ー94話ー エレンの装備
エレンとアンに晩御飯を、食べさせている間に、
今日干して置いた洗濯物を、とり入れて洗濯したアンの服を干して、
リビングのソファーの上にばさりと、洗濯したかぼちゃパンツを置いた。
「あら、モモちゃん干して置いてくれたのね、もぐもぐ、
ご苦労様。もぐもぐ、」
「あら、モモちゃんじゃあ、ねえよ。
でも、此の色褪せて、当て布して縫ってあるかぼちゃパンツ。
悪役令嬢って言って居たけれど、
エレンもずいぶん苦労したんだな~」
「そうですわね、家を追い出されたのが去年、
冒険者と言っても、食べて行くので手一杯でしたわ。
最初の頃なんて、他の冒険者にどんなに騙されたか、
何も知らない、女が一人生きて行くには、とても過酷でしたもの。
貞操を狙われた事も、一度や二度では無いんですから」
「う~ん、貞操を狙った男が心配に成るのは、俺だけか~」
「う・ふ・ふ・ふふふふふふ・・・・・・
ま~今頃オカマとして、
立派に生きて居るでしょうね。もぐ、もぐ、もぐ」
「・・・・怖ぇ~・・・・切られたの?ねえ、
切られちゃったの?」
「当然じゃの、何も知らない女を騙して、もぐもぐ、
金品だけで無く、体迄も狙うとは、もぐもぐ、
妾であれば、もぐもぐ」
「であれば?」
「もぐもぐ、今頃、は・い・に、成って居るじゃろうな、
もぐもぐもぐ」
「・・・・・・・・はい」
「まあ、モモちゃんなら何時でもオーケーですわよ、もぐもぐ」
「・・・・ありがと・・・・」
喜べねぇ~何か、凄く喜べねぇ~
此の世界の女の子、直ぐに脱ぐだけじゃあ無かった~
此れは、獅子丸君の危機が有るかも~
「しかし、良く食べるね~今日作った唐揚げ、
今晩の分粗方無くなってるし~
片や死に掛けに、もう一人は小学生にしか見えないのに、
一体、何処に入って居るのやら・・・・」
「「魔法使いは凄く、
カロリーを消費するのですわ(するのじゃ)!」」
「はい、はい、まあ、そう言う事にしときましょう」
「もぐもぐ、美味しいですわ美味しいですわ、
生きてて良かった~」
「もぐもぐ、美味いぞよ美味いぞよ、
妾は幸せじゃ~もぐ、もぐ」
「はい、はい、有難う、此れお代わりね~」
唐揚げを、もう一皿ストレージから出すと、
どんと、テーブルに、置いた。
「「わ~い、もぐもぐもぐもぐ」」
「ん?モモよ、所で其のおかずは、
いったい何処から出したのじゃ?もぐもぐ」
「もぐもぐ、あら?そう言えば、
何処から出したのですか?もぐ、もぐ」
「其れはほら、
魔法の袋・・・・あら?付けて無い?」
「「・・・・・・・・もぐ、もぐ」」
「え~っとほら俺、アイテムボックス《宝箱》持ちだから、
其れも、時間止められる特殊な物だから、ね」
「其れは凄い能力じゃの~確かに、
他人に知れたら、もぐもぐ、
大変な事に成るかの~妾が持って居る魔法の袋も、
中に時間が流れて居らぬが、
伝説級の魔法具扱いじゃからの~もぐ、もぐ」
「あらあら、まあまあ、
モモちゃんも、アンちゃんも凄いですわ、
私くしの持って居る魔法の袋でも、
伯爵家の家宝だと言うのに、
モモちゃんも、
アンちゃんも他の人に言ってはいけませんよ、もぐもぐ、
其れこそ、回りが五月蠅くなって大変ですからね、
それにしても3人が、3人共魔法の袋や、
アイテムボックス《宝箱》持ちなんて、
持たない人が聞いたら、
悔しがるでしょうからね。もぐもぐ」
「エレンのはまあ、家からパクって来た物だけれどね」
「あら人聞きが悪いですわ、此れは手切れ金ですわ、もぐもぐ」
「いやいや、そっちの方が人聞き悪いし」
「もぐもぐ、所でモモよ、ワインは無いのかや?もぐもぐ」
「お酒は、二十歳に成ってから」
「何を言って居るか!妾は15才、立派な成人ぞ、
飲酒位普通である。お主、妾の毛を見たであろう」
「まあ、生えてたけど、
其れはもう、ぼう、ぼう、な位に、」
エレンは、俺に体が治る迄の間、
禁酒と言いつけられて居るのだが、
俺を祈るように、キラキラと見つめだした。・・・・
「リリーどう思う?」
『アンちゃんは飲んでも構わないでしょうっス。
どうせ何時も飲んでるだろうし、
エレンはそうっスね~・・・・
ビール一缶位なら、良いんじゃ無いっスか~
少しのアルコールであれば、般若湯とも言うっス』
「だな、酒は百薬の長とも言うしな」
「モモちゃん、誰と話して居るのですか?
リリーって誰ですの?又、
新しい女ですの?浮気ですの?もぐもぐ」
「エレン、其れは違うのじゃ、リリー殿はモモのユニークスキルの、
行動管理システムなのじゃ、妾は念話も出来るので、
リリー殿と話が出来るのじゃ、もぐもぐ」
「モモちゃん、こんなに一杯能力が有るのに、
ユニークスキル迄、持って居ますの~ずるいですわ~
で、行動管理システムって何ですの~もぐ、もぐ」
「もぐもぐ、まあ簡単に言うとじゃな、
相棒かの?もぐもぐ」
「簡単過ぎ~!」
「相棒なら私くしが居りましてよ~
棒は御座いませんけど~もぐ、もぐ」
「棒が有ったら、怖いわって俺逃げるわ!」
「そうさの~モモの中に、
軍師が居ると言うのが良いかの~もぐもぐ
要は、モモの行動の指針を指し示してくれる、
万能軍師かの~
相談役と言った方が、良いかの~もぐ、もぐ」
「耳の無い、青い万能ネコ型ロボットかよ~」
「じゃあ、私くしの出る幕が、
無いじゃ御座いませんか、もぐもぐ」
「其れが、そお言う訳でも無いのじゃ、もぐもぐ」
「と、言いますと?もぐ、もぐもぐ」
「其れはの此の二人、二人共此の世界の常識を、
全く理解して居らんと言う事じゃ、もぐもぐ、
此れを見てみい」
とアンは魔法の袋から、
魔法の杖と大鎌、ティアラを取り出すと、
「此の杖は小さい物だが、竜骨とオリハルコン、
賢者の石で出来て居る。
魔力10倍増加に、
戦略級攻撃魔法の、ヘルファイヤーが封じられて居る。
更に此の大鎌は、竜骨と竜の牙、賢者の石で出来て居て、
爆炎が封入されて居る。
此れで切られれば、灰も残らんじゃろう、又飛ばす事も出来る。
此れも戦術級、範囲攻撃魔法じゃ、
此のティアラはオリハルコンと、賢者の石で、出来て居る。
魔力タンクじゃがモモに魔力を入れて貰ったら、一杯入った。
尋常な量では無いの。しかも魔法防御のおまけ付きじゃ。
どれも此れも、神話級の魔法具じゃの、
其の日に会った者に、ポンと譲る様な物では無いな。
其れをポンと作れてしまうのも、如何かと思うのじゃが、
我々の常識からは逸脱して居るな、もぐもぐもぐ」
「フォークをふりふり、しながら言わなくても」
エレンは、プ~っと頬を膨らませて、涙目で、
「モモちゃんは、ずるいです~
そんなに此のちっぱい娘が、良いんですの、
ロリコンなの?死ぬの?私くしも、
此の綺麗なティアラが、欲しいですわ。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「突っ込む所其処~!食べてるし~」
冷えたビールを出し乍ら、
「二人共此れでも飲んで、エレンは一本だけだよ」
「「は~い」」
「ごきゅごきゅごきゅ~プッハ~クゥ~ッ、う、美味~い、
何じゃ、此の良く冷えた喉越しは?エール?いや違うの、
全く初めての味じゃの~」
「コク・・・・コクッ・・・・もぐもぐもぐもぐ、
お、美味しいですわ、幸せですわ」
「ごきゅごきゅごきゅごきゅ~プッハ~
クゥ~美味い!一日の疲れが飛んで行くわ~ほんで、
唐揚げをっと、ぱくっ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐ
美味いね~ビールにも良く合う!」
「ほう、ビールと申すのか、で、何処で手に入れたのじゃ?」
「・・・・企業秘密です」
「・・・・まあ良かろう、其の内教えてくれるじゃろう」
「コクッ・・・・コクッ・・・・もぐもぐもぐもぐ」
「ごきゅごきゅごきゅごきゅ~プッハ~クゥ~ッ、お代わりなのじゃ!
もぐもぐもぐもぐ」
「ほい、ごきゅごきゅごきゅごきゅ、プッハ~クゥ~ッ、
もぐもぐもぐもぐ」
「プシュッ、ごきゅごきゅごきゅごきゅ、~プッハ~クゥ~ッ、
もぐもぐもぐもぐ美味いのじゃ~!」
「コクッ・・・・コクッ・・・・もぐもぐもぐもぐ
美味しいですわ。」
「エレンは、大人しいね、何で?」
「らって一缶だけって、言われましたもの味わって、
飲んで居りますわ」
「此れは又しおらしいの~もっと、
我がままかと思ったのじゃが
ごきゅごきゅごきゅごきゅ~プッハ~クゥ~ッ、
お代わりなのじゃ、もぐもぐもぐもぐ」
「ほい、もぐもぐもぐもぐ、
ごきゅごきゅごきゅごきゅ~プッハ~クゥ~ッ、」
「プシュッ」
「・・・・コクッ・・・・コク~ッ・・・・ひっく、
モモちゃ~ん、モモちゃ~ん、ひっく、
モモちゃんの言う事は、私くしにとっては絶対ですのよ、
だって、だって~命の恩人なんですもの~ウィ~ひっく、
こんなにモモちゃんの事で、頭が一杯なのに~
他の女の子に~ティアラをあげるなんて~ウィ~ひっく、
嫉妬の一つも致しますわ、だってだって~
ティアラは、女の子の夢なんですもの~ウィ~ひっく」
「分かった、分かったから、頭におっぱい乗せないで~」
「うりぃ~うりぃ~ほ~っ、ほ・ほ・ほ・ほほほ・・・・
アンにこんな事出来まして~
ほ~っ、ほ・ほ・ほ・ほほほ・・・・」
「うっ、うっ、
うえ~んごめんなしゃい~パパ~ママ~ごめんなしゃい~
お尻を叩かないで~ひぃ~ん、ひぃ~ん、
ごめんなしゃい~
生まれて来てごめんなしゃい~ひぃ~ん、
浣腸は許してくだしゃい~」
「むにゃむにゃ、モモちゃんモモちゃん、そんな所に~ら~めぇ~
え、えへへへへ・・・・モモちゃ~ん、むにゃ、むにゃ~」
「うっうっ、むにゃむにゃ~ごめんなしゃい~
胸にパット入れてごめんなしゃ~い、むにゃむにゃ~」
「笑い上戸に、泣き上戸ねぇ~食べるだけ食べて、
飲むだけ飲んだら、二人共寝ちゃったよ~お酒は、
好きだけれど、弱いのね~」
先ず、頭の上におっぱいを乗せ乍ら、
寝てしまった、エレンを、
お姫様抱っこでベットに寝かせ付けて、
「リリーエレンにティアラと
真珠のネックレスのセット、作ってあげて~」
『は~いっス~ほい出来たっス~』
ティアラを、エレンの頭の上に乗せて、
枕元に真珠のネックレスセットを置いて、
次にゴ〇ラパジャマのアンを、
エレンの横に寝かし付けて
「やっと、落ち着いて、ご飯が食べれるわ~」
『お疲れ様っス~』
「でも、リリーアイテムをあげるのも、
少し考えないとダメかね~?」
『そうっスね~まあ、
基本使いこなせるアイテムしか上げてないんですけどね~
アンの場合は、あの魔法のアイテムを使いこなすだけの、
実力が有るんっスよね~』
「しかし、此の世界ではオーバーウエポンに成るのか~
気を付けないとな~で、エレンは如何する?」
『そうっスね~アンはどの道、私らと関わって来ると思うっス。
其の為に他者に殺害されないだけの、アイテムを渡しましたが、
エレンはどの道一緒っス、ですから、
その時々に見合ったアイテムを支給するのが良いと思うっス。
何方にしても、ダーリンに攻撃能力が無い以上、
エレンが、前衛の攻撃担当に成る訳っスから、
エレンのレベルは15っスね~普通騎士クラスっス~
新調するのは剣と、
強化アイテムっスね~魔法剣士っスね~やっぱ、
今は、鉄剣っスね~其れと~ティアラは、
普段はしないでしょうから、
身につける物と言えば指輪は少し小さいし、う~ん、
腕輪にしましょうか?
此れなら大きな魔力を貯められるっス。
一人の時も考えて、
身体強化と防御結界シールドも入れましょうか
ホイ出来たっス』
テーブルの上に黄金色に輝く腕輪が、コロンと出て来た。
『ダーリン、魔力』
「あっ、は~い」
腕輪を持つと、魔力を入れてみた。
又、一杯入った。どうもリリーは手を抜くのが苦手の様だと、
此の時はじめて気付いたのであった。