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第三十四話

「では! さっそくだが調査の続きと行こうじゃないか!」

「まだ調査する場所があるの?」

「当たり前なのだよ。守人についての調査は大体終わったが、シルティーヌ周辺にはまだまだ我々の知らない未知に溢れている! しかも、ここに住んでいた守人達ですら知らない未知が!」


 と、精魂の一体を手にハージェは叫ぶ。

 夜は何事もなく明け、朝食を取った後これからどうするかと話し合っていたところで、ハージェがやはり調査をしようと提案したのだ。


 ちなみに調査部隊は二部隊に分かれる。

 第一部隊は、ジェイク、ネロ、ハージェの三人。

 第二部隊は、ユーカ、メアリス、ノア、精魂の長と精魂達となっている。


「ハージェ。ノアはこっちに」

「うむ。パパとして心配なのはわかるが、厳選なるくじによる決定なのだ。わかってくれたまえ、ジェイク=オルフィス」


 パパとしてではなく、純粋に心配だ。

 ユーカとメアリスがいるから安心だとは思っているが、やはりノア側に戦力を寄せたほうがいいのではと。まだ【魂喰い】という存在がノアや精魂達を狙っているのであれば、もう一人ぐらいはと。


「心配はいらないわ、ジェイク。ユーカも最初の頃よりも成長しているし、私だっているのよ? それに、精魂達もかなり邪悪な気配に敏感らしいからね。魂喰いが近づいたらいち早く気づくと思うわ」

「ま、まあそれならうん……」

「パパ。大丈夫。わたし、色々思い出したの。それでね、戦えるぐらいの力はあるって」


 精魂達と出会って、色々と忘れていた記憶を思い出したとのこと。

 確かに、守人として精魂を護っていたという話が本当ならば十分に戦えると考えていいだろう。


「……わかった。だが、危ないと思ったら俺達を呼んでくれ。すぐ駆けつける」

「わかりました。ジェイクさん達も調査頑張ってくださいね」

「そちらもちゃんと調査したまえ。ハージェさんは、半端な調査は認めないぞ!!」

「はいはい」

「それじゃ、調査開始だね」




☆・・・・・




 ジェイク達と離れ、シルティーヌ周辺の調査を開始したユーカ達は精魂達の案内により行きなれた場所から順番に全然行っていない場所へと。

 微精霊が漂う泉や、小動物達が仲良くじゃれあっている森など。

 様々な場所を調査し、今は地面や木などに瓦礫が突き刺さっているような不思議な場所に辿り着いていた。


「ここが、我々もよくわかっていない場所なのです。ただ、地面や木などに瓦礫が突き刺さっているだけで」

「うーん。こういうところって遺跡への入り口があるような気がするんだけどなぁ」

「今で言うダンジョンの入り口ね。でも、ざっと見たところそんなものはないわね」


 自分たちも冒険者として、色々なところを冒険していきた。

 ある程度のダンジョンならば、入ったことがあり攻略したことがある。とはいえ、ダンジョン攻略を本格的にやったことはない。

 ただ、依頼で入っただけ。


「苔がいっぱいだね。それに、これなんで刺さってるんだろ?」

「そうだよね。なんで木に刺さってるんだろ?」


 地面に刺さっているのであれば、建物が崩れた際に地面に落ちてと考えられる。

 いや、もしかすればこの辺りにあった建物が大きな力で吹き飛ばされ瓦礫が近くの木に刺さったのかもしれない。


「とりあえず、ここを手分けして探しましょう。離れ過ぎずにね」

「はーい」

「それじゃ、ノアちゃん私と一緒に探そうか」

「わかった!」


 ユーカとノアは二人仲良く地面に刺さっている瓦礫を調べていく。メアリスも、調査に入る。ハージェが言うにはどんな些細なことでも記録に残して持ってくること、とのことだ。

 精魂の長と数体の精魂はユーカ達に付き添っている。

 メアリスのほうに残りの精魂達が、共に調査をしていた。

 ハージェに渡されたノートにペンで記録しつつ、調査時間は過ぎていく。


「あ、ユーカ。これなんだろ?」

「なに?」


 そろそろここの調査も終えて、次に行こうかと思っていたところでノアが何かを発見したようだ。

 そこには、ひとつだけ目立った山がある。


「ただ地面が隆起しているだけだと思うけど……」

「ここに何か埋まっているとかないかな?」

「あー、なんだかありそうだね。掘り起こしてみる?」

「うん!」


 何か守人に関係するものが埋まっているかもしれない。

 ユーカとノアは、隆起している地面を掘り起こそうと触れた刹那。


 カチッ、と音を立て勝手に凹む。


「え? これって」


 ユーカは今までの経験上いやな予感がするとこの場から離れるべく立ち上がろうとした。

 しかし、遅かった。

 足元が突然、なくなり浮遊感が襲う。


「わああっ!?」

「の、ノアちゃん!?」


 ノアが落ち、それを助けようとユーカの手を掴むもそのまま落ちていく。


「お二人とも!?」


 精魂の長も、二人を追い落ちていく。

 他の精魂達も追いかけようとするも、地面が元に戻ってしまい、精魂では追うことが不可能になってしまった。


「大変! 大変!!」

「落ちちゃった! 長も、落ちちゃった!」


 精魂達は、いち早くメアリスの元へと向かい二人と一体が落ちたことを知らせに行く。


「あまりいいものは見つからないわね。そろそろ次に行こうかしら。それにしても、さっき二人の声が聞こえたような気がしたけど……」


 丁度、メアリスも調査を終えようとしていた頃だった。


「メアリス! メアリス!!」

「あら、あなた達はユーカ達のところにいた」

「ユーカ! ノア! 長老落ちた!」

「落ちた! 落ちた!!」


 落ちた? と首をかしげユーカ達が調査をしていたところへと赴く。

 が、そこには二人の姿はなくあったのは……ノートとペン。

 それを拾い上げ、どうなったのかを精魂達に問いかけるメアリス。


「ここ、落ちた!」

「ここに? ……確かに、ここだけ地面の作りが違うように思えるわね」


 精魂が言うには、隆起している地面に触れようとしたら突然自分から凹み、穴が空いた。

 そして、そのまま二人は落ちていったと。

 言われたとおり、隆起している地面に触れると地面に穴が空く。底は見えず、真っ暗だ。いったいどこまで続いているのか。


「あなた達、このことをジェイク達に知らせてきて。私は二人と長を追うわ」

「了解!」

「行って来る! メアリス、気をつけて!」

「ええ。あなた達も、気をつけてね」


 それじゃ! とメアリスは自ら穴へと落ちていく。

 まるで滑り台のように地面を滑っていき、下へ下へと。


「どこまで続くのかしら、これは。あの子達、無事だと良いんだけど」


 もしものことを考えて、クッション用の闇を用意しておく。

 落ちていくこと一分程が経ち、光が見えた。


「闇よ!」

「わあ!?」

「わわっ!?」


 クッション用に闇を発動したが、聞き覚えのある声が耳に届く。

 着地と同時に視線を向けると、尻餅をついているユーカとノアの姿があった。


「二人とも無事だったようね」

「ぶ、無事だったけど。さっきので、無事じゃなくなりそうになったよ」

「ふふ。それは悪かったわね。それで、ここは……ダンジョン、なのかしらね」


 二人の無事を確認し、メアリスは今自分達がいる場所を見渡す。


「たぶん。しかもここの壁。上にあった瓦礫と同じ、だよね?」

「……そのようね」


 自分達を囲んでいる壁は、地上にあった瓦礫と同じもの。

 土色の壁。

 ユーカ達が落ちた先は、少し広めの部屋のようだ。扉はひとつ。鉄製だが、術のようなものはかかっていない。


「兎に角、ここから脱出するわよ。落ちてきたところから戻るのは無理そうだから。他の入り口を探しにね。ジェイク達も時期に探しに着てくれると思うけど」

「探検だね! わたしちょっとわくわくしてるんだ!」


 こんな状況になっても、この笑顔。

 純粋にノアは探検がしたいと思っているのだろう。


「よし! 私達も冒険者だからね。これぐらいのピンチ、切り抜けちゃうよ!」

「張り切り過ぎないようにね」

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