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-152話ー 空中戦艦スノーホワイト号


ちっぱい師匠の御両親が


ローソニアに建てたモモタロウの屋敷に到着した。


お風呂に入り終えた御両親を案内して、


2階に有る宴会場での夕食会と成った。



宴会場には座卓が並べられて、


一口コンロに土鍋が置かれている。


今日の夕食会は鍋の様だ。



「モモタロウ君、変わった器だね」



「土鍋ですね、今日は鍋の様ですね温まりますよ」



「其れは楽しみだね」



カンシンがやって来て、



「上皇陛下、上皇后陛下、


本日はモモタロウ邸にお越し下さり、


モモタロウ家一同、


心より感謝申し上げます。早速では御座いますが、


本日の御夕食会は高級クラブを使いました


カニスキをご用意させて頂きました」



「皆おお~!やんや、やんや~」皆



「更には高級クラブ、エンペラーサーモン、鬼イワナ、


キラーナマズを使った、お寿司と、カニの茶わん蒸し、


カニときゅうりの酢の物、


焼きガニ、エンペラーサーモンのあら炊き、



お酒は、ビールを始め、


竜泉酒他各種ご用意させて頂きました。


モモタロウ様の故郷の料理を御堪能して頂き、


ご歓談の一助に成れば幸いで御座います」



「皆おお~!やんや、やんや~」皆



カンシンの挨拶が終わると、メイド達が料理を運んで来て、


宴会が始まった。尚ちっぱい師匠は女帝様だが家族扱いで、


挨拶は無しだ。



「ほぼ毎日居るしねっ」



「モモタロウ君、美味い、美味い、


有り得ん位に美味いのだが、


アンジュちゃんから貰った


高級クラブも大概美味しかったが、


次元が違うのだけれど?」



「まあ、カニは茹でただけでも美味しいですからね、


其の素材を更に美味しくするための工夫が料理ですから」



「いやいや、宮廷には宮廷料理人が居るのだけれど、


味も工夫も全然違う、


料理人達は手を抜いて居るのだろうか?」



「其れは違いますよ、


大陸の料理は焼くか煮るかだけですからね、


幾ら腕の立つ料理人であっても限界が有りますし、


其れだけでも料理の幅が大変狭く成ってしまいます。


俺の国では、焼く、煮る、蒸す、揚げる、炒める、


此れだけでも、料理の幅がぐんと広がります。



更には味付けは、大陸の料理は塩と香辛料とハーブですね、


まあ、此れだけでも美味しい料理が期待できるのですが、


私の国では更に、だしとソース、そしてマヨネーズですね。


パパさん、


料理に一番大事な物は何だと思いますか?」



「・・・・・・・・モモタロウ君の料理を見る限り、


色々な工夫がされている様だけれど、工夫かな?」



「そう、工夫ですね、


しかし一言に工夫と言っても


昨日今日で出来る訳では有りません。


何百年も料理人達が追及し続けた


現段階での成果ですね、


では何故、料理人達は長きに渡って


味を追及できたのでしょう?」



「・・・・・・・・其れは、食料の自給率かね?」



「其の通りです。


食料に余裕が有れば次に美味しい物を求めるのです」



「うむ、大陸の食料自給率は非常に悪い。


毎年多くの餓死者が出て居る事が其れを証明して居るね、


帝国は大きな穀倉地帯が


幾つも有るのでまだましだけれど、


其れでも餓死者は出て居るしね」



「そう、其の為に権力者は味よりも、量を求めた。


その結果が今ですね」



「そうだね、


晩餐会では沢山の料理を出す事を良しとして、


招待を受けた側も沢山料理を食べる事を良しとして居る。


物陰で食べた料理を戻しながら


又食べるのが当たり前とされているからね~」



「そうですね、


俺達が晩餐会に招待されても行かないのは、


美味しくも無い料理を


これでもかと出されても困るからです。


どんな拷問かよと言う話ですね」



モモタロウは帝都で娘と引き合わせたい貴族から、


毎日の様に晩餐会の招待状が届くのだが、


全て断って居る。


其れはモモタロウ自身が断って居るのでは無く、


警備のアモン、フィール伯爵令嬢が


あれこれと理由を付けて断ってくれている。


モモタロウが直接断ると、要らぬ敵を作るからだ。



「だろうね、毎日此れ程美味しい料理を食べて居れば、


貴族の御馳走と言えど遠慮したくなるよね、


逆に料理して欲しい位だよ、



モモタロウ君の弟子一人貸してくんない?


特別待遇でどう?、


あっ家族を貸し出すのはダメ?ですよね~


じゃあ、うちの料理人鍛えてくれるのは?其れはオーケイ?


ん、帝都に帰ったら


何人か派遣するから宜しくお願いするね。


ああ、他の貴族には他言無用で、


其れはそうだよねかん口令を敷こう」



「ママさん無言で、食べて飲んで居ますが、


料理の方は如何ですか?」



「もぐもぐもぐ、ごっくん、もぐもぐもぐ、ごっくん、


もぐもぐもぐ、ごっくん、


あらモモちゃん何か仰いまして?」



「いえ何も、食事を楽しんで下さいね」



「もぐもぐもぐ、ごっくん、はいですの、


カニもそうですけれど、


此のドンペイのしゃんぱんのろぜと言うのですか?


カニに最高に合いましてよ、もう止まりませんわ」



「はい、楽しんで頂けて何よりです。


え?シャンパンをお土産に欲しい?分かりました。


飛空艇に10本ほど積んで置きますね、


グラスも一緒に?了解です。5個程付けて置きますね」



「モモタロウ君、宴会場の向こうの隅で、


30人程の女の子達が何やら号泣して居るのだが、


ふんふん、先日下働きに購入した奴隷達?



モモタロウ君の屋敷では皆一緒にご飯を食べる?


うんうん、アンジュちゃんから聞いているよ、


私達の事は気にしないでくれ、



申し訳無い?いやいや、事前に全て聞いて居るから、


お付きの者達にも徹底して居るから、


大丈夫だから、気にしないでくれ」



「しかし、パパさんやママさん、お付きの人達も皆、


箸を使えるのですね」



「ああアンジュちゃんから、


箸を使えないと損をするって教わったからね、


今日の為に皆、特訓したんだよ」



「特訓って・・・お付きの人で泣いて居る人がいるし、


えっ?特訓してて良かった?はあ、沢山食べて下さいね」



食事の後デザートにグレートプリンアラモードが出た。


バケツプリンに果物各種、チョコを掛けたアイスと、


超豪華版だ。



「ん?お客様の為の特別仕様、うんカンシン有難う。


しかしご飯の後に食べる量じゃ無いよね?


はい?甘味は別腹?流石ですママさん。


あっ、パパさんの分を


横取りしなくてもお代わりを作りますよ、


えっお代わりするには多すぎる。


まあ、お腹を壊さない様にねっ」



因みに号泣しながらご飯を食べて居た30人は、


デザート迄きっちりと完食していた。


夕食が終わると、恒例の酒盛りが始まった。


今日のカンウは芋焼酎の人切り以蔵を冷で飲んで居た。


中々の通であった。



こうして歓迎会の夜は更けて行った。


翌朝、朝ご飯を食べ終わった


モモタロウと其の家族、女帝一家と付き人、


ゴンザレス爺さんは


昨日造った飛空艇の発着場に集合して居た。



今朝リリーから飛空艇の改修が終わったと連絡を受けたのだ。


モモタロウが朝ご飯の時にちっぱい師匠に其の事を話すと、


皆、見たいと言う話になって全員発着場に集合と成った訳だ。



「さて、どんな風に改装されて居るか楽しみなのじゃ~」



100メートルの飛行船に50メートルの


帆船がくっ付いた形だが、


何百年も使われて居たので、傷みが目立って居たのだが、


何度も改修もされたようで、大切に使われて居た。



致命的な損傷などは無いが、


木造船の為に如何せん重い。


当然燃費も悪かった。


長時間飛行する為には大きな魔石を必要として居たが、


其れが最近2つも手に入った訳だ。



となると欲が出て来ると言う訳で、暗黒大陸での貿易、


今迄は暗黒大陸から北大陸に来ることは有っても、


北大陸から暗黒大陸に行く事は無かった。



其れは暗黒大陸程飛空艇が無く希少で、


航続距離も短く技術も未熟で有った為だ。


其れが航続距離の問題が解決した今、


未熟な技術は


経験を積む事で解決出来るのでは?と成った訳だ。


其れ位に暗黒大陸との独占貿易は魅力的であった。



「其れじゃ~ちっぱい師匠~出すよ~」



「お、おう、出すのじゃ~(どきどきどき)」



「ラジャ~」



モモタロウはストレージから発着場に向けて飛空艇を出すと、



<おお~!>



っと歓声が上がった。白く輝く美しい飛空艇が現れた。



『如何っスか、自慢の飛空艇っス。


気球の部分は120メートルに延ばして居るっス。


船体も50メートルから70メートルにしたっス。


船体を軽くて丈夫な竜骨にしたので


一回り大きく出来たっス。



更に気球部分を


シーサーペントの鱗付きの皮を使って居るので、


軽くて頑丈に成って居るっス。


此の大きさで以前の重量より2割程軽く成って居るっス。


そして気球の中に一般船員用のカプセルホテルを作ったので、



50人だった定員は100人に成ったっス。


広くなった分、6畳の幹部船室が20室確保出来て、


狭いながら大浴場、広い厨房を作ったっス、


だから貨物室は広くは無いっス。



小さいですがプールも有るっス。


魔法の水袋のお陰で水は使い放題っス。


荷物は基本的に魔法の袋で運ぶのを前提にして居るので、


貨物船、戦艦と言うよりは人を運ぶ客船が近いと思うっス。



船体、気球部分の色は白で統一したっス。


気球の側面と、両舷側には師匠の横顔を浮き彫りに、


船首の女神像はママさんをモデルにしたっス。



重力魔法装置を舟底に幾つも配置して


水面で船体が安定するようにしているっス。


魔力炉には中心に大きな魔石を取り付けて、


其の周囲には賢者の石が配置されて、


空気中の魔素を取り入れて魔力に変えているっス。



此の魔力を使って


船を浮かせる重力魔法装置を稼働させて、


後方の6基あるプロペラを回転させて、


推進力を得ているっス。


魔力炉は船体に1基、


気球部分にも1基備えられているっス。



プロペラは船体に左右と真ん中に1基づつの3基、


気球部分ににも左右と真ん中に1づつの3基っス。


帆を張って風を利用する事も出来るっスよ~


武装は魔力砲を前部に2門、


後部に2門の4門っス。



使う魔力は今まで付いて居た魔石を使った


魔力炉を使うっス。


賢者の石をじゃぶじゃぶに使って居るので、


魔力効率は高いっスよ、長距離航行を可能にして居るっス。



何せ黒竜号の3倍近い大きさっスからね、


ハイパワーっス。


シュミレーションでの速力は無風状態で、


約時速80キロっス。


結界での空力特性は得て居ますが


何せ大きいっスからね、


此の船も上空1000メートルでの


飛行を想定して居るっス


高高度飛行を想定して、各船室には風魔法を使った


酸素供給システムで1気圧に保つ様にして居るっス』



「って、確か改修だったよね~ね~


如何見ても新造船なんだけど~


ね~如何すんの~此れ~ね~


皆、口を開けて固まってんだけど~」



『え~っと、改修っスよ~』



「何処が~何処を改修したの~?」



『操船用の計器類はほぼ其の儘っス』



「・・・・・・・・」



『ぺろぺろ~っス』



「モモ~凄っごくカッコいいのじゃ~」



「モモちゃん真っ白で素敵な船ですわ~」



「モモタロウ君、聞くのが怖いのだが、


此の船の素材は?」



「はあ、竜骨です、


その他賢者の石がふんだんに使われて居ます」



「新造費は幾らに成るのだろうか?」



「さあ、うちの技師の趣味なんで無料で良いかと」



「そんな訳有るかい~!


帝国が破産しちゃうよ~!」



「だから無料で、え~っと、献上品?」



「いやいや、そんな訳には」



『ダーリン、此の船コピーを取って、


もう1隻造ったっス、黒竜の鱗を張って黒竜2世号を』



「何か色違いの船をもう1隻造ったらしいです」



「如何しよう?其れも帝室に?」



「いや~私の持ち船にします。」



「ほっ」



「建造費如何しよう~?」



「さあ、如何しましょう・・・・取り敢えず他言無用で」



「はい、危険で他人には話せないですね」



「何かすいません」



「皆の者!此の船の事に付いて、かん口令を敷く、


船に関する一切を口にするな!良いか」



「皆はは~っ!」皆



「モモ~早く乗りたいのじゃ」



「はいはい、分かりました。じゃあ乗りますか」



桟橋を降ろして皆が乗船すると、


第1艦橋が飛行船の先端部に有り、


気球の所まで登らなくてはならないのだが、


マストに取り付けられた


梯子を登らなくてはならなかった。


梯子周りには竜骨で作られた


円筒状の防護壁で囲ってあったが、


女性が上に登るとスカートなので良く見える。



「うん、実際に運航する時はスカートはダメだな」



丁度気球の真ん中あたりに梯子が掛かって居り、


気球内の通路に上がって


前と後ろを見るとかなり長い事が分かる。


120メートルだからね、


上を見上げると気球の中に5つの気球が有り、



其の中には船を持ち上げる為の魔法ガスが入って居る。


だが其れだけでは船を浮かす迄には至らない。


重力魔法装置が稼働して初めて船が浮かび上がるのだ。



後方には一般船員用の居住区が有った。


前方に通路を歩いて行くと、


気球の先端部分付近には大きな部屋が有る。


其処が第1艦橋だ。


扉を開けて中に入ると20畳位の広さがあった。



「此れは、広いね~」



「そうですね~広いですね~」



「見晴らしも良いのう、的確な指示を送れそうじゃのう」



「あっそうそう、ちっぱい師匠船の名前は如何します?」



ちっぱい師匠は降り積もった雪を見ながら、



「スノーホワイト何か如何じゃ?」



「あら良いわね、可愛い名前だわ!ママは賛成!


パパも其れで良いかしら、良いかしら、い・い・か・し・ら」



「はい、其れで・・・・」



「じゃあアンジュちゃんスノーホワイトでね!」



「オーケーなのじゃ~モモ~動力を入れるぞ」



「あ~はいはいオーケーですよ」



「モモ、船員に命令を如何伝達するのじゃ?」



「はい、其処の筒に喋りかけると、色んな部署に伝わります。


伝声管と言いますね」



「そうかでは、総員配置に付け!只今より動力を入れるのじゃ」



ちっぱい師匠がレバーを引くと、メーターが動き出して、


遠くから振動音が聞こえて来た。


メーターを見て居たちっぱい師匠は



「ガスの充てん具合は如何じゃ?」



「はい、100パーセントです」



「良し、此れより試験航行を開始するのじゃ、


クルー以外の者は室内に入る様にするのじゃ、


機器の点検は如何成って居るのじゃ?」



「はい、オールグリーンです」



「上空の状態は如何じゃ」



「はい、天候は雪、風強し航行には影響無し」



「桟橋を上げるのじゃ」



「桟橋上がりました」



「空中戦艦スノーホワイト号離水するのじゃ」



ちっぱい師匠が幾つかのレバーを引くと、



<ゴウン、ゴウン、ゴウン、>



船体が低い音を上げながら


ゆっくりと浮き上がり出した。


やがて水飛沫を上げながら離水すると、


モニター画面を見て居たクルーが、



「スノーホワイト号離水しました。更に上昇中」



スノーホワイト号の試験飛行が始まった。

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