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第四十六話

キーワードにダンジョンとあったのに、ここにきてようやく登場……。そして気づけば、後四万ちょっとで二十万文字に到達しようとしていますね。

この前、十万にいったばかりだと思っていましたが、早いものです。

累計PVも五万に到達しました。皆様、たくさんのご愛読ありがとうございます!

 カイオルに滞在して初めての早朝。ユーカ=エルクラークは、一人宿から出て新鮮な空気を吸っている。新鮮な空気には、新鮮なマナが含まれていると言われている。

 歴代の魔法使いを見習って、ユーカも久しぶりに早起きをし一人で特訓をしていた。いつもは、ジェイクやメアリスと共にやっているがいつまでも頼りっきりはダメだ。


 自分でも、やれることはやっていこう。

 昨日の闘技場チャンピオンゼインの戦い。同じ【魔機使い】なのにあの動き。どれだけの経験を積めばあんな動きができるのか。

 どれだけの特訓を積めば、あんな魔力コントロールができるのか。


 魔機使いは、他の魔法使いとは違い呪文を詠唱しなくてもいい。だからと言って、特訓をしなくてもいいということはない。

 どんなに強力なスキルがあろうとも扱いきれなければ意味がない。魔機使いはスキルを金で買うことで覚えれるため、低レベルのままの者が多い。

 ゆえに、冒険者の中には魔機使いを毛嫌いするものは少なくはないのだ。


「……ふう。今日はこれぐらいでやめておこうかな」


 新鮮な空気を吸いながらランニング。

 その中で、イメージトレーニングをしていた。宿屋から出て闘技場側へと向かい、そのまま商店街を通って南側の門へと行きぐるっと一周。

 昔から走ることは好きだった。学校行事の体育祭でも、よく一位や二位は当たり前。冒険者になってからは、こういう走りこみはやっていなかった記憶がある。

 魔物などに追われて自然と走っていた記憶は多くあるが。


「よっ。走りこみお疲れ様」

「じぇ、ジェイクさん!? わわっ!?」


 宿屋の入り口に寝ていると思っていたはずのジェイクが真っ白なタオルを持って待っていた。ユーかが驚くと同時にタオルを投げてきたので、慌ててキャッチ。


「走り込みをするなら俺も誘ってくれたらよかったのに」

「い、いえ。でも、気持ちよく眠っているのを起したら悪いかなって……」


 タオルで顔を隠すように汗を拭き取りながら、小さく答える。しかし、よく見るとジェイクは昨日手に入れた剣を握っているのが見えた。


「ま、俺は俺でこいつで昔の感覚を思い出そうと自主トレをしていたんだがな」

「なるほど。……さすがにメアリスは、いませんよね?」


 ジェイクがいるならメアリスも? と思い見渡すも……さすがにいなかった。


「ははは。あいつはぐっすり眠っているぞ」

「ですよねー。特訓とかするようなイメージないですし」

「いや、あいつも俺達の知らないところではってこともあるんじゃないか?」


 ありえる……かもしれない。メアリスも、最初からあれだけ強かったはずがない。もしかしたら、もしかしたら特訓をしてあれほど強くなったのかもしれない。

 才能というものもあったのだろうが。


「っと、立ち話もここまでにしてお前はシャワーを浴びてこいよ。俺はもう少し、素振りをしてくるから」

「は、はい! 頑張ってくださいね! お先に失礼します!」

「おう」


 そう言って、ジェイクは闘技場方面へと去って行く。


(ジェイクさんは、レベル100になっても特訓をやり続けている……もうかなり強いはずなのに。やっぱり、本当に強い人はそこから違うのかな……)


 ジェイクも最初から強かったわけじゃない。

 レベル100になった今でも、慢心せず基礎の素振りだってやり続けている。まだまだ遠い存在だが、いつか自分もあの高みに……。

 気合いを入れたユーカは、宿屋へと入っていった。




★・・・・・




「ここが、そうなのか」

「うん。ここが最近現れたダンジョンだよ」


 二日目は、カイオルの周りで少し戦闘訓練をしようと考えていたジェイク達の下へとネロが現れとある場所へと一緒に行こうと誘ってきた。

 その場所とはダンジョン。

 世界各地で、存在が確認されている不思議な空間。大昔から存在者確認されており、洞穴のような出入り口。鉄の扉のような出入り口。

 中には、泉が出入り口なダンジョンもある。ダンジョンは、どういう原理なのかはまだ解明されていないが自然に発生することがある。


 ダンジョンの中には、いくつもの罠と外とは比べ物にならないぐらいレベルの高い魔物達が待ち受けている。奥の進めば進むほど罠は多く、通路も迷路のようになり、魔物のレベルも上がる。

 しかし、奥に進む価値はある。

 なにせ、ダンジョンの奥には金銀財宝、鍛冶師も絶賛する武器防具があるのだ。いったい、誰が用意したのか。誰が何のためにダンジョンを発現させたのか……謎が多いがこれだけは言える。


「ダンジョンですか……噂には聞いていましたけど、なんだかわくわくしますね!」

「そう言えるようになったなら、あなたも冒険者として成長した証ね」


 冒険者達は、未知へとの探究心を忘れない。

 だからこそ、まだまだ情報が少ない目の前にある新しいダンジョンへとジェイク達ははいることにしたのだ。


「ちなみに、カイオルの闘技場内にもダンジョンへの入り口があるらしいよ?」

「え? 闘技場内にも!? そ、それって大丈夫なんですか?」


 ネロが言うように、闘技場内に奇妙な扉があったのをジェイクは確認していた。強面の兵士二人が、扉の前に立っていて誰でも気軽に入れるわけではないようだ。


「大丈夫だと思うよ。聞いた話だと、闘技場内で育てられている戦士達やチャンピオンがよく利用しているダンジョンらしいから」

「ゼインさんが……」


 カイオルのように街の中にダンジョンへの入り口があることがある。噂によるとダンジョン街というダンジョンの入り口が多い街があるとか。

 いったいどんなところなのだろう……と想像しながら、ジェイクは一歩踏み出す。


「立ち話もここまでにして、進むとしよう。気をつけろよ。何が待ち受けているわからないからな」

「私は大丈夫よ。むしろ心配なのは、この子じゃない?」

「わ、私だって大丈夫だよ! これでも冒険者としては成長しているほうだから!」


 そう言って、意気揚々とダンジョンへと潜入していき……十分後。


「じぇ、ジェイクさーん! は、離さないでくださいね! ぜ、絶対ですよ!!」

「ユーカ! 今引っ張りあげる。しっかり俺の腕を掴んでいろよ!」


 ユーカは、ダンジョン内にある罠のひとつに見事かかり今にも底なしの奈落へと落ちそうになっていた。ジェイクは間一髪のところでユーカの腕を掴んだことで何とか助かったものの……この下に落ちたらいったいどこへ行くんだと思うほど底が見えない。


「なんであんな古典的な罠にかかるのかしら……」


 はあっと深いため息を漏らすメアリスと隣にで苦笑いをするネロ。


「ま、まあまあ。ボタンがあれば、押したくなるって言う人間の心理を利用した罠はわかっていてもよくかかってしまうって冒険者の中で有名だし」

「うぅ……あのボタンは卑怯だよ。なんで、なんで……」


 ユーカを引き上げたジェイクは、涙目でうな垂れている彼女を励ましながら視線を前に向ける。壁にあったのはなぜか猫の肉球型のボタン。

 少し広い部屋に到着したジェイク達は、二つに分かれていた道をどっちに進もうかと相談していた時だった。

 ユーカが身を震わせながら、壁をじっと見詰めていたのを発見。それが、ボタンを押そうとしていることに気づいた時にはもう遅かった……。


「これがダンジョン……! なんて恐ろしいところ……!」

「確かに恐ろしいわね。普通、肉球のボタンなんてありえないわよ。しかも、こんな苔だらけの壁に」

「他にもこんな罠がいっぱいありそうだね。ユーカみたいにならないように気をつけよう!」

「ええ。ユーカみたいにならないように気をつけましょう」

「私みたいにって言わないでー!!」


 まだまだこれは序の口。

 この先、いったいどんな罠が待っているのか。そして、このダンジョンの奥にはなにがあるのか……。ジェイクの冒険心が大きく揺れた。

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