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―僕ができること―

曲のタイトルですがなんとなく察していただければと思います。

時代背景は2000年ですが、曲は最近のものも使う可能性有…。


 朝だ、ご主人様が僕の電源を入れてくれた。


でもなんだか今日はご主人様の顔が辛そうに見える。

 心配だよ、なんて声をかけられたらどれだけ良かった事だろう。

ご主人様が僕の頭の中をみて何の曲を流そうか考えているようだった。


 ぐすり、ぐすりとご主人様の泣いている声が響いた。

大変だ、どうしよう、ご主人様が泣いてる、僕になにができる?


 手入れのされた髪の毛も、いつものように一まとめにしていない。

いつもの後れ毛の見えるポニーテールにはせず、頭を抱えて辛そうにしている。


 僕に、なにか出来ることなにかなにかないのかな。


 静かな部屋に響く鼻をすする音。

誰かが、なにかが支えてあげなくちゃ。


 僕はご主人様がイヤホンをしているのを確認して、ある行動に出た。


「愛が勝つさーん!!!!」


 いつもより大きな声で彼の名前を呼んだ。

こっちはご主人様のことが心配でたまらない。

はやく、はやく答えて、お願いだよ。


僕にできることをするんだ。


喉が掠れてひゅうひゅうとしていたが、気にせず叫んだ。


「君の力が必要なんだ!!どうか出てきて!!!!」


 機械の僕が、こんなことをしていいのかはわからないけれど

今、つらい時、音楽で少しでも悲しみを軽減できるのなら

僕は音楽の力を借りたい、借りるしか僕にできることはない。



 だからお願い、答えて。


「あいよう」


 すこししゃがれた声の、愛が勝つさんがふわっと目の前に現れた。

僕は反応してくれたことが、自分の呼びかけに答えてくれたその行動がうれしくて

瞳に涙をためて、僕は力いっぱいお辞儀をした。


「勝手に出てきてよかったのか?」

「うん、ご主人様辛そうなんだ……

 僕ができることってこれくらいしかないから」


 愛が勝つさんの歌詞は少し難しいけれど、なんだか頼りになる曲なんだ。


「そうか、じゃあ今日はずっと傍にいてやれよ」


 僕は大きく頷いて、涙を流しながらほほ笑んだ。


 ご主人様が、ボリューム音を少し上げたのを感知して

僕がしたことを褒めてくれたような気がして

ついつい笑みが零れ出てしまう。

 なにかを察したのか、愛が勝つさんは僕の後ろに座り込み

胡坐をかいて深々と呼吸をしていた。


「必要とされるのも、悪い気はしねえなぁ」


 僕もそう思う、なんて言えなかったけど

ご主人様が、リピードモードに切り替えたときに

僕は舞い上がりそうなくらい嬉しかった。


 僕が独断でやったことを許してくれたんだ、ありがとうご主人様。


 今日は愛が勝つさんとご主人様の元気がでるよう祈り

僕も地べたに正座して、愛が勝つさんと暫く語り合った。


 どれくらい経ったのだろうか。

頭がぐらついて、視界にもやがかかる。

 ああこれはバッテリーが無い時の状態だ。

限界が近い。


 ぐらぐらするけど、外側のご主人様の顔を見た。

腫れた瞼に真っ赤なお鼻。

 けれどもう涙は流していなかった。

僕を見て、笑ったのかな、少しだけ微笑んでいるように見えた。


 今日はちょっと頑張ったから、少し休むねご主人様。

また明日、こんどはとびきりの笑顔を見せてね。


いつもそばにいてくれてありがとう。

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