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第三十九話

百話以上書いてきましたが、もっと話の作りや描写がうまくなりたいと思った今日この頃……。

「はあ……はあ……はあ……なんとか逃げ切った」

「ま、まったく……あなたは……はあ……罠を作動させる才能があり過ぎ、じゃないっ?」


 そんな才能やだぁ! と渋い顔でその場に座り込むユーカ。

 あれから、大岩から逃げ切るも、続けさまに罠が作動させてしまったために体力を一気に消費してしまった。これには、メアリスも息を切らし頭を抱える。


「ユーカ。もう先に進んじゃだめだよ?」

「うぅ……しゅみましぇん……」


 涙が自然と流れてきてしまう。

 ノアにまで、心配されてしまうほどユーカはダンジョンに相性が悪いと明白になった。


「まあ、おかげさまで地図はなんだかんだ埋まってきているわね」

「ハッ!? まさか、ユーカ様はこれを狙って!?」


 驚く精魂の長である、ユーカは首を横に振り否定する。


「ま、まったく違うよ! 私は、早くこのダンジョンから脱出したいって思っているんだから!」

「意図してではなく、偶然ってことね。それはそれですごいわね……」

「うぅ……もう私をいじめないでぇ……」

「よしよし」


 どちらが年上なのかわからない。

 涙を流すユーカを、ノアは優しく包み込み頭を撫でている。

 ダンジョンに入ってどれくらい経っただろうか。早く脱出したいと思い進んでいたはずなのに、いつの間にかダンジョンを思いっきり堪能している。


「さて、そろそろ休憩は終わり。地図を見る限り、この先の角を曲がればあの精霊の部屋はもう少しのはずよ」


 少々時間がかかったが、そろそろ終わりが近づいてきたようだ。

 地図を片手に、メアリスが先頭となって移動する。

 その後ろを、ユーカとノア、精魂の長が並んで進んでいく。


「もうちょっとならさすがに罠とかないよね!」

「うむ。さすがにそこまで、罠満載ではない……と思いたいですな」

「長~。そういう不安になること言わないの!」


 まったくよ、と苦笑いをしながらも右に曲がっていく。


「……」

「ど、どうしたの? メアリス」


 曲がってすぐ立ち止まるメアリス。

 後ろからついてきていたユーカは不安な声で問う。


「まったく、あの精霊はただでは進ませないようね」

「どういうことですか? メアリス様」

「あれを見ればわかるわ」


 と、メアリスが指差す先を見詰めるユーカ達。

 そこには分厚そうな鉄の壁が、道を塞ぐように聳えていた。


「今までの行き止まりとは違って、鉄の壁……地図もこの先に続いている感じだし。ここを突破してみせろってことだよね?」

「そのようね。仕方ないわ……闇よ! 鉄を砕け!!」


 溢れ出る闇が、鉄の壁目掛け突き進む。

 分厚い鉄だろうと、所詮は鉄。

 メアリスの魔法により簡単に砕ける。そう思っていたが……闇は鉄の壁にぶつかり弾ける。傷ひとつすらついていない。


「メアリスの魔法が効いていない?」

「……ねえ、なんだか結界みたいなの張られてるよ」


 不思議に思ったノアが鉄の壁に近づき調べたところ、結界が張られていることが判明した。ただの鉄の壁だと思いきや、二重の壁で阻んでいたということだ

 ノアの言葉に、メアリスも調べた結果。

 結界は、魔法による攻撃を防ぐものらしい。


「これは、物理攻撃で突破する他無いわね。時間をかけて魔法をぶつければ破れなくは無いけど」

「物理攻撃かぁ。私達は、魔法特化だからなぁ。ここ以外の道を探す?」

「そうねぇ……ん?」


 どうしようかと悩んでいると、メアリスが頭上から何かが近づいている気配を感じた。


「皆下がって!」

「な、なにごとですか!?」


 言われるがままに下がった刹那。

 天井の一部に穴が空き、何かが落ちてきた。

 魔物? そう思ったが、すぐに正体は明らかになった。


「ふう……やっと到着だね。さて、さっそくユーカ達を―――あれ?」


 ネロだった。

 ダンジョンの外にいるはずのネロが天井から降ってきたのだ。ユーカ達を探してくれていたようで、目が合った瞬間に目を丸くし固まってしまう。


「ネロ! 丁度いいところに!!」

「え? ど、どういうこと?」


 困惑するネロに対し、メアリスは実はっと切り出し説明をする。


「なるほどね。……確かに結構分厚そうな壁だね。いけるかは自信ないけど、やるだけやってみるよ」

「よろしくお願いしますぞ、ネロ様」


 鉄の壁の前で、刀を構えるネロ。

 湯0形は、離れ成功することを願っている。

 静寂に包まれ、数秒後。


「ハッ!!」


 一閃。


「……どう、なったの?」


 何も変わっていないように見える。

 しかし、ネロが振り返り笑顔を向けた。

 次の瞬間。

 鉄の壁の中心から、綺麗に切れる。結界も、効果を失いマナとなって鉄と一緒に弾けて消えていく。

 どうやら、鉄も特殊な素材だったようだ。


「おお! すごいね、ネロ!」

「成功してよかったよ。それで、ジェイクとハージェは……いないみたいだね」

「やっぱり、ジェイク達もダンジョンに入ったのね」

「うん。その理由なんだけど……それは、移動しながら話すよ。この先が、そのダンジョンの精霊の部屋なら早く行かないとね、安全のために」


 何か深刻な雰囲気だ。

 ユーカ達は、静かに首を縦に振りネロと共に移動を始める。


「ネロ。ジェイクさん達は、どこに?」

「僕とは違ったルートからユーカ達を探しているはずだよ。ユーカ達が落ちたところとは違った道が二つあったんだ。僕は、そのうちのひとつから。長い滑り台を通ってこうして君たちと合流したってわけ」


 徐々に部屋へと近づくにつれて話し声が聞こえてくる。

 一人は、あの精霊の声だろう。

 もうひとつは……男の声だ。

 しかも、男の声も聞き覚えがある。


「この声って……もしかしてジェイクさんじゃないかな?」

「あら。どうやら、ジェイクのほうが先に辿り着いていたようね」

「でも、ハージェの声がしないよ?」

「ハージェは、ユーカ達が落ちた穴から来ているはずだから、たぶんまだ来ていないんだと思う」


 光が漏れている部屋へと入ると、そこにはダンジョンの精霊に捕まり、詰め寄られているジェイクの姿があった。


「ほう! それで!? その屋敷ではその後どうなったのだ!」

「い、いやだからそろそろ」

「パパ!!」

「ノア?」


 いち早く飛び出したのはノアだった。

 ノアを優しく抱きとめたジェイクは、本当の我が子のように頭を撫でる。


「ジェイクさん!」

「ご苦労様。その精霊の相手は、大変だったでしょ?」

「二人も無事でよかった。まあ……確かに、大変だったな。ずっと、話していたからなかなか探しにいけなくて……すまん」

「ふむ。どうやら、無事辿り着いたようだな。それに、合流おめでとう!」


 先ほどまで目を輝かせジェイクに詰め寄っていた精霊は、その場から立ち上がり大声を上げる。

 本当に苦労した。

 もっと早く辿り着けるとばかり思っていたが、思わぬ罠の連続に時間がかかった。

 精霊の言葉が、今では不思議とユーカの心に染みる。


「さて、辿り着いたけど。出口は」

「ああ。もちろん案内するとも。しかし、その前にまだ合流していない一人をここに呼ぶとしよう。ちょっと待っていてくれ」


 そう言って、精霊はどこかへと姿を消していく。


「もう一人ってことは、ハージェのことだな」

「そうですね。とりあえず、精霊さんが来るまで私達はゆっくりしましょう」

「ただいま」

「やほー。私が最後だったようだね~」

「はや!?」


 ほんの数秒で精霊は、ハージェをつれて帰ってきた。そのはずだ。一瞬にして遠くへ転移してしまうのだ。これぐらいのことは当たり前なのだろう。

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