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難しいことは良いから早くして

「はーかーせー」

 マリアが僕を呼んでいた。

「何か、見つかりましたか?」

「いや、全然。あるのは、バケツとモップとほうきだけだ」

「ふーん」

「そっちは?」

「鍵がありましたよ。二つほど」

 と、マリアは僕に自慢げに見つけた鍵を見せつけてきた。僕は、マリアに聞こえない程度の舌打ちをし、悔しさをにじみだした。マリアが見つけた鍵には、キータグがついており『通路入り口』と『講義棟』と書かれていた。

「これは、なんでしょうね?」

「鍵だろ」

「そういうこと聞いているわけじゃないですけど」

 マリアはむっとした表情をした。僕は、まだまだ悔しさを引きずっていたため、そっけない返事を繰り返したのだった。

「まぁ、いいですよ。じゃ、さっさと次のところに行きましょうか」

 マリアは、この部屋の電気を消して、暗視ゴーグルをかけ直し、僕もかけ直した。



 また、先ほどの開かずのドアの前へと僕らはやってきた。

「どっちだと思いますか。通路入り口か講義棟か」

「しらん。どうせ、どっちも開かない」

 僕は、完全にご機嫌斜めだった。

「はいはい」

 マリアは、僕には一応聞きましたよといった体であったらしく、結局二つの鍵を試し、通路入り口の鍵でその目の前の扉は開いたのだった。

 マリアはドアノブを回すことを僕に譲ってくれたため、僕は微妙な気持ちでドアノブを回した。すると、目の前には長い長い一本道が続いていた。しかし、その通路にガラスが一面に張り巡らされており、外の景色が見えるようになっていた。両サイドには、木が生い茂っており、月明かりに照らせれてなんだか情緒溢れる感じになっており、思わず暗視ゴーグルを外してその景色を見て、僕はなにか感慨深いものを感じだ。

「なに浸ってるんですか。早く行きますよ」

「はいはい」

 そろそろ、僕の活躍する場面が欲しい所ではある。

 しかし、それにしてもこの通路は面白かった。一階にあるため、通路を設置することによって通行が遮断されてしまうため、この通路の上を通れるように階段が両サイドの設置してあったのだ。変わった建築スタイルである。

「マリアくん」

「なんですか」

「この通路のガラスに向かって、ゾンビがぐわぁーと走ってきたりはしないのだろうか」

「また、変なこと言ってますね。スプラッタ系は嫌いだったんじゃないんですか」

「いや、ゾンビ系は好きなんだ。昔から。高校の頃に出来た初めての彼女との初めてのデートでも、ゾンビ映画を見たくらいだからね。いや、なんかゾンビ映画ってさぁ、生きる気力みたいなものを感じるんだよ。わかるかなぁ……君は若いからわからないか。ははは」

 と言った瞬間、僕の目の前のガラスに、カナブンが体当たりをし、小さく、ベチンという音が鳴った。僕は、腰を抜かして床に倒れた。

「もう、何度目ですか。早くしないと明るくなっちゃいますよ」

 僕の、僕の起死回生、名誉挽回の日はいつくるのだろうか。ああ、神様。早くして。


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