバラの死体があるじゃない!」
もう少しうまく殺すようにしなければな。
騒がれるのはあまりいい事ではない。
大通りに戻り、言われた通りに進むと、大きいが確かにすごくボロい工場が一つあった。
「これ……か。」
入口に鍵はかかってない。
普通に中に入れる状態だった。
中では作業をする音だけが響いていたが、どこで作業をしているのかはわからない。
色々作っているが、どれなのだろうか。
「ここの責任者はいるか。」
そう訪ねてみた。
そうすると音が止み、何者かが近付いて来る。
胸部が大きく膨らみ、身長は低く、顔立ちからしてまだ10代だろう。
胸部の膨らみから女であると認識。
ここの関係者か、ちょうどいい。
「えっと、そこの人かい?ボクを呼んだのは。」
前回の作品よりもいくらかパワーアップ出来ているでしょうか?
まだ2話目ですが、3話までは一気に投稿していこうと思います。




