-70話ー 難民救済9 アイーダ伯爵夫人
ピピピピピピピ・・・・・・・・
『ダーリン、もう直ぐ夜が明けるっス~
起きて下さいっス~』
「う、う~ん、お早うリリ~」
昨晩は、バーベキューの後、宴会に成って、
其の後の記憶が無い
「ふぅあ~良く寝た~ん?」
何故か、シーツが盛り上がっている。??
シーツをめくって見ると、
右に、金髪の髪を三つ編みにした、綺麗なお姉さんと、
左に金髪のショートカットの、可愛いお姉さんが寝息を立てている?
「いや、問題は其処では無い、其処では無いのだ。
二人共、全裸なのだ。此れは、やっちまったか?」
と、獅子丸君を確認する俺、
「う~ん、昨夜は、後先分らなくなる位、酔っぱらって居た様だ。
使用は、不可だな、ましてや俺は、複数プレイはしない主義だ。
うん、無罪だな」
俺は、こっそりとベットから抜け出すと、そ~っと、
自分の服を着て、二人を起こさない様に、
「う~ん、赤龍の装備が、二人分脱ぎ散らかして有るね~
って事は、騎士団長のサラさんと、副団長の、レミーさんかね~
でも、何故に?昨夜何が有った?」
俺は、部屋を抜け出すと、屋上に造った風呂へと行った。
この土地が少し高台に成って居り、リリーが気を利かせて、
三階の上に湖の景色が見える様に風呂を造ってくれたのだ。
まあ、ネズの街の屋敷と同じ造りな訳だ。
俺は、魔道具で冷めた風呂の温度を、40度に設定すると、
水温計が上昇して、直ぐに40度になった。
「リリーの作った魔道具、ハンパね~」
掛かり湯をして風呂に浸かり、少し明るく成って来た湖を眺めながら、
「良い景色だね~風呂場も広いし、20人位は入るんじゃね?」
浴槽も10人位は入りそうだ。其れに、露天風呂も有る。
ぼ~っとお湯に浸かり、景色を眺めていると、
マリーとエメルダが、ドタ、ドタ、ドタ、と、
勢いよく入って来た。
「「タカシ様~ご無事で御座いますか~?」」
「うん?お早う、マリー、エメルダ。今朝は早いね~で、どしたの?」
「はい、昨夜は、不覚を取ってしまい、申し訳ありませんでした」
「ん?何で、謝んの?」
「タカシ様をサラ殿と、レミー殿に掻っ攫われましたので」
「はい~?」
「はい昨夜は酔っ払らわれた、アイーダ様が貴族の持て成しと、
酔っ払らわれた、タカシ様に夜伽を申し出られて」
「サラ殿が、アイーダ様は、亡くなられたご主人に、
操を立てて居られるので代わりに自分がと、其処にレミー殿も、
じゃあ、装備のお礼に私もと申されまして」
「私達も断ろうとしたのですが」
「足腰立たない程、酔って居りまして、其の~」
「他の王族の皆様も、酔い潰れて居りまして」
「「二人に担がれて行ったのです。申し訳御座いません~」」
と、ジャンピング土下座する二人。
「いや、良いって、謝んなくって良いって~
俺も、後先分んない位、酔っ払って居たし、
危険が有る訳じゃ無いし、何時もの事じゃん。
危険が有れば、ポチが黙って無いし~」
そう、殺気が有れば、先ずポチが黙って居無いのだ。
ポチは何も無い様に、湯船にプカ、プカ、浮いて居た。
「「タカシ様~御免なさ~い~」」
「其れに、彼女達も、ベットに入ったら其のまま寝てしまった様だし、
酔っぱらっている俺の獅子丸君は無害だからね、
泣かない、泣かない、良し良し、良い娘、良い娘~」
「「ふぇ~ん」」
「そんな感じだから、大丈夫だから、
二人共、掛かり湯をして、浸かろうか?」
マリーとエメルダは俺の両脇に浸かると、俺の腕を抱き締めて、
ようやく落ち着いた様だった。
何でも、居間で目が覚めたら、昨夜の光景を思い出して、
リリーに俺の居場所を聞いて、すっ飛んで来たのだそうだ。
「湖が綺麗だね~」
「「はい~綺麗ですね~」」
此の後、落ち着きを取り戻した
マリーとエメルダに体を洗って貰って居ると、
《ドドドドドドドドド・・・・・・》
全裸のサラさんとレミーさんが乱入して来た。
「ヤマダ様何故、
私達を置いてお風呂に入って居るのですか?」
「寝起きに抱いて貰おうと、楽しみにして居たのですよ」
「いや、いや、夜伽とか、要りませんから」
「「そお言う訳には、参りません!」」
「いや、いや、無理ですから、」
「ヤマダ様を御持て成しするとアイーダ様に
申し上げた手前、私共も引く訳にはいかないので御座います」
「「ですので、此処でも構いません。
さあ、抱いて下さいませ!さあ!」」
俺の前に、マリーとエメルダが、割り込んで、
「「二人共おさがりなさい、今ならまだ、笑い話で済みます」」
「「従者の方は黙って居て貰おう」」
「「私達はタカシ様の恋人です」」
「「はい~?」」
「其れに王族の姫様方は奥様方を除いて、
全員タカシ様の恋人です」
「「何ですと~!」」
「あなた方はタカシ様の恋人方と、事を構える覚悟は御有りか?」
「「ぐぬぬぬぬ!」」
「殿方に対してもてなしの夜伽位、普通では有りませぬか?」
「ましてや、館の主人が其の身を差し出すと言うのは、
最上級の持て成しで御座いますぞ」
へえ~最上級のお持て成しなんだ~
「貴方がたに一つ申し上げて置きます。
恋人に関しては大賢者リリー様が、取り仕切って居られます。
タカシ様の体調を管理し乍ら、
此処に来ている王族の姫様達ですら、まだ誰もタカシ様と、
デートはして居無いのです。恋人であるにも関わらずです。
皆順番を待ち、リリー様よりお声が掛かるのを待って居られます。
その順番を無視して、タカシ様を襲ったら、
姫様達の怒りを買う事は間違い無いでしょう。
其れでも、好きで堪らないのであれば、リリー様を通しなさい。
順番に混ぜて頂けるかも知れません。
順番に入れて頂けるかどうかは、貴方がた次第であると、心しなさい」
「「・・・・ははぁ~!」」
二人は見事にジャンピング土下座を決めたのだった。
「まあ、まあ、マリーもエメルダもそんなに怒らない。
酒の上の不埒は想定内ですから、
しかしまあ、しらふの時はもう少し、オブラートに包んでね、
で、サラさんと、レミーさんも一緒にお風呂に入りましょう。
良い景色ですよ。男女では有りますが、裸の付き合いと言う事で」
「「ははっ!今回の事は、私達の一存でした事、
アイーダ様は関係有りませんので、
私達の首二つで納めて頂きたい」」
「そんな事、しませんよ、昨夜の酒は美味かったし、
さあ、何時までも土下座なんてしてないで、
掛かり湯をして、入った、入った」
「「ははっ!」」
湯に入って俺の前に座った二人。
「あっサラさんの腹筋、凄いですね~
ポコポコしてますよ~ポコポコ」
「いや、その、お恥ずかしい」
「レミーさんも良く鍛えて居られますね~
俺は、弱いんで、羨ましいですよ~」
「「タカシ様はヒーラーですので其れで良いんですよ~」」
「えっでも俺、攻撃レベル1ですよ~
其の辺の酔っ払いのオヤジより弱いんですよ~」
「「へっ??」」
「ヤマダ様は先の悪魔との戦争で、十万の悪魔の軍勢を、
屠ったと聞きましたが?」
「ああ~其れね~俺、魔力量だけは多くて、
回復魔法で、悪魔を蹴散らしたんですよね~
攻撃力だけで言うと、ゴブリンも倒せませ~ん」
「「マジですか?」」
「マジです」
「少し、安心しました。十万の悪魔を倒した英雄とは、
どんな人なんだろうって、ずっと思って居ました」
「私達と同じで良かったです。って言うか、私、
好きに成っちゃいました。ですのでリリー様にお願いしてみます」
「そうですね、凄い事を成し遂げたのに、全然偉ぶる様子もなく、
平気で、自分はレベル1だと言える人なんですね、
私も、リリー様にお願いしてみますね、」
「お手柔らかにね~」
「「はっ!」」
俺達が風呂から出ると、既に、朝ご飯の用意が出来ていた。
昨夜の内に、食材が提供されて、
レシピは、リリーから授けて貰ったそうだ。
「食卓に付くと、青い顔をしたアイーダさんが、
俺の前で土下座して」
「ヤマダ様、申し訳御座いません。
全ては私の至らぬせいで御座います。
此の二人には罪は有りません。
私が、責任を取りますので、どうか。
サラとレミーを許して下さいます様に、伏してお願い申し上げます」
「アイーダ様、酒の席での事、謝罪の必要は有りませんよ、
其れに、昨夜の酒は、美味かったですよ」
「はい!」
アイーダさんは、お日様の様な笑顔で答えてくれた。
此の後、皆が集り、朝食を食べる迄、色々話を聞いた。
「アイーダ様、お持ちの手勢は、100人と聞いて居ますが、
伯爵夫人の手勢にしては少なく無いですか?」
「はい、主人が王都で処刑されたのを聞きいて、
直ぐに、モンスターパレードが有りました。
其の時に、難民に紛れて、王国を脱出したので御座いますが、
其の時は千を超える兵が居りましたが、
サラが、この数では移動に時間が掛かり過ぎるのと、
今の私の私財では、兵の維持が出来ない為に、
護衛の百名の精鋭を残して、泣く泣く解散致しました」
「ほ~成程ね~」
サラさんは、アレス王国でも10本の指に数えられる猛者。
その部下であれば・・・・
「結構、使えるんじゃね~
サラさん、レミーさん、解雇した兵達の再雇用は可能ですか?」
「はい、兵達もそうで御座いますが、
解雇したアレス王国の屋敷の下働きの者達も、
今は、難民に混ざって居ると思われますので、
招集を掛ければ、直ぐに集まるかと」
「ナイ~ス、では早速、兵と、下働きの人達を集めて下さい。
俺もエスカルの街に、拠点に成る家を構えようと考えているので、
幾人か下働きの人を雇いたいと思って居ますので」
俺はアイーダさんに追加の軍費に王金貨二枚を渡した。
サラさんは、早速、警護の兵を呼ぶとキャンプに向かわせた。
「ヤマダ様、有難う御座います。
此れで、難民の救助が迅速に行える事が出来ます。
雨季に入るまでにある程度の結果が出るでしょう」
そう、雨季に入ると、あらゆる動きが停滞してしまうのである。
しかも長い。其れ迄に出来る事はやり切っておく必要が有るのだ。
「私達は、難民救助作戦が終わった後、
何をすれば良いのでしょうか?」
「当面は移動する難民達の護衛と成ります。難民達が入植した後、
俺とタイゼン侯爵、ゲンマ子爵、デュラ男爵らと共に、
原始の森に沿った地域の領主に成って貰い、
今回の働きに見合った領地を支配していただく事に成るでしょう」
「そ、其れは太っ腹ですのね、頑張れば頑張った分だけ、
良い暮らしが出来ると言う事ですのね。
凄くやる気が出ますわ。」
「はい、アレス王国の英雄と、競える・・・・腕が成ります」
「しかし、ヤマダ様は凄い軍師なのですね」
「俺は唯の新米冒険者ですよ、
大賢者が、何時も傍にいてくれて居ますからね、
王様も、協力してくれてますし」
「うむ、良きに計らえ」
「皆さんも、大賢者リリーの知恵を借りる事が出来るのですよ」
「皆は~い、配下に成って、良かったで~す」皆
朝食が終わって、難民キャンプを訪問した。
「難民の皆さんの顔色も良いようですね」
「はい、此の辺りは、穀倉地帯が広がって居り、
食料が手に入りやすいのと、アレス王国の大商人のビトンさんの
援助を受けて、何とか凌げていますわ」
「援助と言う事は、借金が有るのですか?」
「はい、お恥ずかしい話ですけれど」
「失礼ですけど、おいくら位ですか?」
「金貨で500枚ですが、」
「約一億円か~白金貨十枚分だね、王金貨なら一枚か~
では、此れをお使いください」
俺はストレージから、白金貨百枚を皮袋に入れて、
アイーダさんに手渡して、
「白金貨百枚に成ります。私個人の財産から出して居ますので、
遠慮は無用です。俺は大切な配下の人達を生活に困らせる様な事はしません。
当座の生活費だと思って下さい」
アイーダさんは、少し考えて、深く頭を下げた。
「ヤマダ様、有難く頂戴いたします」
「はい、其の分しっかり働いて下さいね」
「はい、命にかえましても」
サラさんが俺の横に来て、小声で、
「アイーダ様は財産を使い果たした後、
大商人で親友のビトンさんに
ご自分の体を抵当に借金をされたのです。
アイーダ様は、アレス王国一の美女と謳われた方でも有り、
其の体を狙う大貴族も多いのです。
ビトンさんは抵当は不要、落ちる時は御供しますと仰いましたが、
アイーダ様は、落ちるのは私一人で十分。
其の時は後を頼みますと、仰って・・・・」
「ふむ、一度、其のビトンさんにも会ってみたいですね」
「今日、此の後来られると言って居られましたが」
「はい、其れは、楽しみですね」
此の後、ネズの街の難民村と同じ砦を築いた。
更に皆、大きな口を開けて、驚いて居たのだった。