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第五十話

連載して約五ヶ月。やっと、総合評価が千ポイント越えました。

皆様、評価、ブックマーク等ありがとうございます。

これからも、拙僧の作品をよろしくお願いします!

 ジェイクの姿を元に戻すために、ネロと別行動を取っている中、ジェイク達は一足先に依頼者が住むとある大きな屋敷に訪れていた。

 今まで多くの屋敷に訪れてきたが……ここもかなりの大きさだ。とはいえ、メアの屋敷に比べたら、少し小さいだろうか。


 屋敷の門付近で、メイド達に出迎えられ客間で待機をしている。

 今だに自分の体に違和感を感じるジェイクは、少し体を動かしていた。

 鞘に剣を収めたまま、軽い素振りを数回。


「……ふう。なんだか昔を思い出すな」

「それって、ジェイクさんが冒険者成り立ての頃のことですか?」

「ああ。俺が冒険者になった頃は、これぐらいの時だったな。いや、もう少し上だったかな?」


 覚えていたはずなのに、少しあやふやだ。

 これも歳というものなのだろうか? 故郷の学校はしっかりと卒業してから冒険者になったと記憶しているから……十五歳ぐらい、か? 

 そもそも今の自分がどれくらいの年齢なのか。

 それがわからないので、はっきりとは言えない。


「それにしても……こうして見比べてみると、今のジェイクはユーカよりも小さいわね」

「あ、そう言われるとそうですね。えへへ、なんだか弟がいるみたい」


 と、隣に座っているジェイクの頭を撫で始めるユーカ。

 しかし、すぐに我に返り手を離す。


「す、すみません! つい」

「あらいいじゃない。もっと撫でてやりましょうよ」

「い、いいのかな?」


 メアリスも、悪乗りをしてジェイクを撫で始め、一度止めたユーカも遠慮しながらもまた撫で始めた。


「お前らな……」


 ため息を吐くと同時に、客間のドアが開く。


「おや? お取り込み中だったかな」


 入ってきたのは、ジェイク達を案内してくれたメイド達と一人の髭を生やした男性だった。

 少女二人が、少年を撫でているという光景を見て微笑ましく笑っている。


「あ、いえ! 大丈夫です! えっと、あなたが依頼人の?」


 ユーカだけは、離れソファーから立ち上がる。

 ジェイクも立ち上がろうとするが、メアリスに撫でられたままで立つことができない。


「ええ。私が依頼を出したアレクセイ=ウィル=アンブライだ。君達が、依頼を受けてくれた冒険者一行だね?」

「はい。私は、ユーカ=エルクラークと言います」

「メアリスよ」

「ジェイク=オルフィスだ」

「ジェイク=オルフィス? 君がかね? 私のところに入っている情報だと、青年だと聞いていたのだが……」


 それは、事情があって……と依頼内容を聞く前に軽く説明を始める。


「なるほど。あの伝説の冒険者ジェイク=オルフィスが復活したことは、いまや全世界に広まりつつあること。私も、昔は冒険者だった。こうして会えて非常に嬉しいことだ」

「いや、こんな姿ですまない」

「そんなことはない。あなたになら、安心して依頼を任せられる」


 そう言ってもらえると助かる。

 事情の説明を終え、アレクセイは依頼内容を話し始めた。


「依頼内容なのだが……実は、私の娘の護衛を頼みたいのだ。最近になって、娘を付け狙う輩が多くてね。最初は、金目当てで狙っていた者達ばかりだったのだが、今狙っている者は、明らかに他のと違う」

「違うってどういうことですか?」


 手を重ね、俯いたままアレクセイは語り続ける。


「明らかに、娘の命を狙っているように思えるのだ」

「命を? その娘さん、何か悪いことをしたのかしら」

「いや、娘はとてもいい子。少しおてんばなところがあるのだが……今日もね、私が選んだ護衛達から逃げて、街を探索しているようなのだよ」


 それは大変ですね……と苦笑した刹那。


「パパー! ただいまー!! ねえ、ちょっと聞いてよ! 実は、さっき公園で―――って、ああああッ!? あんたは!!」


 乱暴にドアが開けながら入ってきたのは、数十分前に公園で出会ったエミリアだった。

 まさか、アレクセイの娘というのは……。


「エミリア。お客様の前だぞ? もう少し静かに」

「ぱ、パパ! なんでこいつがここに!?」

「こら、こいつとは失礼だぞ。この方は、お前の護衛の依頼を受けてくださる冒険者一行なのだぞ」


 やはりそうだった。

 彼女が、アレクセイの娘。

 ジェイク達が護衛するべき者だった。




☆・・・・・




 ジェイク達と別行動をしているネロは、一人でジェイクにドリンクを売った旅の商人を探して街中を駆け回っていた。


「ここも違った……次は―――誰?」


 次へ行こうとしたところで、人の気配を感じ取ったネロは武器に手を添える。


「よう。久しぶりだな。まだ、男に戻っていなかったんだな、お前」


 物陰から出てきたのは、顔全体を隠した人物。

 見えているのは目の部分だけ。

 全身を黒い布で覆っており、腰には四本の刀を装備している。


「あれ? ローグ。どうしてこんなところに」

「ふっ。それはこっちの台詞だ。俺は、仕事でここに来ているだけだ。聞いたぞ、ネロ。お前、殺し屋を辞めたんだってな」


 彼の名はローグ。

 まだネロが男だった頃からの付き合いで、殺し屋一家の長男だ。何度か、共に仕事をしたことがある。性別が変わったことも知っている。

 ネロよりは少し年上だが、普通にタメ口を許されている。

 いつも顔を隠しており、ネロは素顔を見たことが無い。


「違うよ。辞めたんじゃなくて、一時的に殺し屋家業を休んでいるだけなんだ」

「……まあ、理由に関しては深く追求しない。言えないような理由なのだろ?」

「君になら話してもいいと思っているんだけど」

「別構わんさ。それよりも、久しぶりに会ったんだ。茶でも飲まないか?」


 ネロ自身もそうしたいところだが、申し訳なさそうに頭を下げる。


「ごめんね。今は無理なんだ。仲間がちょっと厄介なことになっちゃってて」

「厄介なこと?」

「うん。旅の商人から買ったドリンクを飲んだら体が小さくなっちゃったんだよ……」

「ほう。それで、お前はその商人を探しているということか」

「そういうこと。それに、これから依頼内容を聞きにいった仲間達と合流しなくちゃならいからね」


 ならば仕方ない、と小さく笑い背を向ける。


「俺はしばらくこの街にいる。その依頼が終わったらいつでも話しかけてくれ」

「うん。ローグも、仕事頑張ってね」

「ああ。今回の仕事は結構大きなものだからな。俺も気合いが入っているところだ」


 跳び去っていくローグの後ろ姿を見詰め、安心したような表情を取る。

 彼とはここ半年ぐらい会っていなかった。

 ローグは、マジフォンを持っているがあまり返信をしてくれない。返信をしてくれたとしても、一週間も経ってから返してくることが多い。


「大きな仕事か。どんな仕事なんだろうな。っと、メールだ。ジェイク達からかな?」


 マジフォンを開き、届いたメールを見るとそこには依頼内容を聞いたことを記されている。

 今は、依頼人の屋敷で少し厄介なことになっているらしい。


「厄介なことってなんだろ?」


 写真が一緒に添付されているようだ。

 そこに写っていたのは、とある少女に詰め寄られているジェイクの姿だった。どうやら、依頼人の娘らしくジェイクが遅くなった理由は、写真の少女が原因らしい。


「なるほどね。とりあえず、こっちはもう少し探してから行くからっと」


 メールを返信し、ネロは商人探しを再開した。

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