-97話ー 出発
アンの従者と言う、残念な魔導士のケイトと言う、
ジュリアナなお姉さんに、
ご飯を食べさせた所、其れは其れは、
良く食べ過ぎて、動けなく成って仕舞った。
「所でモモタロウさん、
如何してこんな海岸に住んで居ますの?
シーワームで危険な地域と聞いて居りますけれど」
「あ~其れね~実は、死に掛けの女の子拾っちゃってね~
動かせる様に成る迄10日程掛かるんだよね~」
「ま~人命救助ですか~モモタロウさん、
まだ少年なのに、良い人なのですね~
普通なら自分可愛さに見捨てても良い場面ですのに」
「いや、其れは人としてダメでしょう、夢に出そうだし」
と、捨てようとした人モモタロウ
「確かにでも、この世の中は大変厳しいですから、
モモタロウさんが危険な時には、
先ずはご自分の命を優先させなさい、良いですね」
「心配してくれて、有難う」
「美味しいご飯のお礼です。そうそう、
此れを渡しておきますね」
ジュリアナちゃんは魔法の袋に仕舞って置いた、
雑納を取り出すと、中から、
金メダルみたいなコインを取り出すと、俺に手渡して、
「私の家の家紋を入れたメダルです。帝国内であれば、
大抵、私の家の威光が通用しますので、
困った時に使って下さい」
「威光?ジュリアナちゃん、そんなに偉いの?」
「いえ、別に私が偉い訳では無いですよ、
私の実家ですね、貴族に絡まれたら、
其のメダルを見せなさい。逃げて行きますから、
商人に見せたら、色々と相談に乗ってくれますね、
私の家の関係者であると言う、証に成ります。
要は、ウィンスレット家の庇護下に有ると言う証ですね、
逆に何かすれば、
ウィンスレット家にケンカを売った事に成りますね、
他にも色々特典が、付きますよ、
私が居る所では直ぐに面会出来るし、
貴族しか利用出来ない施設も使えます。
貴族御用達の高級宿泊施設やレストラン、
貴族街に住めたりとね」
「凄げ~な、印籠みたい?
ブラックカード?ジュリアナちゃんの実家、
そんなに偉いの?」
「お婿に来ます?歓迎しますよ」
「ん~要らない~」
「でしょうね、モモタロウさんなら実力で、
成り上がれるでしょうし、
まああれです。ウィンスレット家が後ろ盾になるから、
仲良くしてねって言う証ですね」
「ふ~ん、メダルの家紋、魔女の帽子なんだ。
宅急便じゃ無いんだね~」
「宅急便?はい、魔法使いの国ですからね」
「でも見ず知らずの男を、
そんなに優遇しちゃって良いの?」
「何を言ってますの?
この魔法の袋の方が、良いのって感じですよ、
私とウィンスレット家を差し出しても足らない位ですわ」
「へぇ~凄いね」
「へぇ~凄いね、じゃ有りません!
此の魔法の袋、杖?扇子?真珠。
間違い無く国宝に指定されます。
私も帰ったら、直ぐにお父様とお爺様に、
相談し無いと、きっと帝国議会が紛糾してしまいますわ!」
「ふぅ~ん、大変だね~」
「ふぅ~ん、大変だね~じゃあ有りません。全くも~
良いですか、此の事は他の人に言ってはいけませんよ、
良い様に利用されて消されるのが落ちですから、
他人事じゃ有りませんからね!」
「は~い、分かりました~」
「う~不安~」
「まあ、バレたら逃げるから良いですよ~」
「私も、そうならない様に、努力はしますけれど」
「宜しく~」
「もう、本当に軽いんですから~
まあ、でも、良いですわ。
ウィンスレット家は、
モモタロウさんを全力で、バックアップしますね」
「は~い、ありがと~」
「・・・・・・・・心配~・・・・」
「所で、動けそう?」
「そうですねお話して居たら、こなれて来ました」
「んじゃ、魔力充填するから手を出して」
「はい」
ジュリアナちゃんと、両手を繋ぐと、
「あら、ぽっ」
「ぽっ、て何?」
「だって、少年と言っても、
殿方と手を繋ぐなんて、は・じ・め・て」
「ふぅ~ん、ダンスとかし無いの?」
「だって眼帯と、包帯だらけでしたから、
皆、逃げて行くんですもの」
「そうでした~ジュリアナちゃん、中二病でした~」
「中二病?」
「まあ、良いから良いから、え~っと魔力を入れるから~」
「いやん、変な物は入れないで下さいね、
入れるのなら優しくねっ、ぽっ」
「う~ん・・魔力が入り出したら体中に、ぐるぐると回す感じでね」
「ぐるぐる、回すんですか~
壊れそうなんですけど~ああ~堪忍して~
初めてなの~私、初めてなの~
・・・・優しくしてね・・・・ぽっ」
「ぽっ、じゃね~よ~妄想は止めて下さい。
人聞き悪いですから~」
「・・・・・・・・御免なさい・・・・」
いい加減前に進まないので、
俺は魔力を少しずつ流し始めた。
するとジュリアナちゃんの体が、
薄ぼんやりと輝き始めて、
徐々に流す魔力量を、増やして行った。
「あぁぁぁぁぁ・・・・
入って来ます。熱いのが、あぁ・・・・
凄い、凄いです。あぁ・・・・
大きく成って、私の中で・・・・あぁ・・
回って居ます~凄く大きいのが~あぁ・・・・
とろけそう・・・・
す、凄いです~私の中で~大きくて、
熱いのが~ぐるぐる回って~
あぁぁぁぁ・・・・とろけそうです~一杯、
一杯出して下さい~あぁぁ~
壊れる~壊れてしまいます~でも、
良い、良いです~あぁぁぁ・・・・いっくぅ~」
「って、言い方~!!」
「・・・・・・・・良かったわ・・
此れで、私は貴方の女ね・・・・ぽっ」
「ぽっ、じゃ~ね~魔力も充填したし、
誤解を招きそうだから、
とっとと、キャンプに帰って下さい~!」
「・・・・す、捨てるのね、
私を散々もて遊んで・・・・酷い人・・・・
でも私は負けない、
何時か貴方を見返して見せるわ!」
「・・・・・・・・」
俺は、ジュリアナちゃんの首根っこを掴むと、
玄関の外に放り投げた。
「御免なさい~許して~放り投げないで~え~ん、え~ん」
俺は、玄関の外に出ると、
「はいはい、分かったから、早くキャンプに帰りなさい。
アンが待って居るんじゃ無いの?」
「・・・・・・・・ハッ!!そうでした!
早く帰らないと、置いてけぼりにされてしまいます!」
「え~っ、置いてけぼりにされちゃうの~?
幾ら何でも其れは無いでしょ~」
「いいえ、アン様なら有り得ます」
「そんなに非情なの~?」
「いえ、そうでは有りません。きっと私の事を忘れて居ます。」
俺は、此の残念な従者の肩を叩いて、
「頑張るんだよ・・・・」
「そんなに、可愛そうな娘を見る様な目で見ないで~!」
追加で魔法の水袋と、
携帯食料をジュリアナちゃんの、魔法の袋に入れてあげた。
「其れではモモタロウさん、またお会い致しましょう。」
ジュリアナちゃんはふわりと、浮かび上がると、
アンが、飛び去った方向に飛んで行った。高らかな笑いと共に・・・・
「お~っほ・ほ・ほ・ほほほ・・・・」
「ん~朝にも見たよね~」
『見たっスね~』
やはり、暫く飛んだ所でシーワームに襲われて居た。
「・・・・・・・・・・!!」
と、中二病のジュリアナちゃんは、何か叫びながら、
≪ゴロゴロ・・・・ピッシャ~ン!
ドゴ~ン!バリバリバリ~!ドッカァ~ン!≫
「おおぉ~暴れとる、暴れとる。・・・・
何を叫んでるんだろ?」
『考えたく無いっス』
「ですよね~」
≪ゴロゴロ・・・・ピッシャ~ン!ドゴ~ン!
バリバリバリ~!ドッカァ~ン!≫
「じゃ、戻ろうか」
『其れが良いっス』
俺が仮住まいの中に戻ると、テーブルにエレンが突っ伏し乍ら、
「モモちゃ~ん、お腹減った~ひもじぃ~よ~」
「あっ、もうお昼回って居るね、直ぐ用意するからねっ」
「うん」
と、笑顔を俺に向けて来た。
「モモちゃ~ん、さっきの娘はだ~れ?」
「ああ、アンの従者だってさ~」
「ふぅ~ん、モモちゃん凄く鼻の下延びてたよ~
別に良いんだけどさ~」
俺は、配膳をし乍ら、
「止めてくんない~幾ら美人でもあんなに、
中二病じゃあね~」
「中二病ってな~に~?」
「う~ん、妄想癖が有るって事かな?
はい、食べよっか~」
「は~い」
「「頂きま~す」」
「「・・・・・・・・」」
「「御馳走様でした~」」
「モモちゃん、
さっきのデザートも凄っごく美味しかったよ~
も~喋れない位~でさ~
私、部屋の中からずっと見てたんだけどさ~
あんなに綺麗な女の人なのに、
何で手を出さないの?
私に遠慮してるなら、
大丈夫だよ~パーティーをずっと組んで居てくれるなら、
私は、最後でも構わないからね」
「ま~綺麗っちゃあ、綺麗なんだけど~ね~
ポンポンのお腹見て色気と言われてもね~
んで、頭の上におっぱい乗せるのやめてくれる?」
「ふ~んそうなんだ。
モモちゃんってひょっとして、男が好きなの?」
「んな訳ね~よ、男とか無理に決まってんじゃん、
おっぱい付いて無いし」
「なら良かった。男が好きとか言われたら、
如何しようかと思って居たんだよね~
流石に私、男に成れないし~」
「何か口調が変じゃ無い?
何時もの、ですわ~口調は?」
「まあ独り言みたいなもんですからねっ
其れではお風呂に入って、
又、安静にして居りますわね」
「独り言は普通の口調なんだ~入っといで~」
「はいですわ」
食休みの後、エレンが部屋に戻ったのを確認してから、
洗濯して、飛行魔法フライの練習だ。
フライの練習を夕方まで続けて、其れが終わると、
洗濯物をと入れて、ひとっ風呂浴びてから、夕食の支度だ。
夕食が終わると、さっさと寝ると言う健康的な生活だ。
そんな生活の中、6日目からリリーにおんぶ紐を作って貰い、
勿論大人用なのだが、元気に成って来たエレンを負ぶって、
フライの練習を始めた。最初の頃は重くて、
「エレン~重いよ~おっぱいのせいじゃ無いの~?」
「私くしが重いですって~
どの口がそんな事を言うのですか~
此の口ですか~此の口なのですね~
こうしてくれますわ~!」
両の人差し指を口に突っ込まれて、びよ~んと、伸ばされて、
「ほめんなさい、ひれいふぁ、ほねえさま~」
「分かれば宜しいですわ。
今夜のデザート2人前で許して差し上げますわ」
「は~い」
こんな感じで、12日目、
「如何?リリ~」
『はいっス、ご懐妊じゃ無かったっス~
目出度く退院っスね~明日から旅を再開するっス~』
「モモちゃん如何ですの?私、不治の病で死にますの?」
「うん、明日から旅を再開しても良いって~」
「やった~今夜は酒盛りですわ~」
「良し、今夜は焼肉だ~!!」
「「いち・にい・さん・だ~っ!!」」
此の日は、遅く迄、飲み明かした。
翌朝・・・・・・・・
「モモちゃん空を飛んでの旅ですので、
出発前に最短コースを、説明いたしますわ」
「うん、うん」
「現在位置は、コッサリア神国の海岸線沿いなのですが、
此のまま暫くは、此の海岸線を進みますわ、
やがてナイロン大河を超えると、
砂漠の国のソリア王国に入ります。
暫く海岸線に沿って進むと、遠くに山脈が見えて来ますわ、
此処で山脈に向かって方向を変えますわ。
ナイロン大河を遡る手も有るのですが、
殆ど手付かずの大河ですので、
水辺には大型のモンスターや
飛行型のモンスターが多数生息して居て危険ですわ。
ですのでヨイ山脈と荒れ地の間を飛行して、
やがてザムド台地に到達しますわ、
此処でもザムド台地と、荒れ地の間を飛行しますわ。
ソリア王国を縦断する格好ですね、
此の間は、オアシスには立ち寄りませんわ、
盗賊が跋扈して居り、
ある意味モンスターよりも危険ですから、
ザムド台地を抜けると、
ナムール大河の支流のヨシノ川に出ます。
此処から下流のアキ湖を目指します。
道行は穀倉地帯と成り、
モンスターの心配も少ないので、
川沿いを進むのが良いでしょう
アキ湖に付きましたらソリア王国側で、
冒険者カードを作りましょうか、
モモちゃん、犯罪は犯して居無いですね?痴漢とか」
「うん、大丈夫だと思うよ、良く痴女には絡まれるけど、」
「なら良いです。
犯罪者は魂に犯罪を刻み込まれていますから、
冒険者では無く、犯罪奴隷に成って仕舞うので、帝都では無く、
鉱山に送り込まれてしまいますわ。」
「怖ぇ~」
「冒険者カードを作った後に、
アキ湖を渡ってルグレス帝国に渡ります。
後は帝都ソラリスを目指すだけですわ、
人が多い地域の移動は夜間に行いましょう。
目立つ行動は避けた方が良いでしょう」
と、エレンはモモの背中におんぶ紐を使って、
おぶさると、片手を掲げると、
「さあ、モモちゃん、出発ですわ~!」
「は~い」
とモモタロウは背中に胸の感触を味わい乍ら、
飛び立つのであった。
「いや~良い感じの旅に成りそうだわ~」
「この~モモちゃんの、幸せ者~ですわ!」