-66話ー 難民救済5 ネズの街の拠点造営
翌朝、朝食を食べ終わると、
「タイゼンさん、俺達はそろそろ出発します」
「うん?帰りの飛空艇が到着するのは昼頃では
有りませんでしたかな?」
「そうなんですが、俺も、拠点に成る家を一軒
購入して置こうかと思いましてね」
「おお~それでしたら、私達も御供いたしましょう」
「其れはまあ、構わないのですが、仕事の方は宜しいのですか?」
「キャンプには、ヤマダ様を見送ってから、行くと
申しつけて居ります」
「私も、仕事の方は大丈夫で御座います。代官が一緒であれば、
ぼられる事も無いと思いますので、其れに、
ヤマダ様の此の街での拠点は、
私も見て置きたいですわ」
「はい、そうですか、では行きましょうか?」
「配下は~い」配下
出発したのは良いのだが、奥方様方や、子供達迄ついて来た。
「家で留守番して居るのも良いのですが、
たまには、主人とデートがしたいですわ」
だって、
タイゼンさんの屋敷から、徒歩で半時間位歩くと、
街の中心部に出た。其処から又10分ほど歩いて行った所に
住宅ギルドがあった。
ぞろぞろと、建物の中に入って行くと、
清楚なワンピースを着た背は低く、幅は少し広いかな?
がっちりして居る感じだ
。此の娘ドワーフかな?が、出迎えてくれた。
「本日はどのような御用件で御座いましょう?」
すると、ミューズさんが、
「家を買いに来た。何か良い物件はあるか?」
「これは、ミューズ、フリッカ男爵閣下、
良くおいで下さりました。
物件について、何かご希望がおありで御座いましょうか?」
「いや、今日家を見に来たのは、私ではなく、此方におわす、
ヤマダ、タカシ閣下である。
国王陛下の勅使として、此方へ参られておる。
失礼の無い様に」
ドワーフの女性は、驚いた顔で俺を見ると、
スカートのすそを摘まんで頭を下げ、
「失礼いたしました。ヤマダ、タカシ閣下。で、
どの様な物件をお探しで御座いましょう?」
そら、驚くよね~迷彩柄のポンチョに、オフロード用の
プロテクターだもんね。
「いや娘さん、敬称は無しで、公の場では有りませんし、
俺は、新米冒険者ですからね~
其れと、ミューズさんも、そんな大層な紹介の仕方はやめて、
俺がビビるから」
「そお言う訳には参りません。
ヤマダ様を蔑ろになんかしたら、
私の首が飛びまする。其れに、敬愛するヤマダ様を
蔑ろにするものが居れば許せませんし、
許すつもりも有りません!成敗してくれます。」
言い切っちゃったよこの人~
「すいませんね~娘さん、此の人、頭が固いみたいなので、
取り敢えず、敬称は無しと言う事で」
「・・・・は、はあ~取り敢えず、此方へ」
俺達は大きいテーブルに案内されて、席に付いた。
奥様方には、椅子を出して貰って、座って貰った。
「私の話をする前にタイゼンさんの家は借家ですね。」
「はい、そうですが、」
「此処の住宅ギルドで管理しているのですか?」
「はいそうでございます。
当ギルドの賃貸住宅で間違いありません。」
「はい、そうですかあの家なのですが、
買い取ることは可能でしょうか?」
「勿論可能でございます。当ギルドの持ち家ですので、
販売も致しております。
冒険者さん等はクランも借家が殆どで御座いますが、
大儲けをされたクラン等は其のまま借家を購入される方も、
多いですね。」
「で、お幾ら万円?」
ギルドの女性は、棚にある羊皮紙の束を取り出すと、
その中から1枚を取り出して、此方に来た。
「万円?はい、タイゼン様の借家は、
元々は農家の家屋付きの畑と成っておりますし、
場所も東門の近くで、余り人気があるとは言えませんので、
金貨150枚と成って居りますね。」
「はい、了解しました。」
タカシは金貨100枚入りの革袋を出して手渡し、
残りの50枚を懐から出したように見せかけ、ストレージから出すと、
枚数を数えて手渡した。
ギルドの女性は150枚の金貨を数えると、
「はい、150枚間違いございませんね、」
と言って又棚の方へ行き引き出しの中から、
1枚の羊皮紙を持って来た。
「タイゼン様、此方が借家の権利書と成ります。
大切な物ですので、無くさない様にして下さいね、」
「ヤマダ様、流石に此れは受け取る訳には参りません。」
「タイゼンさん、衣、食、住、を保証すると俺は言いましたよね、
其れに此処を拠点としますので、王国から費用は出して頂きます。」
「そう言う事であれば承知いたしました。」
「それで、次に俺が求めている物件は、取り敢えず、
郊外で広い庭が有れば良いです。
家は、小さい物で構いません。廃墟でも問題無いでしょう。
家屋は無かっても良いです。出来たら、お安い物をと思っています。」
「要は、広い敷地をお求めなので御座いますね。
冒険者さんなら、ギルド近くがお勧めなので御座いますが、
街の中心部に成りますので値段も高く、
敷地も狭いので条件に合いません。
広い敷地でと成りますと、やはり郊外と成りますね」
住宅ギルドの娘さんは、幾つも有る棚から、
羊皮紙を取り出してはなおしている。其の中から、
20枚程の羊皮紙を持って来た。
此のネズの街はネズ湖に面して居て、高さ6Ⅿ程の城壁が、
楕円に囲んで居る。周囲は約10キロ程だ。
原始の森が近い為に魔物の素材の輸出入の重要拠点だ。
アレス王国との貿易も盛んである。
王国の直轄領と言う事も有り、
街の規模は大きいと言えるだろう。
原始の森からの街道の、拠点でも有る訳だ。
この街道は王都に迄、繋がっている。
ヨシュア王国の商人にとっても、重要拠点であり、
冒険者にとっても、重要拠点な訳である。
幾つものクランが存在する。
その為、町の人口は、商人や、冒険者が多いのだ。
門は、東、西、南、北、南門が正門で、街道沿いに有る。
東門は農村地帯に繋がって居り、傍に難民キャンプが有る。
北門は、ネズ湖の港の入り口と成り、西門は、
此れも、農村部につずいて居る。
「港の入り口である北門と、街道筋の南門の付近の物件は、
条件が良いので人気も有り、かなりの割高と成って居ります。
値段的にお勧めは、西門付近と、東門付近と成り、
7件御座います」
「では、東門付近の物件を教えて下さい」
「はい、此方の5件と成ります」
係りの女性に、5枚の羊皮紙に掛かれた物件を見せて貰った。
物件はどれも、鉛筆の様な木炭で、平面図がかかれており、
大きさも記入されて、結構分かりやすい物だった。
流石ドワーフ、と言った所か。
其の中で、大きな敷地の図面を選んで、
「此れは?」
「はい、此方は、土地の広さは申し分ないのですが、
元々は、東の農村部を管理されて居た、さる、貴族のお屋敷でしたが、
50年程前に、火事に見舞われまして」
「亡くなられたのですか?」
「いえ、貴族のご家族や下働きの者達は無事でした。
しかし、石造りのお屋敷だった為に、
廃墟と成って居りまして、その~
石を撤去するだけでも大金が掛かってしまいますので、
売れ残って居ります。
人気の南門や、北門で有れば、販売は出来たのでしょうが、
利便性の低い東門付近ですので、売れ残って居ります。
土魔法を使う魔法使いを雇うのも、大金が掛かりますので」
「ほほう、で、気に成るお値段は?」
「はい、此の様な事故物件で御座いますので、
金貨、10枚に設定して居ります」
「や、安っす~其れで採算が取れるのですか?」
「はい、権利を買い取った値段も、二束三文ですし、
管理もされて居りません。要は捨て値と言う事に成りますね。
この様な物件は幾つも有りますが、買い手が付く事は先ず有りません。
瓦礫の撤去だけで、家が建つくらいの費用が掛かる為です。
更地に家を建てた方が、遥かに安く付きますので。
外壁の中とは言え、人口も多くはありませんし。
人気の区画以外でしたら、土地は空いて居りますので、
その為、此の様な事故物件は、管理もされず、
何百年も放置されて、
浮浪者の住処に成る事も、しばしばですね~」
「そ、そうなんですか~いや、勉強に成ります」
「この物件に関しましては、外壁や、門などもしっかりして居るので、
浮浪者の住処には成って居無いでしょう。
どうでしょう、見学に行きますか?」
「そうですね、見たいですね」
「では、参りましょう」
小一時間程掛けて、物件の前まで来た。タイゼンさんの屋敷から、
10分位の所だ。途中タイゼンさんの屋敷の前を通った時に
奥様方は屋敷に戻って行った。
「あの~タイゼン様、あのお屋敷は?
この間前を通った時には見掛けませんでしたが?」
「うむ、ひ・み・つ・である」
住宅ギルドの娘さんは、何か納得したように、
「ヤマダ様は、凄い魔導士様なのですね」
俺は、にこりと返して置いた。
住宅ギルドの娘さんは古びた錆びだらけの鉄の門の横に有る、
通用口に巻かれた鎖に付けられた南京錠を力任せにガチャリと外すと、
ぎぎぎぎ・・・・と、扉をこじ開けた。
凄い力技である。流石ドワーフ、俺達は其のまま庭に、
出る事が出来ないので、(出入り口は雑草で塞がれて居た。)
門の横に取り付けて有る石の階段を上った。
当時の外壁の見張り台だ。
円筒形の塔で螺旋階段が付いている。
其のまま外壁の上を、歩ける様だ。
石造りの外壁の高さは5Ⅿと行った所か。幅は2Ⅿ位で、
しっかりした造りに成って居る。ただ、
上から見下ろす元庭園であったであろう空間は、
森に成って居た。
その隙間からは、背丈位にまで伸びた雑草に覆われて居り、
其処、彼処から、遺跡の様に石材が散乱して居た。
「此れが金貨10枚の正体ですか。確かに、普通であれば
売れませんよね~しかし・・・・」
敷地面積は凄く広かった。多分、学校位は有るのでは無いかな?
「う~む、魔物が湧いて居ても、おかしくは無い景色ですな」
「「「うん、うん」」」
「如何で御座いますか?状態はこの様に成っては居りますが、
敷地面積だけは、この街でも一、二、を争います。
景色も、湖を一望出来る高台で御座います」
確かに、家々の屋根の向こうに湖が見える。中々の見晴らしだ。
気付かんかったわ~此処に来るまでそんなにきつい坂も無かったし。
「そうで御座いますな、私の屋敷の敷地の2倍以上有るでしょうな」
「うん、良いでしょう、購入しましょう」
即決である。
「では、ギルドに戻りまして、購入手続きを居たしましょう」
又、小一時間程掛けて、ギルドの前まで戻って来ると、
何やら、ギルド内が騒がしいような?
ギルドの中に入ると、飛空艇のメンバーが椅子に座って、
ギルドの接待を受けていた。
「あっ、艦長、もう此方に戻られておいででしたか」
「はい、タカシ様。此の者たちに聞きましたら、何やら、
屋敷を見に行って居られるとかで、
待たせて頂いて居りました。
で、何か良い屋敷は御座いましたか?」
何でも、アレス王国側に積み荷も降ろして、早くに着いたので、
代官所に行って聞いたら、屋敷を購入しに住宅ギルドの方へ、
行って居ると聞いて、ギルドの方へ来たのだそうだ。
「はい、この街でも一、二、の敷地面積の廃墟を
金貨10枚で購入する事が出来ました」
「まあ、其れはお安い!流石はタカシ様ですわ」
俺は周りを見回すと、
「皆、何で跪いて居るの?」
「ヤマダ様こそ、王族の皆様が、何で此の様な、
辺境に居られるので御座いますか?」
「飛空艇のクルーです。」
「私はバーバラ、飛空艇の艦長です。皆の代表をして居ます。」
「王母様~!?」
若返って居る王母様を見て、皆驚いて居た。
「今は、公の場では有りません。礼を取る事も、敬称も、
必要ありません。無礼講です。宜しいですね」
「皆は、は~」皆
「では、早速、購入の手続きして頂けますか?」
「はい、では、此方にお座りください」
俺が席に付くと、住宅ギルドの娘さんが手続き用の羊皮紙を取り出して、
必要事項の記入を行ってから、
「では、ヤマダ様、費用の金貨10枚を申し受けます」
俺は、金貨10枚を手渡すと、
「では、この物件はヤマダ様の物と成りました。
此の証書は、何かあった時の証拠と成りますので、
無くさない様に、大切に保管して居て下さい。
此れで、契約完了で御座います」
と、物件の鍵を受け取った。
金貨1枚は日本の物価で言えば、約20万円に相当する。
10枚で、200万円だ。
この物件はまあ、捨て値の、捨て値と行った所か。
此れだけの広い土地で在れば、土地の価値だけで、
ん十億円は下らないだろう。
50年の歳月は、ん十億円の価値を、200万円に迄引き下げていた。
もし、魔物が発生すれば、住宅ギルドが討伐する責任が発生する為に、
損してでも、売り切りたい訳である。
その分、他の所で、利益を得る訳だが、こんな事故物件、
幾つも抱えている。住宅ギルドは大変だな~と、思った。
「さてと、クルーの皆さん今から家を建てに行きますが、
如何されます?」
「クルーは~い、一緒に行きま~す~」クルー
「じゃあ、行きますか~」
又、小一時間掛けて、廃墟へと向かった。中々大変である。
廃墟に向かう途中、俺はリリーに
『リリー、3階建ての屋敷を4階にして、
大浴場と露天風呂作れない?ロケーションも良さげだし~』
『1階建て増す訳っスね~
そうっスね~建物の強度計算やり直さないとダメっスね~
現場に着く迄にやって置くっス~』
『何時も有難う!』
『任せて置くっス~』
廃墟に着くと一度みんなで、外壁に上がり
廃墟の見学をした。
「此れが廃墟と言う物ですか、凄い事に成って居ますね」
「クルーうん、うん」クルー
鉄の門を開いて、一度みんな外へ出ると、
「そしたら、家を建てますね」
「皆は~い、わく、わく」皆
≪クリエート、ガーデン、パレス!≫
目の前で、鬱蒼とした森が、ストレージに回収され、
木材として在庫され、再利用出来る物も回収されて行く。
上下水道が構築されて、屋敷が生えて来る。
基本は、拠点と同じ建物では有るが、新たに、
大浴場の四階部分が、乗って居る。改造した所だな。
近くには、三階建ての下働き用の宿舎が建ち、
豪華な庭園が生えて来た。俺の好みと言うよりは、
リリーの好みの様だ。まあ、離宮と言ったら良いのかね~
豪華な、別荘だな。建物は、豪華な石造りで真っ白で眩しい。
貴重なガラスがふんだんに使われている。
最後に、馬屋や兵舎付きの外壁が生えて来た。
皆、分かっては居るのだろうが、其れでも驚いている。
ネズの街の拠点の完成だ。
「あ~し・ん・ど~」
「皆でしょうね~」皆




