-86話ー タカシ釣り餌に成る
「タカシ君~餌のオ~ク無く成っちゃったからさ~」
「からさ~?」
「オークの代わりに、餌に成ってくんない?」
「へっ?」
サファイアは俺の首根っこをガシッと掴んで、
「ひぃ~~!!お~た~す~け~」
身動きの出来ない俺は、
ウンチとおしっこを振り撒き乍ら、藻掻いて居ると、
「タカシ君観念しなよ、痛いのは最初だけだから」
「勘弁して下さい。まじ、勘弁して下さい。
命だけはお助けを~!!」
「ボクは死を司る女神なんだよね、
助ける訳無いじゃん・・・・ニッコリ」
無慈悲にサファイアは、暴れる俺を張り倒して、
俺がぐったりした所で、でっかい釣り針を口にねじこみ、
ぐにぐにと海老ぞる様に、針を体の中に通して行く、
逆に曲げられた背骨は、其処彼処でバキバキと折れて居るが、
更に力任せでぐにぐにと、
針を通されて行き尻の穴から、針を出すと、
今度は釣り竿で、俺を吊り下げて、
グル~ン、グル~ンと回して、
「そ~れ~天迄、飛んでけ~ヒャッハ~!!」
と、飛ばされた。
俺は深場の海に投げられ、バッシャ~ンと水飛沫をあげて、
海に沈んで行った。
海の底には、数百匹のシーサーペントが、ざるそばのそばの様に群れて居り、
俺に気付くと、一斉に俺の方を見て、我先に、俺に襲い掛かって来た。
「ああ・・・・もう駄目だ。」
走馬灯がぐるぐると、流れて行く、
シーサーペントは大きな口を開けて、俺をくわえようとした瞬間。
其のシーサーペントが引き裂かれた。
俺の目の前にはシーサーペントより、
遥かにでかい海竜が現れたのだ。
海竜は大きな口を開けると、
いただきマンモスと一口に俺を飲み込んだ。
「大物が、掛かったよ~ヒャッハ~!」
・・・・・・・・
ぱっと目を見開くと、明るい日差しと、
俺をのぞき込む影が・・・・
「タカシ様、大丈夫ですか?
ずいぶんと、うなされて居ましたが」
「マリーか有難う。怖い夢を見て居たんだ」
「はい?」
「サファイアが、餌のオークが無くなったって言って、
俺を餌にして海に投げ込んで、シーサーペントに襲われて、
其のシーサーペントを引き裂いて、海竜が現れて俺を食ったんだよ~
怖かったよ~え~ん」
俺の海パンは漏らしたウンチと、おしっこで、凄く重く成って居た。
いや、マジ怖かったし、
「タカシ様、餌のオークは大量に有りますので、
無くなる心配は無いですよ」
食いつく所、そこ~
「何を言って居るのですか、エメルダ。
タカシ様サファイア様は、タカシ様の事が大好きですので、
タカシ様を傷つける様な事は、なさいませんよ」
「そうだよね~でも、餌のオークを釣り針に付けて、
海に投げ込んでヒャッハ~と、釣りをして居るのを見て居たからね~」
「う~ん、確かに夢に見そうですね~」
「でしょ~」
「う~ん、シーサーペントも
15M、20M位、有る訳ですから、
ちょっと、考えられないですよね~
かなり、ショッキングでは有りますね~」
「でしょ~サファイアもルビーも規格外だからね~」
「「ですよね~」」
「あれ?サファイアと、マリン居無いんだけど?」
「ええ、先ほど迄、釣り糸垂らして居ましたけど?」
「中々引かなく成った様で、二人共、深場に飛び込んで行かれましたよ」
「怖ぇ~釣れなくなったら、直接実力行使かよ、
容赦無ぇ~わ~何か、シーサーペント可哀そうに成って来たわ」
「ま~シーサーペントも、其処らじゅうの海で、
暴れ回って、人を食べて居る訳ですから、自分より強い相手に、
食べられるのも、仕方ないでしょうね」
「弱肉強食ですね、一杯居ますし、他の強い海獣の餌だし」
「えっ、そうなの?」
「ええ、キラーホエールがシーサーペントを、
踊り食いして居る何て話は、良く聞きますからね」
「あんなにデカい竜種なのに?」
「はい、海には想像も出来ない様な、モンスターが、
一杯居ますからね~シーサーペントはそれらの大型のモンスターの、
良い餌ですね~、食物連鎖の下の方と言う訳ですね」
「怖ぇ~シーサーペントがアオイソメに見えて来たわ~
人族が海に出れ無い訳だよね~
絶対にシーサーペントにすら、勝てない訳だしね」
暫くすると、サファイアとマリンが楽しそうに、
海から上がって来た。
「「タカシ君~大漁(だよ~)(です~)」」
俺が引き攣って手を振ると、
「如何したのさ~タカシ君~笑顔が引き攣って居るよ?」
「はあ、タカシ様は夢で、サファイア様に釣りの餌にされて、
引き攣って居るのです」
「ああ、ビビらせちゃった~?御免~ね~
ボクが大好きなタカシ君にそんな事する訳、無いじゃ無い~
でもまあ、ボクも龍種だからね~怒りに我を忘れたら、
無いとも言えないんだよね~・・・・だ~か~ら~
余んまり、浮気しちゃダメだよ~」
「サー・イエッサー・マム!!」
「うふふふふ宜しくね、チュッ!」
「ご主人様~大漁です~マリンはサファイア様が、
倒したシーサーペントと、パールシェルを一杯回収致しました。
パールも、一杯回収出来ましたよ~」
「お疲れ様、サファイヤとマリン、お礼と言っては何だけど、
二人には、獲れたパールでネックレスでも
作ってもらおうかね~
リリーお願い出来る?」
『オッケ~っス~本当に一杯、獲って来て居るので、
女の子、全員分作るっス~此の辺は、
人の手が入って居無かったので、
パールを持ったパールシェルも、とても多かったっス。
中には、五メートルを超える様な、
大物のパールシェルもごろごろと居たっス、
其れも含まれて居るっス。
其れに、シーサーペントはパールシェルの、肉だけを上手に食べて、
貝殻を、パールと一緒に一か所に捨てる習性が有るので、
大きな貝塚を形成して居るっス。海流に研磨されずに、
貝殻に保護されて居た、無傷のパールを大量にゲット出来たっスよ~
更にオマケで、レインボウサンゴや、紅サンゴと言った、
希少なお宝珊瑚も一杯獲れて、ホクホクっス~
お宝ザクザクっス~
ホイ出来た。皆の小分けストレージに入れといたっス~』
『皆キャ~リリー様~有難う御座います~
リリー様~大~い好き~!!』皆
『褒めて~もっと、褒めて~』
「でもリリーそんなに、パールシェル獲っちゃったら、
ここら辺のパールシェル全滅しちゃうんじゃない?」
『其処ら辺はちゃんと考えて居るっスよ~
一メートル以内のパールシェル獲って居無いっス~
後、二~三年もすれば、
又獲れる様に逃がしたパールシェルには、
貝殻を削って球状にした、種を仕込んでおいたので、
更にお宝ザクザクっスね~私、あったま良い~』
『皆流石リリー様~あったま良い~!』皆
「う~ん、リリ本、養殖真珠?リリ本パール?」
『養殖じゃあ無いっスよ~自然に返した訳っスから、
大量に有っても、価値が下がるだけだし』
「こ、こすい」
『何とでも言うっス。希少価値を確保したまま、
最大の利益を得るのも又、戦略っス』
「流石、軍師」
『褒めて~もっと、褒めて~
ダーリンに褒められるのが、一番の快感っス~』
「変な性癖は無いよね~?」
『勿論、無いっス~・・・・と思うっス~』
「ねえ、マリー真珠のネックレス見せて~」
「はい、タカシ様」
マリーは自分の小分けストレージから、一つケースを出すと、
俺に手渡した。金で作られた豪華なケースだ。
表面は、左右に赤龍と黒龍が、
紅サンゴと黒曜石で見事な浮彫で描かれ、
真ん中には、竜骨で真っ白な女神フノスが
カメオのブローチの様に浮き彫りで描かれている。
此れはリリーが作ったヤマダ家の紋章だ。
そして、一番上の目立つ所に此れも竜骨で、
緻密なデザインのフレイヤ様のレリーフが描かれており、
紋章の周りには、美しい模様が描かれて居て、
美しいカットの宝石が散りばめられて居る。
ケースだけでも一財産に成ろうかと言う豪華さで有る。
ケースの蓋を開けると、10ミリを超える大粒の、
真円の、真珠のネックレスが美しい光沢を放ち、
耳飾りと、指輪がセットに成って居た。
「真珠のネックレスに此のケース豪華すぎない?」
「何を言って居られますの、此の真珠に見合ったケースですよ」
「えっ、そうなの?」
『そうっスね~此のセットであれば、
一国の国家予算に匹敵するっスね~
冒険者ギルドでも取り扱うのは無理っスかね~
商業ギルド経由で、ルグレス帝国の女帝が買える位っスかね~
売却するのに、一年位は掛かりそうっスけど~』
俺は、割れ物を取り扱う様に、そ~っとマリーに返した。
マリーは受け取ると、大事そうにストレージに仕舞った。
『ダーリン、だから余り其の辺で人に見せびらかすのはダメっスよ~
命を狙われるし、商人が寄って来て仕方なく成るっスからね~』
「それは嫌だ・・・はい、分かりました・・・・」
益々旅行がしにくくなるな~と思う、ヤマダタカシであった。
「お~い、タカシ~大漁だぜ~」
「あっルビー達、お帰り~怪我とかしてなよね?」
「勿論なのじゃ~」
「す、凄く面白かったんだな」
「珍しい獲物がわんさか、獲れましたえ~」
「ますた~おもしろかった~」
「タカシ様~ダンジョンが有りましたのよ~
楽しかったですわ~」
「「「「一杯、狩って来たの~」」」」
何か、凄く楽しかった様だ。
「皆、楽しそうで良かったよ~」
「タカシ~ダンジョン見つけたからさ~
明日、一緒に行こうぜ~」
「ルビー様、其れは無理です。人の入らない地でのダンジョンは、
中のモンスターを減らして居無いので、
強いモンスターが大量に沸いて居る可能性が高いので、
攻撃レベル1のタカシ様を入れるのは危険です。
ルビー様がいくら強くても、飽和攻撃されればタカシ様を、
守り切るのは難しいと、考えられますので」
「此の島の森にモンスターが多いのは、
モンスターがダンジョンから、
溢れて来て居るのでは無いでしょうか?」
「そうか~しゃ~ね~な~タカシを
危険な目に合わせる訳にも行かね~し、
明日は、俺達だけで行くとするか~」
「探検組は~い(なのじゃ~)(な、なんだな)(どすえ~)
(ですわ~)(なの~)」探検組
「所で探検組の皆、早速真珠のネックレス付けてるね~」
「おう、分割リリーから業務連絡が来てな、
如何だ、似合うか?」
「探検組私達も(妾達も)似合います~?(似合うかの~?)
(にあう~)(なの~)(かしら~)」探検組
「うん、皆凄く、綺麗だよ~大人の女の人って感じで、
凄く似合って居るね」
「探検組きゃ~嬉しい~(のじゃ~)(いんだな)(おすえ~)
(ですわ~)(の~)」探検組
もじもじし乍らルビーが、
「そんなに褒められたら恥ずかしいじゃね~か~
バカタカシ、愛して居るぜっ!
きゃ~言っちゃったよ~恥ずかしい~!」
と、タカシの頭を張った。
何時もと変わらない行為なのだが、一つ、何時もと違う所が有った。
遊びに夢中だった為か、はたまた、狩りで興奮して居たのか、
ダンジョンを見付けて高揚して居たのか?
何時もタカシを傷つけない様に、手加減して居たのだが、
此の時、たまたま手加減を忘れ、無意識に全力でタカシの頭を張ったのだ。
勿論、こんな事も有るのでリリーは常に、タカシにシールド結界を掛けて居り、
全力で張られた位では、ビクともしないのだが、
≪ズビシ~!!≫
「ひょえ~!!」
普通の人族であれば、
分子レベルで木っ端みじんに成る張り手であったが、
タカシは傷付かない、が、タカシは飛んで行った。
遥か沖に向かって、
誰よりも早く、サファイアが反応してキャッチしようとしたが、
其の手をすり抜けて、タカシは飛んで行った。
大きく弧を描きながら、サファイアが追い掛ける。
≪ヒュ~ン!あ~れ~~!!≫
其の時、沖合に一匹の巨大な海竜が現れて、
大きくジャンプをすると、タカシを一口に飲み込むと、
海の中へと消えて行った・・・・・
サファイアは其の海竜を追い掛けて、海に飛び込んだ。
ルビーを始め他の全員が、ただ、ただ呆然と立ち尽くして、
見て居るしか出来なかった。