157話 エレンのお姉さん ローズ
いつまでも抱き合って泣いている二人に
「エレンのお姉さん
再開を喜び合うのは良いのですが
此処では寒いでしょう。
ささ屋敷の中にお入りください。」
「ロ 此れは有難う御座いますわ。
エレン此方のショタ顔の少年は何方ですの?」ロ
「エ はいローズお姉さま。
モモちゃんは私くしの冒険者パーティーの
パートナーですのよ、」エ
「ロ あらあら、まあまあ、
エレンも隅に置けませんわね。
こんないたいけない少年を手籠めにしたのですね。」ロ
「手籠めって・・・どんな肉食姉妹なんだよ!
ささっ積もる話は屋敷の中で」
「ロ 其れではモモ様、お邪魔させて頂きますわ。」ロ
二人を屋敷に招き入れるモモタロウであった。
エレンの姉のローズは5人の護衛と、
2人従者に後に続くよう促すと屋敷に入って行った。
モモタロウはチョウヒに
馬車を厩へ連れて行くように頼むと、
ローズ一行に付いて行った。
全員玄関に入ると、
「エ お姉様、此処で履物を履き替えて下さいな。」エ
「ロ 承知いたしましたわ、エレン」ロ
2人はフロントに入るとソファーに腰を下ろして、
手を取り合って昔話に花を咲かせ始めた。
カンシンが、タイミングを見計らって、
アールグレイの紅茶を運んできた。
「ロ あら、此のお茶良い香りですね、
味も素晴らしいですわ!
エレンが送ってくれた
お茶も美味しかったのだけれど、
私くしこっちのほうが好きかも?」ロ
「エ お姉様、此の紅茶アールグレイと言いますのよ、
お帰りの時にお土産の中に入れて置きますわ」エ
「ロ 有難うエレン、
貴方が送ってくれたお茶や、お菓子、
母様や妹達がとても喜んでいますわ、
其れにいつも冒険者ギルド経由で
送金してくれている仕送り、
とても助かって居ますのよ、
本当に有難うね、
あんな形で屋敷を追い出されたと言うのに
・・・・・とても申し訳ないと思って居ますの、」ロ
「エ あれは、お姉様が視察で屋敷を離れた隙に、
どけちの禿親父がした事で、
御姉様に何の非も有りませんわ。」エ
「ロ エレンにそう言って頂けると、
心の荷が居りますわ。
そうそう、貴方がかっぱらって行った魔法の袋、
貴方の物にして構いませんからね、
どけけちの禿親父が
追っ手を差し向けようとしましたが、
私くしがぶん殴っておきました。」ロ
「エ あっ、魔法の袋ですわね、
此れもう必要なくなったので、お返し致しますわ、
モモちゃんから
時間無効の魔法の袋を頂きましたので、」エ
とエレンは、ローズに魔法の袋を手渡した。
「ロ 時間無効の魔法の袋って、
女帝陛下しか持って居ないという、
伝説級のお宝ではないですか?
私も欲しいですわ、
モモ様って御曹司?」ロ
「いいえ、魔法学院に通う一般人です。」
「ロ 魔法学院の生徒であれば貴族扱いですね、
うちのエレンをいく久しく宜しくお願い致しますわ。
何なら、私くしもお付けいたしましてよ」ロ
「エ お姉様、モモちゃんはイ〇ポですのよ」エ
「ガハッ!!」
血を吐いて倒れるモモタロウ
「ロ な、何と!役立たずでは無いですか!」ロ
「ガハッ!!」
更に血を吐いて倒れるモモタロウ
「私くしもお付けするって、旦那さんは?」
「ロ はい、問題ありませんわ、婿養子ですし、
昨年、娘も出産致しましたし、
お役御免ですわ、
あの脳筋!領地経営には全くの役立たずですの、
今回も侯爵様からの招待で、
私くし、金の匂いが致しましたので、
押っ取り刀で参りましたのよ、
領都に来てみると、何と我が家の家紋の入った
屋敷があるでは無いですか、
もし、我が家の家紋を勝手に使って居たなら
屋敷事分捕ってやろうと思って居たのですが、
可愛い妹のエレンが出迎えに来てくれて、
本当に驚きましたわ。」ロ
「エ 流石はローズお姉さまで御座いますわね、
私くしも同じ事を致しますわ。」エ
「怖ぇ~此の姉妹マジで怖ぇ~!」
「エ はい、お姉様は生まれ故郷では、
弱みを見せたら骨までしゃぶる、
ドラゴンローズと言う二つ名が有りましてよ」エ
「何処の組織の人だよ~!」
「ロ うん、ボケと突っ込みが絶妙に良いですね。
良いパーティーですわ。」ロ
「 最近新たにパーティーメンバーが増えたので、
後で紹介しますね、
所で、現在スタンダール伯爵家の当主ですよね~
お父さんは如何したのですか?
そんなにケチだと当主譲らないのでは?」
「ロ ああ、ドケチの禿親父は別に当主では無くてよ、
うちは貧乏では有りますが、
帝室に連なる一族ですから、女系なのですわ。
ドケチの禿親父も騎士家からの婿養子でしたの、
母が女辺境伯でしたが、でも母は気弱で、
婿養子が好き放題してた訳ですの
母が私くしに伯爵位を譲ったので、
今は好き放題していた役立たずの禿親父を
体力だけは有るので開拓村に放り込みましたの、
毎日開墾に禿が励んでいますわ。」ロ
「聞くのが怖いのですが、現在の旦那さんは?」
「ロ はい、要らぬ借金ばかりするので、
今は禿親父と楽しく開墾をして居りますわ。
お陰で私くし毎日借金に追われて居りますのよ~
ほ~ほほほほほ~」ロ
「ほほほほほ~じゃねえよ!
どの位の借金が有るのですか?」
「ロ そうですわね~出発する時には王金貨で2枚位ですか」ロ
モモタロウは王金貨5枚出すと、
エレンが渡した魔法の袋に適当に出した宝飾品と
一緒に入れた。
「此れで暫くは、やりくり出来るでしょう。
根本的な問題の解決には成らないですが、」
「エ モモちゃん悪いですわ、
私くしも其れ位のお金なら出せますわよ」エ
エレンも王金貨3枚出すと
ローズの魔法の袋へ入れた。
「エレンはエレンで出してあげなよ、
此れは大切なエレンの家族に
お金で不自由はさせたくは無いからね。
お金は今度行く特急ダンジョンで又
稼げば良いんだから」
エレンは涙を流しながら、
「エ 大切なエレン・・・(ぽっ)
有難うモモちゃん、何でもしてあげるからね、
私くしの黄金の右手はモモちゃんの物ですわ~
・・・・・こうして何時も女を
引っ掛けて居るのですね~悪い男ですわ~」エ
「いやいや、引っ掛けていね~し」
「ロ モモ様、エレン有難う、本当に有難う、
私くし如何したら良いか悩んで居りましたの、
領地には此れと言った産業も無いし、
荒地ばかりで、作物も余り育たないし、
魔物は跋扈しているしでって
いやいや、こんな大金そんなに
簡単にポンポンと出すなんて、
如何なって居ますの?
冒険者ってそんなに儲かりますの~?」ロ
「エ 此の間、中級ダンジョンで
ウォーマンティスが異常発生して、
私くし達、討伐隊の立役者でしたの、
其の時の報酬と、初級ダンジョンでの報酬で、
私くし達、大儲け致しましたのよ」エ
「ロ 私くしも冒険者になる!
モモ様宜しくお願い致しますわ」ロ
「いやいや、冒険者に成るってそんな簡単に、
領地は如何する気ですか?」
「ロ 領地経営は3女が行けず後家となって居りますわ、
私くしやエレンに次ぐ悪役貴族令嬢ですの、
領地経営は任せられますわ。」ロ
こうしてモモタロウパーティーは
又1人増えたのだった。
「所でローズさん、領地に付いて
詳しく教えてくれますか?」
「ロ はいですわ、スタンダール領は
ルグレス帝国の北東に位置する
広大な敷地面積を誇って居りますが、
其れは大地溝帯と言う、
ザンジ公国との境界線にある
軍隊による
越境不可能な地域がある為ですわ
私くし達の一族はその境界線を守る為に
初代の女帝陛下より
此の地を任されて居りますわ。
領地の8割は此の大地溝帯ですの、
其の為に大地溝帯の周りの土地は瘦せていて、
乾燥して居ります。
東アルモス山脈を挟んで
川が流れて居ますが
領内を流れる川は其のモナミ川の1本のみ、
一応1級河川ですのよ、領民は約8万人、
其の殆どがモナミ川に沿って
農業を営んで居りますが、
土地が痩せて居る為に収穫量は少なく、
餓死しない程度で、
とてもでは有りませんが、
税を徴収出来る様な状態では在りませんわ。
其の為に毎年沢山の奴隷を輩出して居りますわ。
奴隷商人からは奴隷畑と言う
不名誉な名を受けて居ります。
私くし共の主な収入は主に
大地溝帯に生息する魔獣討伐による
素材と、魔石をギルドに売ったものと成りますわ。
其の為か騎士達は精強ですけれど
脳筋ばかりですわ。
海に面した地域は有るのですが、
山に囲まれて居て漁村が有る程度ですわね、
気候は温暖で、
冬も1,2度雪が積もる程度ですわね」
夏は暑く乾季には大地溝帯の影響か乾燥致しますわ、
雨は良く降るのですが痩せた地面に
直ぐに吸い込まれてしまいますの、」ロ
「ほう、海が有るのですか、
エレン帝国の塩の販売権は如何なっているの?」
「エ はいモモちゃん、
帝国の塩は岩塩ですの、権益に付いては
国が支配して居ますけれどそれだけですね、」エ
「ん、じゃあ例えば
海水から塩を生成して売っても問題ないね、」
「エ はい有りませんわ」エ
「じゃあローズさん塩を作りましょうか」
「「姉妹 如何やって?」」姉妹
「そう言や砂漠でエレンにあった時、
海水飲んで死に掛けてよな~
海水の水分だけを飛ばすと塩だけが残ります
まあ、其れだけじゃ無いんだけどね、
ミネラルも含んでいるけど、其れはまあ良いか
漁村に小さな港を作って
塩の道を作りましょうか」
「「姉妹 塩の道って?」」姉妹
「まあ、船を使って大きな港で、
商人に販売するルートを作るってことだね~」
「「姉妹 ほうほう」」姉妹
「後は道だね、
領都から海までの道を整備しようか
そして、農業用水の確保だね、
ダムと溜池で対応しようかね
夏場の水不足を解消すれば
収穫を増やす事が出来るんじゃ無いかな
土地の改全は其れこそ俺の得意分野だしね、
春の雪解け水は多いですか?」
「多いですよ、
長雨と被ったら洪水に成る事なんてざらですわ」
「怖ぇ~なおい、
後は、作付けを考えましょうか、
鳥害の少ないジャガイモやニンジン等の根菜、
荒地に強いトウモロコシ何て言うのが良いかな
後、日当たりの良い斜面に
ミカンなんて如何だろう
うん、良いんじゃ無いかな」
「「姉妹 豊になりますの?」」姉妹
「うん、たぶん大丈夫、大切な領民から
奴隷に落ちる人も少なくなると思うよ」
「ロ モモ様って賢者様なのかしら?」ロ
「エ お姉様、モモちゃんは大賢者様の弟子ですわ。」エ
『リリースタンダール領の改良計画頼むね~』
『リ 了解っス~最強のスタンダール領を作るっス~』リ
『最強って・・・程々にね~』
『リ 任せておくっス~』リ
「ローズさん長旅でお疲れでしょう、
体も冷えて居るようですし、
今は女性の入浴時間ですので、
お付きの女性達達と温泉に浸かって
体を温めて旅の疲れを癒して来て下さい。
エレン案内を頼める~?」
「エ はい了解致しましたわ、
ローズお姉様、温泉に参りましょう。
凄く広いのでびっくりなさいますわよ、
お付きの女性達もどうぞですわ~」エ
「ロ 温泉って?屋敷に温泉を引いて居るの?
モモ様って凄いお金持ち?
どう?私くしを貰って下さらない
この際立たなくても良いですわよ~
何なら妹2,3人付けますけど~」ロ
「いいえ、間に合って居ます。
肉食姉妹怖ぇ~」
「男性の皆さんは、
男性の入浴時間まで待って下さいね~」
「《男性》は~い」《男性》」
とお茶請けのチョコバナナを出すのだった。
エレン達が風呂から上がって来ると、
「ローズさんお風呂は如何でしたか?」
「ロ モモ様、モモ様~凄いお風呂でしたわ~
あり得ない位広い浴槽にあのしおさうなですか、
お肌がすべすべで、
私くしの冷え性にもとても良かったですわ~
大きな泳げるお風呂も最高で御座いましたわ~
其れに沢山の女性が入浴して
居て驚きましたわ~」ロ
「はい、此の屋敷に
逗留して居る方も多いので賑やかですよ~」
「ロ 私くしも此処に居て構いませんかしら?」ロ
「勿論ですよ、エレンと一緒に
好きなだけ居て下さいね」
「ロ 有難う御座いますですわ、
と言う訳で今日からこの屋敷、
私の家にしますわ~」ロ
「はいどうぞ、何時までも居て下さいな」
「ロ 言質は頂きましたよ、モモ様の妻って事で、」ロ
「エ お姉様~妻の座は私くしの物ですのよ~
お姉様は旦那持ちですから不倫相手ですのよ~」エ
「ロ そうでした~借金製造機の旦那が居りましたわ。
此の際〆ますか爆死って事で、」ロ
「エ 其れはダメですわ~、
いくら何でも犯罪ですわ~」エ
「ロ じゃあ、事故死で」ロ
「エ 其れならまあ」エ
「良いのかよ!」
「ち 言い訳あるか~!」ち
「ロ 此方の幼女は誰ですの~?」ロ
「ち 妾か、妾はアンジュ、ルグレス帝国女帝じゃ!」ち
ちゃらら~ん、ちゃららら~ん、
「何で音楽が~」
「ローズ一行 へへ~~っ」ローズ一行
と、土下座するローズ一行
Sクラスの皆とまどか先生と学院長は鼻くそをほじくって居る。
ぺスがトコトコトコと歩いて行き
ちっぱい師匠の横まで来ると、
おしっこを引っ掛けた。
「ち ぺス!何をしているのじゃ~」ち
「何処の黄門様だよ!ってか」
ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン
只今より3時間の男子の
入浴時間と成りました~
入浴中の女子はすぐに出て下さ~い。
特出しのサービスに成ってしまうので、
宜しくお願い致しま~す。
ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン
なお、本日の夕食は
午後7時からと成って居ま~す。
「じゃ俺達お風呂に入って来るから、
ローズさんの騎士さん達も
案内と使い方の説明をするので
付いて来て下さい」
「《護衛》は~い」《護衛》
モモタロウは騎士を引き連れて、
脱衣所の使い方から、
浴室の使い方を説明するのであった。
一通りの説明を終えたモモタロウは
体を洗い、露天風呂でパパさんと、
ゴンザレス爺さんと3人で雪見酒を飲みながら、
今日も雪景色を楽しむのであった。
「極楽だね~」
「「パ、ゴ そうだね~」」パ、ゴ
午後7時になると
全員が宴会場に集まって夕食会だ。
「皆様、今夜のお食事は前菜には
近くの森で取れました沢蟹の姿揚げで御座います。
パリパリの食感でとても新鮮な感覚です。
スープはコーンポタージュで御座います。
サラダは今夜はポテトサラダをご用意しております。
メインディッシュはアースドラゴンの
ジャンボサーロインステーキで御座います。
お口の中で蕩ける事でしょう。
お手元のアバラステーキソースで
お召し上がり下さい。
なお、お好みによって下ろしニンニクを
お使いくださいます様に。
皆大好き食後のデザートは冬にお勧めの
グランド、モンブランケーキを
ご用意致しました。
其の外お酒も各種、
おつまみと、ご用意いたして居りますので、
今宵も長い冬の夜長をお楽しみ下さい。
「《皆》おぉ~!やんや!やんや~!」《皆》
夕食の前にはきっちり帰って来た白の女神様が、
「白 モモちゃん美味しいですわ~
アースドラゴンのステーキ最高ですわね~
また此のソースがたまりませんわ~
そうそう、今日はエルフの大陸に行って
ドラゴンの死刑囚を直接成敗致しましたの、
後でお渡し致しますので食材にして下さいな」白
「《配下》あ~其れで
直接引導を渡したんだ~怖ぇ~」《配下》
裏返った声で
「ロ モモ様、モモ様、凄く美味しいのですけれど、
有り得ない位美味しいのですけれど~
如何しましょう~
ほっぺが落ちてしまったのですけれど~
私くしの体を狙って居りますの~」ロ
「主婦の体なんて狙わね~よ!
お口に合って良ったです。
お酒も色々有るので楽しんで下さいね~」
「エ お姉様お酒は此のどど~んドンペイの
シャンパンと言うお酒が最高ですわ~
ごくごく、プッハ~」エ
「ロ そうですの~ごくごく、プッハ~
あら本当美味しいですわ~
もう本当に私くしを
如何して頂いても構いませんわ~」ロ
こうして長い冬の夜は暮れて行くのだった。