-68話ー 難民救済7 休養
翌日俺達は、朝食を済ませた後難民キャンプに行き、
剣道場と、柔、空手道場を建てた。何方も備品込みだ。
ネズの街での予定を終えた俺達は、其の足で、ネズの港へと向かった。
「艦長、アニタ様の方はどうなったか聞いてますか?」
「はいタカシ様、昨日王都に戻って来て居りますわ。
今日は、此方に来られる予定ですのよ。」
「はいそうですか。タイゼンさん、ミューズさん、
今日は聖女、アニタ様が来てくれるので、
難民キャンプの視察をお願いされると、良いと思います」
「お、女教皇で、聖女であらせられる。アニタ様ですか~!?」
「そうですけど?」
「皆な、なんと、恐れ多い・・・・」皆
「そうなんですか?まあ、王国の復興に、
力を貸して頂いて居るので、利用して下さい。
難民の皆さんも、
此れで元気が出るのであれば、良いと思いますよ」
「承知致しました。で、護衛は如何いたしましょう?」
「えっ、別に要らないですよ、護衛には、赤き神龍の
ルビーに付いて貰って居ますから」
「皆あ~必要無いですね~」皆
港へ着くと、艦長がストレージから赤龍号を船着き場に出した。
何か、近くに居た人達が、顎が外れる位驚いて居たのだが、
「じゃあ、皆さん、後の事は宜しくお願いしますね。
分からない事が有りましたら、リリーとよく相談して下さい。
俺の方にも、何時でも念話で相談して下さい」
「皆承知致しました」皆
「其れと此の後、訪れる補給部隊の宿泊施設に、
屋敷を使って貰って下さいね」
「はい、承知致しました。で、ヤマダ様は、
今度、何時いらっしゃいますか?」
「そうですね~難民救助作戦の間は、飛空艇三隻で、
物資の補給を行いますので、何度か訪れる事に成るかと思います。
少なくとも、雨季に入る迄に、物資を貯めて置きたいですからね」
そう、此の国には、雨季が有るのだ。
二か月間ほぼ毎日雨が降る。日本の梅雨のもっと
激しい雨の季節と言えば、分かりやすいだろうか?
あちこちに、この季節限定の池や湖が出来。街道は寸断され、
人や物流が滞る。冬の雪と二分する経済が麻痺する季節だ。
今は4月の終わりだが、6月の中頃から、雨季に入って、
8月の終わり頃まで続くのだ。
雨季が過ぎれば、暑く、長い夏,乾季がやって来る。
夏は、8月の終わり頃から、11月の終わり頃迄続く、
長く厳しい季節だ。
「はい!お待ちして居ります!」
「では、皆さん、後お願いします」
「皆はい!お任せ下さい!」皆
俺達は一路、飛空艇で、拠点に向かった。拠点に向かう途中、念話で、
『アニタ様、アニタ様、今良いですか~?』
『はい、旦那様、大丈夫で御座います』
旦那様なんだ~アニタ様の方がずっと偉いのに。
『はい、では、情報の交換をして置きたいと思います』
『はい、エスカル湖方面で御座いますが、先ず、
難民の数が約六千人で御座います。
エスカルの街で御座いますが、代官は、エリーナ、ミリオネラ子爵婦人。
そして難民達の代表が、アイーダ、ゾルエイル伯爵夫人です。
二百名の騎士を連れて居り、難民を守って居ます。
アイーダ様は現在、住宅街の外れの民家を仮住まいとされて居り、
代官と、エスカルの教会と、商人ギルドの協力を仰いで、
難民達を保護して居られます』
『此方、ネズ湖方面は、難民、約三万二千人、
代官は、ミューズ、フリッカ男爵夫人。
そして難民を保護して居るのが、タイゼン、ジオン侯爵。
ゲンマ、ビナス子爵、デュラ、ゴリアテ男爵で、兵力が三千五百人。
皆さん、現在俺の配下と成って居ます。
タイゼンさんは、俺が建てた屋敷に入居して貰って居ます。
其処を、難民救助の拠点としました。
現在、難民救助作戦の第一陣として、騎士五百名が、
アレス王国に入りました。難民キャンプと、兵の施設なども
新しく立て直して居ます。
ネズの街での俺の拠点も建てたので、行ったら利用して下さい』
『まあ、其れは楽しみですね。皆で利用させて頂きますね』
『四階の露天風呂の景色は、最高ですよ』
『はい、期待して居ますわ。エスカルの街の方ですが、
騎士が二百名と言う事も有り、百名が湖を渡って、
アレス王国に入りましたが、
一旦その中の五十名が情報を集めに、散っています。
今日位にアレス王国内に入って居ると思います。
アイーダ様は、旦那様が、度重なる王国の重税に耐えかねて、
国王に直訴しに行ったのだそうですが、
逆に冤罪をでっちあげられて、処刑されたそうです。
夫人は領地を没収される前に、モンスターパレードに見舞われて、
王都から脱出する平民と一緒に、領地を捨てたのだそうです。
其の時に領民と一緒に付き従った。騎士達が今も、
アイーダ様と難民を、盗賊などから保護しながら、
付き従って居ます』
『其れは、中々に優秀な騎士達なのですね』
『はい、中でも騎士団長は、女性ですが、
王国十指に入る猛者だそうです』
『うっ、何か怖そうですね~』
『はい、どの国も女性が、大半を占めますので、
女性の中から英雄が出やすいのです。
旦那様もモテモテでは無いですか~』
『はい、すんません』
『では、旦那様、お会いする時を楽しみに待って居ますね~』
『はいです。っとネズの街の難民キャンプの、
視察もお願いしますね~』
『勿の論ですわ、では』
「アニタ様にやけて、如何されたのですか?」
「はい、念話で、愛する旦那様と、近況の報告をして居りました。
ネズの街に屋敷を購入されたそうですよ、
とても、見晴らしの良い、お風呂が自慢だそうです。
楽しみですね」
「其れは、楽しみって、アニタ様だけ、タカシ様と、
お話しされて、ずるいです~」
「ふふふ、役得です」
昼過ぎには拠点に帰る事が出来た。
昼食を取りに食堂へ行くと、
丁度王様が居たので、ネズの街の報告をした。
ほうれんそうは、大事だよね。
「王様、ネズの街では、タイゼン侯爵と、ゲンマ子爵、
デュラ男爵の協力を仰ぐ事が、出来ました。
此処の戦力は3500名の騎士達です。
で、白龍騎士団を創設しました」
「タカシ殿、お疲れ様で御座いました。
其れはそうと、中々の戦力で御座いますな。
此れは、難民救助作戦が終了した後も、期待できますな」
「そうですね、現状は、騎士達も食料不足で痩せては居ますが、
潤沢な食糧支援と、砦の構築。
難民キャンプ村の建設。鍛錬所の建設。
と種をまいて居ります。
既に難民救助隊500名が、
アレス王国に向けて出発して居るので、
雨季に入る前には、成果が出だすでしょう。
そして、其の頃には、
騎士達にはレベルアップ、ブートキャンプを、
予定して居ます」
「其れは素晴らしい、で、ブートキャンプって何?」
「はい、騎士達の基礎体力が、上がり、
ある程度武術が身に着いたら、原始の森で、
騎士達にレベル上げの修行を行おうと考えています」
「おお~なるほど~タカシ殿、
出来れば黒龍騎士団や、赤龍騎士団も参加させて頂きたい」
「勿論。ヨシュア王国の兵力は少なく、その穴を埋める為には、
レベルの底上げが、必須と成りますからね~
今も、黒龍騎士団、赤龍騎士団には、
武術の修行に明け暮れて貰って居ます」
「其れは、先行きが、楽しみで御座いますな」
「所で王様、サファイヤ達黒龍号の皆は如何して居ますか?」
「はい、サファイヤ様で御座いましたら、今日の朝食の後、
フノス様と、エスカル湖に向けて、出発されました。
明日、お戻りに成る予定で御座います」
「成程、そうしたら、赤龍号は、今日は、物資の積み込みをして、
明日、エスカルの街に、向かいましょうか」
「はい、では、その様に手配、致しましょう。
所で、タカシ殿」
「はい、何でしょう、王様?」
「宰相のジョンも戻って来たので、その~
あの~わしも行きたいのですが~」
「はい?王様の仕事をほっぽっといて良いのですか~?」
「いいえ~明日。明後日の仕事も今日中に片付けて置きますので~
何とか~連れて行っては貰えますまいか?」
「はい明日、明後日の仕事を片付けたら、
他の人からも、文句は出ないですね~OKです。
一緒に参りましょう」
ガッツポーズをする王様。
そんなに飛空艇に乗りたかったのね。
「では、タカシ殿、午後の仕事に向かいます。
フフフ~ン、フフフ~ン、フフフ~ン」
王様は、スキップしながら食堂を出て行った。
今日のお昼ご飯は、わらじハンバーグ定食だ。うん美味~い。
デザートは、ストロベリーサンデーだ。女性陣が大喜びして居る。
「さてと、此の後どうするかね~時間が空いちゃったわ~
スパリゾートでゆっくりするかね~」
大浴場で疲れを取って居たら、ブラウニーのブラウンがやって来て、
全身マッサージしてくれた。気持ち良~い。
「旦那様、お疲れ様で御座いますね。今日は、
じっくりと、全身マッサージ致しますね」
「あっあ~ん、気持ち良い~っスわ~ブラウ~ン、
愛して居るよ~」
「私も愛して居ます。ぽっ」
『ダーリン、私の真似をしないで欲しいっス』
『・・御免なさい』
風呂から出ると、いつもの様に、ポチと、コーヒー牛乳を飲んで、
暫し其の辺をうろついて、畳みの広い休憩室で横に成って、
アニメを見ていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。
休憩室で目が覚めると、ポチが胸の上でべちゃ~と成って、
張り付き、寝ていた。ポチは、俺と一緒の時は、何時も無警戒で、
脱力している。リラックス状態なのかね~?
「う~ん、良く寝た~ポチ、散歩にいこうか?」
「は~い、ますた~」
と、俺の頭に張り付いた。俺の両脇で、いつの間にかに、
やって来て、よだれを垂れ乍ら、寝ているマリーとエメルダに、
「今から散歩に行くけど、マリーとエメルダも一緒にどう?」
「「ふわ~あ~、う~ん、は~い、お供しま~す~」」
俺は頭にポチを乗せて、マリーとエメルダを連れて、
王宮に有る屋敷のドアから出ると、浴衣姿のまま下駄ばきで、
カラン、コロンと庭園を散歩した。
脱力感が半端無い。日は既に傾いて、夕暮れ時だ。
王宮も、新たに下働きの者を雇い入れて居り、
手入れが行き届いている。俺は、大きく伸びをすると、
「う~ん、癒されるね~」
「「はい、そうですね~」」
俺達三人は、力が抜けまくっていた。頭の上のポチは、
まあ、平常運転だな。
小一時間程、緩~く散歩して居ると、暗く成って来た。
『旦那様~お食事の用意が、出来ました~ぽっ』
ブラウンから、念話が届いたので、食堂へ、
皆で、席に付くと、ブラウンがやって来て、
「旦那様、今日の夕食は、天津炒飯と、レバニラ炒めに
餃子で御座います。お疲れの様なので、
精の付く食事を用意させて頂きました」
「ブラウンはいつも優しいね~体調に気を使ってくれて、有難う」
「愛する旦那様を気遣うのは、
当たり前の事で御座いますよ・・ぽっ」
と言って、ととととと・・・・と厨房に、駆けて行った。
「うん、美味い!」
疲れた体に染み渡る様だ。デザートの杏仁豆腐も
とても美味しかった。厨房に入れる時は、
ポチも厨房に入って居るが、
今の様に、俺と一緒の時は、厨房はブラウンに任せている。
食事が終わると、ティンク達がやって来て、
「タカシ~寂しかったのじゃ~今日は一緒に飲むのじゃ~」
「そうですわ、たまには、私もタカシ様と一緒に飲みたいですわ」
「そ、そうなんだな、たまには、構って欲しいんだな」
「そうどすな~構って欲しいどすえ~」
「私も、構って欲しいです~」
「皆、有難う、長い時間は無理だけど、久し振りに、飲みますか」
「「は~い」」
皆と、たわいもない話を肴に、一杯飲んだ。
「うん、楽しいね~」
此の後、結構遅くまで、飲んで、
「うい~、酔っちゃったよ~其れじゃ~
明日も有るから、先に寝るよ~皆~お休み~」
「皆は~い、お休み~(なのじゃ)(ですわ)(な、なんだな)
(どすえ~)(なさ~い)」皆
俺は、
自室に戻り、ベットに寝転がり、天上を見乍ら、
「何か、今日はゆっくりしたよな~しかし、
ちょっと体が重かったよな~何でだろう?」
『さ~何でですかね~っス~まあ、
明日には戻って居るんじゃないっスかね~』
『だといいね~んじゃリリーお休み~』
『はい、ダーリン、ゆっくり休むッス、お休みなさいッス』