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エピローグ

「一時はどうなるかと思ったが、なんとか無事解決できた。これもお前達のおかげだ」


 シェリル襲撃の次の日。

 メアはジェイク達を、自室へと招集させた。その中には、元襲撃者であるエイジ、セイジ、の兄弟も混ざっている。


「なあ、本当に俺達を見逃してくれるのか?」

「僕達は、あなた方にひどいことをしたのに……」


 そんなことか、とメアは笑い書類や魔機のパーツなどが散らばっている机の上を漁り始めた。しばらくし、何かを発見したメアはそれをエイジへと渡す。

 小瓶だ。

 その中には、オレンジ色の液体が入っている。


「これは?」

「シェリルがばら撒いた病原菌の特効薬だ」

「え!?」


 シェリルが、エイジ達の村にばら撒いたという魔界の病原菌。その病原菌を治すには、魔界でしか製法できない特効薬が必要だと言っていた。

 それをメアは持っていたようだ。シェリルを倒したことで、もう手に入らないと落ち込んでいたエイジ達に希望の光が。


「待っていたんだったら早く渡しなさいよ」

「おそらく、どこにしまったのか分からなかったんですよ」

「そして、今の様子だと、見つけたものをもう一度どこにやったのか見失っていた」

「部屋もせっかく片付けたのに、また散らばってるし……」

「メア様? これに懲りたら、しっかりと部屋をご自分で片付けてくださいね?」


 ジェイク達により、メアへの言葉の攻撃が降り注ぐ。

 さすがのメアも言い返せないようで、ただただ苦笑していた。


「これで、俺達の村は……」

「ああ。救える。おそらく、病原菌の核となっている奴がいるはずだ。村の中にもっとも症状が悪い奴がいたら、そいつに飲ませろ。そうすれば、自然と病原菌は消滅していく」

「兄さん……!」


 村が救える。

 その嬉しさに、セイジは涙を流す。エイジもそうだ。静かにだが、涙を流し右手にある小瓶を握り締め、何度も何度も感謝の言葉を言っていた。


「ありがとう……ありがとうよ……!」

「エイジ。よかったな。これで、お前達も無理して戦わずにすむ」

「……ああ。だが、村の皆が無事回復したら、俺はまた旅にでようと思っている」


 涙を拭い、エイジはジェイクを見詰める。

 その瞳を見て、ジェイクはなんとなく察しがついた。


「旅の途中で出会った時は、俺とまた勝負をしてくれ。あれで、決着がついただなんて俺は全然思っていないからな」

「リベンジマッチってことか。いいだろう、その時はこっちも全力でやると約束する」


 次の再会を願って、手を差し出す。

 最高の笑顔で、エイジは力強くジェイクの手を握り締めた。


「ああ。その時まで、俺はもっと強くなっている! 覚悟しろよ? 蘇った伝説さんよ!!」

「望むところだ。魔剣使い!!」


 そして、エイジ達は一足先に屋敷を後にする。

 早く、村を救いたい。

 その一心で、特効薬を手に笑顔で別れを告げた。屋敷の出入り口付近で、彼らと別れた後、ジェイクもそろそろ旅に出ようとメアに切り出す。


「今度こそ、だが。俺達は旅を再開する」

「もう引き止めても無駄ですよ! 部屋の片付けはこりごりです!」


 ユーカは、別の理由で早く旅に出たいようだ。


「寂しいこと言うなよー。マジフォンを更に改造してやっただろ?」

「うっ。そ、それに関しては、感謝しています。ですが! 今度からは、自分で片づけをしてください!」

「ふっ。その心配はいらない。家事全般はアリスがやってくれるからな」


 アリスは、またこの屋敷でメアの世話をすることにしたようだ。メイド服を完璧に着こなし、俺達のことを見送りに着てくれていた。


「ユーカ。ご安心ください。必ず、メア様に部屋の片づけをしてもらえるように頑張りますから!」

「ファイトだよ! アリス!! 寂しくなったら、マジフォンで連絡してね! 愚痴とか一杯聞いてあげるから!」


 すでに、アリスとも連絡先を交換済みのユーカ。

 ね? とマジフォンを突き出す。


「はい!」


 それに答えるよう、アリスも自分のマジフォンを突き出しこつんっと軽くぶつけ合った。


「さあ、いくわよ。早くしないと、また何かやってきそうだわ」


 先に動いたのはメアリスだった。

 特にメアやアリスには別れの言葉を告げず、そのまま足早と屋敷から離れていく。


「メアリス! 待ってよ! お別れの挨拶はしなくてもいいのー!」

「メアリスも相変わらずだね。それじゃ、またいつか!」


 メアリスを追いかけるようにユーカ、ネロの二人も屋敷から離れていく。

 残されたジェイクも、置いていかれないように二人に頭を下げ立ち去ろうと振り返った時だった。


「メアリスのこと、頼んだぞ」

「……了解だ」


 その一言には、かなりの重みがあるとジェイクは感じた。

 が、頼まれたからにはやるしかない。

 すぐユーカ達に追いついたジェイクは、メアリスを見詰める。


「なに?」


 視線に気づいたメアリスは、首を傾げる。

 そんなメアリスには、ジェイクは……頭を撫でた。


「……本当になにかしら?」

「いいや。なんでもない」

「なんでもないのに、頭を撫でるのは女性に対して失礼じゃないかしら?」


 ごもっともだ、と苦笑する。


「まあ」


 と、間を置きメアリスは空間の裂け目から出て行く寸前で。


「これからもよろしくね、ジェイク」


 今まで見たことのないほど、輝いた笑顔を向けた。ここに来たことで、力が単純に強くなっただけじゃない。メアリスの何かが変わったのかもしれない。


「あー! なに見詰め合ってるの!」

「僕も混ぜてよ。何を話してたの?」

「これからの、未来、の話しかしらね」


 未来、か……。この先、どうなっていくのか。

 先のことはわからない。でも、だからこそより旅が楽しくなる。冒険者は、どこまでも……未来に向かって歩き続ける存在だ。

というわけで、二ヵ月半の毎日連載をしてきましたが、完結です! 拙い作品であったと思いますが、ご愛読ありがとうございます!! 評価、ブックマーク等は執筆の活力となりました。


そして、次回作ですが同時に投稿です! まずは、プロローグを二つに分けて投稿します。

ちなみに、次回作は異世界学園もの……だと思います。

っと、あまり長くなるといけないので、これにて失礼します。では、次回作でまたお会いしましょう!!

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