ー164話ー 特急ダンジョン 1階層
地竜の里迄来たモモタロウ達は、到着したのが夜と成った事も在り、
其の夜は、地竜の里の上空で夜営する事と成ったが、
ドラゴンの縄張りのど真ん中である。
他の魔物に襲われる事も無いので、見張りだけを立てていた。
其の夜は飲酒も許可して、何時もの宴会に突入していた。
「あっそうそう、皆ちょっと聞いてくれるかな~」
「皆 は~いっ」皆
「今回の討伐の報酬の分配だけど~」
「皆 要りませ~ん!」皆
「はい~っ?!」
全員に英雄級以上の装備を配って居るのである。
騎士や貴族にとっては、配布=家宝だった。
其れ以上を望む者も居なかったのだ。
ゴンザレス爺さんや、女帝ファミリー、
ギルドファミリー何かは
更に身内の底上げをして貰うんだから、
経費一切を負担すると言って居る位だ。
「そう言う訳にも行かないので~
莫大な経費も掛かって居りますが、
今回の討伐、恐らくは素材の売り上げやなんかで、
莫大な収益が見込まれます。
なので~全利益の2割を経費として頂きます。
残りの利益に付いては全員分の頭割りで、
分配させて頂きます。
其れで良いですか~?」
「皆 バンザ~イ!! 良いで~すっ!
一生付いて行きま~すっ!」皆
「では、明日からの狩りの成果を祈願して、
パ~っと行きますか~!!」
「皆 バンザ~イ、バンザ~イ、バンザ~イ、!!」皆
結局此の夜も何時もの宴会が始まるのであった。
翌朝、朝ご飯の後、村長と別れると、
ダンジョンの入口に向かった。
「土の女神様、ダンジョンの入口って、広いんですか?」
「そうですね~大人5人が横並びで入れる位の広さですかね~
高さも5メートル程有りますね、
其の洞窟が1キロほど続いて居て其れを抜けると、
一気に視界が広がりますね~え~っと、
1階層が、奥行き500キロの、横幅が300キロ位ですか、
高さは10キロ程ですね、
此の階層を支配して居るのが5メートル級のミノタウロスと、
5メートル級のマンテコアですね、
この2種類の魔獣が1階層の捕食者の頂点を競い合って居ますね、
他の魔物は一番下がゴブリンですね~
海で言う所のオキアミか、青イソメと言う所ですか、
其の外はオークなんかもそうですね、
でもとにかく数が多いんですよ、
ゴブリンやオーク等はオーク芋と言う、
とっても不味い芋を主食として居まして、
ドラゴンは何でも食べますが、
岩でも美味しく頂けるのですが、
此の芋だけは食べませんね、
げろげろ~っと成りますね、
芋自体の栄養価は高くて食物連鎖の最底辺の
魔物の繁栄を支えて居ます。
其処が此のダンジョンの嫌らしい所で、
頂点捕食者が底辺の魔物を食べ尽してしまうと、
強力な魔獣が餌を求めて、
ダンジョンの外に大量に溢れてしまいます。
其れとは逆に底辺の魔物が大量に溢れる事も在ります。
だから私達が頻繁に魔物の数を減らす訳ですが、
ダンジョン自体とても魔素が濃く、とにかく広いのです。
「と言う事は?」
「すっごく面倒臭い!!」
「ですよね~」
「だって、ドラゴンですもの~」
「・・・・・」
「2階層も広くて、奥行き、800キロ、
横幅500キロ高さは此方も10キロ位ですね、
此方も食物連鎖が完成されて居て、
新たに4メートル位のグリフォンが現れる様に成りますね、
3階層も同じで、奥行きが1000キロ、横幅が700キロ、
高さが、10キロ程ですね、
此の階層から、8メートル級のワイバーンが現れます。
此処迄が草原ゾーンですね、
4階層から荒野ゾーンに成ります。広さは3階層と変わりませんが、
ミノタウロスがSランクの8メートルクラスに成り、
マンティコアもSランクの10メートル級に成ります。
後、6メートルのSランク級のグリフォンと、
10メートルSランク級のワイバーンに成りますね、」
側で聞いている人達がめっちゃ引いて居た。
皆、階層主クラスの魔獣だからだ。
「此れが特急ダンジョンなのですわね、
生きて帰れる気が全くしませんわ。」
「まあ普通はそうだよね~でも此のパーティーには、
強力なドラゴンさん達が一杯居るからね~」
「そうですわね~女神様も2柱いらっしゃいますし」
「そうですわね~此処だとブレス吐き放題ですわ~」
「そうですね~亜空間ですし、やりたい放題ですね~」
「女神様のブレスって魔大陸を荒野にしたって言う?」
「「あれは赤が悪い!!」」
「5階層からは10メートル級の
Sランクのヒュドラが出る様に成りますね、
6階層は奥行きが1500キロに成って、
横幅が1000キロ、高さは変わらずに10キロですね~
ヒュドラがSSランクの20メートル級に成って、
25メートル級のSSランクのグレートコブラが現れますね、」
「最早ダンジョン主ですわ~!
私くし今回は何回死にますの~!」
「7階層からは砂漠地帯で、
広さは変わらず此れが限界なのでしょう。
20メートルのSSランク級のサンドワームと、
15メートルのSSランク級の
ジャイアントスコーピオンが現れますね、
8階層、9階層も同じですね、
此の3階層は魔獣も強力ですが、
主に探索者の体力を削る為の様です。
昼は気温50度を超えて、
夜はマイナス30度に迄下がります。
地味に堪えますよね~」
「いやいや、普通に死ねるから」
「10階層も砂漠地帯で、
此処は30メートル級の邪竜が出ますね、群れで、
此処は流石に私達が出ないと、
エルダー、ドラゴンがいくら強いと言っても
ドラゴン同士では怪我をする者も居ますので、」
「30メートルのドラゴンの群れとか
言っちゃったよ~此の人」
「だって、ドラゴンですもの~
今回の討伐は此処迄にしますね、切りが有りませんし、」
「女神様、此のダンジョンって、一体何階層迄有るんですか?」
「え~っとねえ、確か120階層でしたっけ~?」
「120って、凄くね、こんな魔獣が120階層迄出続けるんだ、
有り得ね~」
「女神様、昨年1階層増えて、121階層に成りましたよ~」
「あら、そうだったかしら?」
「まだ増え続けてるんだ、もっと有り得ね~」
「まあ、こうして魔獣を間引いて、
ダンジョンの魔素を薄めるのも仕事だからね~
放置して居たら
其の内悪魔神が誕生してしまう危険が有るそうだよ~
仕方無いよね~スクルドに追い掛け回されるのは嫌だし~」
モモタロウのパーティーはダンジョンの入口に到着すると、
全員一旦下船して、ストレージに飛空戦艦エレンを仕舞った。
隊列を作って、洞窟状のトンネルを抜けると雪・・・
一面に草原が地平線の彼方まで広がって居た。
「う~ん、一杯居るね~」
「そうですわね~有り得ない位、沢山居りますわね~」
モモタロウは直ぐに飛空戦艦エレンをストレージから出すと、
全員に乗船を指示した。
何故なら、マップ画面に1階層の入口付近が
敵対勢力でまっかっかだったのだ。
『リリー』
『は~いっ、ダ~リン』
『敵は?数は?』
『ゴブリンっスね~数は約12万、
内訳は7割がホブゴブリンで、2割が普通のゴブリンで、
残りの1割がゴブリンソルジャーと、ゴブリンジェネラル、
ゴブリンキング、其れと、魔術師も100匹位居ますね~っス
武器は流石に人が来ないダンジョンっス、石器の短剣と、
槍と弓矢っス~魔術師は程度は低いっスね~
精々ファイヤーボール位じゃ無いっスか~
ホブゴブリンや高位のゴブリンが多いのはやはり魔素が濃いのと、
餌のオーク芋のお陰でしょうねっス。
皆丸々と太って居るっス』
「12万のゴブリンなんて、有り得ね~
普通に国が亡ぶ数じゃん!」
「皆 ・・・・・」皆
「総員第1級戦闘配置!!」
「艦長、浮上します!」
飛空戦艦は全員乗り込むと浮上して、
上空50メートルの高さで遊よくした。
ゴブリン達は船の下に集まって、弓を射たり、投石をしていたが、
シールドを張った船に傷を付ける事は無かった。
海兵達は急いで持ち場に付くと連弩の発射準備を始める。
モモタロウは短針のマガジンを大量に積み上げると、
『リリー、ゴブリンの死体と短針の回収と、
魔石の回収を頼む、死体は他の魔獣を呼び寄せる撒き餌にするからね、』
『了解っス~任せるっス~』
モモタロウはハンドマイクを手に取ると、
「殲滅隊は待機!連弩隊準備急げ!」
300人の連弩隊は準備が終わった者から
手を上げて合図を送って居た。
全員が手を上げたのを確認すると、
「各個撃破開始!!」
合図と共に50連発の魔道連弩は魔石の動力により、
20㎝程の長さの矢を繰り出す。
1発当たり1秒程の速度で、
50発を撃ち尽くすのに1分も掛からない
予備のマガジンも大量に置かれている。
魔石も乾電池式で、魔力を使い果たすと、
マガジンの側に置かれている電池式の魔石を交換するだけだ。
短針の威力も高く、ホブゴブリン程度では、
体に当たったら貫通してしまって居た。
金属製の矢は短くても有る程度の重量が有り
強力な威力の弩で撃てば金属製の
鎧程度なら簡単に打ち抜いてしまう。
高威力の武器だった。
そして、死んだゴブリンや撃った矢も順次回収されて行く、
壊れた物や曲がった物などは直ぐに修理されて、
空のマガジンに封入されて行った。
死体も順次回収されて行くので、
見通しも良く命中率は下がらない。
20分程で12万のゴブリンは壊滅し、
数千に迄数を減らして、逃走を始めて居た。
ひとまとまりに成って居たのが幾つかに分かれて居たので、
「女神様、逃げるゴブリンに止めを、」
「「了解!」」
両女神様は体が輝くと、口から光が漏れて、
口をあ~んと開くと、
口一杯に光線状のブレスがレーザーの様に飛び出した。
「あ~~っ巨〇兵やん此れは使えんわ~
おお~~ゴブリンが蒸発しとるわ~
着弾した一帯が蒸発したわ~クレーターに成っとるがな~
何処の流〇雨だよ~
幾ら強力でもこれじゃ~素材が取れんな~」
モモタロウはエルダー、ドラゴン達にもブレスで、
ゴブリンに攻撃してもらったが、
女神様よりは格段に威力は落ちる物の、
やはりゴブリン達は蒸発した。
海兵達が其の様子を口を開けて呆然と見ていた。
此の後更に3つの10万越えの集落を
壊滅させて今日の討伐を終えた。
時間的には随分と余裕が有ったが、
レベルアップ酔いの為に、
初級者達が使い物に成らなくなった為だ。
殲滅組は上空からブレスや魔法で
粗方のゴブリンを始末してしまった。
魔石しか価値の無いゴブリンの
素材もはう良いだろうという言訳だ。
地上の地形が大分変わって居た。
其処彼処にクレーターが出来て居る。
ストレージのゴブリンの死体だけで
既に30万を軽く超えていた。
レベルアップ酔いの皆は、晩御飯は何とか食べたが、
直ぐに部屋に戻って行った。
元気なのは、クラスの皆と、モモタロウファミリーと、
エレンとエレンの姉ちゃんのローズ、
女神様と其の従者達であった。
女帝と従者のワンレンちゃんは
元気に凶悪な範囲攻撃魔法をひゃっは~!と
ぶっ放して居た。何処の世紀末だよ!
パパさんとママさんは、レベルアップ酔いでダウンしてしまった。
エレンの姉ちゃんは爆裂魔法の使い手であった。
武器の魔法を使い切るとそこら中に
爆裂魔法を撃ち込んで居た。
やがて、魔力が切れると、ぱたりと倒れてしまったが、
今はもう復活して酒盛りに参加している。
ポチは、短針のマガジンを体の中に取り込んで、
1発づつ発射して居た。1秒に1発位の割合だが、
離れた距離から正確にゴブリンの頭を吹き飛ばしていた。
宛らゴル〇サーテインの様だ。
「ポチの後ろに立ったらぶっころなの~」
短針の追加をして居ないので、自分で作って居た様だ。
発射した矢の威力も凄まじくレールガンの様だった。
だって、頭を吹き飛ばしたゴブリンの
周りのゴブリンも吹き飛んで居たから、
殲滅組は楽しそうに酒盛りをして居た。
翌朝、レベルアップ酔いの者達も復活して、
朝ご飯を食べた後に、今度はオークの大規模集落に襲い掛かった。
「皆~オークのお肉は美味しいから~
あんまり派手に殺しちゃいけないよ~」
「皆 は~いっ!」皆
「と言う事で、女神様と、エルダー、ドラゴンの皆には
連弩の討伐後に地上に降りて
オークの首ちょんぱして貰って良いですか~?」
「女神達 面倒臭いので~嫌で~すっ
だってドラゴンですもの~」女神達
「晩御飯のデザート1品多く付けますよ~」
「皆 は~いっ!頑張りま~すっ!」皆
何故か海兵の皆も返事して居た。
マップのお陰で、
オークの大規模集落の場所は分かって居たので、
一つ一つ塗りつぶす様に攻略して行った。
オークの外に、Bランク、オーガや、Bランクのグランドブラックベアや
Cランクのブラッデイボア、黒オオトカゲなんかも大量に狩れている。
其れ以外にもミノタウロスの群れも現れだして、
既に数百匹程狩れていた。
しかし今日のメインターゲットはオークなので、
オークの大規模集落への移動中に出会った
獲物をついでに狩っていた訳だ。
「艦長、オークの大規模集落に到着しました。」
「はい、了解、数は此処も10万を超えているね~」
『はいっス13万5千匹ほどっス~』
モモタロウは艦橋から降りて来ると、マイクを持って
「はい、皆~連弩の準備は良いかい~?」
「皆 準備完了で~すっ!」皆
「はい其れでは攻撃開始~!」
海兵達は、竪穴式住居のオークの
大規模集落に攻撃を加える。
彼らがダンジョンから出る事が無ければ
狩る必要も無い訳であるが、
餌であるオーク芋よりオークやゴブリンが増えて、
餌を求めて、ダンジョンから出ることに成れば、
国が亡ぶ規模の集落なのだ。ゴブリンや、
オークは人族を餌と認識して居り、男は食料、
繁殖力の強いオークや、
ゴブリンは女は繁殖の道具として使い潰すのだ。
後の犠牲に成る者が出ない様にするには
狩る以外の道は無かった。
数十分後、壊滅したオークの数千の生き残りを、
今度は殲滅組が地上に降りて、狩り始める。
ドラゴン組だ。疾風の様に駆け、神話級、伝説級の青龍偃月刀で、
首を飛ばして行く、1時間も経たずに、
オークの大規模集落からオークは居なくなった。
死体は全て、モモタロウのストレージに入れられて、
リリーにより、全て解体処理されて行く。
此の日ストレージに入れられたオークの数は百万匹を超えたのだった。