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-56話ー 飛空艇艦長、セリカ


「はっ!!」



ばっ!!と起き上がるセリカ艦長、


辺りを見回して今が夜中である事を悟ると、


頭を抱えてしまった。



「うううう・・・・こんなことをしている場合では無いわ!」



ベッドから飛び起きると窓の方へ行き、外を確かめると、


少し闇が薄く成って来ている。



「夜明けが近いわ、ま、不味い、あんな約束して置いて、


私がすっぽかすなんて、


有り得ないわ、一世一代の大博打なのに~私のバカ~!!


はっ!まだ待ってくれて居るかも?


いいえ、有り得無いわ~もし、仮に待って居てくれたとしても



何て言うのよ私~!!


酔いつぶれて寝てました~って?・・・・死にたい・・・・


って言って居る場合じゃ無いわ!」



乱れた衣服のまま、


裸足で部屋を飛び出すと庭園の端のベンチに向かってすっ飛んで行った。


タカシは丸く成って、ブルブルと震えながら、よだれを垂らして、時折、


ぷ~っ何て音を立て乍ら熟睡していた。



「はあ、はあ、はあ、はあ、ま、待って居てくれたのね、


何て優しい方なのかしら、


春とは言えまだまだ冷えるのに、御免なさいタカシ様」



セリカ艦長は、タカシの頭を持ち上げて、


ベンチに座ると、其のまま


タカシの頭を膝に乗せて、タカシの額にキスをし乍ら、



「御免なさい、様御免なさいタカシ様、


此のお詫びは必ず致しますね、ちゅっ」



と、安心したのと、


まだアルコールが残って居たのに全速力で走った為に、


セリカ艦長は目を回してしまった。



「あっ、地面が回る~ふにょっ」



セリカ艦長は、タカシの股座に顔を埋める形で気を失った。


タカシも又寝返りを打って、


乱れた衣服のセリカの腰を抱きしめて、


股座に顔を埋めて居た。寒いし


目の前のドロワーズが眩しい・・・・



其の頃サニー副艦長は


便器を抱きしめて大いびきをかいていた。・・・・



「ぐご~~うううん・・・・


タカシ様~えへへへへ~ちゅっ!ぐご~~っつ」



・・・・・ちゅん、ちゅん、ちゅん・・・・



「あっ、こんな所に居た。


な、何て羨ましい・・・・もとい、破廉恥な、


リニア様~こんなところに居ました~


殿方とえらい格好で~!!」



「やっと見つけたでござる。


って、何とも羨ましいカッコで寝て居るでござるな~


殿方の股座に顔を突っ込んで~殿方もセリカの股座、


カボチャパンツに顔を突っ込んで


熱い息を吹きかけて居るでござるな~


拙者と変わって欲しいでござるよ~」



「リニア~セリカ艦長は見つかった~?」



「あっ、アニタ様~見つけたでござる~


凄っごく羨ましい事に成って居るでござる~」



「何それ?あら本当ね、私はもう旦那様が居ますので、


別に羨ましく何かは・・・・」



「ん?アニタ様如何なされましたでござるか?」



アニタは、わなわな震え乍ら、



「た、タカシ様~!!?」



其の後、叩き起こされたタカシと、セリカ、


セリカは、目覚めて直ぐに



「私~な、何て恥ずかしい格好なの~」



と、両手で顔を覆い大泣きしたので、俺が悪者と成った。


俺は、


小径の石畳の上に正座させられて説教を喰らって居た。って・・・・


俺が悪いの~ね~俺が悪いの~教えて~



「アニタ様如何いたすでござるか?


此のまま成敗、致しましょうか?」



すると、アニタとアニーとセリカが、



「「「成敗はダメ~」」」



「そうでござるか、


新しい刀の切れ味を試せると思ったのに残念でござる。」



「ってリニア、貴方もタカシ様の恋人でしょうに、如何したのよ、」



「拙者、此の様な優柔不断な男は嫌いでござる。


ましてや女を泣かせるなど言語道断でござる。


恋人関係は白紙に致すでござる」



「はい、承知致しました。で、皆さんは如何しますか?」



「私は、既に神に祝福されて居ります。


タカシ様の進まれる道を一緒に歩んで参ります。


例え其れが茨の道でもです。此れは変わりません」



「私もです。


恐らく此れが最後のチャンスとなるでしょう、


死んでも逃しません!


リニアは一生独身で居なさい、私は幸せな家庭を築きます。


リニア、貴方は間違って居ます。


女神様やアニタ様が一目惚れするような方ですよ、



今後も、女の100人や1000人位は、出来るに違いありません、


ましてや其の恋人達をリリー様が平等に


一括管理されて居ます。更に全ての眷属、配下の


相談役でも有ると聞いて居ります。


側室間でのいざこざは起こらないでしょう



リニア、貴方は真っ直ぐですが頭が固い、


嫌いでは有りませんが、此のままでは


タカシ様に迷惑が掛かってしまいます。」



「ぐぬぬぬぬ・・・・武士に二言は御座らん!!」



いやいや、


数日前に恋人にしてくれと言っていきなりの恋人関係解消って、


充分に二言でしょう、切られるの嫌だから言わないけど~



「御免なさい、御免なさい、御免なさい、


全て、私が悪いの~


昨日、タカシ様の歌声を聞いて、一目惚れして、


こんな凄い人だったなんて、知らなくて、


無理言って、夜に待って居るから必ず来てって


一方的に約束しておいて、



胸のどきどきが止まらなくて、


サニーに強いお酒飲ませて貰ったら、酔い潰れちゃって、


気付いたら夜明け前で、


ダッシュで此処に来たら・・・・タカシ様、


丸く成って震えながら寝てたの、


其のお姿を見たら、愛おしくて、愛おしくて、



膝枕し乍らタカシ様のお顔を抱きしめて居たら


まだ、お酒が残ってて、走ったせいも有って、


目を回して其のまま気を失ってしまったの、


私の一方的な約束のせいで迷惑を掛けてしまって、


タカシ様・・・・本当に御免なさい、


かくなる上は、私の命を持って償わせて頂きます」



「「「な、なんですと~歌声って何!!」」」



「昨日の宴の時、何処からとも無く聞いた事の無い楽器の音色と、


素敵な歌声が聞こえて来て、


私と、サニーは歌声のする方へ誘われまして、来てみますと、


タカシ様がぎたーと言う楽器を奏でながら、


素敵な歌を歌って居られました。



曲が終わった所で私達は、


タカシ様に歌を聞かせて頂く様にお願いして、


其処の花壇の淵に腰を掛けて、


時間も忘れて、聞き入って居りましたら・・・・


ふと、幸せな家庭で愛する旦那様の歌を聞いて居る


自分の姿が重なってしまって、



思わずタカシ様に、今夜、


此処でお待ちして居るので必ず来てその・・・・


私を恋人にして下さいと、無茶なお願いをしたのです、其の~


タカシ様を知る一番の早道かと思いまして、


私の一生を掛けるだけの価値が有ると判断致しました」



「ふ~ん、じゃあ~タカシ様は、


セリカの弱みに付け込んで襲いに来たのですね~」



「いいえ私の後、サニーが恋人にして下さいと


お願い致して居たと・・・・」



「「「な、なんですと~」」」



「へ~え~、ダブルでぽんですか~?


タカシ様~良い御身分ですね~」



「こ、此の女の敵めっ!手討ちにしてくれる~!」



「「「ダ~メ~!!」」」



「リニアったら貴方は本当にもう、


サニーが絡んで居るのであれば、恐らくは、


タカシ様が来なければ、


セリカが自害するとでも言ったのでしょうね、其の上で


あの娘も後を追う位の事は言って居そうですね、」



「そうですね~あの娘は、


自分の欲望には忠実な娘ですからね~」



「な、何と、こずるい」



「リニア、貴方は~やっぱり一生独身で居なさい。迷惑です」



「そ、そんなあ~」



「それで~死なれても困るので、


直接会って、恋人にするから今日の所は


大人しく帰りなさいと言う所が落とし所ですかね~


寝て無ければね~タカシ様~」



「何故にそこ迄・・・・」



「アニタ殿、アニー殿なぜそこ迄分かるのでござるか?」



「リニアばかなの?


貴方あほなの?大体タカシ様はつい一昨日迄療養で


寝てたのよ~其れが行き成り


女二人相手できると思うの?行けず後家は激しいのよ~


死んだりしたらどうするの?


永久に語り継がれるわよ、伝説に成るわよ」



「あの~アニー様、私は行けず後家では無く、


いかず後家で御座いますので・・・・


今迄縁談は沢山有りましたが全て断って居りますので、


け~では無く、か~ですので、


其処、重要ですので間違えない様におねがいします」



「セリカもバカなの?あほなの?


どっちみち行けて無いでしょ同じじゃない」



「い、いや、月とスッポンほどの差が・・・・」



「良いじゃない、で、セリカは如何したい訳?


タカシ様の恋人に成りたいの?


成りたく無いの?ハッキリとお言いなさい!」



「は、はい、成りたいです!ダメなら愛人でも構いません!」



「と、言う事ですので、


タカシ様ハッキリ言ってあげて下さい


ダメならダメで構いません。


引導を渡してあげて下さい。


其の時は私が責任をもって介錯いたしますので~」



あ、やっぱり自害するんだ~



「セリカ艦長、俺の様な頼り無い男で良ければ


俺の傍に居て貰えますか?」



「はい・・はい・・・・はい~


喜んで~一生、お側でお仕えさせて頂きます~うぇ~ん」



大泣きして居るセリカが白く輝き出して宙に浮かび上がる。


乱れた衣服がリリー謹製の司祭服に変わり


腰には、ドラゴンの牙で作られた、


小太刀が携えられ天井から鐘の音が鳴り響き、


やがて天使が舞い降りて来て、



セリカの周りを祝福しながら回り始めた。


セリカは、感極まっておいおい泣いて居る。


やがてセリカは、静かに地上に降りると、


タカシの前に跪いて、祈る様に、



「タカシ様、タカシ様、私の命は貴方様のもので御座います。


此の先どの様な苦難が待ち受けて居ようとも


貴方様をお守り致すと誓います」



「何か~やっぱり、あの人の意図を感じるんだよね~」



「た、タカシ様~私の時は素っ裸でしたわ~


もう一度あの感動を~やり直しを要求いたします~」



「うふふふふ・・・・


私の予想はやっぱり、正しかったわ、さあ、タカシ様、


次に私を恋人にして下さいませ、


あの素敵な演出を私にもぷりーずですわ、」



「せ、拙者も~・・・・」



「貴方は恋人関係を拒否したのだから諦めなさいね~」



「えっ、君達もう、恋人に成ってるよ~」



「「な、なんですと~」」



アニーとリニアは四つん這いに成り乍ら涙を流して居た。


ってリニアは恋人関係を拒否して無かったっけ~?



「タカシ様、此の二人が面白いのは良く分りますが、


余りいじり過ぎるのは・・・根性がねじくれたら私が困ります」



「そんなにあの演出が良いの~?」



「はい、超感動ものですよ、今の所此の世で私とセリカだけ、


後からもタカシ様の恋人だけが受けられる超レアイベントです。


感動するなと言うのが無理な話ですよ、」



俺はアニーの所に行って、


腰を落としてアニーの肩に手を掛けて



「御免ね、アニーちゃん、君が余りに可愛いものだから、


ついつい、いじっちゃって、」



甘えん坊の声で、アニーは



「ひ~ん、じゃ~あ~もう恋人に成って居ると言うのは~?」



「今からだよ、可愛いアニー此れから宜しくね~」



「ひぃ~んタカシ様の意地悪ぅ~でも愛してる~」



タカシに抱き付くとキスをして来た。かなりディープなやつだ。



アニーも光り輝くと体が宙に舞って、


天上より祝福の鐘が鳴り響き、天使達が舞い降りて祝福し乍ら、


アニーの周りを回って居る。アニーは


両手を広げて神の祝福を全身で受け止めていた。


瞳には大粒の涙を溢れさせ乍ら、


やがてアニーが静かに舞い降りると、


俺の前に跪いて、祈る様に、



「私の永遠の愛と忠誠をタカシ様に誓います」



そして、独り石畳にのの字を書いて居るリニアが居た。



「そんで聖騎士様は如何すんの?」



「拙者は、其の~拙者は~せっしゃ・・・・・・ひぃ~ん」



ポロポロと泣き出してしまった。俺は、拙者君の頭を撫ぜ乍ら、



「拙者君お腹は減って無いかい?此れ食べる?」



ストレージから、美味しくて、食べやすい、


前にポチと一緒に大量に焼いて、


作り置きして居た、クレープのチョコバナナを出して手渡した。



「ひぃ~ん有難うでござる。」



「どう、ござる君、美味しいかい?もっと食べるかい?


まだまだ一杯有るよ」



と今度は、ママゾンでペットボトルの、


DOSVのコーヒーを50本買って、


1本をストレージから出すと、


蓋を開けてクレープのチョコイチゴと一緒に手渡した。



「ひぃ~ん


タカシ殿の優しさが身に染みるでござる~ひぃ~ん


ひぃ~ん御免なさいでござる~御免なさ~い、


え~~ん」



ござる君はタカシにしがみ付き大泣きしだした。



「服が、ああ、服がチョコだらけに~かんべんして~」



「あら、あら、あら、リニアったら、


餌付けされちゃって、チョロいわね~」



「チョロいですね、」



「チョロいですわね~」



「で、リニアあんたどうしたい訳?」



「ひぃ~ん」



「まあまあアニーちゃん、拙者君お手!」



「わん、」



お手をする拙者君、



「ござる君お代わり!」



「わん!」



箸をくわえてお茶碗を出すござる君



「拙者君ちんちん!」



「クゥ~~ンクゥ~ン~」



両手でタカシの獅子丸君を、頬ずりする拙者君、



「はいっ、調教完了っと、」



「「「あら、あら、まあ、まあ、」」」



「ござる君、良い娘、良い娘~恋人に成る~?」



「わん!はっ、はっ、はっ、」



お腹を見せて、寝転がる


ござる君のお腹をごしごしし乍ら撫でて居ると


ござる君は輝き出して、


宙に浮かび上がりやがて、天上より鐘の音が鳴り響き、


やがて天使達が舞い降りて来て、


ござる君の周りを祝福し乍ら回り始めた。



「おや~待てよ~何か白いハトが一緒に回って居るね~」



「「「そんな演出私達の時は有りませんでしたよ~


やり直しを要求します~」」」



「う~ん、ござる君、面白かったから~


フレイヤ様サービスしたんじゃね?」



「「「まさか~ね~」」」



やがてござる君は静かに地上に舞い降りると


歓喜の余り肩を震わせて、タカシの前に跪いて祈り乍ら



「タカシ様、拙者は貴方様の剣と盾と成り、


忠実な番犬と成り申す。


失敗した時には存分にいたぶって欲しいでござる・・わん!」



「あっやっぱりこの娘ドMだったわ~」



「「「えっ!分かっておいででしたの?」」」



「う~ん家にも一人居るんだよね~真正が、」



「「「はい~~!」」」


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