-39話ー 悪魔討伐2
俺達は村に到着した。広場みたいな所へ着くと、
村娘達が黒いシミの付いた所でへたり込んで、声をあげて、泣き出した。
其処かしこに、黒いシミが残っている。
此の場所で、凄惨な虐殺が行われたのであろう、
村自体は、其れほど迄には破壊されてはおらず、今にも、村人が出て来そうだ。
此の国全体で、今も現在進行形で、凄惨な虐殺行為が行われている。
ゆっくりしている暇はない、可愛そうではあるが、娘達を立たせると、
村長の家へ案内してもらう、結構な広さの客間で、作戦会議を始める事にした。
「皆、マップを見て分かる通り、邪神と、悪魔王と約10万の悪魔達は、王都に5万、
後5万は、王国内に既に散らばっている。」
「ル こ、此れは、俺達が、国の中心である王都を制圧して、全方向にブレスで、
一掃するのが、一番手っ取り早いんじゃね~か?」ル
「却下、そんな事すりゃ、国の民、全滅するし、周辺国家も被害を受けることに成るよね、」
「サ じゃあ、どうするんだい?タカシ君、新しい戦法が有るにしても、
一つずつ潰していたら、凄く時間が、
掛かると思うんだよね~何か、考えが有るのかい?」サ
「有るっちゃ~有るけど、その前にだ、リリーもう、戦術、考えて有るんだろ?
皆に言ってみ」
『リ はい、マイダーリン、今回は、国全体を覆う、
広域範囲回復魔法を使用したいと思うっス、
使用場所は、国の中心、王都、王城敷地内に有る王宮ローズパレスの、
中庭っス~此れが、基本戦術に成るっス~
成功すれば、王国内の、悪魔は、一掃される事に成るっス~
使用する回復魔法は、メガヒールっス~死んでいない限り、
回復するっス~悪魔王でも一発で塵に帰るっス~でも、邪神にはさすがに、
ぶっ殺す迄には、至らないと思うっス~
邪神は、王城地下、の地下牢、拷問部屋に居るっス~
中庭で、広域、範囲回復魔法をぶっ放したら、
直ぐに、地下牢へ行って、邪神を八つ裂きにするっス~
死ぬ迄、リザレクションを喰らわせるっス~』リ
「リリー激おこ、まあ、まあ、落ち着いて、」
『リ 私は神の下部っス、それに悪魔共は神、人族の敵である前に、
女性の敵っス~絶対、皆殺しにするっス~
ち〇こ切り落とすっス~』リ
「ち・・・・こえ~なAI」
皆もうん、うん、頷いているしぃ怖いよ君達~
「其れじゃ、先ず、サファイヤは俺達とは、別行動で、
王都のモンスターを一掃してから俺達と合流してくれるかい?」
「サ うん、良いよ、命有る者と、戦うのであれば、ボクは無敵だからね~
王都に居るのは、大型のモンスターだね、邪竜が、2匹にヒュドラが5匹だね~
此れは、別行動するまでも無いね、此処からでも、マップを使って殺せるよ、」サ
「えっ、まじ?」
「サ まじです、場所が特定できれば、
間違って別の者を殺す心配もないしね、僕の魔力と、
タカシ君の無限の魔力があれば、此の世界の裏側にいたって殺せるよ、
隠れることなんて出来ないさ」サ
「サファイヤマジ凄ぇ~じゃ、サファイヤは、王都上空に着いたら、
国中に散らばったモンスターを壊滅させて、
悪魔に時間を与えて警戒されると厄介だからね~」
「サ O~K~]サ
「皆は、俺の周りで、悪魔を俺に近づけない様にしてくれるかい?」
「皆 は~い、」皆
「広域、範囲回復魔法を撃った後、直ぐに、地下牢に向かって、
邪神を倒す、此の基本戦術で行こう、
何かイレギュラーが発生した場合は、」
「皆 場合は?」皆
「其の時に考える!」
「皆 行き当たりばったりかい~」皆
「そうとも言う」
で、だ、村娘達だね、
「君達は、此れから如何するの?何かあてでも有るかい?」
下を向く娘達、
「其処で相談なんだが、君達、俺に仕えない?」
「村娘達 えっ!聖者様にお仕えさせて貰えるのですか?」村娘達
此の娘達此処に置いて行ったら、自殺しそうなんだよね~
ほっとけないよね~大きく頷く村娘達、すると、マリーが、
「マ タカシ様、少しお時間を頂けますか?」マ
「ああ、うん、良いよ」
「マ では、皆さん此方に来てください」マ
マリーが、何やら、村娘を集めて、部屋の隅で話をしている。
話が終わると娘達が俺の元へやって来て、跪いて何やら、目をキラ、キラさせているんですけど~
俺は食堂のドアを出すと、娘たちを連れて、アジト、もとい、拠点に連れて行き
ブラウニー(家妖精)のリーダーの、ブラウンに、村娘を預けると、
其の足で、村長の家へと戻り、
「皆、今回の作戦は、スピードが、命だ、悪魔共に攻撃の暇を与えないで
殲滅するよ~ルビー王都迄、飛ばしてどれ位時間が掛かる~?」
「ル まあ俺のスピードなら、半時も有れば着くけど
飛ばされるぞ?」ル
「ティンク飛ばされない様にシールドは張れるかい?」
「ティ うむ、大丈夫なのじゃ、
ホワイトの風魔法が有れば、スピードの影響は受けぬぞ」ティ
ホワイトとは、先日名付けた風の大精霊だ、その他、火の大精霊が、レッド、
水の大精霊がブルー、緑の大精霊が、グリーン、どっかの戦隊かよ!
「戦隊 まかせせて~タカシ~あたし達頑張るね~」戦隊
大精霊達は、名付けした時に、成長して喋れる様に成っていた。
「よし、じゃ~電撃作戦開始だ!」
「皆 お~!!」皆
50M程の赤竜に変身したルビーの頭に全員乗ると、ホワイトの風魔法が
展開されて、外気を遮断する。ルビーは、ふわりと浮き上がると、
猛スピードで大空に舞い上がる。早い、ジェット戦闘機より早いんじゃないか?
加速Gだけでも振り飛ばされそうだが、ホワイトの風魔法が、体を支えてくれる。
が、息が出来ない程、体が押される。
「ひ~死ぬ~息出来ね~助けて~リリ~」
『リ 我慢するっス~ダーリン、ち〇こ付いてるんでしょっス~』リ
「お~た~す~け~」
「ル おっ、王都の上空に着いたぜ~」ル
ルビーの速度が、落ちた。
「あ~死ぬかと思ったわ~チョ~怖かったわ~
サファイヤ、マップで王国内のモンスターロックオン、殲滅して、」
「サ 了解~全て補足、目標、250万、全殺処分、完了、
ストレージに回収、完了、でも、タカシ君、お~た~す~け~なんて、可愛いね、」サ
「250万って何それ?美味しいの?」
「サ ああ、悪魔が連れて来たモンスターばかりじゃ無くて、この国に居る
全てのモンスターだね、今、此の国には、民衆を守る兵力が無いからね、
モンスターが居るってだけで、危険だからね、だから、全て狩っといた」サ
「狩っといたって、凄げ~なサファイヤそんな事も出来るんだ」
「サ 何言ってんだい、タカシ君の魔力を使って居るよ~こんな広域
ボクの魔力だけじゃ全然足りないよ~
タカシ君のマップと、魔力が有れば、
世界中の何処に居る敵でも狩れるよ~無敵さ。」サ
え~そういや、何か魔力が補充されて行くのが分かるわ~
もう満タンに成ってるけど~
「世界中の何処に居る敵でも狩れるよ~って、生きている相手には無敵じゃん
うちのパーティー其れで良いのか~?」
「皆 良いんじゃね~楽だし~」皆
「はは・・・・気を取り直して、ティンク、オパール、エメラルドは、攻撃魔法で
敵の守備に穴を明けて!後、空中で待機、必要に応じて、魔法支援を、
マリー、エメルダ、ジュエリー、サファイヤ、ポチは、突撃して、庭に橋頭保確保!、
マリンは、橋頭保が出来たら、俺を庭に降ろして、俺を守って、俺は弱いからね~
ルビーは俺達が降りたら、前衛に参加、良いかい?」
「皆 おお~!!」皆
「ティンク、オパール、エメラルド、攻撃魔法発射~!!」
「ティ、エ 、オ おお~なのじゃ~どすえ~な、なんだな~」ティ、エ、オ
三人の攻撃魔法が中庭に炸裂、庭に出て来た悪魔十数体を消し飛ばした。人間の姿は無い
大きな、クレーターが出来上がる、其処に前衛達が降下、着陸、王宮へ向かう、
王宮内から出て来た悪魔軍団と正面切っての戦闘?蹂躙が始まった。
妖精軍団は、ドラゴン、ルビーの頭から、空中へ、待機、
マリンが俺をお姫様抱っこして、橋頭保へ降下、お姫様抱っこかよ~
早く降ろして、お願い、ルビーが、俺達が降下するのを確認したら
一直進に戦闘の輪に加わった。攻撃魔法で、出来たクレーターは、グリーンが既に
土魔法で、盛り土して、小さな丘の様にしてある。
マリンは、俺をお姫様抱っこしたまま、小さな丘の上に舞い降りた。
マリンは凄く、名残惜しそうに俺を小さな丘の上に降ろした。
マリンちゃんお願い、そんな名残惜しそうな目で見ないで~
気を取り直して、俺は、両手を広げ大きな声で、
<セイクリッドメガヒール!!>
と詠唱し、全魔力を込める。
出し惜しみは無しだ、文字通り、俺の魔力を注ぎ込んだ、と、同時に
えも言われない様な、焦燥感が俺を襲うと、次の瞬間、大洪水の様に俺の中に
魔力が流れ込むが、其のまま流れ出て行く、
俺を中心に金色に輝く魔方陣が現れ猛烈な速度で広がって行く
俺の体が金色に輝きだす。金色は直ぐに白銀に代わり、やがて、青みを
帯びてくる。
熱い、途轍もない魔力の摩擦熱が俺の体を蝕んで行くのが分かる。
が、其れと同時に回復して行く、焼ける尻から、体が修復されて行くのだ。
とても、長い時間苦しんだ様に感じたのだけれど、数分の事だろう、
回復魔法を撃ち終えた俺は、片膝を付いて、肩で息をしながら、冷や汗を垂らしていた。
周りを見て見ると、悪魔共の姿は、掻き消すように消えていた。
王宮の中は、今迄蹂躙されて居た女性達が、呆然と座り込んでいた。
~王宮内~
『王女 私は今も悪魔達に蹂躙され続けている・・・・
3日前、突然王城にあいつらは現れた。いいや、正確には、宰相が突然悪魔に成ったのだ。
と、同時に城の、近衛兵達が悪魔に成った。悪魔達は国王やお妃、私や、従者達の髪を掴むと、
宮殿迄、引き摺って行き、国王の手足を引き千切って、国王の見ている前で、
お妃、母や、私、従者たちを蹂躙し始めたのだ。お妃様は、いや、お母様は、国王、いや、
お父様の目の前で蹂躙されて居る事に耐えられずに、舌を噛み切った。
其れを悪魔達は白い歯を剥き出して、大笑いしながら、
死に行くお母様を蹂躙し続けた。
お父様は、怒りの余り、血の涙を流しておられた。
悪魔達は、腹が膨れたと言い、お父様の首を跳ねた。
私は、蹂躙されながらも、お父様の、ご遺体と、お母様の、ご遺体を、
私のアイテムボックスに収納した。そして、アイテムボックスの時間の流れを止めたのだ。
人は、死んで30分で魂が抜け、蘇生魔法でも、蘇らす事は出来ない、
悪魔達は不思議そうにしていたが、私が、アイテムボックス持ちだとは
気付かなかった様だ。何とか、悪魔達の隙を突いて、此処を逃げ出して、
コッサリア神国迄逃げ果せれば、世界で唯一人、
蘇生の大魔術、リザレクションを操る事の出来る。
コッサリア神国の教皇にして、大聖女、アニタ様におすがりする事が出来るはず、
ほんの少しの可能性だけれども、い、いや、ほんの少しも可能性が、有るのだ。
と、三日三晩私は悪魔に蹂躙され続けた。男性経験の無い私は、
悪魔の触手の様な物にもてあそばれた。
もはや、私の体で傷のない所は無くなっていた。
私から流れ出た血も既にどす黒く固まっている。
既に、痛みも感じなく成って来て居る。
もう其れ程、私の命も長くはないのだろう、
いいや、だめだ。私の事など、どうでも良い、お父様と、お母様を助けるんだ。
私は其の後、自害すれば良い、売春宿に売られても構いはしない、
奴隷に落とされても構わない・・・・
どれ程の時が流れたのだろうか、私は、焦点の合わない目で確かに見た。
金色に輝く魔方陣が広がって行くのを、
中庭で金色から白銀に、そして、青白く輝く、聖人様を、
考えられない様な大魔法を撃ったのだろう、途轍もない魔力を感じる。
此の方にすがろう、私はもう良い、此の方のおもちゃに成っても構わない、
此の方にすがろう、私はもう良い、此の方に殺されても構わない、
悪魔達が塵に成って崩れた。私の体の傷が修復されて行く、
表面は、元より、蹂躙され続けた体が元に戻って行くのが分かる。
体中の痛みも取れて行く、ハイポーション以上の回復魔法?
聖人、いや、使徒様?神その者では?
私は、立ち上がると、よろめく足で、中庭を目指した。』王女