ー197話ー ガイア帝国
モモタロウ一行は出発3日目で、目的地であるガイア帝国に、
北大陸としては初めて辿り着く事が出来た。
今迄は北大陸には飛空艇はルグレス帝国に1隻、
コッサリア神国に1隻しか無く、技術も未熟で、
飛空艇そのものが、失われた古代エルフ文明の遺産でもあり、
貴重な物だったからだ、
しかし今回、賢者モモタロウが現れ、
飛空艇をじゃぶじゃぶと作り出したのだ。
ユグドラシルの端末である、リリーと言う大賢者のもとに、
リリーは手を抜く事が苦手の様で、
飛空艇にはありとあらゆる最新技術と、
賢者の石の様な希少な物が、じゃぶじゃぶと使われていた。
飛空戦艦エレン号は、港の外でちっぱい師匠とモモタロウ、ジュリアナちゃんが、
帝国の入国許可を貰って来るのを待つのであった。
一方モモタロウ一行は帝都の市壁門で、
ちっぱい師匠とジュリアナちゃんとお茶をし乍ら待って居たのだった。
「ちっぱい師匠遅いですね~
何時まで待てばいいんだろう?」
「師 そうじゃのう~日暮れまでに返事が無いようであれば、
又違う国に行くかのう~食料もたんまり持って来ておるし、
歓迎されるじゃろうて、」師
「門番 食料を持って来ておるのですか~!」
「師 おう、たっぷりと有るぞよ~
北大陸の美味しい食料がたっぷりとな、
そちらの連絡が上手く行かない様であれば妾らは何処か
別の国へ向かう事にするがのう、
そちらがどう責任を追及されようと、妾らは関係ないしのう」師
「門番 其れは不味いです~首が飛びます~
もう一度早や馬を走らせますので、しばしお待ちを~」
再度帝城に向けて早や馬が走って行った。
その数時間後、一台の馬車がやって来た。
馬車から身なりの整った40代位の男性がやって来た。
肌の色が紫色で角が生えている。怖い、
「お待たせして申し訳ございません。私は帝国宰相のガマグッチと申します。
帝城迄、ご案内いたしますので、馬車にお乗りください。」
「師 うむ、ご苦労である。妾は北大陸ルグレス帝国、女帝、
アンジュ、アンジュルグレスと申す。
突然の訪問にも拘らず、出迎え大儀である。」師
ちっぱい師匠、モモタロウ、ジュリアナちゃんと、馬車に乗り込むのであった。
帝城に向かう馬車の中、宰相のガマグッチは
「宰相 市壁門で大変待たせたとの事で、誠に申し訳ありません。、
今回は、交易の為に参られたと言う事ですが、
どの様な品物をお持ちになられたのでしょうか?」宰相
「師 うむ、主に食料品じゃの、
暗黒大陸が何時も食料に困って居る事は分かって居るからのう、」
「宰相 其のとうりで御座います。我が帝国でも魔素が濃く、
まともな農作物を育てる事が困難で有り、
食料は主に魔物の肉に頼って居ます。
我々にとって北大陸の農作物は夢の様な食べ物な訳です。」宰相
「師 うむ、たっぷりと持って来ておるぞ、でじゃ、
交易は如何するのじゃ?
帝国と直接交易にするのか?其れとも、
商人を挟むのか?」師
「宰相 まだ其の辺の話を帝城にて、詰めたいと思って居ります。
まずは城にて、皇帝オリオン、ガイア陛下と会見して頂きます。
しかし、アンジュ陛下が直接来られるとは、
先触れを出して下され、
陛下にもしものことが有れば大変で御座いますれば、」宰相
「師 すまぬな、飛行魔法を扱える者が、
此のモモタロウとジュリアナ、ケイトしかおらぬのでな、
時間短縮の為に直接来たのじゃ」師
「宰相 来たのじゃでは有りません。
何かあったらどうするのですか!」宰相
「師 ほう、妾を如何にか出来る者が居るのか?」
「宰相 北大陸最強の魔導士を?
いませんよそんな者、其れが分からない愚か者なら一杯居るのですがね、
ガイア帝国で暴れないで下さい。
其の尻をふくのは私なんですから、」宰相
「師 うむ、頑張ってくれ、」師
「宰相 ・・・・・・・・・」宰相
城に到着すると、謁見の間では無く大会議室に通された。
一行が会議室に入ると、
議長席に皇帝オリオンが座り、高官たちが其の周りに座って居た。
会見が、皇帝同士と有って、ガイア帝国が有利になる謁見の間では無く、
会議室と成ったのだ。
三人は、皇帝オリオンの向かいの席に座ると会議が始まった。
「オ 女帝アンジュ、ルグレス陛下、良くぞ参られた。」オ
「師 皇帝オリオン、ガイア陛下、壮健そうで何よりじゃ、
早速で悪いのじゃが、今回の交易の話を詰めて参ろう。」師
「オ 宰相、話を進めよ、」オ
「宰相 はっ承知致しました。
アンジュ陛下、今回の交易に付きまして、
ガイア帝国と、ルグレス帝国の直接貿易として宜しいですか?」
「師 妾の持ち分に付いては其れで構わぬよ、
しかし個人で持ち込んで居る物も有るのじゃが、其れは如何致す?」師
「宰相 其れに付いてはガイア帝国が買い取りましょう。
査定金額は市場を確かめて決める事と致します。
其れに対する税金ですが、総額の2割と致しましょう。」宰相
「師 何を言って居るのじゃ、国同士で交易するのに税金じゃと馬鹿げて居る。
市場価格は一体誰が決めるのじゃ?
話に成らんな、帰るぞ、モモタロウ、ジュリアナ、ケイト」師
「モ、ジュ ハ~イ」モ、ジュ
三人が立ち上がると、
「宰相 北大陸に帰られるのですか?」宰相
「師 馬鹿かお主、交易できるのは帝国だけでは有るまいよ、」師
「宰相 お待ち下され、アンジュ陛下、
アンジュ陛下は今回の交易、どの様に見積もられて居るので御座いましょう。」宰相
「師 何、簡単な事じゃ、商行ギルドにて査定を行う、
其の値段が高ければ交易するし、安ければ高く売れる所へ持って行くまでじゃ、
ギルドがまともな値段を出すとは限らんしの、
此方は其の道のプロを連れて来ている。誤魔化しは効かぬと思え、
品種だけでも、麦、米、野菜、果物、香辛料、ポーション、砂糖、乳製品、
木材、酒、等で有るな、此方には時間無効の魔法の袋も有るしな、
大量に持って来ておるのじゃ」師
「宰相 ポーションもですか、是非欲しい。材木も希少品で御座います。
分かりました。商業ギルドと冒険者ギルドのギルドマスターを呼びましょう。
其の上で、アンジュ陛下が納得する価格を提示致しましょう。
勿論税金は掛けません。」
「高官 宰相閣下そんな無茶を聞く必要など有りません。
此のまま拘束し、魔法の袋を奪えば良いだけでは有りませぬか!」高官
「宰相 誰かこの愚か者を摘まみ出して役職を罷免せよ、
こんなバカ者が今後出ぬ様に言って置く、
アンジュ陛下は北大陸最強の魔導士だ。
そんな事をしたら帝都が火の海に成るわ!
其れにオリオン陛下の名前に泥を塗るのか!
何よりも我が帝国は食料に困窮して居るのだ。
多少の不利は読み込み済みなのだ。
其れにだ、交易は今回だけではないと言う事だ。
此の先を見据えて民の為にも、良い関係を築かねばならん。
アンジュ陛下、申し訳御座らん。」
宰相は不届き者が出たことを平謝りに謝るのだった。