ー162話ー ポチ
モモタロウは歩いた。降り積もる雪の中をはだしで、
ふらふらと、宛ら幽霊の様に、
広い庭なのだ、中々門の所までは行けない。
先の方から何かが走り寄って来る、
銀色に光る少女の様だ、
ボロボロに成った外套をひる返し乍ら
銀色の少女はモモタロウの首に抱き着くと、
くるりとまわり乍らモモタロウと
一緒に降り積もる雪の中に倒れた。
「マスタ~マスタ~会いたかったよ~
え~~ん、え~~ん!」
「ポチ、その恰好は?」
そう、ポチのボロボロに成った
外套の中に見えるのは、
水着だった。
「ポチ・・・・・
あれからずっと探して居たのかい?」
「うんポチ、ルビー姉がマスターを
ぶつ飛ばしてからずっとマスターの
魔力を探してさ迷って居たの~
そうして居たら砂漠でマスターの匂いを見付けて、
直ぐに匂いが判ら無く成ったの、
そしたらスモールリリーちゃんが、
魔力が見えなく成るのは恐らく
空を飛んで居るからじゃ無いかって、
其れだったら近くの大きな都市、
帝都じゃ無いかって、
そんで、帝都で又マスターの匂いを又見付けたの、
其の匂いを辿って来たら、此処に付いたの
御免なさいなのマスター、
ポチが護衛なのに、御免なさいなの、
マスターはポチの事が嫌いに成ったの?」
「嫌いな訳が無かろう、
ポチはこんなに可愛いのに、御免な、
でも俺ダメなんだよ、皆の事が怖くて、怖くて、
手が震えて来るんだよ、
だから、心を鍛えて
いつか皆を受け入れられる様に成るように、
修行して居るんだよ」
「ポチ、マスターの側に居ちゃダメ?」
「そんな訳無いだろう!
何千キロも歩いて追いかけて来てくれたんだ。
有難うポチずっと側に居ておくれ
こんな俺の為に、有難う、有難う、有難う」
抱き合った二人は
雪の中でおいおいと泣くのであった。
其れを木の陰から見守るエレンもおいおいと、
貰い泣きをして居た。
「ポチ疲れたろう、
風呂に入って汚れと疲れを取ろうか」
「うん、此れからずっとマスターと一緒」
「はいはい、俺と一緒にねっ」
モモタロウはポチと一緒にふろに入ると、
今迄の経緯と、自分が今はモモタロウと言う
偽名を使って居る事、
明日から特急ダンジョンに挑むこと等の説明をした。
風呂から出ると、まずエレンの所に行き、
「エレン、原始の森に居た頃に従魔にしたポチだ。
宜しく頼むよ、」
「あら、ポチ様ってモモちゃんの
お師匠様じゃ無かったかしら?」
「うん、其のお師匠様の名前を貰ったんだよ。」
「そうですの~ポチちゃん私くし
エレンと申しますのよ、
此れから宜しくお願い致しますわね」
「はい、ポチですエレン姉宜しくお願いします。」
「はい、此方こそですわ。か、可愛いですわ」
モモタロウは新たにポチを仲間に加えると、
出発前の準備に余念が無かった。
「食料は~小麦粉10トンに~米10トンに~
チ~ズが10トンに~塩が5トンに~
魚が5トンに~肉が色々~一杯に~
各種野菜に~果物、
現地調達の食料はこんな所かね~」
現地調達の食料はメイド達が、
各商家に事前に発注しており既にモモタロウの
ストレージに格納されている。
「後はママゾンで~カレーに、
シチュー、味噌に、調味料各種、料理酒、
チャーハンの素、冷凍餃子、冷凍シュウマイ、
ホイコーローの素、冷凍コロッケ、冷凍メンチカツ、
冷凍トンカツ、総菜、弁当各種、袋ラーメン、
冷凍食品各種、麺はうどんに、ラーメン、パスタ、
300人が3か月間暮らせる位の量を
リリーが計算してまとめて購入してくれて居るっと、
お酒に関しても、各種300人が3か月位飲める量を、
リリーが準備して居てくれて居る。
つまみや当てもだ。
武器、消耗品なども全て準備済だそうだ。
作り置きの料理等も、スキル電子レンジで、
リリーが調理して後、微妙な味付けをしたら
出来上がりと言う状態にまでして呉れて居る。
此れはリリーには味覚が無いためだ。
後は何か要る物が有ったかね~?」
『生活用品に付いては既に準備完了っス。
女性が多いので、結構大変っス、
人の配置も計画済みっス。
メイド達には苦労も掛けるっスけど、
其処は頑張って貰うっス。
戦闘終了後の夜間に働いてもらうっス。』
「う~ん、大変そうだね、
此れは特別ボーナスを出してあげないとね、」
『ば~んと、大盤振る舞いっス。』
「そうだよね~本当に皆頑張ってくれて居るからね~
ば~んと、出しますか~、
侯爵からも帝国からもお金が出るしね~」
『良い事っス~メイド達のモチベーションも
爆上がりっス~、
後、統一の戦闘服を作って居るっス』
「おっ、良いね~流石はリリーだよね~
任せたよ~」
『はい、任せるっス~最強の軍隊を作るっス~
補給計画も完ぺきっス~』
「いや別に最強?あれ?最強の方が良いのか、
まあ、程々にね~」
『はい、本妻に任せるっス』
此の後、皆にポチを紹介していく
「白の女神様、土の女神様、此の娘、
俺の護衛のメタルスライムでポチと言います。」
モモタロウの頭の上に乗っかった
鏡モチ台のポチを紹介すると、
「ポチです、白姉、土姉宜しくなの~」
「はい、私くし白の女神ですのよ
宜しくお願い致しますわねポチちゃん・・・・
あれっ?此の娘めちゃくちゃ強いですわね~
私くし以上?此れは、
スクルドとタイマン張れますわね~」
「ポチちゃん宜しくね~
本当に強そうだね~
スクルドなんかワンパンじゃね?」
「マスターの敵は皆殺しなの~」
「「怖ぇ~な!」」
「ちっぱい師匠、
此の娘俺の護衛のポチと言います。
俺と何時も一緒に居ると思いますので宜しく」
「ちっぱく無いやい!そうかお主の護衛か、
妾はアンジュじゃポチとやら宜しくのう」
「アンジュ姉宜しくなの」
「・・・アンジュ姉、か、可愛いのじゃ」
「パパさん、ママさんもポチを宜しくお願いします。」
「「はい、ポチちゃん宜しくお願いしますね、」」
「はい、パパ兄、ママ姉、宜しくなの」
「パパ兄・・・か、可愛いうちの子に成るかい?」
「ママ姉・・・か、可愛いわ、アンジュちゃんの
妹に成りますか?」
「うんいい、ポチはマスターのお嫁さんなの」
「なら、アンジュちゃんも
モモタロウさんのお嫁さんに成ったら
姉妹に成れますね」
「ママ、其れはいかん、
アンジュちゃんには帝室の世継ぎを
生んで貰わないと、帝室が滅ぶんじゃ無いかね」
「あらあら、パパ、モモタロウちゃんだって、
何時までも立たない訳では無いかもですわ。
立ったらアンジュちゃんの
お婿さんに成って貰いますわ。」
「其れはそうなのだが・・・・」
複雑な心境のパパさんだった。
「ズロースさん、俺の護衛のポチです。
何時もこの位置に居ると思うんで
宜しくお願いします。」
「もうズロースで構いませんわ、
私くしローズですの、ポチ様宜しくですわ」
「ズロース姉宜しくなの」
「ゴンザレスさんも
ポチを宜しくお願いします。」
「うむ、ポチ殿モモタロウ殿の
義兄弟のゴンザレスじゃ宜しくのう、
何かあったらわしに相談するのじゃぞ」
「ゴンザレス兄、何時もマスターが
お世話に成って居るの、お礼に此れをあげるの」
と、ポチは竜牙剣と、
竜鱗の鎧を出すとゴンザレス爺さんに渡した。
「ポチ殿、此れは?何か
途轍もない一品に見えるのだが?」
「え~っとねえ、
ドラゴンさんの歯で出来た刀と~
ドラゴンさんの鱗で出来た鎧なの~」
ゴンザレスが刀を握ってみると、
淡く赤い闘気が、刀に絡み付いた。
「・・・・・凄い、此れは魔剣か」
「マスターの刀のコピーなの、
魔剣、火竜なの」
「わし如きが持つような剣では御座いませんな」
「良いの、ポチからの気持ちなの、
受け取って欲しいの」
「ポチ殿有難う御座います。」
指をくわえて見ている騎士達、
パパさんも指をくわえて見ていた。
「お主、モモの作った装備をコピー出来るのかえ?」
「はいなの、マスターの物より少し落ちるの、
リリーちゃんがマスターの装備の
希少性が下がらない様にって言って居たの」
「ほう、では全く同じ物も作れるのかえ?」
「出来るけど、作らないの、
ポチはマスターが大好きだから
真似っこだけにするの」
「うむ、其の方が良かろうな、
モモの装備は妾も持ってはおるが、
凄過ぎる。こんなのが沢山あれば
世界が滅びるレベルだわい、
モモも、其れを分かって居るのじゃろう、
譲る相手を選んで居るしのう」
「まあ、強力なアイテムですから、
中には面白装備のネタアイテムも有りますけどね~」
「ああ、妾は気に入って居るのだが、
ハート形の妾の杖と
扇子じゃなあれは妾も笑ったぞよ、
まあ、強力な装備故、貰った本人は至極、
真面目に感謝して使って居るがのう」
「ちょいとモモちゃん其れはどう言う事ですの?
私くし、竜の鱗の剣しか貰って居りません事よ、
竜の牙の剣が有るなら欲しいですわ」
「う~ん、神話級の武器だからね~
其のレベルに成ったら
渡そうと思って居たんだよね~
エレンに渡した竜鱗剣も伝説級なんだよ~」
「伝説級でしたの~モモちゃん御免なさい、
流石に神話級はちょっと無理ですわ~」
「じゃあ、ポチがコピーした
ドラゴンさんの歯で作った刀をエレン姉にあげるの」
「此れは?」
エレンが剣を持つと剣に紫電が走った。
「魔剣、紫電改なの、電気が流れるの、
皆びりびりなの」
「ポチちゃん、刀に名前は入れられなかしら」
「茎に、ポチ印と刀の名前、其れ以外に
持ち主が付けた名前を入れられるの~」
「本当に?じゃあ、白虎丸と入れて貰えないかしら?
其れと今使って居る刀に春雷と入れて呉れないかしら?」
「うん、良いの~マスターの刀に居れても良い~?」
「はい、良いよ~名前位、俺に聞かなくても良いからね~」
「は~い」
ポチはエレンから2本の刀を受け取ると、
一旦体に取り込んでもぞもぞすると刀を取り出した。
1本は赤竜の鱗で作られた真っ赤な刀身の竜鱗剣だ。
ポチは鍔を取って、目釘穴の釘をとんと抜くと、
茎の説明と、
新しく入れた名前をエレンに見せるのだった。
説明すると、刀を組み立てて、エレンに渡した。
そうしてもう1本の刀を取り出して
真っ白な刀身を同じようにバラして、
エレンに説明してから又組み立てて
エレンに渡したのだった。
「こんな作りに成って居たのですね~
びっくりしましたわ。
こんなに簡単に分解や、組み立てが出来るなんて」
「武器だからね~簡単に補修点検が出来ないと、
命に係わるからね~」
「ほんと、目から鱗ですわ~
ポチちゃん有難うですわ~
此れで分解整備が出来ますわ~」
「うんエレン姉、
大事に使ってくれると、嬉しいの~」
「勿論大切に致しますわ」
「あの~ポチ殿、
わしも刀に名前を入れて欲しいのじゃが」
「うん、構わないの~」
「すまないの~其れではイフリートと
入れて貰えんじゃろうか?」
と、ゴンザレスは刀をポチに渡した。
ポチは又刀を体に取り込んで、もぞもぞすると、
刀を取り出して、
ゴンザレスに渡して、丁寧に説明するのだった。
「で、ポチ殿、装備の報酬なのじゃが、
どの位用意したら良いのか
全く見当が付かぬのじゃが、
如何したら良いじゃろうか?」
「マスターを大切にしてくれたお礼なの、
ポチ報酬何て要らないの」
「即、家宝に成るような装備を
無報酬で何て出来んのじゃよ、
如何したら良い物かの~モモタロウ殿、
如何しよう~」
「ゴンザレスさんとは
義兄弟なのだから遠慮せずに、」
「いや、そう言う訳には」
「じゃあ、ポチの領内での
自由行動を約束して下さい。
ポチに物欲は無いので、気持ち重視で、」
「分かり申した。ではポチ殿、モモタロウ殿此れを、」
ゴンザレス爺さんは、従者にメダルを持って来させると、
モモタロウと、ポチに手渡した。
「此れは我が家のメダルです、
領内であればどんな貴族家でも
最大限の協力を得る事が出来ます。
皆、我が侯爵家の頼子ですからな、
しかし、こんな程度で良いのですか?」
「十分でしょう。此れで、
俺もポチも動きやすく成りますよ~」
「わ~い、マスターとおんなじだ~」
「何か喜んで居りますな、
後、エレンさん、ズロースさん、
家宰のカンシンさんにも渡しておきましょう」
「「「有難う御座います。」」」
「其れでは次いでと言っては何ですが、
白の女神様と、土の女神様には、
神話クラスの、竜牙魔剣と青龍偃月刀を、
白銀の鱗で作ったフルプレートメイルをセットで、」
「「白、緑 ほう、此れはスクルド達、
戦乙女の装備に匹敵しますね、
ぶん殴って殺すのも良いのですが、
武器でばっさり何てのも良いですわね~
今迄は私くし達の力が強すぎて
耐えられる武器が有りませんでしたから、
だって、ドラゴンですもの~」」白、緑
「エルダー 私達も欲しいです~」エルダー
「主との差別化が必要なので、
エルダー、ドラゴンさん達はこっちですね、」
モモタロウはポチに魔剣を25本出して貰い、
白竜の鱗で作った真っ白なフルプレートメイルを
25セット出して属性別に配って行った。
そう、白の女神様の配下の属性は風、
土の女神様の元配下達は炎なのだ。
だが此処で、問題が起こった。
土の女神様の元配下達が、
「配下 ご主人様~
私達ゴレン〇ャーの衣装が良いです~」配下
「あかん、こいつ等レンジャー物にハマっとる~」
『リ 良いじゃ無いっスか~私も嫌いじゃ無いっス。
直ぐに作るっス~ハイ出来たっス』リ
「何か、5人に配ったら凄く喜ばれた。」
「配下 此れからはドラゴンレンジャーで行きます~
赤ゴンジャー、緑ゴンジャー、青ゴンジャー桃ゴンジャー、
黄ゴンジャー我ら合わせてドラゴンレンジャー!!」配下
<<チュド~ン!!>>
「こいつ等はもうダメだ~」
「配下 だってドラゴンですもの~」配下
頭を抱えて居る15人のハイエルフ達と、
ちょっと羨ましそうに見ている、
白の配下の5人のエルダー、ドラゴン達であった。