ー179話― コンロン領開拓
帝都に戻って、普段の生活に戻ったモモタロウ、
今日は7日に2日の休日だ。
魔法学校では既にカレンダーが導入されて居り、
土日祝が休みと成って居る。
因みに夏季休暇は7月~8月末の酷暑期間だ。
冬休みが13月~2月末までの、極寒気期間だ。
春休みが4月1日から末迄の1ヶ月間、
休みが長いのは、生徒其々の故郷が遠い為である。
決して、在学期間の引き延ばしでは無いのだ。
「はい、今日はお休みですが、何をしましょうか?」
「ハイなのじゃ!」
「はい、ちっぱい師匠君」
「今日は休みなので、皆で狩りに行きたいのじゃ」
「はい、他には?」
「「は~いっ!」」
「はい、女神~ズちゃん」
「「1日食っちゃ寝して、お酒を飲みたいで~すっ!」」
「凄っごく怠け者ですね~」
「「だって、ドラゴンですもの~」」
「他には?」
「はいですの~」
「はい、エレンちゃん」
「コンロン領を見に行きたいですわ~」
「あっ、良いですね~ で、何処に有るの?」
「ルグレス帝国の最北端ですわ、
寒い時期にはマイナス30度以上に成るそうですの、
バナナで釘が打てますわ」
「うっわ~寒そうですね~」
「まだ雪が積もって居るのじゃ、
僻地過ぎて盗賊も居らんのじゃ、
魔の森に囲まれて居るし、
寒さに強い獣人位しか暮らせないのじゃ、」
「日本の北海道と言った所かな~?
分かりました。現地までの距離は?」
「さ~?2千キロ位?」
「ん~?2時間位で付けるかな~?
取り敢えず発着場に全員集合!」
「皆 は~いっ!」皆
全員発着場に集まると、モモタロウはエレン号を出して、
全員乗り込んだ。
「皆乗り込んだかな?」
「はい艦長、今点呼が終わりました。」
「んじゃあ~出~発!!」
「はい!機関出力全開!離水します。」
エレン号は腹に響く低音を立てて、
発着場のプールから、水飛沫を上げ乍ら離水すると、
「エレン号、離水しました。なお上昇中、
高度1000メートル迄上昇します。」
「高度1000メートルに達しました!」
「現在の天候は曇り、低く厚い冬雲に覆われて居ます。
風速は15メートル、艦に影響は有りません!」
「進路北北西!目標コンロン地方!機関全速!」
「進路北北西!ヨ~ソロ~!」
「機関全速!ヨ~ソロ~!」
エレン号は北北西に向けて加速しだした。
「現在の時速80キロ!全速です!」
「艦長、お願いします。」
「了解、副長ご苦労様!
そしたら飛行魔法を展開しますね、」
モモタロウが飛行魔法を展開すると、
気球部分から白銀の大きな羽が生えて、
エレン号は一気に加速し始めた。
「う~ん、相変わらずのでたらめな速度だね~」
「そうじゃの~近くの景色が流れて行くのじゃ」
「本当にでたらめな速度ですの」
「どの位の魔力を使って居るのか見当も付かないのじゃ」
「此の飛行魔法は白の女神様から教えて貰ったんだけどね~
今の所使えるのは俺だけなんだよね~」
「当たり前じゃ、
他の者が使ったら直ぐに干からびるのじゃ~」
「モモちゃん如何の位で着きますの~?」
「さ~?2時間は掛からないんじゃないかな~?」
「いい加減ですのね~」
「そんな感じです。音速超えてるしね~」
時々ソニックブームを起こし乍らエレン号は飛んで行く~
モモタロウ達が和室のコタツで、
緑茶を飲み乍ら煎餅を齧って、まったりとして居ると、
ふすまで仕切られて居る艦橋の副長のカンシンから念話で、
『艦長~コンロン地方に到着しました~』
『えっ?もう着いたの?
まだ1時間ちょっとしか経って居ないんですけど~?」
『追い風だったせいでは?』
「コンロン地方に付いたって~」
「皆 は、早や~」皆
「リリ~何処に管理用の城を作る~?」
『そうっスね~ドラグ山脈の方に湖が有るっスね~
まだ凍って居るっスけれど~
水源は此れで良いっスね~
雪解け水の水害様にドラグ山脈と西アルモス山脈には、
流水型のダムを作りましょうか、
スタンダール領で作った奴と同じやつっス、
平地は有る様っス~盆地に成って居ますね~
後、人は居ないっス、寒さに強い獣人だけっスね~
ざっと1万人位っスね~
城は~湖の近くに
標高300メートル位の岩山が有るっスね~
此処が良さげっスね~』
「聞いた通りです。」
「流石はリリー様なのじゃ」
「皆 うんうん」皆
『先ずは城を建てに良くっス~
カンシンをナビするっス』
「うん、有難うリリー何時も助かるよ~」
『妻の役目っス~任せるっス~』
「うん、任せた!」
通常航行に戻って20分位で目的地に着くと、
エレン号の船体の屋上に上がり、土魔法で、
「セイクリッド、グレートシャト~」
岩山が輝きだして、頂上が平坦に成り、
周囲5キロ位に渡って山肌に沿って
10メートル程の高さの壁が生えて来て、
中心に如何かの魔法学校の様な城が生えて来た。
「う~ん、ホグ〇ーツだよね~ね~」
『いや~最近シリーズを見てはまって居るっス~』
「何処の遊園地だよ~!」
『てへぺろ~っス~』
「此の城スタンダール城より立派じゃ有りません事?」
「妾の城の方が立派なのじゃ~!」
「ローソニア城ととんとんかのう~?」
「まあ、とにかく城に入りましょうか?」
「皆 は~いっ!」
城の前庭に作られた飛空艇の発着場にエレン号を着水させると、
全員が降りた所で、エレン号をストレージに仕舞い、
一行は一路、城の中へと歩いて行く、
回廊を歩いて行くと、
帝都のルグレス城の様に成って居る。
其れは、ルグレス城を模倣して居る為であるが、
庭木は流石に凍ってしまう為に、
近隣に有る極寒に耐える植物を配している。
城の外壁には結界が有り、
侵入者は庭の肥やしに成る仕様だ。
其処彼処にゴーレムを配して居り、
結界に連動している。
城の中で一番高い建物は時計塔で、
其の屋上には送受信用のアンテナが建てられて居り、
雷が落ちても機器が壊れない様に、
フューズが付いて居る。
更に、アンテナ近くのアンテナより高い所には
避雷針を設けて居る。
避雷針は高所の雷が落ちやすい所に何ヵ所か立てて
火災防止とした。
「さてと、城はこんなもんか~
次は如何しようか~?」
『最後に何処〇もドアを付けるっスね、』
「おっと、そうでした~」
モモタロウは城の中の一室に、
転移門のドアを取り付けると飛空艇の発着場に向かった。
モモタロウ一行は飛空艇に乗り込むと、
ドラグ山脈と、西アルモス山脈に有る、
盆地へとやって来た。
「うん、川が3本流れて居るね、凍って居るけど、
盆地には運河を5本作ろうか、
其れを中心に人造湖を5ヵ所で良いかな?
碁盤の目状に農業用水路を敷こうか~
リリー頼める~?」
『良いっスよ~・・・・・ハイ出来たっス~』
「有難う、助かるよ~」
『良いって事っス~妻の務めっス~』
「セイクリッド、グランドファーマー!」
川から運河が5本分岐して、下流で又川と合流する。
川幅は広がり、川底は深くなって、護岸が出来上がって行く、
2段階に分かれた洪水対策の治水だ。
運河から碁盤の目状に用水路が広がって行き、
運河の5ヵ所には人造湖が作られて行った。
荒地の土はストレージに回収されて、
事前に集めて置いた腐葉土と混ぜられて、
ふかふかの土へと変貌して、
碁盤の目の農地へと戻されて行く、
「良し出来た。村は入植者が来たら作ろうか~」
『そうっスね~別に急がなくても、
休日に来て、開発すれば済む話っス~』
「ですよね~じゃあ流水ダムを作りに行きますかね~」
モモタロウ達は先ずドラグ山脈へと進み、
山に囲まれた一角にダムを作りに降りると、
「セイクリッド、ハイクオリティダム!」
山に囲まれた細くなった谷にダムが生えて来た。
ダムの流水口は一番下に平常時に流れる1本と、
10メートル上に洪水時に流れる2本の
3ヵ所の流水口が有る仕様だ。
此れで、乾季も含めて洪水と渇水対策が出来る予定だ。
「問題が起こったらまたその時に考えようか?」
『ですですっス~』
此の後、西アルモス山脈に行って同じようにダムを作った。
川はもう1本有るので、ドラグ山脈に戻って対策すると、
モモタロウ一行は一旦城に戻った。
「ふわ~~やっと終わったわ~」
「モモよお主は一体・・・・・
1日で人が住めぬ様な土地で、此れ程の開拓をするとは、」
「まあ俺は魔力量が多過ぎるんで~」
「魔力だけの話では無いわ~
其の知識じゃ~一体如何やったら
ダム等とか思い付くのじゃ~!」
そう、此の世界ダム等と言う概念は無い、
「土木魔導士のモモタロウです。」
「土木魔導士のスキルなのか?」
「何でか思い付くんですよね~何でだろ~?
リリーに聞いて下さい」
「そうじゃの~リリー様、教えて貰えぬか?
ふんふん、ほ~っ其れでか~ほ~ほ~成るほどの~
大賢者のスキルなのだそうだ凄すぎるのじゃ~」
「まあ、モモちゃんですし~」
「「おやびん~流石っス~」」
「何処のコマーシャルだよ!」
そんなこんなで、日が沈む頃には
コンロン地方開拓工事は取り敢えず終わった。
帰りは城に有る何処で〇ドアで、屋敷に帰った。
「いや~楽しかったね~」
「モモよ、余んまり派手にやり過ぎるで無いぞ、
流石に誤魔化し切れぬわ!」
「・・・・・御免なさい」
「ん、分かれば良い、妾も甘くなったもんじゃ、
惚れた女の弱みかも知れぬの~」
「えっ?ちっぱい師匠俺に惚れて居るの?
俺立たないよ?」
「ふふふのふ~甘いのじゃ~モモよ、
其の為のエルダードラゴン特製の媚薬じゃ~
妾一人では壊れるかも知れんが、
じゃ~エレンと二人では?」
「あらまあ、其れは有りかもですわね~」
「其れでダメなら3人なら如何じゃ?
人数を増やして行けば良いのではないのか?
お主との間の子が欲しい者は沢山居るでのう、」
「皆 うんうん、」皆
「じゃがまあ、今はまだ良い、
お主の気持ちも汲まねば成らんからのう、」
「はい、しくしく~無理やりは嫌ぁ~」
此の日晩御飯を食べた後、
飲み会で、領地の広大な面積の畑の作付けを如何するか、
エレンと話し合うモモタロウだった。
翌日は、まったりと過ごして体力の回復に努め、
月曜日には魔法学校に行き、
保健室の怪我人を治療して、
授業に参加、
「今日は剣術の授業を行うっちゃ~
全員武闘場に集合するっちゃ~」
「皆 は~いっ!」皆
武闘場に集合した生徒達に
「皆防具を着用して乱取りをするっちゃ~!」
「皆 は~いっ!」皆
「はい、ヨハンナ先生~」
「はい、如何したっちゃ~?」
「先生は参加しないのですか?」
「はい皆、先生より強いので
先生に剣を教えるっちゃ~」
「授業料返せ~!」
「仕方無いっちゃ~皆に教えて貰って、
先生は強くなって、他のクラスに威厳を示すっちゃ~
ダー〇ン浮気は許さないっちゃ~!」
「皆 ・・・・・」皆
剣の授業はヨハンナ先生に抜刀術を教えて終わった。
皆有段者なので、型は全て体に刻み込んで居る。
先生は、其の型の一つ一つを真剣に学んで居た。
実は結構真面目な人だった。
臨海突破者から学ぶ武術は貴重なのだ。
何せ、全員竜騎士で将軍に成れる
実力者と成って居たからだ、
教師に武術を教えて居る時点で、
授業は全員満点な訳だ。
流石はSクラスと言うべきか、
「はあはあはあはあ、全員凄い実力でした。
先生は全く敵いませんでした。
先生は皆の実力に近付ける様に努力して、
来年は尊敬される剣術教師を目指すっちゃ~!」
「う~ん、授業の意味ねえな~」
「まあ、モモちゃんはヒーラーだから、
其れ以外の授業は余り関係は御座いませんものね~」
「うす!」
昼にはアンザンガーターと昼ご飯を生徒会室で、
面白役員と食べる、
「モモタロウ様~女生徒に凄い人気ですよ~
私もあやかりたいです~」
「モモタロウ様のお陰で、
私達、普通にバイトしてたら良い位の
お金が有りますから~大助かりです~
でも、生徒会室には来て下さいね~
モモタロウ様のお弁当が何よりも楽しみなの~」
「うんうん、凄く美味しいよね~
何よりも楽しみなの~」
「うんうん、有難う、今日も沢山有るから、
一杯食べてね~」
「皆 は~いっ!」皆
学校では今日も平和な1日を送る
モモタロウとエレンだった。
屋敷に帰ると、
「メイド ご主人様~お帰りなさ~いっ!」メイド
『ダーリンダーリン、一寸良いっスか~?』
「うん?如何したのリリー?」
『ママゾンで、中華バイクを買ったっス~
前に石油を見付けてストレージに入れて居たんスけど~
今日、時間が有ったので、無縁ガソリンに加工したっス~」
「え~っ!バイク~!やった~
でガソリンって如何位加工したの~?」
『タンクローリー10台分位っス~』
「凄ぇ~量だなおい!」
『てへぺろ~っス』
「じゃ~見せて~直ぐに見せて~って
エレンパンツを脱がない!」
「え?見たいのでは有りませんの?」
「違うよ~リリーがママゾンで、
バイク買ったんだってさ~
其れを見せて貰おうとしてんの、」
「バイクって何ですの~?」
「リリー出して出して~えっ?
屋敷の中はダメ、外に出てから?
は~い了解~エレン外に行くよ~」
「は~い了解ですわ~」
モモタロウとエレンが外に出ると、
ストレージからバイクが出て来た。
125㏄のスクーターだ。
「凄っげ~マジでバイクだ~」
『中華バイクっスけど、足回りは改造して有るっス、
ショックも入れ替えて居るし、
タイヤもオフロード様に
ブロックタイヤにして有るっス~
此方の道が石畳か砂利道しか無いので、
普通のタイヤだとスリップして、
直ぐに転倒してしまうので、
スピードよりグリップ重視っス~
スピードは40キロ以内にしないと、
こけるっス~遅い馬車とぶつかる危険も有るっス~』
「そうだね~ガソリンが有るなら~
4輪バギーとかは?」
『勿論あるっス~もう改造済みっス~
今は、ママゾンでは買えないオンダの
ワンボックスカーを制作中っス~
当然タイヤサイズを上げて
砂利道対応にして居るっスよ~
詳しい本を調べてコピー中っス~』
「うっわ~楽しみ~旅に出れるじゃん、
で、他には?」
『まだ有るっスよ~250㏄のオフロードバイクっス~
此れも中華製っス~足回りを丈夫にして有るっス~
こっちは元々がオフロード仕様なので、
実力次第ではかなりスピードを出せるし、
荒地なんかも走破出来るっス~』
「おお~、良いね~今日はスクーターで楽しもうか~」
モモタロウ、エレン、此の外の者達は日が暮れる迄、
屋敷の敷地中の石畳を走るのだった。