-95話ー アンのお目付け役 1
『ピピピピピピピ・・・・・・・・
ダーリン、朝っスよ~もう明るく成って居るっスよ~』
「ん~う~ん・・・・ふぅあ~っ・・・・リリー
お早う~ああ、ほんとだ、明るくなってるね~」
毛布を捲ると、ゴ〇ラが居た。
「何やってんだか~、お父さんに抱き付いて居る、子供だね~」
『夜中にトイレに行って、寝ぼけてってパターンっスかね~』
「おねしょ、して無いだろうね~」
と、シーツを確かめる俺。
『ダーリン幾ら何でも其れは、15の娘には失礼なのではッス』
「ですよね~、でもさ~この格好見てたらね~」
ゴ〇ラパジャマを着て、丸く成って親指をしゃぶり乍ら、寝て居るアン。
『まあ、言いたい事は、分かるっス・・・・』
俺は、アンを起こさない様に、ベットから出ると、
シャワーを浴びようと、浴室に行った。
「フフン、普通だったら此処で、ラッキースケベのパターンだが、
俺にはそんな事が起こらない事は、分かって居るのだ。
何故ならエレンは、絶対にこんな時間には起きては居無い。
朝ご飯の匂いが、漂う迄は爆睡中の筈なのだ。
逆説的に言うと、ご飯の匂いが漂って来たら、
例え死に掛けて居ても、這いずってでも席に付くやつなのだ」
予想通り何事も無く、朝のシャワーを済ませた俺は、
キッチンに行って、朝ご飯の用意を始めた。
最初の頃は、ベーコンエッグに
トーストと言うメニュウであったが、
やはり俺は日本人なのだなあ、最近はもっぱら、和食だ。
今朝はサンマの塩焼き定食だ。
手際よくサンマを焼いて、大根おろしをサンマの上えに添えて
後、味噌汁に生卵、納豆、味のり、と準備して行き、
食後の、チョコパを準備する。
俺のスキルの料理は、レベル10。料亭の板前並みの、
腕前なのである。
早い、美味い、綺麗の三拍子なのだ。
そして出来上がった、朝ご飯を配膳に行くと、
既に匂いに釣られた、エレンと、アンが、
あくびをし乍ら、待って居た。
「ぐぅ~、ぐぅ~、良い匂いに、
お腹が鳴って仕方有りませんわ。
早くご飯をよそって下さいな」
「そう思うんだったら配膳、手伝ってよね!」
「私くしは、死に掛けの重病人ですのよ、いたわって下さいな」
「・・・・・・・・」
「きゅ~くるる~きゅ~くるる~お腹が鳴って居るのじゃ、
早う、ご飯にするのじゃ」
「アンもか~ただ飯、食べさせて貰うんだから、
せめて手伝うとか無いのかよ~」
「う~む、手伝っても良いのじゃが、
後の事は責任持てぬぞ」
「アンは家で手伝う事、あんの?」
「たまに言うとお願いだから、
座って居て下さいと泣かれるのじゃ~」
「座って居て下さい・・・・」
アンに納豆掛、卵ご飯を作ってあげ、
食べ方を説明して居ると、
エレンは既に納豆掛、卵ご飯を作って、
味のりで、ご飯を巻いて、
美味しそうに、食べて居る。
エレンは何と、一日で箸の使い方を覚えた逸材だ。
食べる事への、執念の程が伝わって来る。
サンマも器用に背から割って見事な位、上手に食べて居る。
「美味しいですわ~魚臭く無いし、
あっさりして居て、
此の大根おろしと言うのがサンマに凄く合いますね、
朝食には、最高ですわ~生きて居て良かったですわ~」
と、言いつつ、味噌汁をすすっている。
「う~ん、此の娘死にそうなんだけど、
何か一番死にそうにないんだよね~
アンゆっくりで良いから、
よく噛んで食べるんだよって、」
アンは、サンマを頭からばりぼり、丸齧りして居る。
納豆掛、卵ご飯の上に味のりを敷き詰めて、ガツガツと食べて居た。
「成程、美味いのじゃ、歯ごたえも中々の物じゃの~」
「・・・・・・・・こっちも、少々の事じゃ死にそうに無い・・かな?」
食後のデザートの、チョコパを出したら、其れはもう・・・・
創造にお任せしよう。
「モモちゃん、此の紅茶と言う飲み物甘くて、優しい味で、
いつ飲んでも、心が落ち着きますわ。
何時も飲んでいる、渋いだけのお茶とは大違いですわ」
「うむ、紅茶と言うのか中々に高貴な味わいじゃの~
其れに、此の器が良いのじゃ、薄く白い気品ある焼き物に、
落ち着いた絵柄が、気に入ったのじゃ」
此の世界に白磁を作る技術は無く、
食器は主に木製か素焼かきか銀製だ。
「アン、気に入ったの?」
「うん、なのじゃ~」
「じゃあ、お土産に待たせて上げようか?」
「本当か、嬉しいのじゃ序でにカニも所望する。
パパとママにも食べさせて上げたいのじゃ」
「ああ良いよ、んじゃ此れはい」
ストレージから紅茶のセットとお茶うけ、高級クラブのブロックを、
ストレージから出すと、アンに渡した。
アンは、自分の魔法の袋に、大事そうにしまうと、
「有難うなのじゃ、
パパとママに土産も土産話も出来たし満足なのじゃ」
「土産話も良いけど、かには足が速いから気を付けてね」
「うん?カニの身のブロックなのだから、
足なんか生えて居らぬぞ?」
「いや、腐りやすいから気を付けてねって、意味だよ」
「おお、そうかでも大丈夫じゃ、妾の魔法の袋は、
中の時間が止まって居る故痛む事も無いのでな」
「其れなら良いけどね、
エレン、そろそろ歯を磨いて寝ておいで」
「は~いですわ」
「エレンは如何したのじゃ?ガン?」
「エレンは行き倒れでね、もう少し養生が必要なんだよ。」
「そうか、大変じゃの~早く良くなると良いのじゃ
其れでは、妾もそろそろ出発するのじゃ、
モモよ、弁当とお菓子!」
「はいはい、そう言うと思って用意しておいたよ」
朝ご飯を作る時に、序でに作って置いた弁当と、
おやつの、チョコバナナと、麦茶を渡して、
「お昼に成ってから、食べるんですよ良いですね」
「は~い、なのじゃ」
と、嬉しそうに、魔法の袋に仕舞うアン。
う~何か、お父さんしてるな~俺。
「さて、そろそろ着替えないとね」
「着替えさせるのじゃ」
「此の娘、自分で着替えられ無いのでした~」
ゴ〇ラパジャマを脱がせて、魔法の袋に仕舞うと、
アンは白いゴスロリを出したので、其れを着せて、
勿論、ブーツは白皮のブーツだ。
「はい、魔法少女の出来上がり」
「ん?魔法少女?妾は魔法使いじゃが?
其れに、身も心も成人じゃぞ」
「ああ、其れね魔法使いの可愛い女の子って意味だよ」
「ふむ、そうなのか成らば良い」
表に出て、昨日の洗濯物をアンの魔法の袋に入れて、
「う~む、此のかぼちゃパンツは、ダメじゃのう。
モモがくれたパンツの方が100万倍良いの~此れは・・・・
改革じゃ~!!」
「じゃあ、アン、道中気を付けるんだよ」
「うむ分かったのじゃ」
「強く成ったからって、無暗にシーワームを襲っちゃダメだよ
一人なんだから不覚を取る事も有るんだからね」
「うむ分かったのじゃ」
「知らないおじさんに、付いて行ったらダメだよ」
「うむ分かったのじゃって、お主はパパか~!」
「じゃあ、行っておいで」
「あっそうじゃ、お主に此れを渡しておくのじゃ」
と、アンは魔法の袋から金メダルくらいの大きさの、1枚の金貨を出した。
「ん?大金貨?」
「いや、お金では無い、我が家の家紋のメダルじゃ」
「ふ~ん、魔法使いが家紋なんだね~お家は宅急便?」
「違うわ~!困った時に見せるが良い、
北大陸であればどの国でも通用するはずじゃ」
「うん、有難う荷物が出来たら、使わせて貰うね」
「じゃから、宅急便ではな~い!又近い内に会おうぞ!ではさらばじゃ!」
アンは、ふわりと、浮かび上がるとやって来た方向に飛び立った。
「わぁ~っはっはっはっは~・・・・・・・・」
高らかに笑い乍ら、
暫く飛んだ所で、シーワームがうじゃうじゃと、現れた。
≪ちゅど~~ん!ちゅど~ん!どごおおぉぉ~ん!どか~ん!!≫
「おお~やってるやってる、大笑いしながら飛んでるから、
シーワームに見付かっちゃってるよ~」
「わ~っはっはっはっは~・・・・」
≪ちゅど~~ん!ちゅど~ん!ごおおぉぉ~!どか~ん!!≫
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
「戻るか」
『はいっス』
俺は残りの洗濯物をとり入れると、仮住まいに戻って、
洗濯物を俺の分はストレージに、
エレンの分は畳んで、ソファーに置くと、
コーヒーを入れて、ほっと一息ついた。
「何か、騒がしい一日だったね~」
『そうっス、僅か一日なのに居無くなると、
何か、しーんとするっスね~』
「そうだね~娘が嫁いだ後って、こんな感じなのかね~」
『いやいや、ダーリンまだ15才だからねっ、ねっ、
そんなおっさん臭い事、言わないで欲しいっス』
「ですよね~」
其の後、ソファーで、少しウト、ウト、して居ると、
コン、コン、・・・・・・・・
コン、コン、コン、・・・・・・・・
コン、コン、コン、コン、・・・・・・・・
コン、コン、コン、コン、コン、コン、コン。
「うぅんん~何だよ~五月蠅いな~」
『又誰か、結界シールドを見付けて叩いて居るみたいっス』
「ん~しゃ~ね~な~」
俺は、表に出て、結界から頭を出すと、
「反日新聞なんて、見ないから要らないよ~」
「ひぃや~っ!」
っと、妙齢の女性が驚いた様に尻もちを付いた。
「其処なご人、其処なご人~引っ込まないで~
お聞きしたい事が御座います~!」
「ん~な~に~眠いから、早く言ってよね~国勢調査~?」
と、結界から出ると金髪の綺麗な女の人が、立って居た。
白い、ローブに、白い魔法使いの帽子、
ローブの中は、ジュリアナに出て来そうな、
ワンレンのワンピース。胸が零れそうである。
俺は、その姿をまじまじと眺めながら、
「おねえさん、扇子持ってみる?」
「扇子?何でって、そんな事じゃ有りません。
10才位の黒いドレスの女の子見ませんでしたか?
魔力を辿って来たのですが、」
「ふ~ん、ジュリアナ姉さん、その子の何?」
「ジュリアナ?私は、その方のお目付け役ですわ」
「ああ、成程ねあの娘、飛ぶかんねそら大変だわ~」
「そうなんですよ~あの方、
直ぐに飛んで行っちゃうんです~
お付きで、飛べるの私だけなんで、
数日前から~ず~っと追いかけて、
探して居るんです~
徹夜で、何も飲み食いしないで~
ひっく、ひっく、・・・・
うぇ~ん、うぇ~ん、
もう嫌です~ひぃ~ん、ひぃ~ん」
「あ~あ、泣き出しちゃったよ~此の人、
良し、良し、良く頑張ったね、
こっちに来なさいなご飯を食べて、
お腹が膨れたら気も張れるから、ねっ、ねっ」
「・・・・うん、お腹減りましたの」
自称、お目付け役の少し頼り無いお姉さんを、
仮住まいに入れると、
潮風を丸何日間か、
当たり続けてばっさばさに成って居たので、
取り敢えず風呂場に通して、
使い方を説明して、ペットボトルの、
紅茶を渡して、俺はキッチンに行き、ご飯を準備して、
「リリー、今の娘の着替え用意してあげて」
『はい、了解っスはい出来たっス』
「う~ん、仕事が早い。福〇工務店?うん?
リリー、で、此の扇子は何なのかな?」
『魔法の杖っス~ちゃんと、魔力倍増、
轟雷を仕込んでおいたッス~
下着からローブ迄皆赤で統一して有るっス、
で、黒の網タイツに、
ハイヒールっス。ダーリン、踏まれて見たいっスか?』
「う~ん、どんなネタ装備なんだよ~!」
『ダーリンが、ジュリアナって言うから、
他にイメージ出来なかったっスダーリンのせいっス!』
「・・・・御免なさい・・・・」
俺は、ジュリアナネタ装備を脱衣所に持って行くと、
「ジュリアナちゃ~ん、ネタ装備の着替え此処に置いておくね~」
「ん?ねた・・は~い、有難う御座いま~す」
暫くして、ネタ装備を身に着けた、可愛そうなお目付け役が、
風呂場から現れると、俺は指で四角を作りのぞき込んで、
「いや~プロポーションが良いと凄く似合うね~
あれ?リリー真珠のネックレスは?」
『あっ、忘れて居たっス、ほいっ』
「そうそう、此れ此れ」
リリーが出して呉れた真珠のネックレスを
ジュリアナちゃんの首に付けると、
ジュリアナちゃんが震え出して、
「此れ、真珠のネックレスでは?」
「そうだよ~此れイヤリングと指輪、
カメオ付きでセットだよ」
と、金のケースを渡して、
「ん、良いわ~凄く似合ってるよ~流石、ジュリアナちゃん」
「此の扇子は何ですの~」
「魔法の杖だよ~轟雷の魔法攻撃と、魔力2倍入って居るから、
使う時は気を付けてね。ネタ装備だけど~」
「いっ、轟雷って、範囲攻撃魔法じゃ無いですか~」
「まあまあ、気にし無いで、食べて食べて」
「は~い、もぐもぐ、何か美味しいんですけど~
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ、美味し~美味し~
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ~」
「うん?何で荷物なおさないの?魔法の袋は?」
「魔法の袋みたいな便利な物、持って居無いですよ~
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ~」
「そうなんだ~持って無いんだって~リリー、
序でに替えの下着も~」
『は~いっス』
「じゃあ、この袋に全部入れて置くね、替えの下着や、
さっきお弁当も作って置いたからね」
「何から何迄、本当に有難う御座います・・・・
あっ、忘れる所でした。もぐもぐもぐもぐもぐもぐ
黒のドレスの女の子は?もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「アンなら、朝に帰ったよ」
「・・・・・へっ?」