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第十九話

今更ですが、話数が二十突破しましたね。

まだ盛り上がりに欠けていますが、気長に連載していこうと思います!

「むむ……むむむ……!」

「まだ悩んでいるの? 早く選んで次に行きたいんだけど」


 ジェイクと別行動をしているユーカとメアリスは、魔道具店へと訪れていた。その理由は、ユーカが新しい魔法を買いたいと言ったからである。

 魔機使いは、普通の職業とは違いスキルを購入することでマジフォンを通してスキルを発動できる。

 スキルレベルも最初から最大であるため、手間もかからない。


 魔機使いには、他の職業違いレベルが上がることで覚えるスキルがないためただひたすらに己のレベルだけを上げ、スキルなどは全国の魔法具店などで購入すれば済むのだ。

 ちなみに、ユーカは魔法メインで戦っているが魔機使いとは全部の職業のスキルを扱える。ただし、そこには必ずと言って魔法攻撃力が付与されるので、人によってはそれほど威力が出ない可能性がある。


 同じ職業だとしても、レベルが上がった場合のステータスの上がり幅が違うため物理攻撃力だけが上がり魔法攻撃力があまり上がらなかった場合は、普通に剣士か槍使いなどの物理攻撃がメインの職業に変えたほうが懸命な判断と言えるだろう。

 その点、ユーカは魔法攻撃力がかなり高く、固有スキルのおかげもあって魔機使いとしては十分活躍できる。


「やっぱり、水属性がいいのかな……それとも風属性?」


 ユーカの目の前にあるのは、マジフォンに登録するための魔法を封じ込めたチップ。基本となる四属性はもちろんのこと、氷や雷なども販売されている。

 さすがに、闇属性や光属性の魔法はないようだ。

 ユーカが見ているのは、基本となる四属性で初級魔法のコーナー。その隣には、剣技や槍技などのスキルチップも置かれている。


 後ろでは、退屈そうに欠伸をしながら待っているメアリスがいる。

 この後、他の店も見て回る予定だというのにユーカはこの場から今現在十分ほど悩んでいるのだ。


「闇属性が置かれていればそれを進めるところだったのだけど。……まあ、闇属性とは選ばれし者にしか扱えない属性。そう簡単に販売などされるはずがないのだけれどね」

「うーむ。いっそ、今ある火属性の魔法を増やしたほうが……」


 メアリスの言葉が届いていないのか。

 ユーカは、本気で悩んでいる。

 っと、そこでジェイクと出会った時のことを思い出す。


(そういえば、ジェイクさんは初級魔法だとしても各属性を揃えておけばいいみたいなことを言っていたような……)

「そんなに悩むんだったら、全属性を買っちゃえばいいんじゃない?」

「全属性を……お、お金は…………うぅ、他の店で使うのを考えると二属性が限界……!」


 スキルチップは、一番安いのでも千五百ユリスもする。それを全属性を揃えようものならどれほどかかることか。

 この後も、日用品などを買ったりおいしいものを食べ歩いたりと色々使うので金は残しておきたい。


「よ、よし! 初級魔法を水と風属性を買おう!」

「あら、決定したのね。二属性でいいの?」


 水と風の初級魔法が封じ込められているスキルチップを手に取り、ユーカはうん! と力強く頷きレジへと向かっていく。

 が、明らかに一瞬だけ名残惜しそうな視線を向けていたことにメアリスは気づいていた。


「……」


 会計も終わり、魔法具店から出てから少し移動したところでユーカはさっそくマジフォンに新しい魔法を入れるため袋からスキルチップを取り出す。


「これで少しは戦いの幅が広がるよね」


 マジフォンの下部分にある差込口から一枚ずつチップを入れ魔法を登録。どういう原理なのかはわからないが、チップは魔法を登録すると自然消滅する仕組みになっているため処理をしなくてもいい。


「よし。これで終わりだね。はあ……やっぱりスキルチップは高いよねー。楽な分、お金がかかるっていうのは理解したうえで魔機使いになったんだけど」


 それでも、ジェイク達と旅をしていて魔物との戦闘も経験しレベルが上がり魔力も金も増えた。こうして他の魔法を使えるのもジェイク達のおかげ贅沢は言ってられない。

 今後も旅をすれば、また買う機会がくる。


「ほら、立ち止まっていないで次の店に行くわよ」

「あ、うん!」


 いつも通り、傘をくるっと回しているメアリスに置いていかれない様に慌てて駆けるユーカ。隣に並んだのを見計らってメアリスがこう呟く。


「どちらにしろ、あなたの固有スキルの影響であまり魔法は連発できないのだら無理して増やす必要はないと思うわ」

「……元気付けてくれてるの?」

「そうね。一緒に買い物をするパートナーが暗かったら、こっちも暗い気持ちになってしまうもの」


 隠すことなく素直に答えるメアリスに対し、ユーカは首を傾げる。


「闇が好きなのに?」

「……闇が好きだからと言って、暗い性格や表情が好きだなんて言っていないわ。それだとただの性格の悪い奴みたいじゃない。闇が好きっていうのはそういうのじゃないの。いい? 闇っていうのはね―――」


 結局、次の店に到着してもメアリスの闇に対する認識についての語りは止まらなかった。




★・・・・・




「ん~。ファルネアまんじゅうっていうのおいしかったねぇ。これだったら、ジェイクさんもきっと喜ぶよ!」

「私として、白餡じゃなくて普通の黒餡がよかったわ」

「とか言って全部平らげちゃったくせに~」


 女子二人の楽しい買い物の時間も刻々と過ぎていっていた。

 ジェイクにお土産と思い、ユーカが買ったのはこのファルネアの名物であるファルネアまんじゅう。まんじゅうの表面にはファルネアの絵が焼印として押されており、中の餡子は白餡を使っている。

 ファルネアが蘇らせた豊かな大地から作られた素材を使った名物のひとつ。

 一口サイズということもあり、手軽に食べられることも評価されている。ほどよい甘さは甘いものが苦手な者でも大丈夫とのこと。


「黒餡がよかった、と言っているだけでおいしくなかったとは言っていないわ」

「はいはい。あ、あそこに居るのって昨日の騎士さん達じゃない?」


 ふと視線を向けたところに、先日助けた騎士二人が何やら只ならぬ雰囲気で裏路地へと入っていくのをユーカとメアリスは目撃した。

 騎士達とすれ違うように男性が転がるように飛び出してくる。


「なにかあったようね」

「行ってみよう!」


 騎士達が入っていった裏路地。

 そこは太陽の日差しがあまり差し込まず、薄暗い道となっている。ユーカ達がそこに到着すると……騎士達が暴れる一人の男性の動きを拘束していた。

 ただ、それだけなら先ほどの男性と一悶着あったのかな? と思うところだ。

 しかし、拘束されている男性は明らかに普通じゃない。


「がああああっ!! アアアアアッ!!」

「こいつ……! なんて力だ……!」

「早く、拘束術をかけるんだ! このままだと振り解かれる!!」


 目が真っ赤に染まっており、猛獣のように暴れている。

 その男性は、細身で騎士達よりも力がないように見える。それなのに、二人で拘束しても振り解かされそうな勢いだ。


「め、メアリス!」

「……仕方ないわね」


 ユーカの言葉に、メアリスは闇の手を出現させ男を拘束した。


「あ、あなた方は!?」


 突然現れた闇の手に驚くも、ユーカ達のことを見た騎士達は安堵したように向き合う。


「大丈夫でしたか?」

「はい、助かりました。ご協力感謝します」


 闇の手で拘束された男はまだ暴れている。

 いったい、なにが起こったと言うのか。ユーカに不安が募る。

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