-99話ー 商行ギルド 住宅ギルド 事故物件購入
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翌朝俺達は、朝ご飯を食べるとすぐに平民街に向けて、出掛けた。
「エレン~、馬車雇えば良かったんじゃない~?」
「まっ、ま~モモちゃんたら、幾ら掛ると思って居りますの?
勿体無い馬車は平民街に出れば、乗合馬車が有りますので、
其れに乗りましょう。貴族街は勿論、徒歩ですわ」
「貴族街には乗合馬車は無いの~?歩くのダリ~んですが~」
「貴族が乗合馬車に乗る訳が有りませんわ。
見栄の塊ですもの、豪華な馬車を一日貸し切りますわ。
私くし達とは違うのですよ、私くし達には、
立派な2本の足が有るのですから、
てく、てく、歩くのです。
魔法学校に入ると、中々狩りにも行けませんし、
幾らモモちゃんが、お金持で有ったとしても、
どんな出費が有るか分らないのですから、
ずっと宿に泊まっている訳にも行きませんし、
小さな、そう、下働き用の家が空いて居たら良いのですが、
出来たら持ち家に、無理であれば借家をと思って居るのですけれど、
飛竜とグリフォンの素材が、高く売れたら良いのですけれど、
其れと、香辛料の値段が高いと良いですわね、」
「えっ、そんなに値段差が有るの?」
「はい、モンスターに付いては、少々量が重なって居ても、
希少価値は中々崩れませんね、
素材の痛みにより値段が変わりますわ、
香辛料に付いては、
帝都内の物量によって、大きく変わります。
在庫が沢山有れば、当然買い叩かれますわ、運頼みですね、
まあ、お任せなさいな、こう見えて私くし強運ですから」
「・・・・・・・・強運なんだ~・・・・」
「な、何ですの~?」
「だってさ~山越えしようと思ったら、飛竜に襲われるし~
ザムド台地じゃ、グリフォンには襲われるし~
ルート決めたのエレンだよ~」
「ふ、ふんだ!だから私くしが倒したじゃ無い、
モモちゃん、震えてうんちとおしっこ漏らしてたじゃ無い、
其れに、もっと早くリリー様が、
竜骨魔剣渡して居てくれたら、
もっと楽に倒せたんだからね!
怖かったんですのよ、本当に夢に出る位、
私くし10回は死にましたわ」
「『・・・・御免なさい・・・・」』
「分かれば宜しいですわ、
私くしも竜骨魔剣頂きましたし、チャラですわ」
「『は~い」』
リリーも、一緒に返事して居るのだが、
リリーの声は、エレンには聞えない
でも、存在は知って居るのだが、
俺達は貴族街を出ると、乗合馬車の停留所に行って、
「御者さん此の馬車、商人ギルドに寄るかしら?」
「ああ、大道り沿いに走るからね」
「一人幾らかしら」
「一人銅貨5枚だよ」
俺は、銅貨10枚渡すと馬車に乗り込んだ。
まあ幌無しの荷馬車だな、暫くすると、
「ほんじゃ、出発するぞ~」
と御者が声を上げると、数人の人が走ってやって来て、
御者にお金を渡すと、馬車に乗り込んで来た。
御者は客が乗り終えるのを待って、馬車を走り出させた。
馬車はゆっくりと走り出した。
普通の街位なら徒歩で向かうのだが、
帝都はでかく昨日貴族街に行くだけでも、
何時間も掛かったのだ。
ヨシュア国王の王都の何倍も有るんじゃ無いだろうか?
何でも此処ルグレス帝国、帝都は100万都市らしい、
らしいと言うのは、
ちゃんと帝都の人数を数えた事が無いらしいのだ。
戸籍は有るみたいだが、税金徴収出来ないしね、
地方から出稼ぎに来ている者や、
冒険者、傭兵等が、溢れて居るのだと、
大陸一の大都市に一攫千金の夢を見て、
色んな人が集って来るのだそうだ。
まあ、都会に夢を見ると言うのは、
何処の世界でも同じらしい。
ゆっくりと街の景色が流れて行く、
其処彼処で市が立ちとても賑やかだ。
街の人々の顔も活気に溢れて居る。
アレス王国の王都の人々とは大違いだ。
まあ、アレス王国は滅びたのだが、
暫く走ると、馬車が止まって、
「中心街だよ~冒険者ギルドと商人ギルド、住宅ギルドに、
役所と、治安騎士隊に用の有る人は、此処で降りな~」
「「は~い」」
俺達も一緒に降りると、商人ギルドに向かった。
「流石に大陸一の街だね~どの建物もデカいわ~
あれ、冒険者ギルドだよね~5階建てじゃん」
「此処は、南大通りですからね~まだ小さいですわよ~
中央大通りにギルド総本部が有りますけれど、
規模が違いますわよ~」
「そうでした~ルグレス帝国に、
ギルドの総本部が有るんでした~」
「モモちゃん、では商業ギルドに行きますわよ」
「は~い」
エレンは、颯爽と商業ギルドに入ると、
真っ直ぐにカウンターに行き、受付のお姉さんに、
「あの~すいません、
香辛料の時価は如何なっているかしら?」
「あ~はい、申し訳御座いません。実は~
先日、女帝陛下の飛空艇が交易から戻られまして、
魔法の袋もお持ちなのでしょう、
大量の香辛料を持ち帰られまして、
香辛料の価格が、大暴落して居りまして・・・・」
と、大変申し訳なさそうに話された。
エレンは、暫くボー然と立ち竦んで、
目をうつろにさせ乍ら、よろよろと、俺の横に来ると、
「あ、エレン気を落とさずにね香辛料の在庫は、
俺が買って置いて、値段の良い時に売って儲けるからね、その、
あんまり気を落とさない様にね」
「・・・・そ、そうですわね、って、
王金貨2枚分の香辛料がありますのよ~
モモちゃんはそんな大金持って居ますの~?」
「王金貨って、1億位だったよね、
うん、大丈夫だから、ねっ安心して」
「もしかして、モモちゃんって、御曹司~?」
「まっ、そんな所~」
お宝ザクザク持ってるって言えないよね~
「其れでは、香辛料は、
宿に帰ってからゆっくり相談しましょう。
つぎ、素材売りに行きますわよ~冒険者ギルドに~」
「えっ、此処じゃダメなの~?」
「ケチが付きましたわ~其れに素材に付いては、
商業ギルドは信用出来ません。
冒険者ギルドも信用出来ませんが、
素材の専門家ですわ、まだマシですわ」
「ちょっとお待ち下さい。
商業ギルドが信用出来無いと言うのは、
聞き捨て成りません。其れに、
私モンスターの素材の専門です。
是非見せて下さい、お願いします」
「前に騙されたのよ、北街の商業ギルドに持ち込んだ素材が、
後で教えて貰ったのですけれど、
冒険者ギルドの3分の1の値段で、買い叩かれましたの、
それ以来素材は、冒険者ギルドと決めて居りますのよ!」
「北街ですか、その様な者が居た事は私も聞いて居りますが、
既に露見して、其の者は捕まって、
鉱山送りに成って居ります。
此処は、是非私を信用して下さい。
悪い様には致しません」
「良いでしょう、分かりましたわ、
モモちゃん出して下さる?」
「出せって、エレン、こんな所で出したら、
此処、潰れちゃうよ~」
「えっ!そんな大物なのですか?」
「ええ、飛竜とグリフォンですわ」
「Aランクモンスターじゃ無いですか~此方においで下さい」
俺達は裏の解体所に連れて行かれた。
解体所は簡素だが、12メーター程ある飛竜を解体するには、
丁度良い広さであった。俺の在庫の成龍は無理だけど~
「おやじさ~ん、飛竜なの~ちょっと見て呉れる~?」
「おう、竜か珍しいな~其処の嬢ちゃんと、ボウズか?
まあ、出して見な」
「あい」
と、その場に飛竜とグリフォンを出すと、
おっさんの目の色が変わり、
「で、でかいな、ワイバーン?いや、飛竜で間違い無いな、
こんな大物、何年ぶりだ~其れに傷が少ない。
羽根を切って、地上に落として腹に一突き、か?
普通の剣じゃ無理だな、魔法剣か、
其れにしてもこんなデカい奴、
どんな強力な魔法なんだ?
其れに、此のグリフォン5メートルは有るんじゃねえか?
こっちも一撃か~凄ぇえ魔法剣だなおい、
良く死ななかったな~
普通、死ぬぞお前ら、剣、見せて呉れないか?」
「企業秘密ですわ。で、傷の方は如何ですの?」
「うむ、鉄剣での擦り傷があちこちに有るが問題ね~
磨いた時に綺麗に落ちる程度だ。
其れに何より鮮度だ!たった今死んだみたいに新鮮だ。
奇麗に血抜きもしてあるな、
如何したらこんなに新鮮な状態で持って来れるんだ?
まあ良い。値段は期待して居て呉れ、
恐らく、最高の値段が出せるはずだ。
って、全部、買取りで、良いんだな?」
「ふむ、良いですわ本当に何度も死に掛けて、
倒した獲物ですの、
下手な値段は付けない方が良いですわよ?」
「勿論わかっているさ!
さて、久し振りの大仕事だぜ!後は任せな!
値段に付いては、今日中に割り出しておくから、
明日もう一度来てくれ」
「承知致しましたわ」
「では、事務所に戻りましょう」
受付に戻ると、
「今、香辛料が大量に有りますので、
美味しいお肉が引っ張りだこです。
其処に最上級クラスの竜の肉と成れば、
凄い事に成ります。
お値段は、充分期待に添えると思いますので、
期待して下さいね。
此れが引換証に成りますので、
無くさない様にして下さいね。
今日中に各部位、素材のお値段を割り出して置きますので、
明日またお越しくださいね」
「分かりましたわ、では、宜しくお願いしますわ」
と、次に俺達は、住宅ギルドへ入って行き、
「エレン、次は俺が交渉するわ」
「モモちゃん、住宅の交渉が出来ますの?」
「ん、住宅だけは、得意かな?安く買うのが~」
「ええ~本当~?まあ、そう言うのならお任せしますわ」
「ああ、任された」
俺達がカウンターに行くと、背の低いがっちりした体格の、
ボインのお姉さん?が、
「いらっしゃいませ、今日はどの様な御用で御座いますか?」
「はい、魔法学校の近くに家を探して居るのですが、
家の大きさは、まあ如何でも良いです。
庭の広い家で、まあ出来たら、築は新しい物が良いですね、
資金も少ないので、有りませんかね?
・・・・・・・・事故物件・・・・」
「え~っと少しお待ちくださいね」
と、ボインのお姉さんは棚に整理された箱を
ごそごそと探し始めた。
「ええ~っと、ああ、此れ此れ、有りました~
帝都最悪の物件集
ボインのお姉さんはカウンターに戻って来ると、
「え~っと此方のお屋敷ですね、
築50年、魔法学校迄徒歩15分で、
大変便利に成って居ります。
更に、敷地は元伯爵家だけあって広く、
石作りの壁に囲まれて居て、見張り櫓も有ります。
50年経って居りますので、壁一面に蔦が張り、
屋敷も雑草に覆われて居りますね、
広さはちょっとした学校位は有りますよ、
そして、気に成るお値段ですが・・・・」
「はい、お値段は?」
「マイナス金貨200枚で~す~」
「わ~い、金貨200枚貰えるんだ~」
「敷地に入ったら死にますよ貴方」
「えっ、昼間でも?」
「はい、瘴気が強すぎて今迄に何人もの冒険者や、神官が向かいましたが、
全て敷地に入るや否や即死しました。
その遺体の回収も出来ません。悪魔の館と呼ばれて居ます。
冒険者ギルドからも、金貨100枚の依頼が焦げ付いて居ます。
住宅ギルドにも苦情殺到で、困り果てて居ります。
まだ、死霊に成っての年月が若いので、元気な死霊さんなのです」
「何で又、死霊が?権力争い?」
「いいえ、何でも先々代の皇帝の時に、魔法学校の美女を争って、
帝国の2大伯爵家のバカ息子が戦って、
負けた方が皆殺しにされたのだとか」
「ばかばかし~!親は何やってたんだよ~」
「はあ~親御さんも犬猿の仲だったそうですよ、
当時の皇帝の逆鱗に触れて、
勝った方の伯爵家も御取り潰しに成ったとか」
「まあ、バカらしいのは良く分りました。
其の物件買い取れせて頂きますね」
「はい、坊や良いの?死にますよ?えっ良い、
ではこちらの書類にサインを」
「・・・・ちょっと待った~!!
モモちゃんあんた何考えて居るの?バカなの?死ぬの?
お化け屋敷なんて、
私くし無理ですからね怖いの嫌ですからね~」
「あっ、エレンお化け怖いんだ~」
「ええ、怖いですわ何か文句御座いまして」
「う~ん、俺、アンデットには強いんだよね~」
「嘘~!お漏らしモモちゃんが~?」
俺は書類にサインし乍ら
「そうだよ~何でだか、アンデットに負けた事無いんだよね~」
「本当ですの~?」
「所でボインのお姉さん、此の後どうしたら良いの?」
「はい、私も一緒に冒険者ギルドに行きますね、
其れから、馬車で現地まで送りますので、
屋敷に入って下さいね、
死ぬのを確認・・・・悪霊を退治して、
生きて戻って来るのを確認した後に、
冒険者ギルドからと、住宅ギルドから、報奨金を出しますので、
其れでは、冒険者ギルドへ参りましょうか」
「は~い」
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