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華麗なる最後

「あの馬鹿……」

 マリアがそう独り言を言っているであろうと容易に想像が僕にはついた。斉藤さんは、ゆっくりと僕に近づいていた。

「シュバルツ博士か……」

 斉藤さんは、銃を改めて構え直してこちらに歩いてきた。構え直した瞬間にカチャという独特の音が鳴った。本音を言うならば万事休すである。僕の命もここでおしまいかと思った。まだまだやりたいことは沢山あったのに。こんな所で死にたくはない。まして、ハイド博士のために死ぬなんてご免だ。僕は綺麗な女性のために死にたい。クソ……自分のミスで死ぬことになるのか。

 次の瞬間であった。いきなり、地面に倒れていた、首にヒモを巻いた不審者が立ち上がったのである。そして、その後ろには今にも襲いかかろうとしているマリアの姿が見えた。

「やめろ!」

 ハイド博士は斉藤さんに向かって叫んだ。

「僕を殺すのが望みなんだろ。彼らは関係ないはずだ」

 ハイド博士は大きな声で斉藤さんに向かって威嚇している。斉藤さんは、勢い良くハイド博士の方に振り向いた。僕が、綺麗な女性とすれ違ったときに振り向く速度と同等かそれ以上であった。

「やはり、生きていたのか。死んではいないと思っていたのだけれど。まぁ、いいわ」

 そういうと、斉藤さんは、銃をハイド博士に向けた。

「死んでちょうだい」

 斉藤さんは、ハンドガンの引き金を引き、4発ほど発砲し、3発がハイド博士の体に被弾した。そのうち一発は頭に行き、ハイド博士は即死した。

「ああ、死んでしまったのね。本当に。まぁ、わたしが殺したのだけれど」

 斉藤さんは、ハイド博士が倒れている場所に行き、膝をついて彼の亡骸を見た。

「まぁ、可愛い顔。でも、そんな目ん玉を明けたままこっちを見ないでちょうだい。気持ち悪い」

 斉藤さんは、また一発、そしてまた一発。弾が尽きるまでハイド博士に向かって打ち続けた。

「私の愛を受け止めないからこうなるのよ。思わせぶりも大概にしなさいよ」

 斉藤さんは、ハイド博士の亡骸に向かってそう言い放つと立ち上がり、僕らの方を見た。

「もう済んだから。良いわよ出てきて」



 僕らは、斉藤さんの合図によって隠れていた場所から現れた。

「依頼は完了ということでよろしいですか」

「ええ」

「あ、愛犬について危害を加えてしまったのですが大丈夫でしたか?」

「いえ、死んでしまいました。でも、良いです。それは、それですから。ハイド博士を殺せたので。

一緒に逝けます。」

 斉藤さんは満足そうな表情を浮かべた。

「なるほど。ではよろしいですか?」

「ええ。もう十分です」

 僕は、腰に隠し持っていた銃を取り出し、斉藤さんの額に押し当てた。

「さようなら」

 僕は、引き金を引き、斉藤さんはハイド博士の隣に直立不動で倒れていった。その姿はまるで、意識を失ったかのような姿であった。

「終わりましたね」

「ああ」

 マリアくんは、私の背中を叩いた。

「これは、僕の復讐だから仕方が無いさ。昔の因縁のな」

 僕は、マリアくんを背後から抱きしめた。

「今晩あたりどうだい?」

 僕は、甘い声でささやいた。

「最低」

 マリアは、僕の右足で僕の股間を蹴り上げ僕はその場にひれ伏した。

「さ、さ、最後くらい……いいじゃ……ないか」

 僕は、あまりの痛さに気を失ってしまったのだった。



 ★おしまい★




お読みいただきありがとうございました。

最終話から読んだ人は、第一話から読んで頂けたら幸いです。


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