-81話ー 聖女アニタ様 帰国 2
此の日、コッサリア神国、聖都コッサリアに有るコッサリア大神殿、
広大な大神殿の中に有るアニタ邸に、国の重鎮達が集まって居た。
アニタ邸の傍には、大きな泉が有り其の泉には、普段であれば、
飛空艇が横ずけされて居るのだが、現在は遠征中の為に水鳥達が、
優雅に泳いでいるだけである。
数日前に、アニタの所有する飛空艇より、帰国の知らせが有り、
昨日も今日到着すると、報告が有った。
神国側は、取り急ぎ聖女を向かい入れる準備を行って、
今日は、朝から重鎮達が集まった訳だ。
「まだかしらね~早く会いたいわ~アニーちゃん~」
「そうで御座る。拙者も早くリニアに会いたいで御座る。
孫を抱いて居無いかな~でござる」
「親バカね」
「「バカって言った人がバカなんだからね~(で御座る)」
「・・・・いや、問題は其処じゃなく」
「「じゃあ、何処?(で、御座る)」
「年増で行けず後家の、
アニタ様が勝手に恋人を作った事でしょうが!」
「そうじゃの~・・・・盛大に祝わんとの~
・・・・国を挙げての~・・・・」
「ボケ老人は黙ってなさい!
聖女で、教皇のアニタ様が側室候補と言うのが
一番の問題です!」
「女神様が三柱、側室候補なんだから良いじゃない」
「女神様は国を背負って居ません。
アニタ様は国家元首なんです。他国に舐められるでしょうが!」
「そうじゃの~・・・・国家元首じゃの~・・・・
朝飯が食べたいの~・・・・」
「さっき、食べたでしょうが~」
「わしゃ食っとらん!」
「爺さんは黙ってなさい!」
「はいですじゃ」
「それじゃあ、ヤマダタカシさんと、
神竜様にアニタ様は国家元首だから、
正妻候補にして下さいって言うの?私は嫌よ~」
「御免なさい。あたしまだ死にたく無い。
結婚もまだだし」
「皆結婚は無理だね~(で御座る)(ですね~)(・・・・)」皆
「そんなの分かんないじゃ無い、脳筋のリニアや、年増の、
アニタ様でも貰って貰えたんだから私だって」
「皆無理だね~性格悪いし~
(で御座る)(ですね~)(・・・・)」皆
「何よ~ほっといてよ!」
「あらあら、見えて来ましたよ、
まだゴマ粒位にしか見えませんけど~」
「うん、赤いですね、前のぼろ船とは一寸違うようですね」
「何か、キラキラして居ますね~」
「あらあら、何か凄く速く無いですか?」
「魔改造って言うのも、あながち間違って居無いのでは?」
「行く時に、十日掛かって居るのに、帰りは三日って無いわ~」
「なにあれ、綺麗!ワインレッドって言うのよね~
其れがキラ、キラ、輝いて居るわ」
「もう、最初のボロ飛空艇とは、別物ね」
アニタ邸の庭にテーブルを置いて、お茶を飲みながら、
雑談して待って居た重鎮達は、飛空艇が近ずくと着水する泉へと移動した。
「素敵な船ね~光の当たり方で、赤の色合いが変わるのね、
赤いバラ号とは良く言った物だわ」
「見て見て、気球の舷側に白くて大きなレリーフが、
あれはフレイヤ様ね、カッコ良い」
「ほ、欲しいわ!アニタ様、呉れないかしら」
「婚約の引き出物だろうから、無理でしょうね」
「強引に奪ったりしたら、アニタ様は国を捨て、
ヤマダタカシ様がお怒りに成って、此の国を亡ぼす。有るわね」
「そ、そんな、アニタ様は教皇様なのですよ?
国家元首が国を捨てるなんて・・・・」
「でも女ですものね、愛した殿方の為に全てを捨てる・・・・
ああ、何てロマンチックな・・・・」
「おばはんが、何言ってんのよ!現実を見ろって言うの!」
「おほほほほほほほ~~!!」
「やめて~ほっぺを引っ張らないで~!」
「誰が、おばはんですって~」
「ほめんなさい~きへいな、ほねえさま~」
「ん、分かれば宜しい」
やがて赤いバラ号は着水して、桟橋に横ずけすると、
魔道具であろう、タラップが降りて来ると、乗組員達が降りて来た。
最後にアニタが下船すると、ストレージに赤いバラ号をしまった。
「あ、アニタ様~、赤いバラ号は何処に???」
「えっ、ストレージに仕舞いましたわ、
アロマ、フランソワ枢機卿」
「ストレージとは?」
「インベントリみたいな感じ?
タカシ様から分けて頂いた能力ですね。」
「えっ、ヤマダ様は、勇者?」
「そんなしょっぱい、ジョブでは御座らん」
「勇者がしょっぱいって・・・・」
「お母様、大賢者様とか大聖者様と呼ぶべきですわ」
「・・・・・・・・」
「・・・ん・・・り、リニアお前、其の鎧?」
「父上此れは、ご主人様より賜った。
竜の武具で御座る。門外不出の品ゆえ平に御容赦を」
「皆竜の武具!!」皆
「まあ庭でお茶をし乍ら話しましょう。
どうせ皆、お茶ををし乍ら待って居たのでしょう?
凄く美味しいお茶と、お茶うけを頂いて居りますので」
「皆おお~!!」皆
アニタは皆を引き連れて、アニタ邸へと、
下働きの神官にお湯の準備をするように話すと、
庭のテーブルへ行き、白磁で出来たティーセットを、
幾つか出すと、自らお茶の準備をした。
「な、何なのアニタ様。綺麗い、薄くて、真っ白な焼き物に、
何て素敵なガラなのかしら?」
「あらあらあら、素焼きのゴブレットとは大違いですね」
此の世界には、白磁を作る技術が存在しない。
極たまにダンジョンから出る位で、とても貴重なのだ。
食器は主に木製で、後、金持ちが素焼きの食器を使う位だ。
食事をするにも手づかみだし、肉料理を切り分けるのも、
護身用のナイフだったりする。王族等は、
加工のしやすい金を使ったりするのだが、
銀の加工品も珍しい位だ。
「此の様な素敵な絵柄、初めて見ましたわ。
アニタ様、頂~戴~!」
「此のティーセットは、私の旦那様から頂いた物ですよ、
旦那様から、皆さんに色々お土産を頂いて居るので、後で、
お配りしますね」
「まっ、何て心配りの出来たお婿さんなのかしら、
私は、アニタ様が側室候補に成った事への苦言は致しませんわ、
全力で応援しますね。
アニタ様。御結婚おめでとう御座います!」
「皆結婚、おめでとう御座いま~す~!!」皆
「あんたら~!!何、お土産に釣られてんのよ~!」
「あっ、ポニーにはオパールアゲハと、トパーズアゲハと、
竜鱗を繊維にした糸で作った下着と、
聖衣をお土産に、頂いて居るからね~」
「下着はメッチャエロいでござるよ~」
「アニタ様、アニー、リニア、セリカ、サニー、
婚約おめでと~!!」
「女性陣私もエロイ下着が欲しいですわ~!!」女性陣
「おばはんが達、何言ってんのよ~
おっさんに見せても一緒じゃない~!!」
「女性陣おほほほほほほほ~~!!」女性陣
「やめて~!!皆でほっぺを引っ張らないで~!」
「女性陣誰がおばはん達ですか~!!」女性陣
「ほめんなさい~きへいな、ほねえさま達~」
「女性陣ん、分かれば宜しい」女性陣
「あら!アニタ様、此のお茶、凄く美味しいわね!」
「ええ、とても上品な甘さが良いですね」
「ひぃ~ん、怖かったよ~・・・・あら、美味しい」
「紅茶と言うのだそうですよ、ヨシュア王国では、
毎日、飲んで居ました」
「こんなに美味しいお茶を?毎日?此れもヤマダ様?」
「ええ、お茶うけのお菓子と一緒に、
お茶うけのケーキ、今から切り分けますね」
アニタは、ブラウニーのサンデーが用意してくれたブッシュドノエル
をストレージから出すと、切り分けて皆に配って行った。
「此れも綺麗!まるで木に果物が成っている様だわ!」
「本当に、食べちゃうのが勿体ないわね~」
「う~ん~朝飯が旨いの~・・・・朝飯はまだかの~」
「今、食べてんじゃん!ボケ過ぎよ!あら、美味しい!!」
「本当!凄く美味しい!」
「そうね、甘さもしつこく無くて、少し苦い?でも嫌じゃ無い。
少しお酒も入って居るわね」
「今日も、美味いでござる。美味いでござる
ござるでござる~」
「本当に美味いでござる。
リニア、わしも、竜の武具が欲しいでござるよ」
「そうでござるか、ではご主人様にお願いするでござるよ~
あっ、良いって~」
「皆へっ?!」皆
リニアは、黒竜の武具をストレージから出すと、
父親の前えドスンと置いた。
「リニア~!父の為に有りがと~!嬉しいで御座る!」
と、リニアに抱き付いた。
「父上、暑苦しいでござるよ、抱き付かれて嬉しいのは、
御主人さまだけで御座る」
「リニア~そんな冷たい事は言わないで欲しいでござる~」
「そんな事より、リニア~!ヤマダ様と念話が出来るの~?」
「当たり前でござる。
私とご主人様は魂で繋がっている故でござる」
「リニア~あんたバカ~?念話なんてレアスキル、
例え夫婦だからって、出来る訳無いじゃない~!」
「バカって言った人がバカでござる!
当たり前では無いのでござるか?」
「そんな重要な能力、人前で言う人が有りますか~!!
アニタ様、アニー、セリカ、サニー、貴方達は如何なの?」
「「「「企業秘密です」」」」
「此れが、普通の反応なのよ~アンタ離婚されるよ~」
「げげ~っアニタ様、アニー、
どうしようでござる~出戻りは嫌でござる~
御主人様にもっと可愛がって貰いたいでござるよ~」
「「「「バカは死ななきゃ治らないですね~」」」」
「死ぬのは嫌でござるよ~」
「「「「じゃあ、あんたは黙って居なさい!」」」」
「はいでござる・・・・」
「うちの、リニアに酷い事を言わないで欲しいでござる。
リニアはバカだけど優しいでござる~」
「「「「此の親バカ~!ちゃんと、
娘を教育しろ~!!」」」」
「うっう~御免なさい、
嫁みたいな事は言わないで欲しいでござる」
「所でさ~アニタ様~ヤマダ様の所のご飯は美味しかったりする~?」
「「「「はい、天にも昇る美味しさですね」」」」
「皆ゴクリ!」皆
「ですよね~お菓子で此の味だもんな~
アニタ様~側室候補にまだ、枠は残って無い~?」
「えっ、ポニーどう言う事?」
「私もお嫁さんに貰って欲しいの~」
「えっ、其れは無理でしょう~」
「何でよ~」
「皆だって、ね~性格悪いし~」皆
「本当は良い娘なのよ~国を守る為に、アニタ様の為に、
不満を引き受けてるのよ~
本当は、良い娘なんだからね」
「フランカ、如何なの?娘がこう言って居るけれど?」
「・・・・・・・・」
「お、お母さん~!」
「と、言う事で、ポニーはタカシ様に紹介出来ません。
もう側室候補の人数、多過ぎて誰が誰やらだし~無理~」
「だったら私何て如何?アニー、私未亡人だし~
まだまだ、若いし~独り寝の夜が寂しいのよね~」
「お、お母さん~!」
「あら、親子どんぶりも良いものよ~
殿方は興奮するらしいわよ~」
「だめ~!」
「アロマ、年を考えて頂戴ね、タカシ様はまだ十五歳の少年だし、
此処には年頃の娘も居るんだから」
「あら、150歳の人に言われたく無いわ、
アニタ様貴方、若作りで分かりにくいけれど、確か、
老衰で死に掛けていたわよね~・・・・」
「ギクッ・・・・」
「うん?えっ貴方、肌の張りが良く成って無い~?
何か、十七歳位に見えるんですけど~???」
「そう言えば?アニーや、リニア、セリカに、サニー、
何か若く成って無い~?
あ~れれ~?そう言えばお付きの娘達も、
軒並み十七歳位に見えるわね~
如何いう事しょう~アニタ様~白状しなさい、さあ、さあ!」
「うっ!年増はこんな時、鋭いわ・・・・」
「乗組員企業秘密です」乗組員
「まあ良いわ、ね~ぇ、リ・ニ・ア~・
キシャ~~」
「ヒィイ~~!!」
女性は美容や若返り、美味しい食べ物や、ファッションには、
非常に敏感なのであった。