-40話ー 悪魔討伐3
セイクリッドメガヒールを撃って、膝を折り、両手を地面に付けて、肩で息をしながら、
マップを確認すると、悪魔は、1体を残して、綺麗に、掃討されていた。
その1体こそ、邪神だ。名前は無い様だ。
「はあ、はあ、はあ、痛かったわ~死ぬかと思ったわ~」
俺を触媒にした超強力な、広範囲、回復魔法は、魔力量が半端では無く、
大量の魔力が、俺の体に流れ込み、そして、出て行った。
其の時の摩擦熱、と言うか、魔力の熱と言うかは、分からないが、半端じゃ無かった。
体の、中から大やけどを負い、負った所から、再生して行くという
とんでも無い現象が起こったのだった。とんでも無い痛みを伴って・・・・
「無いわ~こんなに痛いのは、無いわ~」
『リ ダーリン、何をぼ~っとしてるっスか!痛いのは分かるっス~
1国をカバーする様な、大魔法、ぶっ放したんスから~
でも、悠長にはしていられないっス~邪神が弱っている今が、チャンスっス~
直ぐに、城の地下に向かうっス~』リ
そうだった。マップ上の邪神は、点滅している。
弱って居るのだろう、今がチャンスだ。
俺は、笑っている膝に両手を当てると、ブルブル震えている膝を
無理やり立たせて、よろよろと歩き出した。すると、
宮殿の方から、一人の、全裸の娘が、よろよろと歩きながら近ずいてくる。
「あっ、こけた。立ち上がった。あっ、またこけた。
立ち上がった。」
彼方此方、擦り剝きながら、俺の前まで来ると娘は跪き、
両手を組み祈る様に、
「王女 使徒様、悪魔に殺された、お父様と、お母様の命をお救い下さい。
私は、死んでも構いません、貴方様の奴隷に成っても良いです。
殺された、お父様と、お母様をどうか、どうか・・・・」王女
「君、人は、死んで30分経つと魂が抜けて、蘇りませんよ、
申し訳無いのですが、君、悪魔に蹂躙されて、数日は、経って居るのでは無いのですか?
其れに、ご遺体は?」
「王女 はい、おっしゃる通り、私は悪魔達に三日三晩、蹂躙され続けて参りました。が、
父と母の遺体は、アイテムボックスに、時間も止めております」王女
「うん、アイテムボックス持ちには、稀に時間を止める事が出来る者が居ると
聞いた事が有りますが、」
『どう思うリリー?』
『リ はいダーリン、どうせリザレクション、ぶっ放す訳っスから
助けられるのであれば、助けるのが、武士の情けっス~』リ
『ふ~ん、武士の情けね~・・・・で、どの番組?』
『リ 8人の侍っス~・・・・』リ
「O~K~良いよ~でも、此れから、邪神の所へ、
邪神ぶっ殺しに行くけど~付いてこられる~?超~怖いけど良い~?」
「王女 はい、私の体は、どの様にお使いいただいても構いません」王女
「いや、体とか、別に使わないからね~邪神に
リザレクションぶちかますんだわ~そのついでに、君のご両親も蘇生させるからね~」
「王女 あ、あの~使徒様、大丈夫なのでしょうか?軽すぎません?」王女
「ですよね~俺は何時もこんな感じだから、気にしないでね~
其れと、俺は、新米冒険者のヤマダタカシね、使徒様じゃ無いから、
其処らへん宜しくね~」
「王女 気にし無いでね~って、不安~」王女
「皆 タカシ様ですものね~だしの~君だし~だぜ~どすえ~な、なんだな~」皆
「ルビーその娘フラフラだから抱いて行ってあげて、マリン、俺の方宜しく、
其れと君、服を着せてあげたいけど時間が無いので、暫くそのままで我慢してね、」
「ル、ア、オ は~い」ル、ア、オ
俺と全裸の娘は、ルビーとマリンにお姫様抱っこされながら、皆と共に、
風のような速さで、王宮を抜けると、城へ、早く降ろして~恥ずかしい~
城は、大型のモンスターの攻撃で、半壊していた。
地下へ向かう階段は、娘の指示で分かった。サファイヤが、
溜まった瓦礫を吹き飛ばすと階段が、現れた。
階段を降りて行くと、地下のホールに出た。此処が、拷問部屋なのだろう、
拷問部屋の広さは、体育館程か、かなり広い、隅の方に、
鉄製の首輪を付けられ、鎖で繋がれている全裸の女性が震えて、丸まって居る。
地下牢が、併設されている。地下牢の中に、複数の人が居る様だ。
邪神は、丸まって居る女性の近くで顔を押さえて、
悶え苦しんで転げ回って居た。
「ジャ 痛い~痛い~目が~ああ~目が~焼ける~」ジャ
「お前か~お前が元凶か~・・・・娘さん、階段の横、そう、
其の隅に遺体を置いて、」
「オ はい、承知致しました。」オ
お姫様抱っこされて居た全裸の娘は、床に降ろして貰うと、
丁寧な仕草で、亡くなった両親をアイテムボックスから床に出した。
ゲッ、父親の方は首を跳ねられて居る。両手、両足が無い、母親の方は口から大量の血を流して居る。
こんな事を思ってはいけないのだが、グロイ、正直、勘弁して欲しい、
余りのグロさにチビってしまった。
「娘さん、お父さんの首を胴体にくっつけててね~はいそう、じゃあ、行くよ~
~セイクリッドリザレクション!~」
大量の魔力を込めた蘇生魔法を発動する。範囲は、拷問部屋、地下牢を含めた
地下全部だ。魔方陣が広がって行く
邪神が塵になって行く、
「ジャ 痛い~ぎゃ~!!痛い~」ジャ
そして邪神の全身が、塵に成ってばさりと、崩れ落ちた。
両親の遺体が輝きだし、父親の首がくっ付き、手足が、生えて来る。
二人の死体は、一度、胸が、ビクンと跳ね上がった。
紫色の肌の色に赤味がさして、呼吸が始まる。やがて、顔色も良くなり、
苦痛で歪んだ表情も、穏やかな物へと変わる。
両親にしがみつき、娘は小さな子供の様に、大きな声で泣いている。
「サファイヤ、ルビー地下牢に捕らわれている人達を出して来てあげて、」
「サ、ルは~い」サ、ル
鼻歌交じりに鉄格子の扉を引き千切る二人、有り得ね~
「マリン、悪いけど、あの、隅で、こっちに、尻向けて、丸く成って、
震えている、あの娘の首輪、外して来てあげて、」
「ア は~い」ア
スキップし乍ら、丸く成って、震えている娘の首に付いている、
鉄製の首輪をバキンと軽く引き千切るマリン、
此の娘も有り得ない様な力してるんだよな~
さて、此の後どうするかね~?悪魔倒す迄は、計画していたけれど、
其の後の事はノープランなんだよね~
「リリ~どうしよう?」
『リ は~いマイダ~リン後の事は、任せて置くっス~
戦術計画した時に、もう、戦略は考えて有るっス~』リ
「よし、任せた。」
『リ 任されたッス~』リ
復興計画は、リリーに丸投げっと、
そうこうしている内に、地下牢から捕らわれていた人達が、
這い出してきた。こっちに尻を向け、丸く成って、震えていた女性も、
こっちに向かっている。
皆、四つん這いに成って、よろよろと、這って来る。
途中、何度もべちゃりと、つんのめり乍ら、全裸の娘は、
蘇った、父と母にしがみ付いて、三人で、大泣きしている。
四つん這いでこっちに向かっている人達の中の女性達は、皆、ロングヘアーだ。
金髪、銀髪、赤髪に青髪色とりどりだけれど、全員顔が見えない程、
髪が乱れて、ぐしゃぐしゃだ。
「うっわ~さばこの集団行軍だわ、これ~」
男連中は、痩せこけて、目が死んでいる。
此れ、一日二日で、こうはならないよね~?一体どれ位の期間捕らわれていたのやら
皆が俺の周りに集まって来ると、一様に祈り始めた。
聞きたい事は、山ほど有るけど、取り敢えずは、飯だな、
俺は、人数分、焼きそばパンと、ペットボトルの紅茶をママゾンで購入して、
皆に配って回った。
「言いたい事も有るだろうけど、取り敢えず食べて下さい。
お腹が落ち着いた所で、話を致しましょう」
皆、恐る恐るパンを口にすると、目が、きらりと光り、生き返った。
そして、大きく一口齧ると、天を仰いで、ゆっくりと咀嚼する。
滝の様な涙を流し乍ら、何処からか、
「生存者 生きていて良かった~」生存者
と言うつぶやきが聞こえる。更に一齧りして、天を仰いで、男泣き、女泣きしている。
焼きそばパンを食べ終わり、ペットボトルの紅茶を一口飲む、
又、目を見開き、一気に、あおる様に飲み干して、
もう、手元にパンも、紅茶も無い事に気付いて、泣き乍ら膝を折った。
いやいやいや、大袈裟でしょう、焼きそばパン位で、
確かに美味いけど、余程、此の世界美味い物が無い様だ。
と、助け出した人達の一人が跪く、すると全員が其れを見習って、跪く、
「オ 使徒殿、私は此の国の国王で、ジョニーと申します。
此度は、私に妻、娘の命を救っていただき、更には、母に弟達、妹達迄も救って頂き
感謝の言葉も御座いません」オ
「ご丁寧な挨拶痛み入ります。私は、新米冒険者のヤマダタカシと申します。
決して、使徒と言う様な、神々しい存在では御座いませんので、
其処の所、宜しくお願い致します」
「オ ほほう、隠・・・・そうで御座いますか、では、その様に
取り計らせて頂きましょう」オ
「王女 お父様、長らくお世話に成りました。」王女
「オ 唐突に、どうしたと言うのかね、メアリー?」オ
「王女 はい、お父様、私、お父様の命を救って頂く代わりに、
この身を奴隷として、
ヤマダ様に捧げると約束致しました。
三日三晩悪魔に汚された体では有りますが、
一生をヤマダ様に捧げたいと思います」王女
「オ、妃 おお~何とけなげな、」オ、妃
と泣き崩れる親子三人、
「オ ヤマダ殿、む、娘を宜しくお願い致す。」オ
と、涙乍らに頼み込む国王、
「えっ、いらないよって、昼ドラか!」
「王女 ・・・・・・」王女
「オ、妃 ・・・・・・」オ、妃
「嫁は間に合って居ます。」
「眷属 うん、うん」眷属
「オ 其処を何とか!」オ
「え~名前覚えるの面倒だし~
何か皆うんこ臭いね~其れに皆がりがりだし~、
一寸お風呂にでも入ろうか?
此れから起こる事は他言無用で、」
俺は、銭湯のドアを地下室の壁に出した。秘密にするつもりで居たのだが、
もういいや~って思う位臭かった。だって、俺を含めて、皆、糞尿塗れなんだもん、
気が張って居た時は、余り気に成らなかったが、
戦いが終わって気が抜けたとたん、皆、臭いのに気が付いた。有りえん位に、
もう、バレても良いや~