ー178話ー 昇爵と譲爵
スタンダール領の農地開発と、治水工事を終え、
エレンの姉妹達の結婚式も終え、
モモタロウ一行は一路帝都へと向かって居る。
出発前にエレン号の艦橋に増設した6畳の和室に
2台の家具調コタツに、モモタロウ、女神~ズ、
エレン、ズロース、ちっぱい師匠とパパさん、ママさん、
ゴンザレス爺さんが入って、
緑茶を飲みながら、せんべいを齧って居た。
「モモよ、帝都に付いたら屋敷に帰る前に、
帝城に拠って呉れぬか?(ぼりぼり)」
「えっ?何で?(ぼりぼり)」
「うむ、帝国の主な大臣共との、
面通しをして置きたいのじゃ、(ぼりぼり、ごっくん)
其れと、エレンよ子爵位を授けるので受けては貰えぬか?
(ぼりぼり)」
「受けるのは構いませんが、如何してですの?
(ぼりぼり)」
「うむ、エレンが爵位を持って居れば、
モモが動きやすく成ると思ってのう、
(ぼりぼり、ごっくん)
農地開発が必要な土地で良ければ領地も付けるぞ?
ついでにズロースよ(ぼりぼり)」
「はい、何で御座いましょうか?陛下」
「うむ、モモとエレンの後見人として、
其方には辺境伯から侯爵に昇爵して貰う(ぼりぼり、ごっくん)
中途半端な貴族共に舐められなくなるぞ、(ぼりぼり)
其れとな、ローソン侯爵家と新派閥を組んで貰いたいのじゃ、
(ぼりぼり、ごっくん)領地の加増は無いがな」
「謹んでお受け致しますわ陛下(ぼりぼり、ごっくん)」
「時にエレンよ、メイド達なのじゃがな、(ぼりぼり)
自由民と成っては居るが、騎士爵位を与えては呉れぬか?
(ぼりぼり、ごっくん)皆、竜騎士じゃ、
本来であれば妾が与えるのじゃが、
そうすると、妾の騎士としての義務が生じて仕舞う、
高級官僚辺りに良い様にこき使われる可能性が有るのでな、
エレンの騎士爵位であれば、一段落ちてはしまう物の、
貴族で有る事には違い無い、帝都での扱いも変わって来よう
(ぼりぼり、ごっくん)」
「ちっぱい師匠、メイド達の事考えて呉れて居るんだ~
有難うございます(ぼりぼり)あっ師匠ミカン取って~」
「うむ、はい、メイド達には本当に世話に成って居るのでな、
お礼じゃ(ぼりぼり)」
「有難う師匠、所でスノーホワイト号じゃ無くて、
何でエレン号に乗って居るのかな~?(ぼりぼり、ごっくん)」
「何じゃそんな事か、簡単じゃ、
此処には和室とコタツが有るからのう(ぼりぼり)」
「皆 うんうん(ぼりぼり)」皆
「しかし、和室とコタツは実に良いのじゃ、
其れに、緑茶とせんべい、止められない止まらないのじゃ!
妾はもう此処から動けないのじゃ、
スノーホワイト号にも、増設して欲しいのじゃ、
(ぼりぼり、ごっくん)」
「はい、良いですよ~直ぐ出来ますから~
城に付いたら改修しますね、
(ぼりぼり)ミカンも美味しいですよ~」
「宜しく頼むのじゃ(ぼりぼり)
其れと此れじゃ!とらんし~ばぁ~≪じゃじゃ~ん!≫
此れが有れば何時でも何処でも
スノーホワイト号と連絡が取れるのじゃ~
(ぼりぼり、ごっくん)」
ママゾンで買った、小電力型のトランシーバー、
複数の子機が使える充電式、
しかも、電波法も無い世界なので、
リリーが魔改造して電波を千キロ以上
飛ばせる様にした優れものだ。
飛空艇には電波を受ける為のアンテナを設置して居る。
元々通信設備の無い世界なので、混信も無い、
飛空艇は高い高度を飛行する為により遠くに
電波が飛ばせる訳だ。
「なあモモよ此のとらんし~ばぁ~じゃが、
地上での交信距離をもっと伸ばせぬのか?
魔導通信は設備が大袈裟なのじゃ(ぼりぼり)」
「う~ん、如何でしょう?リリー如何?」
『そうっスね~受、発信する所が高ければ高い程、
電波はより遠くに飛ばす事は出来るっス~
地上は丸いっスからね~
高い位置に中継出来る設備を作れば
国全体をカバーする事は可能っスね~』
「だそうですよ、ちっぱい師匠」
「そうじゃな~帝都は城の突塔のてっぺんと、
ローソニア城の突塔のてっぺんと、
スタンダール城の突塔のてっぺんでは如何じゃ?
(ぼりぼり、ごっくん)」
『良いっスね~100パーセントは無理っスが、
ローソン侯爵領もスタンダール領も海抜自体は高いっスから~
結構な範囲をカバー出来るっス~
影に成る部分は勿論ダメなんスけどね~』
「モモよ勿論、今直ぐで無くて良いので、
頼めるかの~(ぼりぼり)」
「良いですよ~リリー中継器の制作頼める~?
(ぼりぼり)]
『は~いっス~』
今回の帰還航路はリリーが作って居る。
高度1000メートルを飛行して居るが、
冬の低い雲で視界が悪い為に、スノーホワイト号には、
安全の為にマップが見れるコウメイが乗り込んで、
進行方向を指示して居る。
スノーホワイト号に合わせて居るので、
飛行速度は遅い訳だが、
クルーの飛行訓練も兼ねて居るので仕方が無い、
帝城到着は翌日の早朝だ。
既に魔導通信で到着時刻と、
帰城した後の予定は伝えて有るので、
今頃帝城はおおわらわの筈である。
翌早朝、まだ暗い内にスノーホワイト号と、
エレン号は帝城に到着した。
城の堀に着水すると、門衛の騎士達が整列する。
全員船から降りると、
モモタロウは2隻共一旦ストレージに仕舞って、
スノーホワイト号の改修をささっと終わらせて、
又、堀に出した。
そしたら女帝は其のまま魔法の袋に仕舞うのであった。
ワラワラと門から偉い人達が女帝の前に現れると、
片膝をついて臣下の礼を取る。
「うむ、朝早くからご苦労である。」
「臣下 はは~~っ」臣下
「うむでは、城にて譲爵の義と昇爵の義を
執り行うのじゃ、準備は出来て居るか?」
「ははっ!既に近隣の貴族達が謁見の間にて、
整列して居ります。」
モモタロウ達は女帝の後に続く大臣達と、
護衛達の其の又後ろに付いて歩くのであった。
どでかい城の回廊を歩くと、周りには見事な彫像が有り、
まだ薄暗い広い庭は良く手入れがなされていた。
城が大きいので、謁見の間迄かなりの時間が掛かったが、
やがて屋内に入ると、
更に煌びやかな装飾が成された回廊と成り、
両脇に騎士が立つ大きな観音扉の前に来ると、
女帝様が時間が勿体無いと全員入る様に促した。
如何やら普通は隣に有る控室で、待つ様だが、
今回は、特別の様だった。
扉の向こうから、
「アンジュ、ルグレス女帝陛下御出座~!」
騎士が扉を開くと、女帝陛下は普段着のまま入室して、
居並ぶ貴族達を通り抜けて、壇上に登って行き、
玉座に座る。パパさんとママさんがその両脇に立つと、
腹臣達が、ワラワラと貴族達が両脇に並ぶ最前列に並んだ。
モモタロウ達は玉座の手前、
女帝陛下の顔が認識出来ない程遠い位置で片膝を付いた。
俯いて居るモモタロウ達に女帝陛下は、
良く通る声で、
「苦しゅう無い、面を上げよ」
モモタロウ達が顔を上げると、
貴族達の最前列に居る偉い人が、
「只今より昇爵の義を執り行う!」
「ローズ、スタンダール女辺境伯よ、
今回の遠征での活躍、見事である。
よって、汝を女侯爵と致す!。
此れ以降も帝国の為に尽くすが良い」
ローズは女帝の前まで来ると、女帝は側近から剣を受けて、
すらりと剣を抜くと、ローズの両肩に剣の腹を当てて、
儀式を行った。ローズが皆の所に下がり、
片膝を付くと、
ローズの他に数人の昇爵が行われた。
其れらが終わると、又偉い人が、
「只今より譲爵の義を執り行う!」
「エレノア、スタンダールよ、
今回の遠征での活躍見事である。
よって汝を女子爵として、
コンロンの地を領地として授ける。
未開発の地では有るが、奮闘努力をして開発せよ、」
エレンは女帝の前まで来ると先程と同じ様に、
儀式を受けた。」
「開発困難な地では有るが、宜しく頼むじゃ!」
「ははっ!有難きお言葉!」
此の後、護衛の騎士達全員を譲爵して行った。
最後にメイド達を含めた全員に竜騎士の称号を与えて、
竜騎士の勲章と、金一封の授与を行った。
「さて、エレノア、スタンダール女子爵よ、
そちの騎士達の譲爵を、此の場で行うが良い」
「ははっ!有難きお言葉!」
エレンは此の後、モモタロウを始めメイド達に
騎士爵位を与えて行った。
女帝自ら与える騎士爵位よりは一段劣るが、
女帝の目の前で行う事で、権威を上げて居る。
何より帝国の紐付きで無い事を知らしめる事が出来た。
しかも其のバックにはスタンダール侯爵家が居るので、
つまらない貴族のちょっかいが掛から無い、
更にコンロン地方と言う奈良県位の領地を得た。
帝国での本拠地と成る領地だ。
此の意味は大きく、女帝のお気に入りだから、
暗に手を出したら滅ぼすぞと言って居る訳だ。
女帝のワンマン帝国では、
手出しする様な上級貴族は居ない。
何故なら、女帝こそが法律なのだから、
儀式が終わった頃には既に日は傾いて居た。
モモタロウ達はやっと解放されて、エレン号で帰宅した。
大きな飛空戦艦なので、
付いて直ぐに発着場の改修を行った。
改修したスノーホワイト号には、和室とコタツの他、
連弩を20門取り付けて居た。
此れで、ワイバーン程度は即時撃退出来る。
防御結界も有るので、
戦艦としても運用出来る仕様と成って居る。
「皆お疲れ様~やっと帰って来たよね~
取り敢えずお風呂に入ってからご飯にしようか~」
「皆 は~いっ!」皆
屋敷に帰ると、何時もの様にお風呂に入って、
晩御飯を食べて、宴会をするのだった。
翌日1日は休養日としてゆっくりと過ごして、
其の翌日、モモタロウ達は魔法学院に登校した。
ギルマス達も出勤して行った。
メイド達は直ぐに何時もの生活に戻って居た。
学院に付くと、女生徒達が大変に騒いだが、
其処は学院長と、まどか先生が抑えて呉れた。
事務室に行くと、お局様が、
「やっと帰って来たわね、」
「いや~大変でしたよ~」
「聞いて居ますよ、クラス全員が臨海突破したとか、
女生徒達が側室目指して大騒ぎに成って居ますよ」
「・・・・・」
「其れとモモタロウさん、
保健室から帰ったら直ぐに来てくれと事ずかって居ます。」
「あれ~そうなんですか?
じゃあクラスに行く前に保健室に寄って行きますね~」
「はい、そうして下さいね」
エレンと一緒に保健室に行く、
「アカシヤ先生~入りますよ~」
保健室に入ると、
「モモタロウ君~お助け~!」
保健室の中は怪我人で一杯だった。
「何此れ~怪我人で一杯じゃ無いですか~!」
「女生徒の大きな抗争が何回か有ってね、
軽症の娘は完治して、帰って居るのだけれど、
重症の娘達は皆入院して居て、大変なの~
お陰で私、とてもスレンダ~に成ったわ!
ご飯をお腹一杯食べたいの~」
「はいはい、分かりました。」
モモタロウは唐揚げとご飯の大盛りを、
アカシヤ先生に手渡すのだった。
「ああ~美味しいわ、モモタロウ君愛して居るわ~」
「はいはい、分かりましたから~
今から全員治療しますね~」
モモタロウがエリアヒールを唱えると、
20人近く居た女生徒達が淡く光りだして、
傷が治って行った。
「怪我人 モモ様~有難う~結婚して~」怪我人
「モモちゃんはイ〇ポですのよ~」
がはっ!!
吐血するモモタロウ、
「怪我人 え~っ 役立たずじゃん!!」怪我人
げはっ!!
又吐血するモモタロウ、
「じゃあアカシヤ先生、
終わったんでクラスに戻りますね、」
「有難うモモタロウ君、美味しかったわ~
結婚しましょう、私を食べさせて~」
「食べるのかよ~無理です。」
「食べて~じゃ有りませんのね」
「モモタロウ君のいけず~」
モモタロウ達は保健室を出ると、Sクラスに行った。
「おやびん、お帰りにゃ~」
「おやびん、お帰りうさ~」
「は~い、只今~で、今日の授業は?」
「「自習だって~にゃあ、うさ、」」
「何で?」
「「教える事が無いんだって~にゃあ、うさ、」」
「授業料返せ!!」
「仕方が有りませんわね~如何致しますか?」
「寝る!」
此の日の授業は全て自習だった。
屋敷に帰るとクラスの皆が付いて来て居た。
「何で、皆付いて来たの?」
「皆 美味しいご飯を食べて、大きなお風呂に入って、
豪華な部屋で寝たいからで~すっ!」皆
「うちらはもう、おやびんの子分にゃ」
「そううさ、何時でもパンツを脱ぐうさ、」
「要らね~よ!何時も見てるし~
じゃあ皆、カンウに稽古を付けて貰って来て~」
「皆 は~いっ!」皆
遠征の間クラスメイトと、先生達は時間が有れば、
カンウやチョウヒ、チョウウン、等に稽古を付けて貰い、
抜刀術や北辰一刀流、薙刀術、槍術、
合気道、空手、柔術、少林寺拳法等の
武術の2段以上を習得して居る。
特にダンジョン等では
武器を使った武術が役に立って居る。
カンウ達は元々強かった上に身体能力も高かったので、
リリーの指導の下、既に免許皆伝の腕前だった。
「カンウ~皆の指導を頼むよ~」
「はいご主人様・・・所で相談なのですが、
実は私達警備や、メイド達でパーティーを組んで、
交代でダンジョンに潜りたいのですが、
宜しいでしょうか?」
「其の心は?」
「フィールドダンジョンで、思い切り魔法をぶっ放したい」
「うん構わないけど、もう威力が半端無いから、
人の居ない階層でなら、オーケイかな?」
「有難う御座います。
大技を極めるのには訓練が欠かせませんので、」
こうして、モモタロウの配下達は、
パーティーを組んで、中級ダンジョンに、
交代で訓練攻略する事と成った。