-155話ー 白銀の女神号
翌朝、朝ご飯を食べた後、
「其れでは神竜様行って参ります」
「はい、気を付けて行く様にねっ」
「はっ!」
「あっそうそう、手渡した何処でも
ド・・ゲー・・・ドアですけれど、
此方に設置するドアと繋げて有るので、
女神様の直属の配下と、
高位神官のみ通れる様に設定したので、
ドアを設置したら、
其のドアを通って帰って来て下さいね。
頑張れば昼ご飯に間に合うかも?」
「・・・・死ぬ気で飛びます!
では皆様後程!」
白き神竜の配下のエルダードラゴンは
飛び出す様に玄関を出ると、
背中から翼を出すと、
冬空に向かって飛んで行った。
<ば~ん!!>
「お~何かバ~ンって」
「お~爆発しとる爆発~」
「お~あれは、音速の壁を越えた時に出来る
ソニックブームだね~」
「皆へ~っ」皆
「さて、戻ろうか?」
「皆は~いっ」皆
此の後アルギニン侯爵が
教会の研究者10人を引き連れてやって来た。
「モモタロウ殿、教会の研究者を連れて参りました。」
「アルギニン侯爵様、ご苦労様です。
では、帝都の研究者と、
早速研修を始める事としましょうか」
「皆さんお早う御座います。
今回の研究の発案者のモモタロウと申します。
以後、お世話になります。」
「此れはご丁寧に、
私はローソン侯爵領駐在司祭で、教会の研究者の、
総括責任者のアントワネットと申します。
今回の研究で、伝染病の回復薬が出来ますれば、
多くの民の命を救う歴史上の大偉業と成りましょう。
多くの民の為に私達皆、
粉骨砕身の努力を致していく所存でございます。」
「はい、多くの民の命を救う為にお互いに
努力してまいりましょう。」
「《研究者》はい!」《研究者》
「所で皆さん、朝ご飯は?」
「明るくなる前に城を出発致したので、
まだです。」
「其れは、では先ずは腹ごしらえですね、
私達は済ませたので、
宴会場へ集まって頂けますでしょうか?」
「《研究者》ハ~イ」《研究者》
朝食の後、研究者全員を会議室に集めての
研修会が行われた。
先ずは研究に使う機材を見て貰った。
「凄いですな、見た事も無い様な
機材ばかりで御座いますな」
「機材については、後に順を追って説明致しますので、
先ずは伝染病に付いての話を致しましょう。
先ず、伝染病とは目に見えない程の
小さな細菌と言う生物によって引き起こされます。
此の細菌を死滅させなければならない訳ですが、
如何せん体を人質に取られた居る様なもんで、
中々死滅には至りません。
では如何すれば良いのか、予防と、抗生物質の投与と、
2通りの方法が有ります。
黒死病と結核にはストレプトマイシンと言う、
抗生物質が初期段階では有効ですが、
他の伝染病に付いて有効かどうかわかりません。
其処で、抗生物質に魔力を注いではどうかと、
ポーションはポーション草と言う薬草に
魔力を注ぐ事でポーションと成りますが、
ポーション草は、滋養強壮剤の薬草でしかありません。
では、ストレプトマイシンに付いては如何か?
上手く行けばあらゆる細菌に対しての
効果が見込める可能性が有るので、
研究者の皆さんには其の
臨床実験をして頂きたいのです。
其れともう一つ、アオカビから
ペニシリンと言う抗生物質を
抽出出来ることが分かって居ます。
其の抽出方法を研究者の皆さんに
探り出して頂きたいのです。
そして、ペニシリンも魔法を注いで、
他の伝染病に効果が有るか検証して頂きたい。
其れはストレプトマイシンが私にしか作れない為です。」
「《研究者》ほ~う」《研究者》
「其れと、今回のメインテーマである、
天然痘に付いてですが、風土病である天然痘に付いては、
予防策を講じたいと考えています。
もし、ストレプトマイシンの魔力注入した物が
効果を発揮したなら、
現状は其れを使用致しますが、永続的には無理ですので、
ペニシリンの開発を待たねば成りません。
だからこその天然痘に付いても、
対策、検討が必要と成ります。」
「天然痘に付いての対策を教えて頂けますか?」
「はい、今から説明しますね、
天然痘も細菌によって引き起こされる伝染病です。
天然痘に掛かって無事に治った場合、
5年から10年は再発する事はありません。
体の中に天然痘に対する抗体が出来る為です。
此れを利用します。
先ず、馬痘に掛かった馬を見つけて、
其の膿を牛に血管注射で移します。
牛痘に掛かった牛から又膿を他の牛に移します。
其の弱毒化した牛の血液を遠心分離機で血清を作り出し、
弱い天然痘を人に移します。
此れで、5年から10年天然痘に掛かる事が無くなります。
現在ローソン侯爵が馬痘に掛かった馬を探している所です。
其れと、研究施設の場所の選定と建設を行って行きます。
「天然痘に対する対策は分かりました。
私達が今出来る事はストレプトマイシンに魔力を注入して、
其の臨床試験をする事ですね、
私達はまだまだ無知と言っても良いでしょう。
細菌に付いても初めて知りました。
今迄はどう対処して良いのかすら分からず、
魔法で体温が上がり過ぎない様に
維持するのが精一杯でしたから、
医者もそうです。熱さましの薬草で、
発熱を抑えるのが、精一杯でした。
酷い医者に成ると瀉血で血液を全て抜いて
死なせて居たのですから、」
「モモちゃんビックリ~バンパイアも真っ青だ~」
「私達は研修で、此処を動けませんので、
明日にでも教会に使者を出して、
10人程助手を集めて
早速臨床試験を実施致しましょう。」
「はい、宜しくお願い致しますね。」
「《研究者》賢者様宜しくお願い致しま~す。」《研究者》
此の後、今回は疫病に付いての研修を行った。
勿論モモタロウはリリーの言う事を
皆に伝えただけなのだが、
此の日の研修が終わった頃にはすっかり日が落ちて居た。
「はい研究者の皆さんお疲れ様でした~
今日の研修会は終了です。
明日から又頑張って下さいね~」
『カンシ~ン今女子のお風呂の時間?』
『はい、女子の方は何時でもどうぞ~』
「丁度、女子のお風呂の時間ですので、
皆さん入浴して来て下さいね~出たら
夕ご飯にしますので~」
「《研究者》は~い」《研究者》
研究者は皆女性だった。
白い神竜の配下のエルダードラゴンの女子も
エルフの大陸から転移門を使って帰って来ており
皆と混ざっていた。
女性達が風呂から上がって来たら夕食会が始まった。
皆様お揃いに成られましたでしょうか?
其れでは本日の夕食会を始めさせて頂きます。
前菜には地竜のユッケとコンソメスープ、
シーザーサラダで御座います。
サラダには、半熟卵を載せて居りますので、
黄身をサラダに絡ませてお召し上がりください。
本日のメインディッシュは地竜のたたきと、
焼肉で御座います。
焼肉にはアバラ白金タレをお使いください。
ニンニクをタレに入れると更に美味しくなります。
ご飯は、越後のコシヒカリを使用して居ります。
今宵は贅沢に地竜ずくしと成って居ります。
そして皆大好きデザートは、ホワイトチョコレートを
贅沢に使ったグレートブッシュドノエルで御座います。
其の後はお酒各種と、
おつまみを各種ご用意して居りますので、
心行くまで、ご堪能下さいませ。」
「《皆》ばんざ~い!!」《皆》
此の後皆、酔いつぶれる迄、大いに食べて、飲んで、
騒いで楽しい夜を過ごすのであった。
翌日、朝ご飯を食べ終わると、皆プールに集まっていた。
「白の神竜様、それじゃあ飛空艇を出しますね。」
「はい、宜しくお願い致しますわ。(ドキドキ)」
「はい、ではほいっと」
庭の飛空艇発着場に白銀の女神号が現れた。
「《皆》おお~」《皆》
「此れは素晴らしいですわね、
早速ですが、試運転を致しましょうか、
皆さん乗り込みましょう。」
「《皆》は~い、 これすば~」《皆》
女神様、其れに引き続いて配下の皆、
其の後をモモタロウと其の関係者が、乗船して行った。
気球の先端にある第1艦橋に皆集まると、
「はい、女神様」
「はい何ですか?配下のエルダードラゴンちゃん」
「はい、此の船とってもカッコ良いのですが、
誰が運転するのでしょうか?」
「勿論貴方達ですわよ、その為に招集したのですから」
「《配下》えっ?美味しいご飯食を
食べさせる為では無いのですか」《配下》
「何を馬鹿な事を言って居るの?死ぬの?
ご飯なら私くし一人で充分ですよ、
貴方達を呼ぶ必要なんて無いですし、
さっさと運転しなさいな、其れとも食材に成りますか?」
「《配下》いや~!食材はいや~!
運転の仕方が分かりません~モモ様~お助け~!」
「いや、ハイエルフの姿焼き何て食べたくね~よ、
ちっぱい師匠、女神様の配下達が操船出来る様になるまで迄、
スノーホワイト号のクルーで、
操船の仕方を教えて上げてくれませんか?」
『スノーホワイト号の
練習航海をしたかったのじゃがな~まっ良いか』
「うむ構わんぞ、クルー達よ女神様の配下達に
操船の仕方を教えるんじゃ良いかのう」
「《クルー》はっ!仰せのままに」《クルー》
「《配下》宜しくお願いしゃ~すっ!」《配下》
クルー達は早速配下達に操船のいろはから教え始めた。
「時間も掛かりそうだしお茶にでもしますか?」
「《皆》は~い」《皆》
「モモタロウ様、良かったのかしら、
忙しいのでは無いの?」
「暇では無いのですけれど、どの道雪で動けないし、
最初の日位は、お付き合いさせて頂きますよ、
研究者の皆さんも良いですか?」
「《研究者》良いですよ~
女神様の飛空艇に興味がありま~す(ドキドキ)」《研究者》
「大丈夫かねこの研究者達」
「私達は研究者では有りますが、
敬虔な女神教の信徒でも有りますので、
女神様のお言葉は謹んでお受け致します。」
「で、本音は?」
「《研究者》空を飛んでみたい!」《研究者》
「ですよね~」
エレンと、メイド達が
艦橋に居る皆の紅茶出し終わると、
モモタロウはお茶請けのまるきりバナナを配った。
艦橋は20畳位有るので、40人位余裕で入るのだ。
白銀の女神号はスノーホワイト型の3番艦で、
気球部分が全長が約120メートル、
船部分の全長が約70メートルだ。
スノーホワイト号よりも
遥かに大きな魔石を2個積んでいる。
エルダードラゴンの魔石だ。
なので、出力が段違いなのだ。
無風状態であれば高度1000メートルで
100キロ以上の速度が出る。
更にクルーがエルダードラゴンとハイエルフなので、
魔力もじゃぶじゃぶでクルー自体が風魔法で、
巨大な船を高高度でも高速で飛ばす事が出来るのだ。
因みに2番艦の黒竜2世号も
モモタロウが無限の魔力を持って居るので
同じ仕様だ。武装は魔力砲が前部に2門、
後部に2門の4門だ。
推進機のプロペラはスノーホワイト号の6機と同じだ。
出力が上がっても空気が薄ければ余り進まないのだ。
その代わり賢者の石のお陰でほぼ魔力切れの心配は要らない。
魔力砲と、プロペラは別に魔石と賢者の石を使って居る。
スノーホワイト号と同じだが此方も
大きな魔石を使って居るので強力だ。
亜竜で有れば大抵撃墜出来るスペックだ。
午前中はちっぱい師匠のクルー達による
女神様の配下達に操船の仕方を
レクチャーするので過ぎて行った。
お弁当を食べた後、
女神様の配下達による操船が始まり、
「女神様、只今から魔力路を稼働させて
試験航行に入りたいと思います。」
「はい、では頼みましたよ」
「《配下イエス、マム!!」《配下》
「魔法ガス充填1パーセント、5パーセント、10パーセント、
20パーセント、50パーセント」
「魔力路稼働!」
遠くで、低い振動音が響きだした。
「魔法ガス充填60パーセント」
「魔力伝達回路オープン!」
「魔法重力装置、魔力注入開始!」
「計器、及び差動装置動作を確認、オールグリーン!」
「魔力ガス充填70パーセント」
「魔法重力装置、魔力充填20パーセント」
「魔法ガス充填90パーセント」
「魔法重力装置、魔力充填50パーセント」
「魔法ガス充填100パーセント」
「船体浮遊率90パーセント」
「魔力重力装置、魔力充填70パーセント」
「魔力重力装置、魔力充填80パーセント」
チャンチャカチャンチャンチャチャチャ~
「何か音楽が流れて来たよ~良いのか此れで!」
『音楽は私のサービスっス~』
「えっ?そうなの~」
「上空の天候、雪、風強し、本艦への影響微弱なり、
進路オールグリーン!」
「魔力重力装置、魔力充填90パーセント、91パーセント、
92パーセント、95パーセント、98パーセント、
99パーセント、100パーセント」
「宇宙戦艦トマト発進!!」
「おいおい、宇宙戦艦って何?トマトって何?
凄げ~ネームセンスなんですけど~」
白銀の女神号は、ゆっくりと離水すると水飛沫を上げ乍ら
雪の舞い散る大空へと昇って行くのだった。